里芋で食中毒を防ぐ!食べてはいけない部分と安全な調理法
ねっとりとした独特の食感が魅力の里芋。煮物やお味噌汁など、様々な料理で私たちを楽しませてくれる日本の食卓には欠かせない存在です。しかし、里芋には注意すべき点も。実は、種類によっては食用に適さない部分があったり、適切な調理をしないと食中毒を引き起こす可能性があったりするのです。この記事では、里芋を安全に美味しく食べるために、食べてはいけない部分と安全な調理法について詳しく解説します。

里芋とは?知っておきたい基礎知識

独特のぬめりと食感を持つ里芋は、日本の食文化に深く根付いた食材です。お正月のおせち料理や、滋味深い煮物など、様々な料理に使われます。そのルーツは東南アジアにあり、日本には縄文時代に伝わったと言われています。山で採れる山芋に対して、里で栽培されることから里芋と呼ばれるようになりました。親芋から子芋、孫芋へと増えていく様子が、豊穣や子孫繁栄の象徴とされ、縁起の良い食材としても親しまれています。土垂やえび芋など、様々な品種があり、それぞれに異なる風味や食感を楽しめます。栄養面では、炭水化物をはじめ、カリウム、タンパク質、食物繊維などが豊富に含まれています。

里芋の旬はいつ?

里芋は一年を通して手に入りますが、最も美味しい時期は秋から冬にかけてです。特に12月頃には市場への出荷量が増加し、旬を迎えます。品種によっては、初夏から秋にかけて収穫されるものもあります。

おいしい里芋の選び方

より新鮮でおいしい里芋を選ぶためには、いくつかの点に注意しましょう。まず、皮が乾燥しておらず、適度な湿り気があるものがおすすめです。皮の表面にある縞模様がはっきりとしていて、間隔が均等であることもポイントです。また、全体的に丸みを帯びていて、お尻の部分がしっかりと締まっているものが良品とされています。泥付きの里芋は、乾燥を防ぎ鮮度を保ちやすいためおすすめです。

里芋の保存方法:常温、冷蔵、冷凍

里芋は比較的保存がきく野菜ですが、乾燥と低温に弱いという性質があります。適切な方法で保存することで、風味を損なわずに長期間保存することができます。

常温保存:泥付き里芋の保管方法

泥付きの里芋は、およそ1ヶ月程度、常温で保存することができます。 ポイントは、洗わずに泥がついた状態のまま、新聞紙やキッチンペーパーなどで包み、段ボールや紙袋などに入れて、直射日光を避けて風通しの良い場所で保管することです。 もし庭に土があるようでしたら、土に埋めて保存することも可能です。

冷蔵保存:泥を洗い落とした里芋の保管方法

すでに洗ってある里芋や、気温の高い時期などで常温での保存が難しい場合は、冷蔵保存がおすすめです。 里芋の水分をしっかりと拭き取ってから、新聞紙やキッチンペーパーで包み、ポリ袋などに入れて冷蔵庫の野菜室で保存します。 冷蔵保存の場合、保存期間の目安は1週間から2週間程度です。

冷凍保存:長期保存に最適な方法

里芋は冷凍しても、食感や風味が大きく変わることが少ないため、長期間保存したい場合には冷凍保存が最適です。 皮付きのまま冷凍することもできますし、一度茹でてから冷凍することも可能です。 あらかじめ下茹でしておくと、調理時間の短縮にもつながります。 冷凍した里芋は、煮物や味噌汁などに、解凍せずにそのまま使うことができます。 皮付きのまま冷凍した場合は、電子レンジで軽く加熱すると皮がむきやすくなります。 皮ごと冷凍した場合、およそ1ヶ月程度保存することが可能です。 生のまま冷凍することも可能ですが、茹でてから冷凍しても問題ありません。

里芋の変色:原因と対処法

里芋を切った時に、切り口が赤色や黒色に変色する場合があります。 この変色の原因を理解し、適切な対処をすることで、見た目も良く、より美味しく里芋を調理することができます。

赤い変色の原因と対処法

里芋を切った際に、切り口が赤くなるのは、里芋に含まれるアントシアニンというポリフェノールが酸化するためです。これは、里芋が空気に触れることで起こりやすい現象です。この酸化による変色を防ぐには、切った里芋を水に浸すのが効果的です。水にさらすことで、空気との接触を遮断し、同時に里芋のぬめり成分(アク)を取り除く効果もあります。また、皮ごと茹でるのも、変色を抑える有効な手段です。

黒い変色の原因と対処法

里芋が黒ずんだり、茶色っぽく変色する主な原因は、低温による障害です。里芋は寒さに弱い性質を持っているため、冷蔵庫で保管する際に直接冷気に触れると、低温障害を起こして変色することがあります。これを防ぐためには、里芋を新聞紙などで包んでから冷蔵庫に入れることをおすすめします。低温障害で黒く変色した里芋は、食感が損なわれることがありますが、食べても問題ありません。気になる場合は、変色した部分を切り落としてください。

その他の変色と注意すべき点

里芋が腐っている場合、断面全体が黒ずんでいたり、異臭(酸っぱい臭いなど)がしたり、触るとブヨブヨと柔らかくなっていたりします。また、皮がついたままの里芋が白く変色している場合は、カビが原因である可能性が高いです。これらの状態が見られる里芋は、口にせずに処分してください。皮を剥いた部分が緑色に変色している場合は、日光に当たったことで葉緑体が作られたためであり、腐敗ではないので食べられます。

里芋のおいしい食べ方

里芋は、煮っころがしやけんちん汁、味噌汁など、和食の様々な料理に利用できます。また、コロッケの具材やポテトサラダに加えて、独特のねっとりとした食感を楽しむのもおすすめです。マヨネーズとの相性も抜群なので、サラダの材料としても良いでしょう。調理する前に、里芋を塩もみしてから水で洗い流すと、ぬめりを効果的に取り除くことができます。

里芋の葉柄「ずいき」について

里芋の葉柄部分である「ずいき」ですが、全ての品種で食べられるわけではありません。ずいきを食用とする場合は、専用の品種や、葉柄が赤みを帯びた品種を選ぶ必要があります。例えば、ハスイモのようにずいきを食べることを目的として栽培されている品種は、葉柄が緑白色をしています。また、八つ頭のように葉柄が赤い品種は、シュウ酸カルシウムの含有量が少ないため、食用に適しているとされています。重要な点として、食用とされていない品種のずいきには、シュウ酸カルシウムが多量に含まれている場合があるため、摂取は避けるようにしましょう。

まとめ

里芋は、その独特な風味と栄養価の高さから、日本の食文化において重要な役割を果たしてきました。旬の時期に収穫された里芋を選び、適切な保存方法を実践し、変色を防ぐ工夫を凝らすことで、里芋本来の美味しさを最大限に引き出すことができます。この記事でご紹介した情報を活用して、ぜひ色々な里芋料理に挑戦し、その魅力を再発見してみてください。

質問:里芋を煮る際、煮汁が頻繁に吹きこぼれて困っています。何か良い対策はありますか?

回答:里芋を煮込んでいる時に吹きこぼれが発生する主な原因は、里芋に含まれるぬめり成分(アク)にあります。そのため、下処理として、あらかじめ丁寧にぬめりを取り除くことで、吹きこぼれを効果的に防ぐことができます。

質問:里芋に触れた後、手に強いかゆみが出てしまいました。どのように対処すれば良いでしょうか?

回答:里芋を触ったことによるかゆみは、酢水で手を洗うことで症状を和らげることができます。酢水の作り方としては、水200ccに対して大さじ1〜2杯の酢を加えるのが目安です。

質問:里芋の皮をむいたら、一部分が緑色になっているのですが、これは食べても大丈夫でしょうか?

回答:ご心配ですね。里芋の皮をむいた際に緑色に変色している部分は、日光にさらされたことで葉緑素が作られた結果です。腐っているわけではありませんので、基本的には食べても問題ありません。気になるようでしたら、緑色の部分を少し厚めに切り落として調理すると良いでしょう。
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