ミントティーの驚くべき効果:心身を癒す万能薬
爽やかな香りが特徴のミントティーは、心身を癒す万能薬として古くから愛されてきました。近年、その秘められたパワーに注目が集まり、リラックス効果だけでなく、健康や美容への効果も期待されています。この記事では、ミントティーが持つ驚くべき効果を徹底解説。ストレス軽減から消化促進、美肌効果まで、その多岐にわたる効能をご紹介します。手軽に楽しめるミントティーで、心と体を優しくケアし、より健やかな毎日を送りましょう。

古代からさまざまな形で暮らしに役立てられてきたハーブ

ミントは、地中海沿岸やヨーロッパ、アジアを原産とするシソ科ハッカ属の植物の総称で、現在では世界中で栽培されています。ミント特有の爽やかな香りは、ガムやキャンディ、アイスクリーム、ジュース、お酒などの食品、歯磨き粉やシャンプー、洗剤といった日用品に広く使われ、私たちの生活に馴染み深いものです。その歴史は古く、古代ギリシャやローマ、メソポタミア、エジプトでは、消臭や料理の風味づけ、入浴などに利用されていました。また、「聖なる香り」として儀式に使われたり、薬草として消化不良、頭痛、呼吸器系の症状緩和、抗菌・消毒などに役立てられていました。ミントの名前は、ギリシャ神話に登場する妖精メンタ(メンテ)に由来します。美しいメンタは冥界の王ハデスに愛されましたが、嫉妬したハデスの妻によって植物に変えられてしまいます。ハデスはメンタを哀れみ、その植物に甘い香りを授け、それが香り高いミントになったと言われています。

古来の日本では目の薬として活用された「薄荷」

日本には約2000年以上前に伝わったとされ、万葉集の時代には、疲れた目を癒す薬としてハッカが使われていたと言われています。江戸時代には本格的な栽培が始まりました。ハッカ(薄荷)という名前でも知られていますが、狭義には日本に自生する「和種ハッカ」を指します。和種ハッカは他のミントよりもメントールを多く含んでいるため、より強い清涼感が特徴です。生薬としての「薄荷」も和種ハッカのことで、解熱、発汗、健胃作用があり、漢方薬にも配合されています。

繁殖力がとても高く、品種は100以上

ミントは葉に触れるだけで香りが立ち、夏から秋にかけて白、薄紫、ピンクなどの花を咲かせます。育てやすい多年草ですが、地下茎でどんどん増え、刈り取った茎からも根が出るほど繁殖力が旺盛なため、他の植物を枯らしたり、庭を覆いつくしてしまうことがあります。また、自然交配しやすいため、品種は100種類以上にも及びます。品種によって葉や花の形、色、大きさ、香りが異なり、代表的な品種としてペパーミントやスペアミントなどがあります。特にペパーミントとスペアミントは、アロマセラピーによく用いられます。

ペパーミント

スペアミントとウォーターミントの交配種であるペパーミントは、ℓ-メントールを主成分とする、爽快でシャープな香りが特徴です。

スペアミント

ミントの原種に近いスペアミントは、ℓ-カルボンを主成分とし、マイルドでほのかな甘みのある香りが楽しめます。

和種ハッカ

ペパーミントよりもメントール含有量が多く、強烈な清涼感と香りを誇る和種ハッカは、日本原産のミントです。北海道北見市が主要な産地として知られています。

クールミント

独特の風味とほろ苦さが特徴のクールミントは、ハーブティーや料理よりも、ガムや歯磨き粉などのフレーバーとして利用されることが多い品種です。

アップルミント

まるで青リンゴのような、穏やかで清々しい香りが特徴です。葉や茎には、白い柔らかな毛が生えています。

パイナップルミント

その名の通り、パイナップルの甘い香りが楽しめる品種です。葉に入る白い斑が美しく、観賞用としても親しまれています。

注目されるミントの効果・効能

ミントは、爽快な香りと豊富な成分により、昔から健康維持のために利用されてきました。現代では、科学的な研究によって様々な効果が解明され、健康だけでなく美容への効果も期待されています。ミントの主成分であるメントールや、ペパーミント特有のミントポリフェノールなどが、消化機能のサポート、痛みの緩和、アレルギー症状の緩和、感染症予防、精神的なリフレッシュ、ダイエットサポート、美容効果、虫除けなど、幅広い効果をもたらします。ここでは、ミントが持つ様々な効果・効能について詳しく解説していきます。

消化促進効果と胃腸の調子を整える作用

ミントは、古代ギリシャ、ローマ、エジプトなどで消化を助けるために用いられてきた歴史があり、漢方薬としても胃腸の不調を改善する効果が期待されています。消化液の分泌を促進したり、消化器官の筋肉の緊張を和らげたりする働きがあり、腹痛、下痢、胃もたれなどの症状を緩和する効果が期待できます。特にミントティーは、胃のむかつき、消化不良、食欲不振の際に効果的とされています。食後に温かいミントティーを飲むことで、胃腸の働きを優しくサポートし、不快感を和らげることができます。また、乗り物酔いや二日酔いによる吐き気、お腹の張りなどを和らげる効果も期待できます。さらに、ストレスが原因で起こる下痢などの過敏性腸症候群の改善にも役立つ可能性が示唆されており、心身のバランスを整える手助けとなると考えられています。

鎮痛・冷却・抗炎症作用

ミントに含まれるメントールという芳香成分は、痛みを鎮めたり、かゆみを抑えたり、ひんやりとした感覚をもたらす効果があるため、湿布薬や軟膏、かゆみ止めなどに広く利用されています。ミントの精油を、植物油などのキャリアオイルでごく少量(0.5%以下)に薄めて、額やこめかみに塗布すると、緊張型頭痛の緩和に役立つとされています。メントールによる冷涼感は、実際に体温を下げるわけではありませんが、皮膚にある冷感センサーに働きかけることで得られます。実験では、ペパーミントの香りを嗅ぐことで体感温度が4℃ほど下がるとの結果も出ており、暑い時期のクールダウンや気分転換に活用できます。さらに、ミントには炎症を抑える作用もあり、ティッシュなどにミントの精油を1滴垂らして静かに吸い込むことで、鼻の炎症を鎮め、鼻詰まりを解消する効果が期待できます。

アレルギー症状緩和効果と花粉症対策

ペパーミントから精油成分を抽出した後に残るミントポリフェノールには、アレルギー反応を引き起こすヒスタミンの生成を抑制する働きがあり、花粉症の症状軽減に効果が期待されています。花粉症や鼻炎に伴う鼻水やくしゃみなどの不快な症状を和らげるのに役立つと考えられています。特に、ペパーミントティーを習慣的に飲むことで、体の内側からアレルギー反応を抑え、症状の緩和をサポートする効果が期待できます。ただし、このミントポリフェノールは、ペパーミント以外のミントにはほとんど含まれていないため、アレルギー対策にはペパーミントを使用することが推奨されます。

殺菌・抗菌作用

ミントの殺菌・抗菌作用は、古くから感染症予防や食品の保存に利用されてきました。特にペパーミントに含まれるメントールには、食中毒や皮膚トラブルの原因となる黄色ブドウ球菌に対する抗菌効果が報告されています。また、風邪などの感染症予防や、喉の痛み、咳の緩和にも効果が期待できます。ミントティーを飲むことで、喉の不快感を和らげ、口の中を清潔に保つことができます。カビや雑菌の繁殖を抑える効果もあるため、浴室などの清掃に活用することも可能です。

鎮静・リフレッシュ作用

ミントの清涼感あふれる香りの主成分であるメントールは、心を落ち着かせ、イライラや不安を軽減し、ストレスを和らげてリラックスさせる効果があります。日中の仕事の休憩時間や、就寝前のリラックスタイムにミントティーを飲むことで、心身の緊張をほぐし、穏やかな気持ちへと導きます。また、メントールには、頭をすっきりさせ、気分をリフレッシュさせ、集中力を高めたり眠気を覚ましたりする効果も期待できます。そのため、朝の目覚めの一杯や、集中したい時にミントティーを飲むのもおすすめです。ミントの香りは、疲労回復や気分転換にも役立ちます。

ダイエット効果

近年の研究では、ミントに含まれるメントールが、脂肪燃焼を促す褐色脂肪組織(BAT)を活性化することが示唆されています。BATは、体内で熱を作り出し、エネルギー消費をサポートする重要な組織です。この活性化によって、基礎代謝が向上し、ダイエットを後押しする可能性があります。また、ペパーミントの香りが食欲を抑制するという研究結果もあり、ミントはダイエットをサポートするハーブとして注目されています。食事の前にミントティーを飲むことで、満足感を得やすくなり、食べ過ぎを防ぐ効果が期待できます。

虫除け効果

メントールの香りは、多くの虫が嫌うため、天然の虫除けとして活用できます。生のミントを部屋に飾ったり、ディフューザーで香りを拡散させたり、ミントを使った虫除けスプレーを手作りしたりすることで、虫対策が可能です。特に、蚊、アリ、ダニなどに対する効果が期待できます。

美容効果

ミントは、その爽やかな香りと抗菌作用から、美容の分野でも様々なメリットをもたらします。特にミントティーとして取り入れることで、内側から肌のコンディションを整えたり、むくみを和らげたり、口臭予防に役立つなど、日々の美容習慣に取り入れやすい利点があります。

肌の調子を整える

ミントには、抗炎症作用や抗菌作用があるため、肌荒れを防ぎ、肌の調子を整える効果が期待できます。体内の炎症を抑制することで、ニキビや肌の炎症を抑え、健康的な肌を維持するサポートをします。ミントティーとして摂取することで、これらの成分が全身に行き渡り、内側から肌の健康をサポートすることが期待できます。

むくみケア

ミントティーに含まれる成分は、体内の不要な水分を排出しやすくするため、むくみの軽減に繋がると言われています。特に、塩分過多な食事や、デスクワークなどで長時間同じ体勢を続けることで起こるむくみに有効です。温かいミントティーを飲むことで、血の巡りも良くなり、むくみ対策をサポートします。

気になる口臭に

ミント特有の爽やかな香りと殺菌効果は、口臭の原因となる菌の繁殖を抑え、お口の中を清潔に保つことが期待できます。食後にミントティーを飲むことは、消化を助けるだけでなく、お口の中をスッキリとさせ、息を爽やかに保つことにも繋がります。多くのガムや歯磨き粉にミントが使用されているのは、この口臭予防効果があるためです。

ミントの活用方法は様々!

ミントは、その多岐にわたる効果から、私たちの暮らしの中で様々な形で利用されています。特に、ハーブティーとして飲むのは手軽でありながら効果を感じやすく、アロマオイル、料理の風味づけ、虫よけなど、幅広い用途があります。ここでは、生のミントや乾燥ミントを使ったミントティーの作り方から、食卓を豊かにするレシピ、日々のケアに役立つミントオイルの活用方法まで、ミントを上手に活用する方法をご紹介します。

お腹や鼻のトラブルに! ミントティーの淹れ方

爽快感のあるミントティーは、お腹の調子が優れない時や鼻が詰まっている時、ムカムカする時に特に効果的です。生のミントと乾燥ミント、それぞれの葉を使ったミントティーの淹れ方をご紹介します。香りや風味は、ミントの種類によって変わるので、色々な種類を試してみるのもおすすめです。夏は冷やして飲んだり、レモンや他のハーブと混ぜて飲むのも美味しいです。お好みでハチミツを加えるのも良いでしょう。

生のミントで作るミントティーのレシピ

庭で摘んだばかりの新鮮なミントの葉を使えば、格別な香りと清涼感あふれるミントティーを味わえます。ミントを育てている方は、ぜひお試しください。
材料(カップ2~3杯分)
  • 生のミントの葉:約10g
  • 熱湯:500ml
作り方
  1. ミントの葉を丁寧に水洗いし、軽く水を切ってティーポットに入れます。
  2. 沸騰させたお湯をティーポットに注ぎ、蓋をして5分から10分ほど蒸らします。
  3. カップに注ぎ分けて、できあがりです。

乾燥ミントで作るミントティーのレシピ

乾燥ミントは保存がきくため、いつでも気軽にミントティーを淹れることができて重宝します。ご自分で生のミントを乾燥させて作ることも可能です。
乾燥ミントの作り方
新鮮なミントの葉を丁寧に摘み、優しく水洗いして水分を完全に拭き取ります。その後、直射日光を避けた風通しの良い場所で吊るして自然乾燥させるか、食品乾燥機などを利用して完全に乾燥させます。適切に乾燥させることで、長期保存が可能なドライミントが完成します。
淹れ方
  1. 乾燥させたミントの葉:小さじ1~2杯をティーポットに入れます。
  2. 沸騰させたお湯をティーポットに注ぎ、蓋をして5分から10分ほど蒸らします。
  3. お好みのカップに丁寧に注いで、香り豊かなミントティーをお楽しみください。

ミントティーの多様な楽しみ方とアレンジレシピ

ミントティーは、そのまま飲んでも爽やかな味わいですが、他の材料と組み合わせることで、さらに奥深い風味を引き出し、創造性あふれる飲み物やデザートへと進化させることができます。ここでは、あなたの気分や好みに合わせて自由にアレンジできる、ミントティーの様々なレシピをご紹介します。

ミントティーの楽しみ方5選

普段のミントティーに少し工夫を加えるだけで、想像を超える風味の変化と健康効果を体感できます。リフレッシュしたい時や、体調を整えたい時など、その日の気分に合わせて様々なアレンジを試してみてはいかがでしょうか。
1. ハニーレモンミントティー
ミントティーに、レモン果汁とはちみつを加えたアレンジ。爽やかなミントの風味と、レモンの酸味、そして蜂蜜の優しい甘さが調和します。心身をリラックスさせたい時や、喉の痛みを感じる風邪の初期症状におすすめです。
2. ブレンドミントティー
数種類のミントを組み合わせたミントティーです。例えば、ペパーミントとスペアミントを混ぜることで、それぞれのミントが持つ香りが複雑に絡み合い、奥行きのある風味になります。リフレッシュ効果も期待でき、気分転換にも最適です。
3. ミントジンジャーティー
ミントティーに、すりおろした生姜や薄切りにした生姜を加えたもの。ミントの清涼感と生姜のピリッとした辛味が絶妙にマッチします。体を温めたい時や、胃腸の調子が優れない時に飲むのがおすすめです。冷えやすい季節にも重宝します。
4. メープルシロップミントティー
ミントティーにメープルシロップを少量加えたアレンジ。メープルシロップ特有の、上品で自然な甘さがミントの風味を引き立てます。疲れた時や、リラックスしたい時に、心安らぐ一杯となるでしょう。
5. ミルクティー仕立てのミントソイティー
温めたミントティーに豆乳を注ぎ、ミルクティーのような風味を楽しむアレンジレシピです。ミントの爽快な香りと豆乳の優しい口当たりが絶妙に調和し、カフェイン摂取を控えたい時や、就寝前のリラックスタイムに最適です。お好みで少量のはちみつやメープルシロップを加えるのもおすすめです。

ミントティーを使ったアレンジレシピ3選

ミントティーは、単に飲むだけでなく、様々なスイーツや料理の材料としても活用できます。その清涼感あふれる香りが加わることで、普段のレシピが一段と風味豊かに生まれ変わります。
1. ミントティーのクラッシュゼリーソーダ
通常より濃いめに抽出したミントティーをゼラチンで固め、粗く砕いて炭酸水やジュースと混ぜ合わせれば、見た目にも涼しげなデザートドリンクの完成です。暑い夏にぴったりの、爽やかな口当たりを堪能できます。
2. ミントティーゼリーとヨーグルトのハーモニー
ミントティーをベースにしたゼリーを細かくカットし、無糖ヨーグルトの上に盛り付けます。ミントの香りがヨーグルトの酸味と見事に調和し、朝食やデザートを爽やかに楽しめます。お好みのフルーツを添えれば、さらに華やかな一品になります。
3. キウイとミントの爽やかティー
薄くスライスしたキウイを、冷たいミントティーに浸すだけのシンプルレシピ。ミントの清涼感がキウイの甘みと酸味を際立たせ、さっぱりとしたデザートとして楽しめます。冷蔵庫でしっかりと冷やしてからいただくと、より一層美味しくなります。

ミントオイル活用法と期待できる効果

ペパーミントをはじめとするミントの精油は、雑貨店などで手軽に入手できます。ハッカ油は薬局でも販売されており、より手軽に入手可能です。日々の生活に取り入れやすいミントオイルの活用法をご紹介します。

アロママッサージで頭痛緩和

ペパーミントの精油を、ホホバオイルなどのキャリアオイルと混ぜ合わせ、少量ずつこめかみに優しく塗り込むことで、頭痛の緩和が期待できます。

リフレッシュ、頭痛・眼精疲労の緩和、日焼け後のクールダウンに

精油を加えた冷水、または冷やしたミントティーに浸したタオルを、額や首筋に当てることで、気分転換や緊張型頭痛の緩和に効果的です。目の上に乗せれば眼精疲労を癒し、日焼けした肌に当てれば、ほてりを鎮める効果が期待できます。

蒸気吸入やアロママスクで鼻の不快感を軽減

湯気の立ったカップにペパーミントのエッセンシャルオイルを少量(1滴程度)加え、立ち上る香りをゆっくりと吸い込むことで、鼻詰まりが和らぎます。外出時には、ペパーミントオイル配合のマスクスプレーをマスクの外側に軽く吹き付けると、鼻や喉のムズムズ感を抑える効果が期待できます。(※ マスクスプレーの詳しい作り方は、別の記事でご案内いたします。)

胃腸の不調時や食欲抑制には手軽なアロマで

ミントは、消化を助けたり、食欲をコントロールしたりする作用があると言われています。ティッシュにペパーミントオイルを1滴たらし、その香りを深く呼吸しながら楽しんでみましょう。

眠気覚ましや乗り物酔い対策にルームスプレーを活用

ミントの爽やかな香りを室内に拡散させれば、眠気を吹き飛ばしたり、気分転換を促したりするのに役立ちます。また、乗り物酔いしやすい方は、車内や船内にミントの香りを持ち込むのもおすすめです。

ミントを使ったナチュラルな虫除けスプレー

ミントの持つ虫除け効果を利用したスプレーは、エッセンシャルオイルをグリセリンと精製水で希釈し、スプレーボトルに入れて使用します。お出かけの際に、肌や衣類にスプレーしてください。ただし、3歳未満のお子様には、精油を含むスプレーを直接肌に使用するのは避けましょう。3歳以上のお子様に使用する場合でも、精油濃度は大人の半分以下に調整してください。(※ スプレー作成時の注意点や、ハーブを活用した虫対策については、別の記事で詳しく解説しています。)

ミントを活用したレシピとその効果

薬膳の視点では、ミントは体内の「気」の流れをスムーズにし、喉の痛みや腫れ、熱感、ほてりを鎮める効果があるとされています。ただし、過剰な摂取は体を冷やす可能性があるため、適量を守ることが大切です。日本では、ミントは主にスイーツや飲み物の飾りとして用いられることが多いですが、東南アジア諸国では、生のまま料理に添えたり、サラダに加えたり、ジュースやお酒の材料として利用されています。タイ料理の定番である「ラープ・ムー」も、ミントをふんだんに使ったサラダの一種です。ミントはデザートやドリンクのイメージが強いかもしれませんが、実は肉料理との相性も抜群です。爽やかな香りが肉の臭みを消し、脂っぽさを和らげてくれるため、さっぱりと食べられます。特別な日のディナーには、香ばしく焼き上げたラムチョップに、鮮やかな緑色のミントソースを添えるのもおすすめです。(※ ミントを使った料理のレシピについては、別の記事で詳しくご紹介しています。)ミントを使ったドリンクとして有名なのは、キューバ生まれのカクテル「モヒート」です。ラム酒の代わりに炭酸水やトニックウォーターを使用すれば、ノンアルコールモヒートも楽しむことができます。(※ モヒートの基本的な作り方やアレンジレシピについては、以下の記事で詳しく解説しています。)

ミント使用時の注意点

ミントは様々な効能を持つ一方で、安全にその恩恵を受けるためには、いくつかの注意点を把握しておくことが不可欠です。特に、特定の健康状態にある方や、小さなお子様への使用には特に注意が必要です。ミントに含まれる香り成分は、強い作用を持つものもあるため、誤った使用方法によっては体調不良を引き起こす可能性もあります。ここでは、ミントを安全に利用するための具体的な注意点について詳しく解説します。

妊娠中・授乳中は医師に相談を

ミントの清涼感のある香りは、つわりの不快感を和らげる効果が期待できる反面、その香り成分には胃酸の逆流を促したり、子宮を収縮させる作用を持つものも含まれています。通常の使用量であれば問題ありませんが、念のため、精油の使用やハーブティーの摂取については、事前に医師に相談することをおすすめします。

3歳未満の乳幼児への使用は避ける

ミントの精油は、乳幼児に舌の痙攣や呼吸停止を引き起こすリスクがあるほか、皮膚や粘膜への刺激が強いため、3歳未満の乳幼児への使用は推奨されません。乳幼児のデリケートな体に予期せぬ影響を与える可能性があるため、使用は絶対に避けてください。

高血圧、胆石、逆流性食道炎をお持ちの方は使用を控えましょう

ミントに含まれる成分が血圧を上昇させる可能性があるため、高血圧の方は摂取を避けることが推奨されます。また、胆石による痛みを悪化させたり、逆流性食道炎の症状を強めたりするケースも報告されています。これらの疾患をお持ちの方は、ミントの摂取や使用を控えるか、使用前に必ず医師に相談してください。
株式会社ジャパンライフデザインシステムズ所属 葛和 恵奈子(くずわ えなこ) 英国IFAアロマセラピスト/AEAJアロマセラピスト/AEAJアロマセラピーインストラクター/メディカルハーブコーディネーター/RTAベビーマッサージセラピスト。編集者としての経験を通してハーブとアロマの力に感銘を受け、メディカルハーブの健康と生活への応用を研究。専門学校の講師やイベント、セミナーを通じて、状況に応じたハーブとアロマの活用法を広めている。2児の母。

まとめ

ミントは、地中海地域を原産とするシソ科ハッカ属の植物であり、その爽快な香りは食品から日用品に至るまで、現代の私たちの生活に広く浸透しています。古代ギリシャ、ローマ、メソポタミア、エジプトの時代から、消臭剤、料理の風味付け、入浴剤として、さらには儀式や消化不良の改善、頭痛緩和、呼吸器系の不調の緩和、抗菌・消毒を目的とした薬草として、幅広く利用されてきました。その名前はギリシャ神話の妖精メンタに由来し、古くから人々の生活と深く関わってきたハーブとしての魅力が感じられます。日本においては、約2000年以上前から目の薬としてハッカが活用され、特に和種ハッカはメントールを豊富に含み、解熱、発汗、健胃作用を持つ生薬としても珍重されてきました。ミントは非常に繁殖力が強く、100種類を超える品種が存在し、それぞれ異なる香りや特性を持っています。その効果は多岐にわたり、消化促進、鎮痛・冷却・抗炎症作用、アレルギー症状の緩和(特にペパーミントポリフェノール)、殺菌・抗菌作用、鎮静・リフレッシュ効果、ダイエット、虫除け効果といった健康面だけでなく、肌のコンディションを整える、むくみ対策、口臭予防といった美容効果も注目されています。ミントティーは、フレッシュミントやドライミントから手軽に作ることができ、ハニーレモン、ジンジャー、メープルシロップなどを加えて風味をアレンジしたり、クラッシュゼリー、ヨーグルトゼリー、フルーツマリネなど、さまざまなレシピで楽しむことができます。その他、ミントオイルを使用したアロママッサージやルームスプレー、虫除けスプレーなど、多様な方法で活用できます。ただし、妊娠中や授乳中の方、3歳未満の乳幼児、高血圧、胆石、逆流性食道炎をお持ちの方は、使用に際して注意が必要です。ミントの持つ多彩な魅力を理解し、賢く活用して、私たちの生活に役立てていきましょう。

ミントとはどのような植物ですか?

ミントは、地中海沿岸、ヨーロッパ、アジアを原産とするシソ科ハッカ属の植物の総称であり、現在では世界中で広く見られます。独特の清涼感あふれる香りが特徴で、栽培が容易な多年草ですが、地下茎を通じて旺盛に繁殖します。また、自然交配しやすいため、非常に多くの品種が存在し、その数は100種類以上にも及びます。

ミントは古代からどのように用いられてきたのですか?

古代ギリシャ、ローマ、メソポタミア、エジプトでは、消臭や料理の風味づけ、入浴などに使用されていました。また、「神聖な香り」として儀式に用いられたり、消化不良、頭痛、呼吸器系の不調の緩和、抗菌・消毒のための薬草としても利用されてきました。日本には約2000年以上前に伝わり、万葉集の時代には、目の疲れを癒やす薬としてハッカが用いられていたと言われています。

ミントの語源:その名の背景

ミントという名前のルーツは、古代ギリシャの物語に登場する妖精メンタにあります。冥府の王ハデスに寵愛されたメンタは、ハデスの妻の嫉妬を買って植物に変えられてしまいました。その姿を変えられた植物に、ハデスが甘い香りを授けたものがミントになったと語り継がれています。


ミントティー