春の訪れを告げる、甘酸っぱくて可愛らしい和菓子、苺大福。もっちりとした大福の柔らかな食感と、みずみずしい苺の甘酸っぱさが絶妙にマッチし、口の中に広がる幸せは格別です。一口食べれば、誰もが笑顔になる魔法のようなスイーツ。今回は、そんな苺大福の魅力に迫り、おすすめの名店をご紹介します。定番から変わり種まで、様々な苺大福の世界を一緒に探検しましょう。
いちご大福とは
いちご大福は、やわらかいお餅の中に甘酸っぱいイチゴを包み込んだ人気の和菓子です。「イチゴ大福」や「苺だいふく」といった表記も見られます。
いちご大福の特徴:製法と味の多様性
いちご大福は、一般的に、求肥でできたお餅の中に、餡とイチゴを包み込んだものです。その製法は大きく二つに分けられます。一つは、イチゴと餡をまるごと求肥で包む方法。もう一つは、大福餅に切れ込みを入れ、そこにイチゴを挟む方法です。お餅の色も、イチゴの色合いに合わせて工夫されたり、抹茶を練り込んだりと、見た目も様々です。また、餡の種類も、白餡や小豆餡を独自にブレンドするなど、お店ごとに個性的な味わいが楽しめます。
生のイチゴを使用しているため、消費期限が比較的短いのが特徴です。時々、食べた時に舌に少しピリピリとした刺激を感じることがありますが、これはイチゴに含まれるシュウ酸によるものです。時間が経つにつれて、このピリピリ感は強くなる傾向があります。最近では、いちご大福からヒントを得て、イチゴの代わりに、みかんやキウイ、ぶどうなど、様々なフルーツを使った「フルーツ大福」も人気を集めています。
いちご大福の歴史:比較的新しい和菓子
いちご大福は、日本の伝統的な和菓子の中では、比較的歴史の浅いお菓子で、昭和時代後期に誕生したと考えられています。当初は、生の果物を使うという点で、従来の和菓子とは一線を画す存在でした。そのアイデアは、みかん大福から着想を得たという説もあります。
発祥の店については様々な説がありますが、大角玉屋や一不二などがよく知られています。大角玉屋はいちご大福の製法に関する特許を取得しており、一不二は実用新案登録第164058号を取得しています。和菓子人気が低迷していた時期に、いちご大福は大ブームとなり、その人気ぶりは、1987年9月に発売された漫画『美味しんぼ』の単行本12巻で紹介されたことからも窺えます。「イチゴ大福っていうんですよ、ある店が始めて、大人気で今では日本中あちこちで真似して作られるようになったんです」というセリフが、当時の社会現象を物語っています。
東京で味わう絶品いちご大福:人気店9選
春に旬を迎えるイチゴを使った「いちご大福」は、春ならではの特別なスイーツです。ここでは、特に人気のいちご大福店を9店舗ご紹介します。
【早稲田】七里香(ななりか):あまおうの味比べも
シャープな形状が目を引く「七里香」の苺大福。素材には山形県産の「こゆきもち」を使用し、砂糖などの甘味料は一切加えずに、もち米本来の味わいを大切にしています。口にする箇所によって、餅、苺、餡のバランスが異なり、それぞれの風味を堪能できるのが魅力です。苺は主に2Lサイズの「あまおう」を使用し、旬の時期には様々な品種の食べ比べができる大福も登場します。
【表参道】青山紅谷(べにや):繊細な羽二重餅
大正12年創業の老舗「青山紅谷」が作る「いちごの羽二重餅」。メレンゲのように丁寧に泡立てた卵白が、羽二重餅の軽やかな食感を生み出す秘訣です。中の苺「さちのか」は、千駄ヶ谷の人気パティスリー「おかしやうっちー」の内山氏の紹介で出会った、露地栽培の苺農家から仕入れています。完熟直前に収穫された苺は、豊かな香りと甘みが特徴です。販売は週末限定となっています。
【恵比寿】果匠 正庵(しょうあん):二つの苺が織りなす美味
恵比寿と広尾の中間に位置する「果匠 正庵」では、可愛らしいサイズの苺が贅沢に二つも入った苺大福を味わえます。小豆の風味をしっかりと引き出した粒あんと苺のハーモニーが絶妙です。
【渋谷】いちご大福と茶菓のお店 あか:多彩な品種が魅力の専門店
学芸大学に本店を構える苺大福専門店「あか」の渋谷店。全国各地の農家から直送される、バラエティ豊かな品種の苺を使用しています。店内で丁寧に練り上げる求肥と、北海道産の豆を使用した上品な白あんが見事に調和しています。店頭には、それぞれの苺の甘さ、香り、酸味、果汁の度合いを一覧できる「いちご図鑑」も用意されています。
【八丁堀】翠江堂(すいこうどう):一年を通して味わえる本格派
昭和18年創業の「御菓子司 翠江堂」は、東京を代表する苺大福の名店として知られています。その特徴は、気温や湿度に合わせて調整された、苺大福専用のあっさりとした口どけの良い餡。そして、柔らかくもっちりとした餅生地で、旬の時期に最も美味しい苺を一粒丸ごと、瑞々しいこし餡と共に丁寧に包み込んでいる点です。
【西荻窪】越後鶴屋(えちごつるや):新潟産もち米へのこだわり
米どころ、新潟県小千谷市にルーツを持つ「越後鶴屋」は、粘りと甘みが際立つ新潟産「こがねもち」を使用した、搗きたてのお餅が自慢のお店です。「一期大福」は通年で販売されており、甘酸っぱい苺には粒あんを、ジューシーで芳醇な香りの苺にはこしあんを組み合わせるという、細やかな心配りが光ります。
【曙橋】大角玉屋(おおすみたまや):元祖の味を今に伝える
「元祖いちご豆大福」発祥の店として知られる「大角玉屋」。特徴的なのは、塩味が効いた赤えんどう豆を練り込んだ餅生地。そこに、甘酸っぱい苺と力強い風味の粒あんを合わせることで、絶妙なハーモニーを生み出しています。お餅には、毎年秋に全国各地から厳選した新米を取り寄せ、杵で搗くことで、コシのある食感を実現。小豆も同様に、豆の鮮度に合わせて丁寧に炊き上げているそうです。苺は、静岡県産の「アップルベリー」や栃木県産の「とちおとめ」など、酸味の強い品種を使用しています。
【西麻布】麻布昇月堂(しょうげつどう):老舗の技が光る上品な味わい
大正時代創業の老舗和菓子店「麻布昇月堂」では、毎年、こしあんとつぶしあん、2種類の苺大福を用意しています。特にこだわっているのは、程よい弾力のある餅生地。滋賀県産のもち米を使用し、丁寧に搗き上げています。苺は、苺の王様とも呼ばれる定番の「あまおう」を使用。
【麻布台】鈴懸(すずかけ):洗練された美しさ
大正12年に博多で創業した「鈴懸」は、そのモダンな店舗デザインでも有名な和菓子店です。「苺大福」は、看板商品の「鈴乃〇餅」や「鈴乃最中」と同様に、上品で美しい佇まいが魅力。福岡県以外では、東京にのみ店舗を構えています。
まとめ
苺大福は、その愛らしい見た目と甘酸っぱいハーモニーで、多くの人々を魅了する日本の伝統菓子です。今回ご紹介した東京の有名店で、お気に入りの苺大福を見つけて、その美味しさを存分にお楽しみください。各店が独自のこだわりを持ち、使用する苺の種類、餡の風味、お餅の素材や製法に至るまで、様々な工夫を凝らしています。それぞれの個性を味わい比べることで、苺大福の更なる魅力を発見できるでしょう。春の息吹を感じさせる苺大福を、ぜひ手土産や贈り物としてもご活用ください。
質問1:苺大福はいつ頃から存在するのでしょうか?
回答:苺大福は、日本の和菓子の歴史の中では比較的日が浅く、昭和時代の後期に誕生したと考えられています。
質問2:苺大福に使用される苺の品種は何ですか?
回答:苺大福に使用される苺の品種は多岐に渡り、あまおう、とちおとめ、紅ほっぺなど、店舗によって異なります。また、季節に応じて旬の品種が使用されることもあります。
質問3:いちご大福の賞味期限は?
回答:生のいちごを使っているため、残念ながら日持ちはあまり良くありません。お買い上げになったら、なるべくその日のうちにお召し上がりいただくのがおすすめです。