アケビとムベの違いとは?徹底比較で特徴、育て方、見分け方を解説
秋の里山を彩るアケビとムベ。どちらもユニークな形と甘い果肉で人々を魅了するつる性植物ですが、その違いは意外と知られていません。アケビは淡い紫色、ムベは濃い緑色の実をつけますが、葉の形や生育環境にも違いがあります。この記事では、アケビとムベを徹底比較し、それぞれの特徴、育て方、そして見分け方を詳しく解説します。どちらを育ててみようか迷っている方、それぞれの魅力を深く知りたい方は必見です!

アケビとムベ:家庭菜園に最適な果樹

アケビとムベは、日本に昔から自生しているつる性の植物で、比較的育てやすい果樹として知られています。生育にはつるを伸ばす特性があるため、棚を作って栽培するのが一般的です。植え付け後2~3年は、株を大きく育てることに重点を置いて管理しましょう。アケビは葉が落ちる性質を持ち、ムベは一年を通して葉が茂る性質を持ちますが、栽培方法には共通点が多く、家庭菜園でも手軽に育てられます。

アケビの分類と種類

アケビはアケビ科アケビ属のつる性木本で、日本、中国、朝鮮半島など東アジアが原産です。葉の形や数によって大きく2つの種類に分けられます。アケビ(Akebia quinata Decne.)は、5枚の小葉を持つ種類で、主に本州、四国、九州などの温暖な地域に分布し、比較的涼しい東北地方では低い場所に自生します。一方、ミツバアケビ(Akebia trifoliata Koitz.)は、3枚の小葉を持つ種類で、北海道から本州、四国、九州にかけて広く分布しています。アケビよりも寒さに強く、標高の高い場所にも自生するのが特徴です。その他、アケビとミツバアケビの交雑種であるゴヨウアケビ(Akebia lobata Decne.var.pentaphylla Makino)があり、葉の数が3~5枚になるものや、エゾノミツバアケビ、イッサイシロアケビなどの変種も存在します。


ムベの特徴とアケビとの違い

ムベ(Stauntonia hexaphylla)はアケビと同じアケビ科の植物で、見た目がよく似ているため、別名トキワアケビと呼ばれ、地域によってはアケビと混同されることもあります。アケビとムベの主な違いは、アケビが落葉性で果実が熟すと自然に割れるのに対し、ムベは常緑性で果実は割れないことです。ムベは日本、中国、朝鮮半島が原産で、日本では関東地方以西の温暖な地域に分布しています。庭木や盆栽として親しまれてきましたが、果樹園での栽培はあまり一般的ではなく、自家消費用として栽培されることが多いです。アケビと同様に新芽は様々な料理に利用できます。品種による明確な区別はありませんが、果実の大きさや形にいくつかの系統が見られます。アケビと同じように、つるを巻きつけながら成長し、株元から新しい芽が出て枝分かれしていきます。実の付き方もアケビと似ています。雌花の数は少ないですが、自家受粉しやすい性質を持つため、アケビよりも実がなりやすい傾向があります。

植え付け時期と方法

アケビとムベの栽培方法は基本的に同じです。どちらも生育が旺盛で、植え付けから2~3年で実がなり始めます。棚を作って栽培し、実付きを安定させるために、異なる品種をいくつか一緒に植えるのがおすすめです。植え付けに適した時期は、葉が落ちた後の秋で、春に植えるよりも根付きやすく、生育も順調に進みます。植え付けを行う際は、直径約80cm、深さ50~70cmの穴を掘り、堆肥や土壌改良材、肥料を混ぜて土を埋め戻し、その上に根を広げて、地面よりも少し高めに植え付けます。植え付け後はたっぷりと水を与え、充実した部分まで切り戻しましょう。幼木の時期は、将来の枝の形を整えることが重要です。剪定や病害虫の予防、土壌管理を適切に行い、健康な木を育てましょう。

植え付け初年度の管理

苗木を植えてから最初の年は、主となる幹を支柱に沿ってまっすぐ伸ばし、棚の上面で主要な枝となる候補を育てることが目標です。主要な枝は2~4本とし、一番勢いのある新しい芽を第1主枝として選び、支柱に沿わせて棚の上まで伸ばします。第2主枝以降は、棚の下30~40cmあたりから生えてくる、やや弱めの新しい芽を選び、棚に沿わせます。根元に近い部分が強くなりやすい性質があるので、第2主枝以降に強い芽を使うと、第1主枝の育ちが悪くなることがありますので注意してください。また、地面を這うように伸びる枝をそのままにしておくと、育てている主枝候補の生育を妨げるため、株元の芽は摘み取ります。棚の下から出てくる新しい芽は、2~3個残して先端を摘みます。この作業は年に数回行います。葉が落ちた後の冬に行う剪定では、成長具合に応じて切り戻しを行います。

植え付け2年目の管理

植え付け2年目は、棚の上面で主要な枝を育てながら、木の生育範囲を広げていくことを目指します。1年目に育てた第1主枝は、芽が出る前に棚に沿わせるように誘引します。新しい芽が伸びる時期には、主枝から伸びる枝以外は6~7個の芽を残して先端を摘み、主枝の成長を邪魔しないようにします。また、棚の下から生えてくる新しい芽についても、1年目と同じように管理します。さらに、1年目に育てられなかった主枝の候補となる芽を育てますが、新しい芽は金属製の線などに触れると巻き付いてしまうため、必ず外してください。葉が落ちた後の冬に行う剪定では、1年目と同様に成長具合を見て切り戻しを行います。

植え付け3年目の管理:亜主枝と側枝の育成

植え付け3年目は、さらに主要な枝を伸ばし、木の生育範囲を拡大するとともに、それぞれの主枝から亜主枝や側枝を育てていくことを目標とします。主枝から発生させる亜主枝や側枝の候補となる枝を配置する際には、50cm程度の間隔を空ける必要があります。また、これらの枝が強くなりすぎると根元に近い部分が優勢になり、主枝の先端の伸びが抑えられてしまうため、やや弱めの芽を6~7個残して先端を摘みます。木の骨格となる枝や側枝として必要のない新しい芽は、強めに3~4個の芽を残して先端を摘みますが、木の勢いが強い場合には、先端を摘むことで新たな芽が出てくることがあるので、その都度摘み取る作業を続けます。新しい芽は、まだ柔らかいうちに巻き付きを外し、棚の表面に沿わせるように誘引します。葉が落ちた後の冬に行う剪定では、切り戻しを中心に行い、主枝から生えている亜主枝や側枝の候補となる枝は、間隔を十分に空けるために間引き剪定を行います。

人工授粉と摘果の重要性

アケビとムベは、同じ株の花粉では実を結びにくい性質があるため、実りを良くするためには、別の株の花粉を受粉させる必要があります。人工授粉を行うことで、結実が安定します。反対に、実が付きすぎた場合には、果実の品質が低下し、木の勢いが弱まったり、実がなる年とならない年が交互に訪れるといった現象が起こることがあります。そのため、適切な量の果実が実るように摘果を行います。摘果は2~3回に分けて行います。1回目の適切な時期は、生理落果が終わった後の6月上旬で、1つの花穂あたり2~4個の果実に調整します。2回目の適切な時期は、6月下旬から7月上旬で、1つの果そうにつき1つの果実とします。その後、最終的な見直しを行い、摘果を完了させます。

施肥の時期と肥料の選び方

基本の肥料は、葉が落ちた後の11月頃に有機肥料を与えます。追肥としては、7月下旬にリン酸、硝酸アンモニウム、カリウムを、収穫後のお礼肥えとして9月下旬に即効性のある窒素肥料などを施すと良いでしょう。ただし、6月から7月にかけての施肥は、枝が過剰に伸びたり、果実の色付きが悪くなる原因となるため、注意が必要です。

アケビとムベ、葉っぱの違いを見分ける

アケビとムベは、葉の形で見分けられます。アケビの葉は、手のひらを広げたような形をしており、3枚から5枚の小さな葉が集まって構成されています。これらの小葉は柔らかく、細長いのが特徴です。一方、ムベの葉は肉厚で、硬めの質感を持っています。アケビとムベが一緒に生えている場所では、葉の違いがはっきりと分かります。

アケビとムベ、味わいの違いは?

アケビの果肉は、バナナのようにとろりとした舌触りで、さっぱりとした甘さが楽しめます。種が多いのが少し残念ですが、その上品な甘さは多くの人に愛されています。一方、ムベの果肉も甘いものの、アケビほどねっとり感はなく、よりすっきりとした味わいが特徴です。アケビとムベは、見た目の違いだけでなく、味の個性も異なるため、ぜひ食べ比べてその違いを体験してみてください。

まとめ

アケビとムベは、日本の豊かな自然が育んだ貴重な贈り物です。適切な育て方を理解し、丁寧に管理することで、ご家庭でも気軽に収穫を楽しむことができます。この記事を参考にして、アケビとムベの栽培に挑戦し、その格別な美味しさを味わってみてください。自然の恵みに感謝し、環境に配慮した栽培を心がけることで、未来を担う世代にもこの素晴らしい果実を伝えていくことができるでしょう。

質問:アケビとムベの栽培方法の違いは?

回答:アケビとムベは見た目も性質も似通っているため、基本的な育て方はほぼ同じです。どちらもつる性の植物で、日当たりが良く、水はけの良い場所での栽培に適しています。フェンスやパーゴラなどに絡ませて育てると良いでしょう。大きな違いとして、アケビは冬に葉を落とす落葉性ですが、ムベは一年を通して葉を茂らせる常緑性です。そのため、ムベはアケビに比べて寒さに弱い性質があります。寒い地域でムベを育てる場合は、防寒対策をしっかりと行いましょう。

質問:アケビは一本の木で実がなりますか?

回答:アケビは自家受粉しにくい性質を持っています。これは、自分の花粉では受精しづらい「自家不和合性」という性質によるものです。そのため、確実に実を収穫するためには、異なる品種のアケビを近くに植えることをおすすめします。例えば、三つ葉アケビと五葉アケビのように、違う種類のアケビを一緒に植えることで、受粉が成功しやすくなります。より確実に実をつけたい場合は、人工授粉を試してみるのも良いでしょう。

質問:アケビの食べ頃はいつ頃ですか?

回答:アケビの収穫時期は、栽培されている品種や地域によって多少差がありますが、一般的には8月下旬から10月中旬頃が目安となります。果実が十分に熟すと、自然に実が割れてきます。これが収穫のサインです。実際に触ってみて、果実が柔らかく、少し弾力がある状態が食べ頃です。収穫時期が遅れると、実が完全に裂けてしまい、鳥などに食べられてしまうこともあるので、早めの収穫を心がけましょう。
あけびムベ