太陽の恵みをたっぷり浴びて育ったタンゴール。みかんの甘さとオレンジの香りをあわせ持つ、柑橘好きにはたまらないフルーツです。一口食べれば、その濃厚な味わいと爽やかな香りに魅了されること間違いなし。この記事では、タンゴールの知られざる魅力に迫ります。栄養価や選び方、おすすめの食べ方まで、タンゴールを余すところなく堪能するための情報を徹底解説。さあ、タンゴールの世界へ飛び込みましょう!
清見タンゴールとは?その誕生と特徴
清見タンゴールは、アメリカ原産の「トロビタ」オレンジ、または「トロビタオレンジ」と、日本の温州みかん「宮川早生」を交配させて生まれた、日本初のタンゴール品種です。1979年に農林水産省によって品種登録され、その品質が公的に認められました。この交配は、農林水産省の研究所である園芸試験場東海支場(現在の静岡県静岡市清水区興津中町)で行われました。育成地の近くには清見寺というお寺があり、その前の海岸が清見潟と呼ばれていたことから、「清見」と名付けられました。

一般的に「清見オレンジ」とも呼ばれる清見タンゴールは、両親であるみかんとオレンジの良いところを併せ持っています。具体的には、アメリカのオレンジが持つ豊かなボリューム感と、温州みかんの持つ甘さとみずみずしさが絶妙に調和しており、糖度は11~12%程度と高く、味も良く、酸味と香りのバランスが非常に優れた柑橘類として評価されています。温州みかんに比べて一回り大きく、果肉は濃いオレンジ色をしており、果汁が豊富でジューシーな味わいが特徴です。また、果肉に種がほとんどないため、食べやすいのも人気の理由です。果皮の厚さは3~4mm程度でオレンジの香りが楽しめますが、温州みかんに比べると手で皮をむくのはやや難しいため、ナイフを使うのがおすすめです。
「タンゴール」という名前は、「みかん=Tangerine」の「Tang」と「オレンジ=Orange」の「or」を組み合わせた造語で、みかん類とオレンジ類をかけ合わせた品種全体を指す柑橘類の雑種に対する総称として使われます。
清見タンゴールの主な産地と旬の時期
清見タンゴールの主な産地は、国内では愛媛県が最も多く、次いで和歌山県が多く生産しており、この二つの県で国内全体の生産量の約8割以上を占める大きな割合を占めています。これらの地域は、清見タンゴールの栽培に適した温暖な気候と恵まれた日照条件を持っています。
清見タンゴールの旬は春で、産地によって時期は異なりますが、2月中旬頃からスーパーなどで見かけるようになり、2月から4月にかけて広く市場に出回ります。収穫は通常2月以降に行われ、3月から6月下旬頃まで続きます。清見は成熟するのが遅く、果実が寒さによる被害を受ける可能性があるため、冬でも温暖な地域が栽培に適しています。この果物は、「越冬収穫」という特別な方法で栽培されることが多く、一つ一つの果実を丁寧に袋掛けし、木になった状態で3月まで冬を越させ、十分に色づき、完熟した状態で収穫します。この越冬収穫によって、果実は樹上でゆっくりと栄養を蓄え、果汁が非常にみずみずしく、まろやかな甘さを持つ高品質な清見タンゴールへと成長します。消費者にとっては、春の訪れとともに楽しめる、贅沢な味わいの果物といえるでしょう。
清見タンゴール、清見オレンジ、呼び名の違いとその理由
清見という名前は育成地の近くにある清見寺が由来となっていますが、市場では「清見タンゴール」や「清見オレンジ」と呼ばれることが多く、その呼び方の違いに疑問を持つ方もいるかもしれません。これらの異なる呼び方には、それぞれ明確な理由が存在します。
清見タンゴールとは
タンゴールは、ミカン属とオレンジ属の交配種につけられる名称です。この名称は、ミカン類を指す「タンジェリン」とオレンジを意味する「オレンジ」を組み合わせて作られました。清見は、温州ミカンとトロビタオレンジの交配によって生まれた品種であり、まさにタンゴールの定義に当てはまるため、「清見タンゴール」と呼ばれることがあります。
清見オレンジとは
一方、「清見オレンジ」という名前が使われるようになった背景には、清見の外観、香り、そして果皮の厚さが一般的なオレンジに似ているという点が挙げられます。また、「清見」という名称だけでは柑橘類であることが伝わりにくいと考える消費者がいるため、より分かりやすく、その特徴を直接的に伝えられる「清見オレンジ」という通称が広まったと考えられます。このように、清見は正式な品種名に加え、その特性や交配種としての分類に応じて、様々な呼び名で親しまれています。
清見タンゴールのカロリーと栄養価
清見タンゴールは、その美味しさに加えて、栄養面でも優れた果物です。可食部100gあたり約45kcalと低カロリーでありながら、糖質は約9.7g、健康維持に役立つ多様な栄養素を含んでいます。特に注目すべきはビタミンCの含有量で、温州ミカンよりも多い約42mgが含まれています。ビタミンCは、抗酸化作用を持ち、免疫力向上やコラーゲン生成を助け、美肌効果も期待できる重要な栄養素です。さらに、柑橘類に多く含まれるβ-クリプトキサンチンも約690μgと豊富です。β-クリプトキサンチンは、体内でビタミンAに変換され、生活習慣病予防や骨の健康維持、抗酸化作用など、健康維持に役立つ効果が期待されています。また、清見タンゴールには食物繊維も含まれており、腸内環境の改善や便秘の解消をサポートします。このように、清見タンゴールは、美容と健康をサポートする栄養素をバランス良く含んでおり、日々の食生活に取り入れるのに適した果物です。
美味しい清見タンゴールの選び方
せっかく清見タンゴールを選ぶのであれば、より美味しいものを選びたいものです。美味しい清見タンゴールを選ぶためには、主に2つの点に着目しましょう。まず1つ目は、果実全体の「色合い」です。果皮が濃い橙色で、特にヘタの部分に緑色が残っているものは、新鮮で糖度が高い傾向にあります。収穫からの時間が経過すると、ヘタの緑色が薄れ、黄色や茶色に変色していくため、この点を確認することで新鮮なものを選びやすくなります。2つ目は、「重み」です。手に取った時に、見た目以上にずっしりとした重さを感じるものは、果汁が豊富で美味しい清見タンゴールである可能性が高いです。逆に、見た目が大きくても軽く感じるものは、果汁が少ない場合があるので避けるのがおすすめです。これらの点を参考に、最高の清見タンゴールを見つけて味わってみてください。
清見タンゴールの賢い保存術
清見タンゴールの美味しさを最大限に引き出し、長持ちさせるには、適切な保存方法が不可欠です。他の柑橘類と同様に、保存方法によって品質保持期間は大きく左右されます。常温、冷蔵、冷凍と様々な保存方法があり、カット後の保存にも注意が必要です。例えば、涼しい場所での常温保存は短期保存向きですが、長期保存には冷蔵庫が適しています。さらに長く楽しみたい場合は、冷凍保存も有効です。具体的な方法は、オレンジの保存に関する情報を参考にできますが、基本的には風通しの良い場所での保管、または一つずつラップや保存袋に入れて冷蔵庫の野菜室で保存するのがおすすめです。
清見タンゴール、最高の味わい方と珠玉のレシピ
清見タンゴールは、その豊かな果汁と爽やかな甘みで、様々な楽しみ方ができます。中でも、シンプルにそのまま味わうのが一番のおすすめです。果皮は3~4mmとやや厚めで、温州みかんに比べると手で剥きにくい場合があります。そこで、ナイフで「スマイルカット」にすることで、果肉を傷つけず、果汁を無駄にすることなく、より美味しく、見た目も美しく楽しめます。スマイルカットは、以下の手順で簡単に行えます。
スマイルカット、簡単ステップ
1.タンゴールを半分にカット。まず、清見タンゴールを横向きに置き、真ん中の部分に沿ってナイフを入れ、きれいに半分に切ります。
2.放射状にカット。半分にしたタンゴールを、さらに中心から外側に向かって、放射状に切っていきます。これで、一口サイズの食べやすい八つ切りになります。果肉の柔らかさに合わせて、丁寧にナイフを動かすのがコツです。
3.盛り付けて完成。切り分けた清見タンゴールをお皿に盛り付ければ、見た目も華やかなスマイルカットの完成です。手軽に、そして美しく、清見タンゴールのジューシーな果肉を堪能できます。
また、豊富な果汁を活かして、フレッシュなストレートジュースにするのもおすすめです。清見タンゴール本来の甘みと香りを存分に味わえます。さらに、清見タンゴールは料理にも活用できます。例えば、果汁と香りを活かしたレシピとして「ラムチョップのオレンジ風味グリル」があります。オレンジの果汁と調味料に漬け込んで焼くだけで、手軽に本格的な一品が完成します。オレンジの爽やかな香りが食欲をそそり、パーティーにもぴったりです。デザートからメインディッシュまで、清見タンゴールの豊かな風味をぜひお試しください。
まとめ
清見タンゴールは、アメリカ産の「トロビタオレンジ」と日本の温州みかん「宮川早生」の良いところを受け継いだ、日本初のタンゴール品種です。1979年に誕生以来、糖度11~12%の甘さ、酸味、香りの絶妙なバランス、種が少なく食べやすいことから、多くの人に愛されています。愛媛県や和歌山県が主な産地で、2月中旬から春にかけて(流通の中心は2月から4月頃)、特に手間暇をかけた「越冬収穫」で栽培され、みずみずしくまろやかな甘さを実現しています。ビタミンC、β-クリプトキサンチン、食物繊維など、美容と健康に嬉しい栄養素も豊富に含んでおり、選び方や保存方法を工夫することで、より長く美味しさを楽しめます。そのままスマイルカットで味わうのはもちろん、ジュースにしたり、料理に活用したりと、様々な方法で楽しめます。「清見タンゴール」と「清見オレンジ」の違いについても理解を深め、旬の時期に清見タンゴールならではの甘さと香りを体験し、食卓を豊かに彩ってみてください。

清見タンゴールとはどのような柑橘類ですか?
清見タンゴールは、アメリカ産のトロビタオレンジと日本の宮川早生温州ミカンを掛け合わせて生まれた、日本初のタンゴール品種です。農林水産省によって1979年に品種登録され、オレンジの豊かな風味と温州ミカンの甘み、そしてたっぷりの果汁を兼ね備えています。糖度は11~12%程度で、味のバランスが良く、程よい酸味と爽やかな香りが特徴です。大きさは温州ミカンよりもやや大きく、果肉は鮮やかなオレンジ色で、果汁が豊富。種がほとんどなく食べやすいことから「清見オレンジ」とも呼ばれています。皮の厚さは3~4mm程度です。
清見タンゴールの旬はいつですか?また、主な産地はどこですか?
清見タンゴールの旬は春で、産地によって時期は多少異なりますが、2月中旬頃から店頭に並び始め、2月から4月にかけて広く出回ります。収穫時期は3月から6月下旬頃までです。主な産地は愛媛県と和歌山県で、この2つの県で国内生産量の約84%を占めています。
美味しい清見タンゴールを選ぶポイントを教えてください。
美味しい清見タンゴールを選ぶには、主に2つの点に注目しましょう。まず、果皮の色が濃い橙色で、ヘタの部分にまだ少し緑色が残っているものを選ぶのがポイントです。次に、手に取った時に、ずっしりとした重みを感じられるものを選びましょう。重みがあるものは果汁をたっぷり含んでおり、より美味しく味わえることが多いです。
清見タンゴールにはどのような栄養素が含まれていますか?
清見タンゴールは、可食部100gあたり45kcalのエネルギー量で、糖質は9.7gです。ビタミンCを42mg(温州ミカンよりも豊富)、生活習慣病の予防や骨の健康維持に効果が期待できるβ-クリプトキサンチンを690μg、そして腸内環境を改善する食物繊維を含んでおり、美容と健康に嬉しい様々な栄養素が豊富に含まれています。
清見タンゴールの、より美味しい食べ方はありますか?
清見タンゴールは、その名の通りジューシーで水分をたっぷり含んだ味わいが特徴です。そのため、フレッシュな状態でそのまま味わうのが一番のおすすめです。果皮は少し厚めで果肉はデリケートなので、ナイフを使って8等分にする「スマイルカット」にすると、果肉を傷つけずに美味しくいただけます。手順としては、まず果実を水平方向に半分にカットし、その後、放射状にカットしていくのがコツです。また、あふれる果汁を活かして、100%ストレートジュースにするのも、清見タンゴールの美味しさを存分に堪能できる方法の一つです。さらに、お料理の風味付けにも使え、ラムチョップをオレンジ風味でグリルするなどのレシピもおすすめです。
清見タンゴールと清見オレンジに違いはありますか?
清見タンゴールと清見オレンジは、基本的に同じ柑橘のことを指しています。「タンゴール」というのは、みかんの仲間(タンジェリン)とオレンジの仲間を掛け合わせた品種全体のことを言う言葉です。清見は温州みかんとトロビタオレンジを交配して生まれた品種なので、「清見タンゴール」という名前がついています。一方、「清見オレンジ」という呼び方は、清見の外観や香り、皮の質感が一般的なオレンジに似ていること、そして「清見」という名前だけでは柑橘類だと伝わりにくいという理由から、広く一般的に使われている呼び名です。ですから、実質的には同じものと考えて差し支えありません。