太陽の光をたっぷり浴びて育ったプラム『ソルダム』は、夏を代表する味覚の一つ。その深く濃い赤紫色、芳醇な香りは、見る人を、そして味わう人を魅了します。一口かじれば、甘みと酸味が絶妙に調和した果汁が口いっぱいに広がり、忘れられない夏の思い出を刻んでくれるでしょう。この記事では、夏の味覚を代表する『ソルダム』について、その特徴やプラムとの違い、美味しい食べ方から保存方法、代表的な交配種まで、その魅力を余すところなく解説します。
ソルダムとはどんなフルーツ?
ソルダムは、長い歴史を持つ日本すももで、栽培は100年以上前から行われています。生産量も多く、「大石早生」に次ぐ人気品種です。その起源は定かではありませんが、明治時代後期から大正時代初期にアメリカから導入されたと考えられています。味の良さや育てやすさから、多くの農家に親しまれてきました。ソルダムの果実は、少し丸みを帯びた楕円形で、重さは80~150g程度。黄緑色の果皮に赤い模様が入り、熟すにつれて、濃い赤色や飴色に変化します。果肉の色は鮮やかな赤色です。店頭では、まだ果皮が緑色の、熟す前の状態で販売されていることもあり、カットすると果肉の赤色とのコントラストが楽しめます。緑色の果皮のものは、果肉が硬めで酸味が強めです。果皮が赤く染まると、果肉が柔らかく、みずみずしくなり、甘みが増します。お好みに合わせて食べ頃を見極めましょう。旬は7月中旬頃から8月頃で、山梨県が主な産地ですが、福島県や山形県などでも栽培されています。また、ソルダムには「レイトソルダム」という品種もあります。レイトソルダムは、通常のソルダムより大きく、甘みが強いのが特徴です。ソルダムは、見た目の美しさや味の変化も楽しめる、人気のフルーツです。

ソルダムとプラム(すもも)の関係とは?
ソルダムはすももの一種であり、プラムは英語で「すもも」全般を指す言葉です。ソルダムは、明治時代にアメリカから導入された日本すももの一種で、「大石早生」に次ぐ生産量を誇ります。一般的なすももは酸味が強いものが多いですが、ソルダムは熟すと甘みが強くなり、ジューシーな食感が楽しめます。また、果肉が鮮やかな濃紅色であることも特徴の一つです。日本すももは皮が薄く、果汁が多く、甘みと酸味のバランスが良いのが特徴で、収穫したての新鮮な状態を生で味わうのに適しています。
おもな産地と旬の季節
ソルダムの主な産地は、昼夜の気温差が大きく、すももの栽培に適した気候の山梨県です。山梨県は、ソルダムの作付面積や収穫量が日本トップクラスです。その他、福島県や山形県、和歌山県などでも栽培されています。これらの地域では、気候や土壌を活かして、高品質なソルダムを生産しています。ソルダムの旬は、7月中旬頃から8月頃です。特に7月下旬から8月中旬にかけてが収穫の最盛期で、新鮮なソルダムが出回ります。この時期のソルダムは、太陽をたっぷり浴びて甘みが凝縮され、最高の味わいです。地域によって出荷時期が多少異なりますが、夏がソルダムの旬であると覚えておきましょう。ソルダムの旬の時期には、収穫体験ができる農園もあります。自分で収穫したソルダムは、格別な美味しさでしょう。ソルダムは、夏の限られた期間に味わえる、旬の味覚です。
ソルダムとプラムの違いとは?
ソルダムと「プラム」という言葉は、時に私たちを混乱させます。「プラム(plum)」は英語で「すもも」全般を指す言葉であり、非常に広い意味を持ちます。つまり、ソルダムも広い意味ではプラムの一種と言えます。しかし、日本で「プラム」と言う場合、アメリカ原産の品種や、乾燥させてプルーンとして利用される品種など、特定のグループのすももを指すことが多いです。一方、ソルダムは日本で改良された「日本すもも」の一種で、生で食べることを目的として栽培され、その甘さと果汁の多さが特徴です。日本すももと西洋すもも(プラム)には、見た目、味、用途に違いがあります。西洋すももは皮が厚く、果肉がしっかりしていて、甘みが強くても酸味が少ない傾向があり、生食だけでなく、乾燥プルーンやジャムなどの加工にも適しています。それに対して、ソルダムを含む日本すももは、皮が薄く、果汁が多く、甘みと酸味のバランスが良いのが特徴で、収穫したての新鮮な状態を生で味わうのに適しています。ソルダムは、特にその鮮やかな赤い果肉と、熟していくにつれて変化する甘酸っぱい味が特徴で、他のプラムとは一線を画しています。このように、「プラム」という言葉の広い意味と、日本で特定の品種を指す場合があることを理解すると、ソルダムがどのようなフルーツであるかが明確になります。
ソルダムの見た目や味わい、おすすめの食べ方
ソルダムは、見た目にも味わいにも魅力あふれるフルーツです。皮は黄緑色に赤い斑点模様があり、完熟すると濃い赤や琥珀色のような深みのある赤色へと変化します。果実はやや楕円形で、重さは80〜150gほど。一番の特徴は、カットしたときに現れる鮮やかな赤い果肉です。
市場では、皮がまだ緑色の状態、つまり完熟前の段階で出回ることが多く、このタイミングで切ると、緑と赤のコントラストがとても美しく目を楽しませてくれます。
味わいはとてもジューシーで、甘さと酸味のバランスが絶妙です。熟度によって風味が変わり、未熟なうちは果肉が硬めで酸味が強く、完熟すると酸味が和らぎ、甘さが引き立ちます。皮が赤くなり果肉が柔らかくなる頃が食べ頃です。
もっともおすすめの食べ方は、生のまま食べること。冷蔵庫でしっかり冷やし、丸ごと、もしくはくし形にカットして皮ごと食べると、ソルダム本来の甘さと酸味が存分に味わえます。皮の酸味が気になる方は、むいて食べてもOKです。
カットするときは、果実の筋に沿って包丁で一周切れ目を入れ、両手でねじるようにするときれいに半分に割れます。ただし、熟して果肉が柔らかくなったものは、果汁がこぼれたり、潰れやすくなるため注意が必要です。
ソルダムは、その鮮やかな赤い果肉を活かして、フルーツサラダに加えると見た目が華やかになります。ジャムやコンポート、ゼリー、タルト、スムージーなどのデザートにもぴったり。特にジャムにすると、程よい酸味と色合いがまるでいちごジャムのようで、風味豊かな一品に仕上がります。
さらに、熟して柔らかくなったソルダムを冷凍し、少し溶かして食べるとシャーベットのような味わいに。暑い夏にぴったりの爽やかなデザートとして楽しめます。
栄養面でも優れており、ビタミンや食物繊維が豊富。美味しさと健康を兼ね備えた、毎日の食卓におすすめのフルーツです。
ソルダムの選び方(見分け方)
ソルダムは熟度によって味や食感が大きく変わるため、好みに合わせて選ぶのがポイントです。お店では、まだ緑が残る未熟な状態で販売されることが多く、完熟すると皮が全体的に濃い赤色になります。
少し酸味があり、果肉が締まったものが好きな方は、緑が残るソルダムを。日持ちもしやすく、常温で追熟させれば甘みが増してきます。反対に、酸味が少なく柔らかいものをすぐ食べたい場合は、赤く色づいた完熟ソルダムを選ぶとよいでしょう。ただし、色が濃すぎるものは過熟の可能性があるのでご注意を。
また、表面に見られる白い粉「ブルーム」は鮮度の証。水分の蒸発を防ぐ天然の成分で、品質には問題ありません。ブルームが残るものは新鮮なしるしとして安心して選んでください。

ソルダムの保存方法
完熟したソルダムは傷みやすいため、新聞紙で包みポリ袋に入れて冷蔵庫の野菜室で保存し、早めに食べるのが理想です。
まだ硬く緑色のものは、新聞紙に包んでポリ袋に入れ、直射日光を避けた涼しい場所で追熟させましょう。皮に赤みが増し、弾力が出てきたら食べ頃。酸味が強ければもう少し置いてみて。柔らかくなりすぎないよう、時々様子をチェックしてください。
保存方法を工夫することで、ソルダムのフレッシュな美味しさを長く楽しめます。
合わせて知りたい!プラムソルダムの交配種
プラムソルダムは、その優れた食味と栽培特性から、新たな品種を生み出すための重要な親品種として活用されてきました。ソルダム特有の強い甘さ、たっぷりの果汁、そして鮮やかな果肉の色という魅力的な特徴を次世代に継承しつつ、病気への抵抗力を高めたり、収穫時期を多様化させたり、食味をさらに向上させたりすることを目指して、さまざまな育種が行われてきました。その結果、ソルダムの特性を受け継ぎながらも、それぞれが独自の個性を持つ多様な交配種が誕生しています。これらの交配種は、消費者にとっては選択肢を広げ、生産者にとっては栽培の効率化やリスク分散に貢献しています。代表的なプラムソルダムの交配種としては、「サマーエンジェル」、「サマービュート」、「李王」などが挙げられます。これらの品種は、ソルダムの優れた遺伝子を受け継ぎつつ、それぞれが独自の改良点を持っています。例えば、特定の交配種はより早い時期に収穫できたり、非常に大きな実をつけたり、異なる風味を持っていたりします。これらの新しい品種が登場することで、プラムの楽しみ方はさらに広がり、一年を通してさまざまな時期に、異なる味わいのプラムを堪能できるようになっています。プラムソルダムを起点とした育種の歴史は、日本のプラム産業の発展に大きく貢献しており、今後も新しい魅力的な品種が生まれることが期待されています。
サマーエンジェル
「サマーエンジェル」は、プラムソルダムの優れた特性を受け継ぎながら、消費者のニーズに応えるために開発された交配種の一つです。この品種は、ソルダムの鮮やかな果肉の色とジューシーさをそのままに、酸味を抑え、よりまろやかで上品な甘さが際立っています。サマーエンジェルは、ソルダムよりもやや早い時期に収穫が始まり、夏の始まりから中旬にかけて店頭に並びます。果実はソルダムとほぼ同じサイズですが、その優れた食味から人気を集めています。また、貯蔵性にも優れているため、品質を維持したまま一定期間の流通が可能です。主な産地は、山梨県をはじめとするプラム栽培が盛んな地域で、特に甘さを重視する消費者から高く評価されています。生で食べるのはもちろん、その美しい色合いと優しい甘さは、デザート作りにも最適で、コンポートやゼリー、タルトの材料としても活用されています。サマーエンジェルは、ソルダムの魅力を引き継ぎつつ、酸味を抑えることで、より幅広い世代に親しまれる「食べやすいプラム」として、市場での存在感を高めています。
サマービュート
「サマービュート」もまた、プラムソルダムを親品種の一つとして開発された注目の交配種です。この品種は、ソルダムが持つジューシーで風味豊かな果肉の特性を保持しながら、特に「大玉であること」と「皮の薄さ」が際立つように改良されています。サマービュートの果実は平均的に大きく、中には200gを超えるものもあり、そのボリューム感は消費者に強い印象を与えます。皮が薄いため、生のまま皮ごと食べやすく、ソルダムと同様に皮と果肉の間の栄養や風味を余すことなく楽しめます。味わいに関しては、ソルダム譲りの甘さに加え、品種独自の芳醇な香りと、より洗練された甘酸っぱさのバランスが特徴です。収穫時期はソルダムよりもやや遅く、夏の終わりから初秋にかけて出回るため、プラムのシーズンを長く楽しめるのも魅力です。主な産地は、山梨県や長野県など、高品質なプラムの産地として知られる地域で、特に大玉で見栄えも良いことから、贈答品としても人気があります。市場での流通量は、栽培の難しさや収穫量の影響で少ないため、見かけた際にはぜひ試してみたい品種です。サマービュートは、ソルダムの遺伝的な利点を活かしつつ、さらに食べ応えと食味を向上させた、次世代のプラムとして期待されています。
李王
「李王(りおう)」は、プラムソルダムの交配種の中でも特にその「大きさ」と「濃厚な味わい」で知られる品種です。その名の通り、「プラムの王様」と呼ぶにふさわしい、非常に大きな実をつけるのが最大の特徴で、一つあたりの重さが300gを超えるものも珍しくありません。この圧倒的なサイズ感は、他のプラム品種と比較しても際立っており、市場で強い存在感を放っています。李王は、ソルダムから受け継いだ鮮やかな赤い果肉と豊富な果汁を保持し、甘みが非常に強く、適度な酸味も感じられる濃厚な味わいが特徴です。その贅沢な甘さとバランスの取れた酸味は、一度食べたら忘れられないほどの深い満足感を与えます。また、優れた日持ち性も李王の大きな利点であり、収穫後も比較的長く鮮度を保つことができるため、流通や贈答用としても重宝されています。主な産地は、山梨県を中心としたプラム栽培に適した地域であり、その栽培には高度な技術と手間がかかるため、市場での希少性が高い傾向にあります。収穫時期はソルダムよりも遅く、夏の終わりから秋の初めにかけてが最盛期となります。その見た目のインパクトと、他を寄せ付けない贅沢な味わいから、李王は特別な日のデザートや、大切な人への贈り物として選ばれることが多く、まさにプレミアムなプラムと言えるでしょう。李王の登場は、プラムの多様性と可能性をさらに広げるものとして、多くのフルーツ愛好家から注目を集めています。
まとめ
ソルダムは、甘さと酸味のバランスが絶妙な、日本すももを代表する人気品種。鮮やかな赤い果皮と深紅の果肉、みずみずしい食感が特徴で、生でそのまま食べるのはもちろん、ジャムやゼリー、タルトなどのデザートにもぴったりです。果皮に見られる白い粉「ブルーム」は新鮮さの証。追熟によって甘さが増すため、お好みの熟度で楽しめるのも魅力です。また、ソルダムは「サマーエンジェル」や「李王」などの優良品種の親でもあり、すももの世界を広げてきた立役者でもあります。
旬のこの時期に、ぜひソルダムの魅力を味わってみませんか? 冷やしてそのまま、またはお好みのアレンジで、贅沢なひとときをお楽しみください。
ソルダムとすももは同じものですか?
ソルダムは、大きな分類で言うと「すもも」の一種であり、広義には同じものと捉えられます。しかし、すももには非常に多くの品種が存在し、ソルダムはその中でも特に人気が高く、際立った甘さと鮮やかな果肉を持つことで知られています。一般的なすももと比較して、よりジューシーで酸味が穏やかな傾向があります。また、日本すももの代表的な品種として、100年以上の栽培の歴史を持ち、「大石早生」に次ぐ生産量を誇っています。
ソルダムの旬はいつ頃ですか?
ソルダムが最も美味しい時期は、夏の7月中旬から8月頃です。特に7月下旬から8月中旬にかけて市場への出荷量が増え、最も新鮮で美味しいソルダムを味わうことができます。ただし、産地やその年の天候条件によって、旬の時期は多少前後することがあります。
ソルダムとプラムはどう違いますか?
「プラム」は英語で「すもも」を意味する言葉で、一般的に日本で「プラム」と呼ぶ場合、海外から導入された品種や加工用のすももを指すことが多いです。一方、ソルダムは日本で生まれた「日本すもも」の一種であり、主に生食用として広く親しまれています。したがって、ソルダムはプラムの一種と言えますが、特定の品種として区別されることがあります。
ソルダムを味わう、おすすめの食べ方
ソルダムは、フレッシュな状態でいただくのが一番です。冷やして皮ごと口に運ぶと、あの甘酸っぱい果汁がじゅわっと広がり、格別な美味しさを堪能できます。もし皮の酸味が気になるようでしたら、皮を剥いて召し上がってください。また、ソルダムは様々なアレンジも楽しめます。ジャムやコンポートにすれば、その美しい色合いと風味を長く楽しめますし、ゼリーやタルト、スムージーなどの材料としても最適です。特に自家製ジャムは、ソルダムの個性を存分に引き出すことができるのでおすすめです。熟れ過ぎてしまったソルダムは、冷凍庫で少し凍らせてから、シャーベットのようにして食べるのも良いでしょう。
ソルダム、主な産地について
ソルダムの代表的な産地といえば、寒暖の差が激しい山梨県です。農林水産省のデータによると、山梨県はソルダムの栽培面積において日本一で、その面積は約149ヘクタールと、国内全体の半分以上を占めています。その他には、和歌山県(約31.4ヘクタール)、山形県(約24.7ヘクタール)、そして福島県などでもソルダムが栽培されています。
ソルダム選び、ここがポイント
ソルダムは、熟し具合によって味が変化します。まだ緑色が残っているものは、果肉がしっかりとしていて酸味が強めですが、常温で置いておくことで甘みが増していきます。すぐに食べたいという場合は、全体が鮮やかな赤色に染まり、触った時に少し柔らかく感じるものを選ぶと良いでしょう。また、ソルダムの表面に白い粉のようなものが付いていることがありますが、これはブルームと呼ばれるもので、新鮮さの証です。安心してお選びください。
ソルダム、最適な保存方法
十分に熟したソルダムは、あまり日持ちしません。傷みやすいので、新聞紙などで優しく包んでからポリ袋に入れ、冷蔵庫の野菜室で保管し、なるべく早く食べるようにしましょう。まだ熟していない、緑色のソルダムの場合は、同様に新聞紙で包んでポリ袋に入れ、常温で追熟させます。表面が少し赤みを帯びてきて、軽く弾力を感じるようになったら食べ頃です。もし酸味が気になる場合は、もう少し追熟させると甘みが増します。