しょうがと新しょうがの違いとは?栄養、効果と保存方法

いつもの食卓に風味と彩りを加えてくれるしょうが。一年を通して目にする茶色い「しょうが」と、夏場に出回る薄紅色の「新しょうが」。この二つの違いを明確に説明できますか?実はこれらは同じ植物でありながら、収穫時期や成長過程によって、特徴、風味、使い方が大きく変わってくるのです。この記事では、しょうがと新しょうがの根本的な違いから、それぞれが秘める栄養と効果、日々の食生活への取り入れ方、保存方法まで詳しく解説します。この記事を通して、しょうがの奥深さに触れ、食生活をより豊かに、そして健康的にするための知識とヒントを手に入れましょう。

しょうがと新しょうがの基礎知識:違いと共通点

しょうがと新しょうがは、見た目や風味が異なるため、別の種類の植物だと思われがちですが、実は同じ植物の根の部分です。主な違いは、収穫時期と成長の度合いにあります。ここでは、共通の起源を持ちながらも、それぞれを特徴づける違いについて詳しく解説します。

収穫時期が生み出す「しょうが」の変化

しょうがは、春に種しょうがを植え、夏から秋にかけて成長します。どの段階で収穫するかによって、「新しょうが」と「一般的なしょうが」に分けられます。この収穫時期の差が、風味や食感、そして栄養成分に影響を与えるのです。

新しょうがの特徴:若さとみずみずしさ

しょうがは、大きく分けて「根しょうが」と「葉しょうが」があり、「根しょうが」には、収穫後すぐに出荷する「新しょうが」、貯蔵して随時出荷する「ひねしょうが」があります。

新しょうがの最も大きな特徴は、そのみずみずしさと柔らかさです。皮が非常に薄く、剥かずにそのまま調理できることも多く、色も淡い黄色で、先端がほんのりピンク色をしているのが特徴です。味は、成熟したしょうがに比べて辛味が穏やかで、フレッシュな甘みを感じられます。食感はシャキシャキとしており、瑞々しさが際立ちます。お寿司に添えられる「ガリ」によく使われるのはこの新しょうがで、その爽やかな辛味と食感が料理の味を引き立てます。酢漬けの他にも、炒め物や和え物など、素材の味を活かす料理によく合います。

一般的なしょうが:熟成した風味と特徴

一年を通して店頭で見かけることの多い、表面がゴツゴツとした黄色のしょうがは、秋に収穫され、一定期間貯蔵された後に市場に出回るものです。これらは「ひねしょうが」や「囲いしょうが」とも呼ばれ、成熟しょうがとして知られています。

一般的なしょうがは、新しょうがと比較して皮が厚く、色も濃い黄色をしています。また、皮の下には豊富な繊維質があり、しっかりとした歯ごたえがあります。風味も新しょうがとは異なり、強い辛味と凝縮された独特の香りが特徴です。この強い風味は、肉や魚の臭み消しや料理のアクセント、体を温める効果など、多岐にわたって利用されています。

共通する主な栄養成分

収穫時期に関わらず、しょうがと新しょうがはどちらもジンゲロールやショウガオールといった特有の辛味成分を含んでいます。これらの成分は、しょうがが持つ様々な健康効果の源となっています。また、ビタミンCなどの抗酸化成分も共通して含まれており、健康維持に役立ちます。ただし、成熟度合いによって、これらの成分の含有量やバランスにわずかな差が生じることがあります。例えば、新しょうがは生のまま食されることが多いため、ビタミンCなどの熱に弱い成分をより効率的に摂取できると考えられます。

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しょうが・新しょうががもたらす健康効果と栄養

しょうがは、独特の辛味と香りの裏に、私たちの健康を支える素晴らしい力を秘めています。古くから漢方薬としても使用されてきた歴史からもわかるように、様々な薬効成分が含まれており、特に寒い季節には積極的に摂取したい食材です。ここでは、しょうがの主要な有効成分と、それらがもたらす健康効果について、科学的な視点も交えながら詳しく解説します。

辛味成分「ジンゲロール」の秘めたる力

しょうが特有の辛味と刺激的な香りの主要成分であるジンゲロールは、生のしょうがに多く含まれています。ジンゲロールには、私たちの健康をサポートする様々な効果があることがわかっています。

優れた殺菌力で細菌やウイルスから守る

ジンゲロールは、その強力な殺菌作用で知られ、私たちの体を細菌やウイルスから守る手助けをしてくれます。食中毒予防にも効果的で、生魚を扱うお寿司に添えられるガリ(新生姜の甘酢漬け)は、しょうがの殺菌成分が食中毒のリスクを減らすという、昔からの知恵に基づいたものです。特に風邪が流行しやすい時期には、しょうがを積極的に摂取することで、初期の体調管理に役立つでしょう。

鎮静作用と消化を助ける効果

ジンゲロールには、体内の炎症を鎮める効果も期待されています。風邪を引いた時に「しょうが湯を飲むと良い」と言われるのは、発熱や喉の痛みなどの炎症を和らげる効果があるためです。これは理にかなった習慣と言えるでしょう。

また、ジンゲロールは消化を促進する働きも持っています。その独特の辛味が胃の活動を活発にし、消化液の分泌を促すことで、食後の胃もたれや食欲不振の改善に繋がります。食欲がない時や、重たい食事の後などに少量摂ることで、胃腸の働きをサポートしてくれるでしょう。

加熱によって生まれる「ショウガオール」の温め効果

ジンゲロールは、加熱されると「ショウガオール」という別の成分に変化します。このショウガオールは、ジンゲロールとは異なり、体を温める効果が非常に高いのが特徴です。

血行促進と体温上昇で体を温める

ショウガオールは、血流を改善し、体の隅々まで血液をスムーズに届ける効果があります。これにより、冷えやすい手足の先まで温まり、全身の体温を効率的に上げることができます。特に寒い時期に冷えを感じやすい方は、加熱した生姜を積極的に摂ることで、冷え性対策として効果が期待できます。温かい紅茶にすりおろした加熱済みのしょうがを加えた「しょうが紅茶」は、手軽に体を温められるのでおすすめです。

代謝アップと免疫力アップへの貢献

ショウガオールがもたらす体温上昇効果は、代謝の促進をサポートし、脂肪燃焼を助け、スリムな体質作りに貢献する可能性があります。

また、体温の上昇は免疫細胞の活性化と深く関係しています。体が温まることで免疫力がアップし、寒さに負けない体づくりを助け、健康維持をサポートすると考えられています。特に、これから寒くなる季節は、しょうがを日々の食事に取り入れることで、体調を維持しやすい体作りをサポートできます。

その他の栄養成分と健康効果

しょうがは、ジンゲロールやショウガオールに加え、様々な健康に良い成分を含んでいます。

抗酸化パワーでエイジングケア

新しょうがには、優れた抗酸化作用を持つ成分が豊富に含まれています。抗酸化作用とは、体内で作られる活性酸素を除去し、細胞の酸化(老化)を抑える働きのことです。これにより、エイジングケアや健康維持に役立つと言われています。みずみずしい新しょうがをサラダや和え物など、生のまま食べることで、これらの抗酸化成分を効率的に摂取できます。

抗炎症作用で体の不調をケア

しょうがには、体の様々な炎症を抑える抗炎症作用を持つ成分も含まれています。関節炎などの慢性的な炎症性疾患の症状を和らげる効果が期待できるだけでなく、日々の体の不調や痛みを和らげる効果も期待できます。特に、新しょうがは辛味がマイルドなため、積極的に食事に取り入れやすいでしょう。

免疫力アップに貢献するビタミンC

新しょうがには、免疫力を高める上で重要な役割を果たすビタミンCが豊富に含まれています。ビタミンCは、免疫細胞である白血球の働きを助け、体内に侵入しようとする病原菌と闘う力を強化することで、寒さに負けない体づくりを助け、健康維持をサポートすると考えられています。さらに、ビタミンCは美容にも良い影響を与え、健康的な肌を保つためにも欠かせない栄養素です。

毎日の食卓でしょうが・新しょうがを上手に使う方法

しょうがは、その健康効果はもちろんのこと、様々な料理に使える万能な食材としても知られています。日本の家庭料理から、中華料理、エスニック料理まで、幅広いジャンルで活躍し、食卓を豊かに彩り、健康をサポートします。ここでは、いつもの食事にしょうがを効果的に取り入れるためのアイデアや、新鮮さを長持ちさせるための保存方法など、役立つ情報をご紹介します。

料理への活用:風味を加え、臭みを消す

しょうがの大きな特徴は、料理に独特の風味を加え、気になる臭いを消す効果があることです。特に、肉や魚を使った料理では、その効果を存分に発揮します。

肉や魚の生臭さを抑える

肉や魚を調理する際に、しょうがをすりおろして下味に使うことで、素材が持つ特有の生臭さを効果的に抑えることができます。例えば、定番の豚のしょうが焼きや、サバの味噌煮、ブリの照り焼きなど、多くの料理でしょうがが活躍しています。しょうがの香りが素材本来の味を引き立て、より美味しく仕上げるだけでなく、抗菌作用によって食中毒のリスクを減らす効果も期待できます。マリネ液や漬けダレに加えて使うのもおすすめです。

煮込み料理に奥深い風味を

カレー、シチュー、角煮といった煮込み料理に、一片の生姜を加えるだけで、料理全体の風味に奥行きと複雑さが生まれます。特に、時間をかけて煮込む料理では、しょうがの成分がじっくりと素材に溶け込み、体を温める効果も期待できます。鶏肉や豚肉を使った煮物では、肉の臭みを抑えつつ、爽やかな後味に仕上がる効果もあります。

薬味として手軽に風味を添える

しょうがは、そうめん、冷奴、刺身、湯豆腐などの薬味としても重宝されます。おろしたしょうがを少量添えるだけで、料理の味が引き締まり、食欲をそそる効果も期待できます。特に、暑い季節の料理には、しょうがの爽やかな辛味が食欲を刺激し、さっぱりと美味しくいただけます。

新しょうがは、そのみずみずしさと穏やかな辛さから、和え物や炒め物にも向いています。細かく刻んでご飯に混ぜたり、千切りにしてサラダの彩りに加えたりと、生のままの風味を堪能できます。

手軽に温活できるドリンク

しょうがは、飲むことによってもその温め効果を実感できます。特に寒い時期には、体の芯から温まる手軽な飲み物としておすすめです。

温かいしょうが紅茶で体の中からポカポカ

最も手軽に楽しめるのは「しょうが紅茶」です。温かい紅茶に、すりおろした生姜を小さじ1杯程度加えるだけで出来上がります。しょうがをすりおろすことで、細胞が壊れ有効成分が溶け出しやすくなり、より効果的に体を温めます。お好みで蜂蜜やレモンを加えると、より飲みやすくなります。ジンゲロールが加熱によってショウガオールに変化することで、血行促進効果が高まり、体の隅々まで温かさを感じられるでしょう。

風邪の初期には「しょうが湯」

体が冷えたり、風邪かな?と感じたら、昔ながらの「しょうが湯」がおすすめです。おろししょうがをお湯に溶かし、お好みで砂糖や蜂蜜を加えるだけ。しょうがの持つ抗菌作用と体を温める効果で、風邪のひきはじめの不快感や体調不良を和らげてくれます。お店で売っているものも便利ですが、生のしょうがを使えば、より風味豊かで効果も期待できます。

しょうが・新しょうがの賢い冷凍保存方法

しょうがは一度に全部使い切るのは難しいことが多いので、正しい保存方法を知っておくと便利です。特に冷凍保存は、鮮度を長く保ち、使いたい時にすぐに使えるのでおすすめです。

鮮度をキープ!冷凍保存のコツ

1. 丁寧に皮をむく: スプーンの裏側などで、しょうがの皮を薄く剥きます。新しょうがは皮が薄いので、丁寧に洗えば皮ごと使っても大丈夫です。

2. 用途に合わせてカット: まるごと冷凍もできますが、使う時のことを考えて、すりおろし用、薄切り用、みじん切り用など、用途ごとにカットしておくと便利です。

3. 冷凍保存用袋で密封: カットしたしょうがが重ならないように冷凍用保存袋に入れ、中の空気をしっかり抜いて密封します。こうすることで、酸化や霜の付着を防ぎます。

4. 素早く冷凍: 冷凍庫に急速冷凍機能があればそれを使い、なければアルミトレーに乗せるなどして、できるだけ早く冷凍することで、品質の低下を最小限に抑えられます。

冷凍しょうが、こんな使い方ができる!

  • そのまま鍋へ: 煮込み料理やスープに丸ごと使う場合は、凍ったまま鍋に入れることができます。解凍する手間がなく、すぐに使えて便利です。
  • 凍ったままおろし器で: 冷凍しょうがの一番のメリットはこれ!凍ったままおろし器にかけると、生のしょうがよりも繊維が気にならず、楽にすりおろせます。必要な分だけ使えるので、無駄もありません。
  • 解凍して刻んで使う: せん切りやみじん切りで使いたい場合は、解凍してから使います。自然解凍でも良いですし、時間がない時は電子レンジの解凍機能を使ってもOKです。

まとめ

この記事では、食生活に欠かせない「しょうが」と「新しょうが」という二つの顔を持つ食材について、その違い、健康への貢献、そして日々の食事への取り入れ方を詳しく解説しました。これらは同じショウガ科の植物でありながら、収穫時期によって異なる特性を持ち、それぞれ独自の風味と利点があることをご理解いただけたかと思います。生姜は、単なる薬味やスパイスとしてだけでなく、私たちの健康を支え、食生活を豊かにする価値ある食材です。この知識を活かし、季節や体調に合わせて生姜を賢く活用し、一年を通して健康で活動的な日々を送りましょう。

しょうがと新しょうがは別の種類の植物ですか?

しょうがと新しょうがはどちらも同じショウガ科の植物の根茎部分です。違いは収穫時期と成熟度合いにあります。新しょうがは、比較的早い時期に収穫されたもので、皮が薄く、水分が多くて辛味が穏やかです。一方、一般的なしょうが(根しょうがとも呼ばれます)は、十分に成熟してから収穫され、一定期間貯蔵されたもので、皮が厚く、辛味が強く、繊維質が多いのが特徴です。

生で食べるしょうがと加熱したしょうがでは、健康効果に違いはありますか?

生で摂取する場合と加熱して摂取する場合では、得られる効果に違いがあります。生のしょうがに豊富に含まれる辛味成分であるジンゲロールは、強い殺菌作用や炎症を抑える効果、消化を助ける効果が期待できます。一方で、ジンゲロールは加熱されるとショウガオールという別の成分に変化します。ショウガオールは、血行を促進し、体を温め、代謝を高める効果がより強く発揮されます。目的に応じて、生食と加熱調理を使い分けることがおすすめです。

しょうがの殺菌作用はどのような場面で役立ちますか?

しょうがの殺菌作用は、特に食中毒の予防に効果を発揮します。例えば、寿司に添えられているガリ(新しょうがの甘酢漬け)は、生の魚介類と一緒に食べることで、食中毒のリスクを低減する効果が期待できます。また、風邪の初期症状が現れた際など、体内に侵入しようとするウイルスや細菌に対する防御力を高める役割も果たします。肉や魚の下処理にしょうがを使用することで、臭みを消すだけでなく、衛生面でもメリットがあります。

新しょうがの方が健康に良いというのは本当ですか?

必ずしも「新しょうがの方が健康効果が高い」とは断言できません。新しょうがは、フレッシュな状態で食されることが多いため、抗酸化作用が期待できるビタミンCを効果的に摂取できるという利点があります。さらに、消化を助けたり、炎症を抑える効果があるジンゲロールも豊富に含んでいます。ただし、体を温める効果で知られるショウガオールは、成熟したしょうがを加熱することでより多く生成されます。どちらのしょうがもそれぞれ優れた健康効果が期待できるため、目的や用途に合わせて使い分けるのがおすすめです。

しょうが新しょうが