脱脂粉乳(スキムミルク)とは?成分、栄養、活用方法を徹底解説
牛乳から脂肪分を極力取り除き、粉末状にしたものが脱脂粉乳、別名スキムミルクです。英語の "skim milk" が語源で、低脂肪ながらも牛乳由来のたんぱく質やカルシウムを効率的に摂取できるのが魅力。粉末状で長期保存も可能なため、日々の食生活に手軽に取り入れられます。この記事では、スキムミルクの成分や栄養価、そして様々な活用方法を徹底解説。健康的な食生活をサポートするスキムミルクの魅力を再発見しましょう。

スキムミルク(脱脂粉乳)とは?

スキムミルクとは、牛乳からほとんどの脂肪分を取り除き、水分を蒸発させて粉末状にした食品です。「スキムミルク」という名前は英語の "skim milk" に由来し、日本では脱脂粉乳とも呼ばれています。脂肪分が少ないため、効率的にタンパク質やカルシウムを摂取したい場合に適しています。粉末状であることから長期保存が可能であり、手軽に栄養を補給できる点も魅力です。食品衛生法に基づく「乳及び乳製品の成分規格等に関する命令」において、種類別「脱脂粉乳」は、「生乳、牛乳または特別牛乳の乳脂肪分を除去したものからほとんどすべての水分を除去し、粉末状にしたもの」と定義されています。成分規格としては、乳固形分が95.0%以上、水分が5.0%以下と定められています。

スキムミルクと脱脂粉乳は同じもの?品質の違いについて

スキムミルクと脱脂粉乳は、基本的に同じものを指す言葉です。しかし、過去には品質に差が見られることもありました。特に戦後の学校給食で使用されていた脱脂粉乳は、輸入品が多く、輸送状況や品質管理の問題から、品質にばらつきがあるものも存在しました。しかし、現在の日本では、製造技術や流通技術が格段に向上し、市場に出回っているスキムミルク(脱脂粉乳)は品質が安定しており、安心して利用できます。また、メーカーによっては、一般家庭での使いやすさを考慮し、水やお湯への溶解性を高めるために、粒子を大きく加工したものを「スキムミルク」として販売しているケースもあります。

スキムミルク、全粉乳、バターミルクパウダーの違い

スキムミルク、全粉乳、バターミルクパウダーは、製造方法と栄養成分がそれぞれ異なります。スキムミルクは脱脂乳を乾燥させたもの、全粉乳は牛乳をそのまま乾燥させたもの、バターミルクパウダーはバターを製造する際に生じる液体を乾燥させたものです。栄養成分を比較すると、スキムミルクはカルシウムを豊富に含み、カロリーが低い点が特徴です。全粉乳は乳脂肪分が多く、バターミルクパウダーは独特の風味を持っています。
製造方法の違い
スキムミルク:脱脂乳を乾燥
全粉乳:牛乳を濃縮、乾燥
バターミルクパウダー:バター製造時の残った液体を乾燥
栄養成分の違い(100gあたり)
スキムミルクはカルシウム含有量が最も多く、カロリーは全粉乳やバターミルクパウダーと比較して低いことがわかります。

スキムミルクの栄養成分と牛乳との比較

スキムミルクは、牛乳から脂肪分と水分を取り除いて作られるため、牛乳と比べて栄養成分とカロリーに違いが生じます。一般的に、スキムミルクは牛乳よりもカルシウムやタンパク質の含有量が多く、カロリーは低い傾向にあります。

栄養成分の比較

脱脂粉乳は、手軽にカルシウムやタンパク質を補給できる食品です。成長期のお子様はもちろん、栄養バランスに気を配りたいシニア世代にも適しています。例えば、よつ葉乳業の北海道スキムミルク20gを180mlの水に溶かして飲んだ場合と、牛乳200mlを比較すると、脱脂粉乳の方がカルシウムとタンパク質の含有量が多い傾向にあります。
カルシウム・タンパク質の比較
脱脂粉乳20gを180mlの水に溶かした場合
牛乳200ml

カロリーの比較

脱脂粉乳の特長として、牛乳と比較してカロリーが低い点が挙げられます。牛乳200mlのエネルギー量がおよそ140kcalであるのに対し、脱脂粉乳20gを180mlの水に溶かした場合、エネルギーは約71.8kcalです。「牛乳の味は好きだけれど、カロリーが気になる」という方は、脱脂粉乳を牛乳の代わりに活用してみるのも良い選択肢です。

脱脂粉乳の用途と使い方

脱脂粉乳は、調整粉乳の材料、パンや焼き菓子などの食品素材、または家庭での調理など、多岐にわたる用途で使われています。離乳食や介護食に利用されることもあります。意外なところでは、分子生物学の実験において、ブロッキング剤として用いられることもあります。一般的な食品としてスーパーマーケットなどで販売されており、メロンパンやマフィンといったお菓子作りにも活用されています。

水に溶かして飲む

脱脂粉乳は、水に溶かすだけで牛乳の代替品として飲むことができます。水に溶かす際の目安の割合は、「脱脂粉乳:水=1:9」です。牛乳に比べてあっさりとした味わいなので、甘さを加えたいときは、砂糖やハチミツなどを加えるのがおすすめです。

パン作りの材料として

スキムミルクは、パン作りの現場でも広く使われています。その理由は、水や牛乳と比較してグルテンの形成を穏やかにするため、パンがソフトで軽い食感に仕上がるからです。さらに、スキムミルクに含まれる乳糖が加熱によってカラメル化し、パンに美しい焼き色と香ばしさをプラスします。

ダイエットの強い味方

牛乳に比べてカロリーがおよそ半分というスキムミルクは、ダイエット中の方にとって頼りになる存在です。カロリーを抑えながらも、カルシウムやタンパク質といった重要な栄養素をしっかりと摂取できるのが魅力です。ヨーグルトに混ぜて栄養価を高めたり、シチューやミルクスープに加えてコクを出すなど、工夫次第で様々な料理に活用できます。

コーヒータイムのお供に

スキムミルクは、コーヒーに入れるミルクとしても利用できます。ただし、脂肪分が少ないため、通常のコーヒー用クリームとは風味や濃厚さが異なります。あっさりとしたミルク感を与えたい時におすすめです。直接熱いコーヒーに加えるとダマになりやすいので、事前にぬるま湯で溶かしてから使用すると良いでしょう。

災害時の備えとして

スキムミルクは、牛乳よりも保存期間が長く、常温で保存できるため、非常時の備蓄品としても適しています。災害時には、栄養バランスの偏りが問題となりますが、スキムミルクはカルシウムやタンパク質を豊富に含んでいるため、緊急時の貴重な栄養補給源として役立ちます。

スキムミルクを上手に溶かすには?ダマにならないコツ

スキムミルクは、冷たい水や熱湯では溶け残りが生じやすいため、50℃程度のぬるま湯を使用するのがおすすめです。粉っぽさをなくし、なめらかに溶かすためのポイントは以下の通りです。
  • ぬるま湯にスキムミルクを少量ずつ加え、混ぜながら溶かす
  • 泡立て器やマドラーで丁寧に混ぜる
  • 砂糖などの粉末状のものを加える際は、あらかじめスキムミルクと混ぜ合わせておく
  • シチューなどのとろみのある料理に使用する場合は、加熱前に溶かし込む

スキムミルクの保管方法:開封後の注意点

スキムミルクは、開封後、湿気を吸収しやすいため、しっかりと密閉できる容器に入れ、直射日光や高温多湿を避けて保存しましょう。冷蔵庫での保管は、出し入れの際の温度差で結露が発生し、ダマになる原因となることがあります。適切な方法で保管し、開封後は賞味期限にかかわらず、なるべく早く使い切るようにしましょう。

スキムミルクを使った簡単レシピ

スキムミルクは、お菓子作りだけでなく、様々なお料理にも活用できます。ここでは、スキムミルクを使ったおすすめのレシピを2つご紹介します。

ほっこり温まる根菜ミルクスープ

体の芯から温まる、優しい味わいのミルクスープのレシピです。
材料(2人分)
  • ごぼう 60g
  • にんじん 60g
  • 玉ねぎ 60g
  • ベーコン 30g
  • スキムミルク 10g
  • 小麦粉 大さじ2
  • 水 400ml
  • バター 大さじ4
  • 顆粒コンソメ 小さじ2
  • 塩・こしょう 少々
  • パセリ(みじん切り) 適量
作り方
  1. ごぼうは皮をこそげ落とし、ささがきにして水にさらしておく。
  2. にんじん、玉ねぎ、ベーコンは1cm角に切る。
  3. 鍋にバターを熱し、①と②を炒める。
  4. 玉ねぎがしんなりとしたら、小麦粉を加えて炒め、粉っぽさがなくなるまで炒める。
  5. 水とコンソメを加え、根菜が柔らかくなるまで煮込む。
  6. 少量の水で溶いたスキムミルクを加え、とろみがつくまで混ぜながら加熱し、塩、こしょうで味を調える。
  7. 器に盛り付け、パセリを散らして完成。

フルーツのカスタードトライフル

脱脂粉乳を活用した、見た目も華やかな「フルーツのカスタードトライフル」のレシピをご紹介します。
材料(2人分)
  • 卵 1個
  • 砂糖 20g
  • よつ葉脱脂粉乳 25g
  • 薄力粉 5g
  • 水 120ml
  • バニラエッセンス 数滴
  • 市販のカステラ 2切れ
  • いちご 適量
  • キウイ 適量
  • ブルーベリー 適量
  • ミント・粉砂糖 お好みで
作り方
  1. ボウルに卵を割り入れ、砂糖を加え、泡だて器で白っぽくなるまで混ぜ合わせます。
  2. (1)に薄力粉をふるい入れ、脱脂粉乳を加えて粉っぽさがなくなるまで丁寧に混ぜます。
  3. (2)に水を少しずつ加えながら混ぜ合わせ、電子レンジ(600W)で1分20秒加熱し、一度取り出して泡だて器で混ぜます。
  4. 再度600Wで1分加熱し、なめらかになるまで混ぜ合わせたら、バニラエッセンスを加えて混ぜます。
  5. バットなどに移し、表面にぴったりとラップをかけ、冷蔵庫でしっかりと冷やします。
  6. カステラは2cm角に、いちご、キウイはカステラと同じくらいの大きさにカットします。
  7. 器に(6)と(5)、ブルーベリーを彩りよく交互に盛り付けます。
  8. お好みで粉砂糖をふりかけ、ミントを添えれば完成です。

脱脂粉乳の選び方

脱脂粉乳を選ぶ際には、以下の点に注意して、ご自身に合ったものを選びましょう。
  • 原料乳の産地: 産地が明確に記載されているものを選ぶと、より安心して使用できます。
  • 粉末の細かさ: 水やお湯にさっと溶けるよう、できるだけ粒子が細かいものを選ぶのがおすすめです。
  • 添加物の有無: 素材本来の風味を活かすため、添加物の少ないものを選ぶようにしましょう。
  • パッケージの形態: 保存に便利な、チャック付きのパッケージを選ぶと良いでしょう。
特におすすめなのは、よつ葉乳業の脱脂粉乳です。北海道産の生乳を100%使用しており、溶けやすく、長期保存も可能なため、様々な用途で活用できます。

脱脂粉乳の歴史:学校給食での活躍

脱脂粉乳は、戦後の食糧不足の時代に、学校給食における牛乳の代替品として広く用いられました。これは、主に海外からの支援物資として提供されたもので、栄養価が高く、長期保存にも適していたため、貴重な栄養源となりました。しかしながら、当時の脱脂粉乳は品質面で課題があり、「美味しくない」というイメージを持たれることもありました。現在では、製造技術の進歩により品質が向上し、様々な食品に利用されています。学校給食で使用された脱脂粉乳の多くは、からの援助物資でした。の援助は11月から6月にかけて行われ、日本は脱脂粉乳の食糧支援を受けました。日本は、からにかけて、脱脂粉乳などの食糧援助を受けています。
日本の学校給食では、1960年代半ば頃から徐々に牛乳への切り替えが進み、早い地域では1963年には脱脂粉乳の提供が終了しました(石崎岳氏の証言)。地域差があり、遅い地域では1970年代前半まで飲用として提供されていたと推測されます。
ただし、飲用牛乳の代替として脱脂粉乳が用いられることは少なくなりましたが、学校給食用の脱脂粉乳自体の消費は現在も続いています。関税暫定措置法に基づく関税割当において、学校給食用の脱脂粉乳が対象となっており、令和2年度には7264トンが割り当てられています。学校給食だけでなく、保育所などの給食事業でも広く利用されており、パンの材料やシチューなどの調理用として活用されています。

脱脂粉乳の未来:健康志向と活用の幅

近年、健康意識の高まりとともに、脱脂粉乳の栄養価が改めて注目されています。低カロリーでありながら、カルシウムやタンパク質を豊富に含んでいるため、健康的な食生活をサポートする食品として期待されています。また、パンやお菓子作りはもちろんのこと、離乳食や介護食など、幅広い用途での活用が広がっています。

まとめ

脱脂粉乳、通称スキムミルクは、牛乳から乳脂肪分を極力取り除いて乾燥させた粉末食品です。低脂肪でありながら、牛乳由来の栄養素を手軽に摂取できるため、健康的な食生活をサポートする食品として注目されています。飲料としてそのまま飲むのはもちろん、様々な料理やお菓子作りに活用することで、普段の食事がより豊かになります。ぜひ、この記事を参考にして、スキムミルクを積極的に取り入れて、より健康的なライフスタイルを目指しましょう。

質問:スキムミルクは牛乳の代替品として使えますか?

回答:はい、スキムミルクは牛乳の代替品として利用できます。ただし、牛乳と比較して脂肪分が大幅に少ないため、口当たりはあっさりとしています。牛乳の濃厚な風味を好む場合は、全脂粉乳を少量加えるなどして、風味を調整することをおすすめします。

質問:スキムミルクは乳幼児の離乳食に使用できますか?

回答:はい、スキムミルクは離乳食にも使用可能です。しかし、乳幼児の消化器官は発達段階にあるため、少量から与えるように注意してください。また、アレルギー反応を引き起こす可能性も考慮し、事前に医師や栄養士に相談することをおすすめします。慎重に進めてください。

質問:スキムミルクはどこで購入できますか?

回答:スキムミルクは、一般的なスーパーマーケットやドラッグストア、インターネット通販などで手軽に購入できます。特定のメーカーの製品を希望する場合は、よつ葉乳業のオンラインショップなどを利用すると良いでしょう。
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