春の訪れは、心を躍らせる新しい始まりを告げる季節です。この時期、日本の伝統的なお菓子、上生菓子は、目にも美しく、風味豊かに春を演出してくれます。桜や梅の花を模した繊細なデザインや、季節の素材を使用した鮮やかな彩りは、見る者の心を引きつけます。一口ほおばれば、口の中で優しく溶ける和の甘みが広がり、至福のひとときを届けてくれるでしょう。そんな魅力満載の上生菓子で、春を彩ってみませんか。
季節と上生菓子の結びつき
お茶会や茶道の場面で欠かせないアイテムです。季節ごとの自然や風景をテーマにした定番の和菓子も存在します。
【和菓子の分類】
和菓子は主に含まれる水分量で分類されます。上生菓子とは、生菓子の中でも特に質の高いものを指します。長年培われた日本の製菓技術を駆使して、季節の移ろいや自然の美しさを表現した和菓子を「上生菓子」と呼びます。別名、「主菓子」とも呼ばれます。
和菓子の練り切り
練り切りとは、白餡に砂糖や山芋、みじん粉などを加え、練ったあんを主素材とした生菓子です。正式な名称は練り切りあんと言います。
伝統の和菓子、軽羹の魅力
軽羹は、九州や沖縄地方、特に鹿児島県の特産品です。すりおろした大和芋やつくね芋に、水分を少し残した状態で粉砕した「かるかん粉」を混ぜ合わせて蒸し上げた皮が特長です。見た目は、真っ白で柔らかい生地が魅力です。その名前は「軽い羹」から来ていると言われています。もともとは外郎と同じ分類に入っていましたが、現在では饅頭の形状や中に餡が入ったものが一般的です。
道明寺
道明寺とは、もち米を水で浸してから蒸し、乾燥させて粗く砕いた食材です。その独特な粒状の食感が魅力です。練り切りや寒天など、さまざまな料理に利用されています。
求肥について
求肥は、和菓子の材料となる一種です。白玉粉や餅粉に、糖分や水飴を加えて練り上げられています。
【求肥と餅の比較】求肥は、もち米の粉末に水や砂糖、水飴を加えて作られます。餅の場合、蒸したもち米をそのままついて作ります。大きな違いは味にあり、餅は甘みが少ないのに対し求肥は砂糖などの甘みが加わっています。
こなし
こなしは主に白餡から作られる和菓子の一種です。
【こなしと練り切りの比較】両者は餡を主成分としているため、見た目では区別しにくいです。しかし、それぞれの製法には違いがあります。こなしは、白こし餡に小麦粉や上新粉を混ぜ合わせ、蒸してから砂糖を加えて硬さを調整しつつ練り上げます。練り切りは、白こしあんに給費や山芋といったつなぎを加え、火にかけて練り上げる方法です。地域による特色も異なります。練り切りは主に関東地方で親しまれています。こなしは関西地方が中心の和菓子と言えます。
春の訪れを彩る3月から4月の上生菓子
・ひとひら(ねりきり・こしあん製)
時に儚く、時に感慨深く舞い散る春の花びら。
・うららか(きんとん・粒あん製)
春の始まりに心が弾み、華やぎを感じます。
・菜の花(ねりきり・こしあん製)
春の野原に点在する、さわやかな花々。
・土筆つくし(薯蕷・こしあん製)
暖かな日差しを浴びて、柔らかく芽吹く土筆。
・春景しゅんけい(きんとん・粒あん製)
長い冬の終わりを告げる、晴れやかな春の訪れ。
・胡蝶こちょう(ういろう・備中白あん製)
可憐に野原を飛び交う愛らしい胡蝶。
今回は上生菓子の種類と春の季節を感じる上生菓子をご紹介しました。
春の季節を感じる上生菓子を召し上がってみてはいかがでしょうか。