秋の味覚、サツマイモ。家庭菜園で育てたサツマイモを最高の甘さで味わいたいなら、収穫タイミングが重要です。早すぎると甘みが足りず、遅すぎると食感が損なわれることも。この記事では、サツマイモの収穫時期を見極めるための完全ガイドをお届けします。葉っぱの状態、植え付けからの日数、試し掘りなど、様々なサインを見逃さないで!最適なタイミングで収穫し、とびきり甘いサツマイモを堪能しましょう。
さつまいもの収穫時期とタイミング
さつまいもの収穫時期は、植え付けから約4ヶ月後の9月から11月頃ですが、品種や栽培方法、気候によって前後します。種芋の植え付けは5月から6月に行われることが多いため、この時期を目安にしましょう。サツマイモは、8〜9月には半数以上が50g以上に成長し、秋口にかけて肥大します。10月中旬〜11月に入ると肥大は緩やかになりますが、霜が降りるまでは太り続けます。品種によって最適な収穫時期が異なるため、品種名を確認し、情報を調べておきましょう。家庭菜園では、「深り掘り」や「早掘り」で収穫を楽しむこともできます。深り掘りは、太った芋だけを選んで収穫する方法で、小さい芋は引き続き成長させることができます。早掘りは株全体を早めに掘り上げる方法です。目安を把握しつつ、品種や目的に合わせて収穫計画を立てることが重要です。
葉っぱや日数で判断する収穫のタイミング
収穫時期を見極めるサインとして、葉っぱの状態があります。収穫時期が近づくと、葉や茎が枯れ始めます。葉が緑色から黄色に変色し、枯れていく様子は、収穫適期のサインです。10月に入ると、虫食いや葉の淵が黄色くなるのもサインです。初霜が降り始めるころには、葉が枯れ始めるため、見分けやすいでしょう。 また、植え付けからの日数も重要です。一般的に、サツマイモは植え付けから110日から150日程度で収穫できます。種芋を植えた日を記録しておきましょう。 これらの目安に加え、試し掘りを行うことで、収穫時期を判断できます。
葉の黄変が見られても、すぐにすべてを掘らず、試し掘りをしてから判断しましょう。栽培しているツルのうち1本を選び、根元付近を掘り起こし、芋の大きさが20~30cmほどに育っていれば、収穫の準備が整ったと判断できます。もし芋が小さかったり、育っていきそうな芋が残っていたりする場合は、土を被せて埋め戻し、1週間から2週間後に再度試し掘りを行いましょう。 ある農園で「紅あずま」と「紅はるか」を栽培した事例では、「紅あずま」は10月1週目に試し掘りをすると大きい芋はあったものの、まだ育っていきそうな芋がありました。2週目にも試し掘りを行うと、同様の状態だったため、10月29日と30日に収穫を行いました。一方、「紅はるか」は「紅あずま」より定植が遅かったにもかかわらず、「紅あずま」の収穫後も大きくなりそうな芋が付いており、さらに2週間程度待つのが理想的だと判断されました。このように、品種によって生育期間が異なるため、植え付け日と葉の状態、試し掘りを組み合わせた判断が重要です。収穫作業は、畑が乾いているときに行いましょう。土が乾いていると、芋を掘り起こしやすく、土が付きにくく傷みにくいです。
さつまいもの正しい収穫方法と手順
サツマイモを傷つけずに収穫するには、以下のステップを踏みましょう。まず、試し掘りを行い、サツマイモの成長度合いを確認します。1本のツルを掘り、芋の大きさが20~30cmほどになっていれば収穫時期です。小さければ、土を戻して1〜2週間ほど栽培を続けます。次に、ツル切りを行います。収穫作業の約1週間前に、地上のツルを刈り取っておきましょう。ツルを刈り取ることで、栄養がサツマイモに蓄積され甘みが増します。つるの地擦部分から4〜5cmほどを残して鎌などで刈り取り、50〜60cmほどの長さに切り分けておくと運搬しやすくなります。マルチフィルムを張って栽培している場合は、剥がしておきましょう。最後に、掘り起こし作業を行います。サツマイモは地下深くに育つため、株元から少し離れた位置の土をスコップや鍬で柔らかくしてから、株から離れた位置にスコップを打ち込み、土ごと持ち上げるように掘り起こしましょう。丁寧に作業を進めることで、傷のないサツマイモを収穫できます。貯蔵するサツマイモは、つるから無理に外さず、傷つけないよう容器に入れて運びましょう。
収穫後のサツマイモを甘くする追熟方法と適切な貯蔵
収穫したてのサツマイモよりも、適切な処理と保存でさらに甘みが増します。これは「追熟」というプロセスで、サツマイモ自身が持つでんぷんが酵素の働きで糖に変わり、甘さと風味が引き出されます。収穫後のサツマイモは、保存前に「天日干し」が重要です。収穫直後のサツマイモは水分が多く腐りやすいため、天日干しで表面の水分を適度に乾燥させ、長期保存を可能にします。一般的には2~3時間ほど畑で天日干しし、初期の水分を飛ばして保存性を高めます。4〜5日ほど乾燥させてから食べる方が美味しいと感じる人もいるため、乾燥期間を調整するのも良いでしょう。
天日干しで乾燥させたサツマイモは、一つずつ新聞紙で丁寧に包みます。新聞紙は湿気を吸収し、湿度を保ちます。保存容器は、通気性の良い段ボール箱やコンテナ、発泡スチロール箱などが適しています。ビニール袋は通気性が悪く湿気がこもりやすいため、サツマイモが腐敗する原因となるので避けてください。容器の蓋を完全に閉じるのではなく、数ヵ所穴を開けるか、少し開けて空気の循環を確保しましょう。保存場所は、日の当たらない通気性の良い冷暗所が最適です。少量の貯蔵であれば、新聞紙に包んで発泡スチロールの箱に入れ、室内に置くだけでも十分です。この場合も通気を図るため箱に小穴を空けておきます。サツマイモの保存適温は13~16℃程度です。冷蔵庫での保存は低温障害を起こし、風味が損なわれ傷みやすくなるため、避けてください。
大量のサツマイモを貯蔵する場合は、「穴貯蔵法」が効果的です。水はけの良い畑を選び、深さ70〜80cm程度の穴を掘ります。穴の底に稲わらを敷き詰め、その上に傷つけないよう丁寧に芋を重ねて入れます。芋を入れ終えたら、上にも稲わらやもみ殻を厚く覆い、保温と湿度調整を行います。貯蔵の適温は13度、湿度は90%が目安です。貯蔵初期にはサツマイモの呼吸熱が発生しやすいため、筒状の通気筒を差し込んで内部の熱と湿気を逃がします。呼吸熱が収まった後に通気筒は取り外しますが、温度計を取り付けておくと貯蔵環境の管理がしやすくなります。最後に、掘った穴の上には土を盛り上げ、その上から稲わらを覆うことで、雨水の侵入を防ぎ腐敗リスクを減らします。
収穫後のサツマイモを最もおいしく食べるには、適切な追熟期間を設けることが大切です。でんぷんが糖になる追熟には2~3ヶ月ほどの期間がおすすめです。この期間を経ることでサツマイモのでんぷんがゆっくりと糖化し、甘くホクホクとした食感に変化します。正しい方法で保存と追熟を行うことで、収穫したサツマイモをより長く美味しく楽しめるでしょう。
収穫時期が早すぎた・遅すぎた場合の影響
サツマイモの収穫時期は、味と品質に大きく影響します。収穫が「早すぎた」場合、サツマイモは十分に成長していないため、甘みが少ない状態になります。これは、地中でのでんぷんの蓄積と糖化が不十分なためです。見た目にも影響し、イモが小さく細いことが多いです。調理しても味が薄く、食感も物足りなく感じるかもしれません。未熟な状態であるため、風味や栄養価も十分に発達していません。
一方、収穫が「遅すぎた」場合も、品質が低下します。イモ自体は大きく育ちますが、過剰に養分を吸収しすぎたり、土の中で老化が進んだりすることで、でんぷんが糖に変化しにくくなり、甘みが減少することがあります。土中に長く置きすぎると、イモが硬くなったり、えぐみが出たりすることもあります。遅すぎる収穫では、イモの形が悪く、繊維質が増えてスジが多くなることもあります。これにより食感が硬く、口当たりが悪くなることがあります。また、土中の病害虫の被害を受けやすくなったり、ひび割れなどの生理障害が発生しやすくなったりするリスクも高まります。
早すぎる収穫も遅すぎる収穫も、サツマイモ本来のおいしさを損ねてしまう原因となります。最適な収穫時期を見極めることが、甘くて美味しいサツマイモを収穫し、品質を最大限に引き出すための重要な鍵となります。
まとめ
サツマイモの収穫時期は品種によって異なりますが、最もおいしい状態で収穫するためには、葉の色、初霜、虫食いの有無、植え付けからの日数(110~150日目安)、試し掘りといった複数の指標を総合的に判断することが重要です。葉が黄色く枯れてくる様子は収穫のサインであり、畑が乾いている日を選ぶことで作業効率が向上します。収穫時には、作業の約1週間前にツルを地上4~5cm残して刈り取る「ツル切り」を行うことで、ツルを処理するだけでなく、地上部のデンプンがイモに逆流し甘みが増す効果も期待できます。刈り取ったツルは短く切り分け、マルチフィルムを使用している場合は剥がしておくことが、掘り起こし作業をスムーズに進めるためのポイントです。最適なタイミングで収穫し、正しい方法で保管・追熟を行うことで、ご家庭で育てたサツマイモを最高の状態で味わい、秋の味覚を存分にお楽しみください。
質問:さつまいもは収穫前につる切りしたほうがいいの?
回答:はい、収穫の約1週間ほど前につる切りをおすすめします。つるの地擦部分を地上4〜5cm残して鎌で刈り取ります。ツルは収穫時に邪魔になるだけでなく、刈り取ることで地上部のデンプンが逆流し、サツマイモ本体に蓄積されることで甘みが増す効果も期待できます。刈り取ったツルは50〜60cmほどの長さに切り分けておくと良いでしょう。
質問:さつまいもの収穫時期が早すぎるとどうなる?
回答:さつまいもの収穫が予定よりも早まってしまうと、せっかく育てたサツマイモ本来の美味しさを十分に引き出せない可能性があります。十分に成長する時間を与えられなかったイモは、甘みが少なく、期待していたほどの風味を感じられないかもしれません。また、一般的に小ぶりで細長い形状になりがちです。これは、でんぷんが十分に蓄積されず、糖化も進んでいないことが原因と考えられます。
質問:さつまいもの収穫時期が遅すぎるとどうなる?
回答:逆に、収穫時期が遅れてしまうと、サツマイモは大きく育ちますが、土中で時間経過とともに品質が低下してしまいます。でんぷん質が糖分に変わりにくい状態になり、結果として甘味が損なわれることが多いです。加えて、形が不揃いになったり、繊維が増加してスジっぽくなったりと、食感にも悪影響が出ることがあります。さらに、病気や害虫による被害を受けやすくなるというデメリットも考えられます。













