さつまいも 栄養素 効能

秋の味覚として親しまれるさつまいもは、甘くて美味しいだけでなく、栄養も満点な食材です。食物繊維やビタミン、ミネラルが豊富で、美容や健康をサポートする効果が期待できます。この記事では、さつまいもの栄養成分や効能を詳しく解説。さつまいもの魅力を再発見して、日々の食生活に取り入れてみましょう。

1.糖質

エネルギー源として重要な糖質は、さつまいも100gあたり約28g含まれています。糖質は、脂質などと比較して速やかに分解・吸収されるため、迅速なエネルギー補給に適しています。特に脳や神経は、糖質の一種であるブドウ糖のみをエネルギー源とするため、人体にとって不可欠な栄養素と言えるでしょう。しかし、糖質の過剰摂取は中性脂肪として蓄積され、肥満や生活習慣病のリスクを高めます。さつまいもの糖質量は、実は白米やパンほど多くありません。そのため、白米やパンの代わりにさつまいもを取り入れるダイエット法も存在します。主食をさつまいもに置き換えることで、一日の糖質摂取量を調整できると考えられます。

2.食物繊維とは

さつまいもは、100gあたり2.8gの食物繊維を含有しています。食物繊維は腸の活動を活発にし、排便を促す効果があることで知られています。便秘が続くと、腸内で有害物質が発生し、肌荒れやニキビといった肌トラブルの原因となることがあります。美肌を意識する方にとって、食物繊維が豊富なさつまいもは、積極的に取り入れたい食品の一つと言えるでしょう。さらに、食物繊維には、脂質や糖質、塩分などを吸着し、体外へ排出する働きも期待できます。これらの働きにより、肥満、糖尿病、高血圧といった生活習慣病の予防や改善にもつながると考えられています。つまり、食物繊維を含むさつまいもは、美容効果だけでなく、健康維持にも役立つ食品と言えるでしょう。ちなみに、食物繊維の1日の摂取目標量は、18~64歳の男性で21g以上、女性で18g以上とされています。

3.ビタミンE

さつまいもは、100gあたり1.0mgのビタミンEを含有する優れた食品です。ビタミンEは脂溶性の抗酸化ビタミンとして知られ、体内で活性酸素の活動を抑制する重要な役割を果たします。自らが酸化されることで、体内の脂質が酸化するのを防ぎ、細胞の健康を維持し、若々しさを保つ効果が期待できます。さらに、血管を拡張し血流を促進する作用もあるため、肌のターンオーバーを活性化させる効果も期待できます。その結果、シミやそばかすが気になる方にとって、ビタミンEは美肌効果をもたらす可能性のある栄養素と言えるでしょう。1日に推奨されるビタミンEの摂取量は、18歳から64歳の男性で6.0~7.0mg、女性で5.0~6.0mgとされています。

4.ビタミンB1

さつまいもは、100gあたり0.10mgのビタミンB1を含んでいます。ビタミンB1は水に溶けやすい性質を持ち、体内で糖質、脂質、たんぱく質をエネルギーに変換する過程で不可欠な役割を果たすビタミンB群の一種です。中でも、ブドウ糖をエネルギーに変える上で非常に重要な働きを担っています。ビタミンB1が不足すると、糖質からのエネルギー産生が滞り、疲労感や倦怠感といった症状が現れやすくなります。脳や神経組織は主にブドウ糖をエネルギー源としているため、ビタミンB1の欠乏は深刻な機能障害を引き起こす可能性があります。さらに、ビタミンB1は皮膚や粘膜の健康を維持する効果も期待できます。1日に必要なビタミンB1の推奨摂取量は、18歳から64歳の男性で1.3~1.4mg、女性で1.1mgとされています。

5.ビタミンB6

さつまいもは、100gあたり0.20mgものビタミンB6を含有する優れた食品です[8]。ビタミンB6は水溶性ビタミンの一種で、エネルギー産生において重要な役割を果たします。具体的には、糖質、脂質、たんぱく質の代謝をサポートします。体内の100種類以上の酵素反応を助ける働きがあることも知られています[9]。特に、たんぱく質をエネルギーに変換する過程で不可欠なため、高たんぱく質の食事を摂る人は、より多くのビタミンB6を必要とします。そのため、筋力トレーニングに取り組む方にとって、ビタミンB6は積極的に摂取したい栄養素と言えるでしょう。ビタミンB6は、免疫機能の維持、赤血球中のヘモグロビンの合成、神経伝達物質の生成にも関与するなど、多岐にわたる生理機能に関わっています。アミノ酸代謝を助け、神経伝達物質の合成を促進する作用も持ち合わせています。日本人の食事摂取基準(2020年版)によると、ビタミンB6の1日推奨摂取量は、18~64歳の男性で1.4mg、女性で1.1mgです。

6.葉酸

さつまいもは、ビタミンB群の一種である葉酸を豊富に含んでいます。可食部100gあたり49μgもの葉酸が含まれています。葉酸は赤血球を作る上で欠かせない栄養素であり、体内で重要な役割を果たします。また、DNAやRNA、タンパク質の合成といった生命活動にも深く関わっています。細胞の分裂や増殖をサポートし、特に妊娠中の胎児の正常な発育には不可欠です。成人(18歳~64歳)における葉酸の1日推奨摂取量は240μgです。

7.パントテン酸

さつまいもには、100gあたり0.48mgのパントテン酸が含まれています。パントテン酸はビタミンB群の一種です。パントテン酸は、エネルギー代謝において重要な役割を果たします。具体的には、糖質、脂質、たんぱく質の代謝に関与します。さらに、HDLコレステロールの生成促進や免疫機能のサポートなど、多岐にわたる生理作用があります。また、ストレス軽減に寄与する副腎皮質ホルモンの生成にも関わるため、「抗ストレスビタミン」とも呼ばれています。パントテン酸は様々な食品に含まれており、不足する心配は少ないと考えられています。その名前は「どこにでもある酸」を意味するほどです。1日に必要な摂取量の目安は、成人男性(18~64歳)で5~6mg、成人女性で5mgとされています。

8.ビオチン

さつまいもは、ビタミンB群の一種であるビオチンを豊富に含んでいます。具体的には、100gあたり4.8μgのビオチンが含まれています。ビオチンは、私たちが活動するためのエネルギー源となる糖質、脂質、たんぱく質の代謝をサポートする重要な役割を担っています。また、体内の炎症を抑える物質の生成を促し、アレルギー症状の緩和にも貢献すると言われています。それだけでなく、皮膚や粘膜、髪の健康を維持する働きも期待されています。健康な成人(18歳から64歳)の場合、1日に必要なビオチンの摂取量は50μgとされています]。

9.ビタミンC

さつまいもは、美容に良いとされるビタミンCを豊富に含んでいます。100gあたり25mgものビタミンCが含まれているのは注目すべき点です。ビタミンCは、コラーゲンというタンパク質の生成に不可欠な栄養素です。コラーゲンは、肌のハリや弾力を保つために重要な役割を果たしています。また、ビタミンCには、メラニンの生成を抑え、日焼けによるシミやそばかすを防ぐ効果も期待できます。これらの効果から、ビタミンCは美肌をサポートする成分として知られています。さらに、ビタミンCは鉄分の吸収を助け、免疫力を高める働きもあります。体全体の健康維持にも貢献してくれるでしょう。活性酸素を除去する抗酸化作用も、ビタミンCの重要な働きの一つです。老化の原因となる活性酸素から体を守ってくれます。このように、ビタミンCは美容だけでなく、健康維持にも欠かせない栄養素ですが、不足しないように注意が必要です。ビタミンCが不足すると、肌の乾燥や倦怠感、疲労感、気力低下などの症状が現れることがあります。長期的な欠乏は、血管が弱くなる壊血病のリスクを高める可能性もあります。ビタミンCは、美しさを保ち、健康的な生活を送る上で非常に重要な栄養素と言えるでしょう。成人におけるビタミンCの1日の推奨摂取量は100mgです。

10.カリウム

サツマイモは、100gあたり380mgものカリウムを含む優れた食品です。カリウムは、体内の余分なナトリウム、つまり塩分を排出する作用があり、血圧を下げる効果が期待できます。特に、塩分摂取量が多い傾向にある私たち日本人は、カリウムを積極的に摂ることが大切です。サツマイモには、カリウムに加え、ナトリウムの排出を助ける食物繊維も含まれているため、塩分過多が気になる方は積極的に食生活に取り入れることをおすすめします。さらに、カリウムは細胞の浸透圧を正常に保つだけでなく、心臓機能の維持、筋肉の収縮、神経伝達、酵素反応の調整など、人が生きていく上で不可欠な多くの機能をサポートしています。健康を維持するためのカリウムの1日推奨摂取量は、18歳から64歳の男性で3,000mg以上、女性で2,600mg以上とされています。

11.マグネシウム

さつまいもは、100gあたり24mgのマグネシウムを含有しています。マグネシウムは、体内の様々な酵素の活動やエネルギー代謝に不可欠な栄養素です。さらに、カルシウムやリンと共に丈夫な骨を作り、正常な血液循環をサポートする役割も担っています。1日に必要なマグネシウム摂取量は、18歳から64歳の男性で340~370mg、女性では270~290mgが推奨されています。

12.鉄

さつまいもには、100gあたり0.5mgの鉄分が含まれています。鉄は、ヘモグロビンの重要な構成要素であり、酸素を体の隅々まで運搬する上で不可欠な役割を果たします。ヘモグロビンは赤血球内のタンパク質です。また、筋肉内のミオグロビンというタンパク質の成分でもあり、筋肉の代謝や組織を維持する機能にも深く関わっています。さらに、鉄は体の成長、神経系の発達、細胞機能の維持、特定のホルモンの生成にも関与する、重要なミネラルです。食事から摂取する鉄には、ヘム鉄と非ヘム鉄の2種類が存在します。ヘム鉄は主に動物性食品に、非ヘム鉄は主に植物性食品に含まれています。さつまいもに含まれるのは非ヘム鉄であり、一般的にヘム鉄に比べて吸収率が低いとされています。しかし、非ヘム鉄は動物性タンパク質やビタミンCと一緒に摂取することで、吸収率を高めることができます。さつまいもはビタミンCも豊富に含んでいるため、鉄分を効率的に摂取できる食品と言えるでしょう。1日に必要な鉄の推奨摂取量は、18歳から64歳の男性で7.5mg、月経のない女性で6.5mg、月経のある女性で10.5~11.0mgです。

13.銅

さつまいもは、100gあたり0.13mgの銅を含有する優れた食品です。銅は、血液中のヘモグロビン生成をサポートする重要なミネラルであり、正常な造血作用に不可欠です。鉄分が足りていても、銅が不足すると十分な血液が作られない可能性があるため、注意が必要です。また、銅は体内の様々な酵素の構成要素として、広範な化学反応に関与し、生命維持活動を支えています。加えて、丈夫な骨を形成する上でも、銅は重要な役割を果たします。健康な成人の1日あたりの銅推奨摂取量は、男性で0.9mg、女性で0.7mgと定められています。

14.ヤラピン

さつまいもを切ると現れる白い液体、それがヤラピンです。このヤラピンは、時間が経つと黒ずむ性質を持っています。実はヤラピンには、昔から便秘薬として利用されてきた歴史があり、腸の動きを促進し、排便をスムーズにする効果が期待できます。食物繊維との相乗効果で、便秘の予防や改善に役立つ、注目すべき成分と言えるでしょう。

15.ポリフェノール(クロロゲン酸)について

さつまいもの皮近くに豊富なクロロゲン酸は、ポリフェノールの一種として知られています。このクロロゲン酸は、優れた抗酸化力でメラニンの生成を抑える効果が期待されています。さらに、継続的に摂取することで脂肪燃焼をサポートし、エネルギー消費を高める効果もあるとされ、ダイエットにも役立つ可能性があります。美容と健康をサポートする成分として、クロロゲン酸は注目されています。

さつまいもの栄養素をムダなく摂るための秘訣

せっかくサツマイモを食べるなら、美味しくいただくだけでなく、含まれる栄養も最大限に活かしたいですよね。実は、ちょっとした工夫でサツマイモの栄養を無駄なく摂取することができるんです。ここでは、サツマイモの栄養を効率的に体に取り入れるための秘訣をご紹介します。

ポイント1 皮付きのまま食べる

さつまいもを召し上がる際は、皮ごといただくのがおすすめです。あの鮮やかな紫色の皮には、見た目の美しさだけでなく、豊富な栄養が詰まっているからです。皮付きの場合、さつまいも100gあたり2.8gの食物繊維が含まれていますが、皮を剥いてしまうと2割以上も減少し、2.2gになってしまいます。にもかかわらず、皮を剥いても糖質量はほとんど変わらないのです。さらに、便秘予防に効果的なヤラピンや、ダイエットをサポートするクロロゲン酸も、皮の付近に多く含まれています。お腹の調子を整えたい方、ダイエットに関心のある方は、ぜひ皮ごとさつまいもを味わってみてください。

ポイント2 短時間でのあく抜き

さつまいもは、通常、あく抜きなしでそのまま食べられます。あく抜きを行うことで、変色やわずかな苦味を軽減できますが、必須ではありません。変色の原因となるヤラピンや苦味成分のクロロゲン酸は、人体に有害な物質ではありません。また、あく抜きをすると、水溶性のビタミンCなどの栄養素が失われる可能性があります。したがって、栄養価を最大限に活かすためには、あく抜きは最小限に留めるのがおすすめです。見た目や風味が気になる場合は軽くあく抜きをし、行う場合でも10分程度の短時間で済ませましょう。

さつまいもの栄養について

さつまいもは、健康をサポートする様々な栄養成分を豊富に含んでいます。特に、食物繊維やビタミンCに加え、ビタミンEやビオチンといった、美容に良いとされる栄養素が豊富に含まれている点が特徴です。また、食物繊維とヤラピンという成分は、腸の活動を促進し、便秘の予防に役立ちます。さらに、糖質の量は白米やパンと比較して少ないため、体重管理を意識している方にも適した食品と言えるでしょう。さつまいもの栄養を最大限に活かすためには、皮ごと食べる、アク抜きは短時間で済ませるなどの工夫が効果的です。栄養価の高いさつまいもですが、過剰な摂取はカロリーオーバーによる体重増加、便秘の悪化、お腹の張りの原因となることもあります。美味しくても食べ過ぎには注意し、健康的な食生活のために適量を日々の食事に取り入れるようにしましょう。

さつまいも