独特のもちもちとした食感と、やさしい甘さが魅力のういろう。そのルーツは古く、室町時代にまで遡ると言われています。米粉やわらび粉を使い、蒸し上げて作られるシンプルな和菓子ですが、各地で独自の進化を遂げ、様々な味わいが生まれました。この記事では、ういろう発祥の地を巡りながら、その歴史と伝統、そして地域ごとの特色を徹底的に解説。奥深い、ういろうの世界へご案内します。
ういろうとは? その定義と基本情報
ういろうは、主に米粉や小麦粉、わらび粉などを使い、砂糖と水を加えて丹念に練り上げて蒸した和菓子です。その魅力は、何と言っても独特のもっちりとした食感と、洗練された上品な甘さにあります。味の種類も豊富で、黒糖、抹茶、小豆といった定番に加え、様々なバリエーションが存在します。日本各地で、それぞれの土地の材料や製法を活かしたういろうが作られており、その土地ならではの味わいを楽しめるのも醍醐味です。格式高い上生菓子として、茶席で供されることもあります。
ういろうの歴史:起源は中国? 発祥の地をめぐる考察
ういろうの歴史は、およそ600年前の室町時代にまで遡ることができます。その起源には、元からの医師である陳延祐(または陳宗敬)が深く関わっています。彼は亡命先の博多で、咳や痰を鎮める効果のある薬を人々に伝えたとされています。その後、息子の陳外郎大年宗奇が、足利義満に薬とともに、米粉と黒糖で作った菓子「ういろう餅」を献上しました。これがういろうの原型になったと言われており、薬の口直しや、外国からの使節をもてなす際に用いられたそうです。発祥の地については、宗奇が菓子を献上した場所である京都という説と、延祐が最初に住んだ場所である博多という説の2つが有力視されています。
ういろうが名古屋名物になった背景:青柳総本家の功績
ういろうは、そのルーツこそ博多や京都にあるものの、今日では名古屋名物としての地位を確立しています。名古屋にういろうが伝わったのは1650年頃のことで、餅文総本店の初代である餅屋文蔵が、明出身の陳元贇からその製法を伝授されたのが始まりとされています。しかし、ういろうを名古屋名物として広く知らしめたのは、何と言っても青柳総本家の貢献によるものが大きいでしょう。1931年、青柳総本家の3代目である後藤為彦が、国鉄名古屋駅構内での立ち売りを開始し、その人気に火をつけました。さらに、1964年の東海道新幹線開通時には、青柳総本家だけが車内販売に参入し、1968年にはフィルム密封製法を開発して日持ちを向上させることで、土産物としての需要を確固たるものにしました。
全国各地のういろう:その特徴とおすすめ
ういろうは、日本各地で独自の進化を遂げ、地域ごとの特色豊かな味わいが生まれています。ここでは、特におすすめしたい、各地の名産ういろうをご紹介します。
- 名古屋ういろう
うるち米の米粉を使用しているため、お餅のようなもっちりとした弾力のある食感が特徴です。餅文総本店や青柳総本家などが有名で、白、黒、抹茶、桜など、バラエティ豊かな味が楽しめます。特に青柳総本家は、年間販売数で日本一を誇ります。
- 京都ういろう
五建ういろが有名で、抹茶、黒糖、小豆、柚子、栗など、味のバリエーションが非常に豊富です。茶席で用いられる上品な上生菓子としての側面も持ち、ういろうの上に小豆を乗せた「水無月」も人気があります。
- 小田原ういろう
ういろうの発案者である宗奇の子孫が、現在も小田原で店を構えており、すっきりとした上品な甘さが特徴です。白、茶、黒、小豆、栗など種類も豊富で、全国からの注文が後を絶たないほどの人気を誇っています。
- 山口ういろう
わらび粉を使用しているため、他のういろうのような弾力はなく、わらび餅のような、とろりとした独特の食感が特徴です。他では味わえないその独特な風味は、県内外に多くのファンを抱えています。
ういろうの選び方:風味、舌触り、目的で吟味する
ういろう選びでは、風味、舌触り、そしてどのような場面で食したいかを考えると良いでしょう。定番の風味を求めるなら、黒糖や白ういろうがおすすめです。日本の趣を感じたいなら、抹茶や小豆を使ったものが適しています。舌触りは、弾力のあるものから、なめらかなものまで幅広く存在しますので、お好みに合わせて選んでみましょう。お土産として購入する際は、個別に包装されているものや、賞味期限が比較的長いものが便利です。
ういろうの食べ方:工夫を凝らしたレシピも
ういろうはそのまま食すのが一般的ですが、軽く温めることで風味が引き立ちます。また、冷やしていただくのも格別です。アレンジレシピとしては、ういろうを細かくカットし、白玉や季節のフルーツと一緒に盛り付け、上品なデザートとして楽しむのはいかがでしょうか。きな粉や黒蜜をかけるのも良いでしょう。軽く焼いて、表面に香ばしさを加えるのもおすすめです。
ういろうの保存方法:美味しく長持ちさせるには
ういろうは生菓子に分類されるため、日持ちはあまりしません。購入後はなるべく早くお召し上がりください。保存する際は、冷蔵庫に入れるのが最適です。ただし、冷蔵保存すると硬くなることがあるため、召し上がる前に少し室温に戻すと美味しくいただけます。長期保存したい場合は、冷凍保存も可能です。冷凍する際は、一つずつ丁寧にラップで包み、冷凍庫へ入れてください。解凍する際は、自然解凍するか、電子レンジで軽く温めてください。
まとめ
ういろうは、長い歴史と地域ごとの個性豊かな風味が魅力の伝統的な和菓子です。この記事を通して、ういろうの新たな魅力を発見し、ぜひお気に入りのういろうを見つけてみてください。古くからの製法を守りつつも、新しい味わいを追求するういろうの未来に期待が高まります。