シャインマスカット、旬はいつまで?おいしい時期、食べ方、保存方法を解説
甘くてジューシーな味わいが魅力のシャインマスカット。その旬はいつまでなのでしょうか。この記事では、シャインマスカットがおいしい時期や、よりおいしく味わうための食べ方、そして鮮度を保つための保存方法について詳しく解説します。

シャインマスカットとは?品種の特徴と誕生秘話

シャインマスカットは、「もっとたくさんの人にぶどうを味わってほしい」という願いから生まれた、日本生まれの品種です。国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構果樹研究所で開発され、1988年(昭和63年)に「安芸津21号」と「白南」を交配。2006年(平成18年)に「シャインマスカット」として品種登録されました。開発にあたっては、ヨーロッパぶどうとアメリカぶどうの良いところを掛け合わせることで、それぞれの弱点を克服することを目指しました。ヨーロッパぶどうは、マスカット特有の芳醇な香りと、皮ごと食べられるほど薄い果皮、かみ切りやすい果肉が魅力ですが、病気に弱く栽培が難しいという一面がありました。

一方、アメリカぶどうは病気に強く栽培しやすいものの、果肉がかみ切りにくく、独特の香りがあります。シャインマスカットは、ヨーロッパぶどうの香りと肉質、アメリカぶどうの育てやすさを兼ね備え、それぞれの短所を克服。糖度は20度程度と高く、酸味が少ないため、濃厚な甘さを楽しめます。種がなく皮が薄いため、洗うだけで手軽に食べられる点も人気の理由です。シャインマスカットは、長野県、山梨県、岡山県、山形県を中心に国内各地で栽培されており、特に上位4県で国内生産量の約75%を占めています。

シャインマスカット、旬の時期と市場の動向

シャインマスカットの旬は、一般的に8月から10月頃の夏から秋にかけてです。早い時期では7月頃から市場に出回り始め、遅い時期では12月や翌年1月頃まで手に入れることができます。7月に出回るものはハウス栽培が中心で、露地栽培のシャインマスカットは8月から10月頃にかけて多く流通します。特に9月は最盛期を迎え、店頭には旬を迎えたシャインマスカットが豊富に並びます。山梨県の一部の生産者団体、JAフルーツ山梨では、10月に収穫したシャインマスカットを貯蔵し、クリスマスシーズンに合わせて「クリスマスシャイン」として12月から販売する取り組みも行われています。産地や栽培方法によって旬の時期が異なるのは、各都道府県の農業研究機関が、地域の気候や土壌に合わせた品種開発や栽培技術に取り組んできた結果です。

栽培方法だけでなく、果実や土壌の管理方法、剪定に関する基準も細かく定められており、収穫時期の違いにつながっています。シャインマスカット全体の旬は8月から10月と言えますが、購入やふるさと納税で選ぶ際には、産地ごとの旬を確認することで、よりおいしいシャインマスカットを選べるでしょう。東京都中央卸売市場における2024年のシャインマスカット取扱量を見ると、山梨県産が約3,079トン(約38%)、長野県産が約1,079トン(約13%)、岡山県産が約414トン(約5%)となっています。これらの数値は首都圏の市場動向を示すものであり、都道府県や貿易国全体の出荷量を表すものではありませんが、国内のシャインマスカット流通の傾向を知る上で参考になります。

【産地別】シャインマスカットの旬と特徴

シャインマスカットの主な産地である山梨県、長野県、岡山県、山形県では、それぞれの気候や栽培技術を生かして、個性豊かなシャインマスカットが栽培されています。産地ごとの旬の時期や特徴を知ることで、シャインマスカットをより深く味わうことができるでしょう。

山梨県産シャインマスカットの特長

「フルーツ王国」として名高い山梨県は、ぶどうの収穫量と栽培面積で日本一を誇り、シャインマスカットの生産量も国内全体の約3割を占める主要産地です。山梨県産シャインマスカットの旬は7月から12月頃までと比較的長く、特に8月から9月にかけて最盛期を迎えます。県の中央部に位置する甲府盆地は、水はけの良い土壌と、昼夜の寒暖差が大きい気候がぶどう栽培に最適であり、ここで育まれたシャインマスカットは、その卓越した美味しさで知られています。長年の研究と厳しい品質管理を経て栽培される山梨県産シャインマスカットは、味はもちろんのこと、鮮やかで美しい黄緑色の外観にもこだわり、高級感あふれる贈答品として高い人気を集めています。

長野県産シャインマスカットの特長

ぶどうの生産量で山梨県に次ぐ全国2位の長野県では、地域全体で味にこだわったぶどう栽培に力を入れています。長野県産シャインマスカットの栽培で特徴的なのは、粒の大きさよりも果実本来の風味を重視する点です。長野県のシャインマスカットは6月から1月頃までと、国内でも特に長い期間楽しむことができ、9月から10月が旬のピークです。ワイン造りも盛んな長野県は、ぶどう栽培に関する研究開発にも熱心で、シャインマスカットに加え、長野県オリジナルの品種である「ナガノパープル」や「クイーンルージュ」といった新品種の開発にも積極的に取り組んでおり、多様なぶどうの生産を通して日本のフルーツ文化をリードしています。

岡山県産シャインマスカットの特長

「晴れの国」として知られる岡山県は、降水量の少なさがシャインマスカット栽培に適した気候条件をもたらし、大粒で香り高いシャインマスカットが育つことで有名です。岡山県では、長年の経験に裏打ちされた高度な栽培技術を駆使し、「晴王(はれおう)」をはじめとする独自のブランドシャインマスカットを生み出しています。岡山県産シャインマスカットは7月から1月頃までと、非常に長い期間楽しむことができ、地域ごとに気候が異なるため収穫時期がずれ、結果として長期間シャインマスカットを味わえるのが大きな特徴です。特に9月には最盛期を迎え、「晴王」をはじめとする高品質なシャインマスカットが市場に出回ります。

山形県産シャインマスカットの特長

山形県では江戸時代初期からぶどう栽培の歴史があり、特に「デラウェア」の主要産地として広く知られています。山形県長井市は、面積の約7割を森林が占め、一級河川が流れる自然豊かな地域で、「水と緑と花のまち」として親しまれています。このような清らかな空気と水に恵まれた環境で、丁寧に育てられた山形県産シャインマスカットは、大粒で強い甘みが特徴です。山形県のシャインマスカットは7月から12月頃に収穫され、中でも10月が最盛期です。恵まれた自然環境と長年の栽培技術が融合し、高品質で甘みの際立つシャインマスカットが毎年収穫され、多くの消費者に届けられています。

シャインマスカット人気の理由

シャインマスカットは、その人気が右肩上がりで、特に山梨県、長野県、岡山県、山形県などの主要産地では栽培面積が拡大の一途を辿っています。他のブドウには見られない、様々な魅力が人気の秘密です。つまり、シャインマスカットは、ヨーロッパブドウ特有の上品なマスカットの香りと食感、アメリカブドウの育てやすさ、病気への強さといった、両方の長所を兼ね備えているのです。具体的には、濃厚な甘さ、種なしで皮ごと食べられる手軽さ、パリッとした食感とジューシーさなどが、多くの人を惹きつけています。見た目の美しさも、人気の大きな理由の一つです。大粒で鮮やかなエメラルドグリーンの実は、高級感があり、ギフトとしても最適です。これらの要素が合わさり、シャインマスカットはただの果物ではなく、食卓を彩る特別なデザートとして広く愛され、その地位を確立しています。

シャインマスカット狩りの醍醐味

近年、シャインマスカット狩りが楽しめる農園は全国的に増加傾向にあり、バスツアーも企画されるなど、消費者が新鮮なシャインマスカットを収穫し、その場で味わえる機会が増えています。果物は鮮度が命ですから、木からもぎたてを味わえるシャインマスカット狩りは、最高の味を体験できる絶好の機会と言えるでしょう。自分で選んだブドウをその場で食べる喜びは特別で、家族や友人との素敵な思い出作りにもなります。シャインマスカット狩りの時期は、その年の気候や農園の状況によって異なりますので、事前に各農園のウェブサイトなどで最新情報を確認することをおすすめします。一般的に、収穫体験は旬の時期である8月から10月頃に行われますが、ハウス栽培の有無や地域の気候条件によっては、より早い時期や遅い時期まで楽しめる場合もあります。

シャインマスカット、より美味しく食べるには?

シャインマスカットの上品な甘さと食感を最大限に堪能するには、ちょっとした工夫が必要です。シャインマスカットは常温でも十分に美味しいですが、みずみずしさと爽やかな甘さをより楽しむには、冷やして食べるのがおすすめです。理想的な冷やし方は、食べる2~3時間前に房ごと冷蔵庫に入れることです。この時間を目安に冷やすと、果実全体が均一に冷え、心地よい冷たさとパリッとした食感が生まれます。冷蔵庫から取り出したら、食べる直前に冷水で優しく洗いましょう。ここで注意すべき点があります。先に洗ってから冷蔵庫に入れると、ブドウの鮮度を保つ「ブルーム」が洗い流されてしまいます。ブルームは、ブドウが自ら作り出す天然の保護膜で、乾燥や病気から実を守る役割を果たします。したがって、ブルームを保ち、鮮度と美味しさを維持するためにも、食べる直前に洗うように心がけましょう。この一手間で、シャインマスカット本来の美味しさを存分に味わうことができます。

まとめ

シャインマスカットの旬は、一般的に8月から10月頃までとされています。特に9月が最もおいしい時期と言えるでしょう。シャインマスカットはそのままでも十分おいしいですが、冷やして食べるのがおすすめです。また、皮ごと食べられるのが特徴なので、ぜひそのまま味わってみてください。保存方法としては、乾燥を防ぐために一房ずつ丁寧にラップで包み、冷蔵庫の野菜室で保存すると良いでしょう。日持ちさせたい場合は、房から外して一粒ずつ冷凍保存することも可能です。シャインマスカットの魅力を最大限に引き出し、食卓や特別な時間をより豊かに彩りましょう。

質問:シャインマスカットが最も美味しい時期はいつですか?

回答:シャインマスカットの美味しさが際立つ旬は、通常8月から10月頃です。ただし、店頭には7月頃から並び始めます。ハウス栽培や産地ごとの工夫(例えば、JAフルーツ山梨のクリスマスシャインマスカットなど)によって、遅い地域では12月や翌年の1月まで収穫・出荷されることもあります。栽培方法や地域によって、旬の時期には差があります。

質問:シャインマスカットはどこの国で生まれた品種ですか?

回答:シャインマスカットは日本で生まれた品種です。国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構果樹研究所が開発を手がけ、「安芸津21号」と「白南」を交配させて、1988年(昭和63年)に誕生しました。その後、2006年(平成18年)に品種登録されています。

質問:シャインマスカットの有名な産地はどこですか?

回答:シャインマスカットの代表的な産地としては、山梨県、長野県、岡山県、山形県が挙げられます。これらの4県で国内生産量の約75%を占めており、それぞれの土地の気候や独自の栽培技術を生かして、高品質なシャインマスカットが栽培されています。
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