今年の初夏、我が家の庭に植えてある山椒の木から、たくさんの実を収穫することができました。収穫した実山椒は、丁寧に下処理をして冷凍保存し、日々の料理に活用しています。以前は山椒の実の詳しい使い方や収穫時期を知らなかったのですが、実際に使ってみると、その多様な活用方法と、収穫時期によって香りや風味が大きく変わることに感動しました。いつもの料理に加えるだけで、爽やかな香りが広がる山椒は、まさに旬の時期に味わいたい特別な食材です。この記事では、山椒の基本的な情報から、栽培方法、収穫、下ごしらえ、おすすめレシピまで、山椒の魅力を余すところなくご紹介します。
山椒とは?一年を通して楽しめる山椒の魅力と部位別収穫時期
山椒は、ミカン科サンショウ属に属する落葉低木で、日本の広い範囲、北海道から九州にかけて自生しています。一般的に、樹高は1~3m程度まで成長し、山地の雑木林などでよく見かけられます。毎年4月~5月頃には、直径5mmほどの小さな黄緑色の可愛らしい花をたくさん咲かせます。山椒は、花、葉、実のすべてを食用として利用できる、まさに「万能香辛料」と言えるでしょう。山椒の最大の魅力は、季節の移り変わりと共に変化する、その独特な風味と香りです。一年を通して様々な部位を収穫でき、それぞれが異なる風味と用途を持っています。春には、爽やかな香りの新芽(木の芽)が料理に彩りを添え、花山椒は、辛味が少なく、繊細な香りを楽しむことができます。初夏に収穫できる青い実(実山椒)は、爽やかな辛味と香りのバランスが絶妙で、秋に完熟して弾けた割山椒は、芳醇で刺激的な香りをもたらしてくれます。このように、山椒は日本の食卓に四季折々の豊かな風味を届けてくれる、まさに旬の味覚であり、日本料理には欠かせない存在です。また、山椒には、果実を収穫するために雄株と雌株が必要な「雌雄異株」の品種と、一本の株で実を付けることができる「雌雄同株」の品種が存在します。例えば、「朝倉山椒」は雌雄同株の代表的な品種として知られています。
山椒の育て方:実がなるまでの年数と栽培のポイント
自宅で山椒を育てることは、いつでも新鮮な香りと風味を楽しめるだけでなく、季節ごとの変化を身近に感じられる喜びを与えてくれます。ここでは、山椒の植え付けから日々の管理、病害虫対策、剪定、そして実を付けるための受粉まで、健康な山椒を育てるための具体的な方法とポイントを詳しく解説していきます。
山椒の植え付けと生育環境
山椒栽培を成功させるためには、適切な植え付け時期と生育環境を整えることが非常に大切です。山椒は根が浅く、一度植え付けると移植を嫌う性質があるため、最初の環境選びがその後の成長に大きく影響します。
植え付けに適した時期と注意点
山椒を植え付けるのに最適なタイミングは、厳冬期を避けた12月から3月頃です。この時期は山椒の木が休眠状態にあるため、植え替えによる負担を最小限に抑えることができます。庭に直接植える場合は、特に夏の強い西日が当たらない場所を選ぶことが大切です。西日は土を乾燥させやすく、山椒の成長に良くない影響を与えることがあります。午前中は日が当たり、午後は日陰になるような、半日陰の場所が理想的です。一方で、プランターで育てる場合は、山椒の根があまり深く張らないことを考慮して、少し深めの大きめの鉢を選ぶのがおすすめです。そうすることで、根が十分に広がり、安定して成長することができます。また、鉢植えは移動させることができるため、季節や日差しの強さに合わせて場所を調整できるというメリットもあります。
日当たりと理想的な環境
山椒は基本的に日当たりの良い場所を好みますが、夏の西日のような強い日差しと、それに伴う乾燥には弱いという性質があります。そのため、庭植えにする場合でも、一日中直射日光が当たる場所よりも、午後の強い日差しを避けられる半日陰に植える方が、木の負担を減らし、より健康に育つ可能性が高まります。例えば、大きな木の陰や、建物の東側などが適しています。鉢植えの場合も同様に、真夏の強い日差しが続く時期には、半日陰に移動させるなどの工夫が必要です。適切な日照環境を整えることで、山椒は元気な新芽を出し、質の良い実をつけることにつながります。
用土の選び方と土づくり
山椒が元気に育つためには、水はけが良く、有機物を豊富に含んだ肥えた土壌が欠かせません。水はけの悪い土では根腐れを起こしやすく、生育が悪くなる原因となります。市販されている草花用培養土は、これらの条件を満たしているので、手軽に使える選択肢の一つです。自分で土を混ぜる場合は、赤玉土を7割、腐葉土を3割の割合で混ぜ合わせるのが良いでしょう。赤玉土は水はけと保水性のバランスが良く、腐葉土は土に有機物を供給し、肥沃さを高めます。庭に植える場合も、植え付け前に、土にたっぷりの腐葉土を混ぜ込んで土づくりをしておくことが大切です。そうすることで、土の性質が改善され、山椒の根が張りやすい理想的な環境が整います。土の質を良くすることは、病害虫への抵抗力を高め、たくさんの収穫につながる栽培の基本と言えるでしょう。
山椒の普段の手入れ
山椒の普段の手入れは、肥料の与え方、水やり、そして夏と冬の対策に分けられます。これらの手入れをきちんと行うことで、山椒は一年を通して元気に育ち、美味しい葉や実を収穫できるようになります。
施肥方法とタイミング
山椒の生育サイクルに合わせた施肥は、その後の成長に大きく影響します。年間を通して重要な施肥タイミングは2回です。1回目は、実の収穫を終えた7月~9月頃。この時期に、油かすなどの有機肥料を追肥として与えることで、結実による消耗した株の回復を促し、翌年のための栄養を蓄えさせます。2回目は、落葉期である1月~2月頃です。この時期にも同様に油かすを施すことで、春に新芽を出す準備として、土壌へ緩やかに栄養を供給します。肥料を与える際は、株の根元に均等に施し、土と軽く混ぜるか、水やりで肥料成分を浸透させましょう。適切なタイミングでの施肥は、山椒の木を丈夫に育て、安定的な収穫へと繋がります。
水やりのコツと夏の乾燥対策
山椒は乾燥を嫌うため、水やりには注意を払いましょう。鉢植えの場合、土の表面が乾いたら、鉢の底から水が流れ出るくらいたっぷりと水を与えてください。こうすることで、鉢全体の土に水が行き渡り、同時に古い水を押し出すことで根腐れを予防できます。地植えの場合は、基本的に雨水で十分ですが、雨が降らず乾燥した状態が続く場合は、積極的に水やりを行いましょう。特に夏場は、日差しが強く土壌が乾燥しやすいため、水切れに注意が必要です。朝夕の涼しい時間帯に水やりを行うなど工夫し、乾燥によるストレスから山椒を守り、健やかな成長をサポートしましょう。
夏越し・冬越しの特別な手入れ
山椒は日本の気候に順応しているため、特別な夏越しや冬越しの作業は基本的に不要です。ただし、夏の強い日差し、特に西日は山椒にとって負担となるため、鉢植えは日差しの強い時間帯は半日陰に移動させる、または地植えの場合も、植える場所を選ぶ際に半日陰になる場所を選ぶなどの配慮をしましょう。また、夏場は土壌の乾燥に注意し、適切な水やりを心がけることで、元気に夏を越すことができます。冬は落葉樹であるため、葉が落ちた後は特別な保護は必要ありません。日本の冬の寒さには十分に耐えられますが、極寒冷地では、若い木の場合に株元を腐葉土などのマルチング材で覆い、霜から保護すると良いでしょう。
病害虫予防と健康な育成
山椒を健康に育てるには、病害虫対策が欠かせません。早期発見と適切な対処、そして日頃からの予防策を行うことで、山椒の木を健康に保ち、安定した収穫を目指しましょう。
注意すべき病害:白絹病の予防策と対応
山椒栽培で警戒すべき病害の一つが「白絹病」です。この病気は、特に高温多湿な環境下で発生しやすく、株元や地表に白い糸状の菌糸が現れるのが特徴です。症状が進行すると、株は徐々に衰弱し、最終的には枯死に至ることもあります。さらに、病状が進むと小さな丸い菌核が形成されることもあります。残念ながら、白絹病が発生した場合、有効な治療法は限られており、病気の蔓延を防ぐためには、罹患した株を土ごと取り除き、適切に処分するしかありません。したがって、予防が最も重要な対策となります。白絹病の発生を抑えるためには、風通しの良い場所で山椒を育て、土壌が過剰に湿った状態にならないよう、排水性を高めることが効果的です。また、株間を十分に確保して植え付けることも、風通しを良くし、適切な湿度を保つ上で有効です。
葉を食害する害虫:アゲハチョウの幼虫への対策
山椒を栽培する上で、特に注意すべき害虫として「アゲハチョウの幼虫」が挙げられます。アゲハチョウの幼虫は山椒の葉を好み、旺盛な食欲で食害するため、発生すると短期間で被害が拡大します。特に若木の場合、わずかな葉の損失でも生育に大きな影響を及ぼす可能性があります。そのため、日頃から山椒の葉を注意深く観察し、幼虫を発見したら速やかに駆除することが不可欠です。手で取り除くのが最も簡単で確実な方法ですが、数が多い場合や高い場所にいる場合は、ピンセットや割り箸などを活用すると良いでしょう。早期発見と早期駆除を徹底することで、山椒の葉を健全に保ち、光合成能力を維持し、ひいては良質な実の収穫に繋げることができます。
山椒の移植と整枝

山椒の木の長期的な健全性と生産性を維持するためには、適切な時期に移植や整枝を行うことが重要です。これらの作業は、樹形を整え、風通しを改善し、新たな枝の成長を促進する役割を果たします。
移植に適した時期と根を傷つけないための注意点
山椒の移植は、根が浅く、移植を嫌う性質があるため、やむを得ない場合を除き避けることが望ましいです。もし移植が必要な場合は、厳寒期を避けた12月から3月頃が適しています。この時期は山椒の木が休眠状態にあるため、移植によるストレスを最小限に抑えることができます。移植を行う際には、根をできる限り傷つけないように、元の根鉢よりも一回り大きく土ごと掘り上げることが重要です。根を傷つけると、株が弱り、枯れてしまう危険性が高まります。また、新しい植え付け場所は事前にしっかりと準備し、排水性と肥沃度に優れた土壌を整えておくことが成功の鍵となります。丁寧な作業を心がけることで、移植後の山椒の木がスムーズに新しい環境に適応できるようになります。
剪定時期と翌年の花実を守るポイント
山椒の剪定に最適な時期は、葉が落ちた後の12月から3月にかけてです。この時期に手入れを行うことで、植物への負担を軽減し、切り口からの樹液の流出を最小限に抑えることができます。剪定の主な目的は、伸びすぎて形が崩れた枝や、密集して風通しを悪くしている内側の枝を整理することです。これにより、株全体に日光が均等に届き、病害虫の発生を抑え、健全な成長を促進します。
ただし、剪定作業で特に注意すべき点があります。それは、その年に伸びた短い枝には、翌年開花し、実をつける可能性のある「花芽」が形成されていることが多いということです。そのため、これらの短い枝を誤って切り落としてしまうと、翌年の収穫量に大きく影響する可能性があります。剪定を行う際は、どの枝が来年の収穫につながるかを慎重に見分け、不要な枝のみを丁寧に選んで剪定することが重要です。
山椒の実を収穫するための受粉と結実までの期間
山椒栽培で実の収穫を目標とする場合、受粉の仕組みと、木が実をつけるまでの期間を把握しておくことが大切です。これにより、計画的な栽培と効率的な収穫が実現できます。
山椒の実をつけるための受粉の重要性
山椒の木から実を得るには、受粉が欠かせません。多くの山椒品種は雌雄異株であり、雄株と雌株が別々の木として存在します。雄株は花粉を作りますが実をつけず、雌株は実をつけますが、そのためには雄株の花粉による受粉が必要です。
したがって、雌雄異株の山椒を栽培する際は、実を収穫するために雄株と雌株を受粉可能な範囲内に植える必要があります。こうすることで、風や昆虫が花粉を運び、雌株の花が受精して実を結びます。ただし、朝倉山椒のように雌雄同株の品種であれば、一本の木だけで受粉から結実までが可能なため、庭のスペースが限られている場合や、手軽に収穫を楽しみたい場合に適しています。
実がなるまでの期間:挿し木、接ぎ木、実生の場合
山椒の木が実をつけるまでの期間は、増やし方によって変わります。一般的に、挿し木や接ぎ木で増やした山椒の木は、植え付けから4〜5年程度で初めて実をつけることが多いとされています。これらの方法では、親木の遺伝的特性が受け継がれるため、品種の選定や成長の予測がしやすいというメリットがあります。特に、早く収穫したい場合は、接ぎ木が推奨される方法です。
一方、種から育てる実生の場合、実をつけるまでにはさらに時間がかかり、7年以上かかることもあります。実生は遺伝子の多様性が生まれるため、親木とは異なる性質を持つ木が育つ可能性もありますが、結実までの期間が長くなるため、根気が必要です。したがって、山椒を育てる際には、どのような方法で増やされた株なのか、そしていつ頃から収穫が見込めるのかを事前に理解しておくことが重要です。
山椒の部位別 旬と特性:活かし方
山椒は、その部位ごとに最適な収穫適期と利用方法が存在します。一年を通じて山椒の様々な風味を満喫するためには、各部位の特性を把握することが大切です。芽吹きの春から実りの秋まで、その時期ならではの山椒の魅力と、おすすめの利用法をご紹介します。
春の息吹:木の芽(山椒の若葉)
山椒の葉、とりわけ若葉である「木の芽」は、春の訪れとともに3月~4月頃に収穫を迎えます。この時期の木の芽は、鮮やかな緑色と清々しい香りが際立ちます。様々な料理に活用でき、天ぷら、お吸い物、炊き込みご飯、煮物など、添えるだけで料理の風味を引き立てます。特に、春に旬を迎える筍との組み合わせは定番で、食卓を豊かに彩ります。
希少な美味:花山椒
4月下旬頃に旬を迎えるのが花山椒です。花山椒とは山椒の花そのものを指しますが、食用とするのは開花前の蕾の部分です。この時期の花山椒は、強い辛味は控えめで、上品な香りとほのかな苦みが特徴です。佃煮や刺身の添え物として、料理に季節感と繊細な香りを加えることができます。
清涼な刺激:実山椒(青実)
5月~7月頃に収穫されるのが、山椒の青い果実、一般的に「実山椒」と呼ばれるものです。この時期の実山椒は、爽やかな香りとピリッとした辛味の調和がとれており、様々な料理に利用されます。収穫期には、周囲に山椒の香りが広がり、心地よい気分になります。実山椒は、通常アク抜きをしてから調理し、佃煮や魚の煮付けなどにおすすめです。その独特の風味が、料理に奥深さとアクセントを加えます。
芳醇な香りと刺激:完熟実山椒(割山椒)と粉山椒の作り方
山椒の実は、夏の終わりから秋にかけて、具体的には9月から10月頃に「割山椒」として収穫の時期を迎えます。 初夏には緑色だった実が、秋には鮮やかな赤色に変わり、実が割れて中の黒い種が見えるようになります。 たっぷりと栄養を蓄えた秋の割山椒は、格別な香りと爽やかな刺激が特徴です。 この割山椒を原料に自家製粉山椒を作ると、市販品とは比べ物にならないほどの風味豊かな仕上がりになります。 自家製ならではの美味しさを知ってしまうと、市販の粉山椒には戻れない、という声もよく聞かれます。 さらに、収穫せずに11月頃まで熟成させると、実から種が自然に落ち、残った果皮を乾燥させることで「粉山椒」を作ることができます。 自家製粉山椒を作る際には、風味を損なわないために、黒い種を丁寧に取り除き、緑色または茶褐色の外皮のみを使用することが重要です。 この外皮にこそ、山椒の香りと風味が凝縮されています。
実山椒狩り:最適な時期と注意点
青い実をつける「実山椒」の収穫時期は、一般的に5月から6月頃です。 私が過去に行った体験では、2017年の6月20日に収穫しました。 目安としては6月中旬頃までで、実がまだ緑色のうちに収穫するのが理想的です。 早めに収穫することで、実山椒ならではの清々しい香りと刺激的な辛さを最大限に楽しむことができます。 収穫中は、あたり一面に山椒の香りが広がり、非常に心地よい体験となります。 収穫時期には、ざるいっぱいの実山椒を収穫できました。 まだ小さい実については、成長を待ってから収穫するのが良いでしょう。 収穫時期は、年によって多少ずれがあり、5月末から6月半ば頃までが目安となります。 ただし、これは長崎での事例であり、日当たりや標高、地域によって収穫時期が異なる可能性があるため、お住まいの地域の気候条件や山椒の木の生育状況に合わせて調整することが重要です。
実山椒の下処理と保存方法
収穫した実山椒をより美味しく、そして長く楽しむためには、適切な下処理と保存方法が欠かせません。 主な方法としては、長期保存に適した「乾燥」と、風味を保ちつつ冷凍保存や佃煮などに活用できる「アク抜き」の2種類があります。 ここでは、それぞれの方法について、具体的な手順とポイントを詳しく解説します。
長期保存に最適:実山椒の乾燥方法と活用法
実山椒を乾燥させて保存する方法は、長期間の保存に適しており、使うたびに挽きたての香りを楽しむことができます。 まず、収穫した実を水で軽く洗い、砂や汚れを丁寧に落とし、余分な枝や葉を取り除きます。 乾燥させる場合は、アク抜きは不要です。 きれいに洗った実山椒をザルなどに広げ、太陽光で乾燥させます。 収穫後なるべく早く乾燥させることで、山椒の豊かな香りと風味を閉じ込めることができ、高品質な乾燥山椒に仕上がります。 私の経験では、梅雨の晴れ間を利用して約6時間ほど乾燥させたところ、実山椒が弾けてカラカラになりました。 乾燥後、黒い種を取り除き、緑色の外皮だけを残します。
最も大切なこと:風味豊かな緑色の皮
実山椒を乾燥させる上で最も重要なのは、「風味の源である緑色の外皮を大切にする」ことです。私も最初に乾燥させた時、間違って緑色の皮を捨ててしまい、中の黒い種だけを残して後悔しました。実山椒の香りの মূল(もと)は、この緑色の外皮にあります。自分で乾燥させた山椒は、市販のものとは比べものにならないほど香りが強く、その違いに驚くはずです。
乾燥山椒の活用法と便利な道具
乾燥山椒は保存性も高く、様々な料理に使える万能な香辛料です。スパイスミルに入れて使うことで、いつでも新鮮な香りを料理に添えることができます。うどん、鰻の蒲焼き、鶏肉の照り焼きなど、いつもの料理に加えるだけで、風味が一層引き立ちます。また、中華料理の花椒の代わりに使ったり、スパイスカレーに加えても美味しくいただけます。私が使っているスパイスミルは、挽き具合を調整でき、セラミック製の刃を使用しているため、山椒の風味を損なわずに、いつでも最高の状態で香りを楽しむことができます。
実山椒の冷凍保存と佃煮を作る際のアク抜き
実山椒を冷凍保存したり、佃煮などの料理に利用する場合は、アク抜きが不可欠です。アク抜きをすることで、山椒の辛味を調整し、より美味しく食べることができます。ここでは、具体的なアク抜きの手順と、冷凍保存の方法を詳しく説明します。
1. 枝や葉を取り除く
収穫した実山椒は、葉や枝、軸などが付いている状態です。まず、これらの不要物を取り除く作業から始めます。大まかなものは手で取り除けばOKです。後の茹でる工程で、枝や葉が柔らかくなるため、この段階で完璧に取り除く必要はありません。
2. 丁寧なアク抜き:塩茹でのコツ
たっぷりの水を沸騰させ、塩を少々加えた中に、採取した山椒の実を投入します。茹で加減の見極め方は、実を指で軽く押してみて、容易につぶれる柔らかさになるまでを目安にしてください。私の場合は約10分茹でましたが、レシピによってはより短い時間で良いとされている場合もあります。山椒の成熟度や採取時期によって最適な茹で時間は変動するため、実の状態を観察しながら調整することが重要です。
3. 辛味の調整:水にさらす時間
茹で上がった山椒の実は、冷水に浸して丁寧にアクを取り除きます。この水にさらす時間を調整することで、山椒の辛さを自分好みにコントロールできます。ピリッとした辛さを残したい場合は短時間、マイルドな風味にしたい場合は長めにさらしてください。私は3時間ほど水にさらしましたが、少し辛味が強すぎたかもしれません。味見をしながら、理想の辛さを見つけるのが成功の秘訣です。
4. 仕上げ:異物除去と冷凍保存
水にさらして好みの辛さになったら、残っている小さな枝や葉を丁寧に除去します。茹でることで不要物が取り除きやすくなっています。実の軸部分は、風味を損なうことはありませんので、そのままでも問題ありません。下処理を終えた山椒の実は、保存袋に入れて冷凍庫で保存するのがおすすめです。適切に冷凍すれば、約1年間は風味を保つことができ、次の収穫期まで新鮮な香りを楽しむことができます。
食卓を彩る!山椒の実を使った絶品レシピ4選
山椒の実は、その独特の香りと刺激的な辛味で、普段の料理をワンランクアップさせてくれます。ここでは、私自身がよく作る、山椒の実を使ったおすすめレシピを4つご紹介します。定番料理から意外なアレンジまで、山椒の新しい可能性を発見できるはずです。
食欲そそる一品:ちりめん山椒
山椒の実を使った料理として特に人気が高いのが「ちりめん山椒」です。ちりめんじゃこと風味豊かな鰹節、そして山椒の実を、甘辛い味付けでじっくりと炊き上げれば、ご飯が何杯でも食べられるほどの美味しい一品が完成します。できたての温かいご飯にたっぷりとかけていただけば、山椒の清々しい香りと、ちりめんじゃこの凝縮された旨みが口いっぱいに広がり、至福の味わいです。多めに作って、近所の方や大切な友人、家族へのおすそ分けにも最適です。
季節の野菜と好相性:お浸しや煮物のアクセントに
山椒の実は、ほうれん草や小松菜などの緑黄色野菜を使ったお浸しや、様々な野菜の煮物の薬味としても、その個性を発揮します。野菜本来の持ち味に、山椒特有のピリッとした辛さと爽やかな香りが加わることで、料理全体の味わいがより深くなります。先日、近所の方から家庭菜園で採れた珍しい野菜をおすそ分けしていただいた際、軽く茹でてお浸しにし、その上に山椒の実をそのまま散らしたり、自家製のちりめん山椒を添えたりして美味しくいただきました。いつもの家庭料理に、手軽に彩りと風味を添えることができる、おすすめの活用方法です。
風味を手軽にプラス:うどんの薬味に
うどんの薬味としても、山椒の実は素晴らしい相性を見せてくれます。温かいうどんに、丁寧に下処理をした山椒の実を数粒添えるだけで、その爽やかな辛味がうどんの風味をより一層引き立ててくれます。食卓に常備しておけば、いつでも手軽に山椒の風味を加えられ、普段のうどんが特別な一品へと変わります。
魚料理の名脇役:煮魚に加える山椒の実
私の住む地域では、新鮮な魚がお手頃な価格で手に入るため、旬の魚を使った煮付けをよく作ります。先日、スーパーで新鮮な魚を見つけ、迷わず煮付けにしましたが、その美味しさに改めて感動しました。魚の煮付けを作る際に、山椒の実を数粒加えて一緒に煮るのがおすすめです。山椒の香りが魚特有の臭みを和らげるだけでなく、魚本来の旨みを際立たせる効果も期待できます。ぜひ一度試していただきたい、私自身もおすすめの活用方法です。
まとめ
山椒は、単なる香辛料としてだけでなく、春の芽出しから秋の完熟した実まで、四季折々の表情で私たちの食生活を彩る奥深い食材です。適切な手入れをすれば、家庭でも新鮮な山椒を年間を通して味わうことができます。この記事では、これまで山椒の具体的な活用法や収穫のタイミング、栽培方法について詳しくなかった方にも、山椒の基礎知識から、植え付け、日々の管理、病害虫への対策といった栽培の要点、乾燥や冷凍といった保存方法、そしてちりめん山椒、和え物、うどんの風味付け、魚料理のアクセントといった活用レシピまで、幅広い情報をお届けしました。山椒をいつもの料理に取り入れることで、爽快な香りとピリッとした刺激が加わり、食の世界が大きく広がると実感しています。ぜひ、旬の山椒を巧みに利用し、ご自宅での栽培にも挑戦して、豊かな食卓を満喫してください。
山椒の実の収穫時期はいつですか?
山椒は年間を通じて色々な部位を収穫できます。春の訪れとともに(3~4月)山椒の若葉(木の芽)が芽吹き、4月下旬には花山椒、5月から7月にかけては青々とした実山椒、そして9月~10月頃には熟した割山椒が収穫時期を迎えます。
実山椒のアク抜きはなぜ必要ですか?
実山椒は、生のままでは刺激が強すぎるため、アク抜きをすることで辛さを和らげ、より美味しく食べられるようにします。アク抜きをすることで、料理の持ち味を活かしつつ、山椒ならではの清々しい香りと風味を堪能できます。
乾燥山椒と生の実山椒では、どちらがおすすめですか?
どちらもそれぞれに良さがあります。乾燥山椒は長期保存に適しており、使う直前にミルで挽くことで、いつでも新鮮な香りが楽しめます。生の実山椒は、アク抜き後に冷凍保存することで、旬の風味を一年中楽しむことができ、佃煮や煮物などに最適です。用途や個人の好みに合わせて使い分けるのが良いでしょう。













