有塩バターとは?風味、用途、無塩バターとの違いを徹底解説

日々の料理やお菓子作りで欠かせないバター。中でも「有塩バター」は、その名の通り塩分が加えられたバターです。料理にコクと風味をプラスするだけでなく、保存性を高める役割も担っています。しかし、無塩バターとの違いや、どのような料理に最適なのか、詳しく知らない方もいるかもしれません。この記事では、有塩バターの風味や用途、無塩バターとの違いを徹底解説。あなたの料理をさらに美味しくする有塩バターの活用法をご紹介します。

バターの基礎知識:定義と製造プロセス

バターは、独特の香りとコクが特徴で、料理に風味を加えるのに役立ちます。では、バターとは具体的にどのような食品なのでしょうか。乳製品であることは広く知られていますが、その製造方法や定義について詳しく知っている方は少ないかもしれません。厚生労働省によると、バターは「生乳、牛乳又は特別牛乳から得られた脂肪粒を練圧したもの」と定義されています。この定義をより深く理解するために、手作りバターの製造過程を参考に、その仕組みを具体的に見ていきましょう。

バターができるまで:生乳からバターへの変身

バターを作るプロセスは、まず冷やした生クリームを強く振ることから始まります。例えば、ペットボトルに生クリームを入れて振ると、クリームは次第に固形物と液体に分離します。この固形物がバターの元となる脂肪粒です。脂肪粒には、乳脂肪分のほか、ビタミンA、タンパク質、ミネラルなどの栄養素が含まれています。この脂肪粒を集めて練り固めることで、バターが完成します。一般的に、100gのバターを作るには、約2リットル以上の生乳が必要です。このプロセスは家庭でも簡単に行うことができ、バターがどのように作られるのかを体験できます。

世界のバターと日本における品質規格

バターは牛乳だけでなく、水牛、羊、山羊、ヤクなど、様々な動物の乳から作られています。これらの乳の種類によって、バターの風味や食感が異なります。日本で販売されているバターは、品質規格が定められています。具体的には、「乳脂肪分80.0%以上、水分17.0%以下」という基準を満たす必要があります。この基準を満たしたバターには、「種類別 バター」と表示されています。これらの品質規格は、消費者が安心してバターを選べるようにするためのものです。

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バターの基本的な分類:甘性バターと発酵バター

バターは大きく「甘性バター」と「発酵バター」の2種類に分けられます。日本で広く流通しているのは「甘性バター」で、「非発酵バター」とも呼ばれます。甘性バターは、発酵バターに比べて酸味や香りが穏やかで、原料乳の自然な甘みと濃厚な風味が際立つのが特徴です。この分類を理解することで、バターそれぞれの特性を把握し、料理や菓子作りに最適なバターを選ぶことができます。発酵の有無が、風味や用途を大きく左右する重要な要素となります。

甘性バターの種類:有塩、無塩、減塩バターの特性と用途

日本で一般的な甘性バターは、塩分量によって「有塩バター」「無塩バター」「減塩バター」に分けられます。バターの種類によって、風味や最適な用途が大きく異なります。それぞれの違いを理解することは、料理やお菓子作りで思い通りの味わいを実現するために不可欠です。

有塩バター(加塩バター):風味と保存性を高める

通常「有塩バター」と呼ばれるのは、製造過程で塩を加えた「加塩バター」のことです。塩を加える主な目的は、バターの保存性を向上させるとともに、料理に塩味と風味を加えることです。有塩バターは、料理全般の味付けに広く使われています。例えば、ある乳業メーカーの有塩バターには約1.6%の塩分が含まれており、用途に合わせて様々なサイズで販売されています。食品成分表によると、有塩バター100gあたりのカロリーは約700kcal、ナトリウムは約750mg、塩分は約1.91gです。この塩分が、パンに塗ったり、肉を焼いたりする際に、素材本来の旨味を引き出し、食欲をそそる風味を生み出します。

無塩バター(食塩不使用バター):製菓・製パンに欠かせない理由

一般的に「無塩バター」と呼ばれるのは、製造時に塩分を加えない「食塩不使用バター」が正式な名称です。生乳にはごくわずかな塩分が含まれているため、厳密には「無塩」ではありません。そのため、意図的に塩分を加えない製品は「食塩不使用」と表示されます。無塩バターが主に製菓・製パンに使われるのは、お菓子作りではバターを大量に使用することが多く、塩分が小麦粉のグルテンを強くする性質を持つためです。塩分が多すぎると、パン生地が十分に膨らまなかったり、パイやクッキーのサクサクとした食感が損なわれたりする可能性があります。製菓・製パンでは、塩分量を細かく調整する必要があるため、バターとは別に塩を加えて全体の塩分濃度を調整するのが一般的です。これにより、理想的な風味と食感を実現できます。

食品成分表によると、無塩バター100gあたりのカロリーは約720kcal、ナトリウムは約11mg、塩分は0.00g以下とされています。有塩バターと比較して塩分量が非常に少ないため、塩分調整が重要なレシピに最適です。無塩バターの価格は200gあたり400円から500円程度で、有塩バターよりもやや高価な傾向があります。これは、無塩バターは塩分を含まないため保存期間が短く、有塩バターに比べて需要が安定しないことなどが理由として挙げられます。このような背景から、無塩バターは専門的な製菓・製パン用途で多く利用されています。

有塩バターと無塩バター、代用する際のポイントと注意点

レシピの材料が足りない時や、急遽バターの種類を変更したい場合、有塩バターと無塩バターは互いに代用可能です。ただし、無塩バターの代わりに有塩バターを使用する際は、レシピに記載されている塩の量を減らすか、水分量を増やすなどして、全体の塩分バランスを調整することが大切です。クッキーやスコーンなど、ある程度の塩味があっても美味しくいただけるお菓子には比較的使いやすいですが、バタークリームのようにバターを大量に使用し、甘さを強調したい場合には、有塩バターは適していません。塩味が強くなりすぎないように、少しずつ加えながら味を調整することをおすすめします。反対に、有塩バターの代わりに無塩バターを使う場合は、風味を補うために塩を加えることで対応できます。例えば、有塩バター100gの代わりに無塩バターを使う場合、小さじ1/3程度の塩(約2g)を加えることで、同様の塩味に近づけることができます。しかし、パンやお菓子作りにおいては、バターの種類を変えることで食感が変わる可能性があるため、可能な限りレシピ指定のバターを使用することが、理想的な仕上がりへの近道です。

ヨーロッパで親しまれる「発酵バター」の魅力と使い方

近年、輸入バターを中心に、「発酵バター」が日本でも広く流通するようになりました。発酵バターは、元々ヨーロッパで広く使われていたバターで、独特の風味と香りで多くの人々を魅了しています。そのルーツは、冷蔵技術が発達していなかった時代に、クリームの腐敗を防ぐために乳酸菌で発酵させたことにあります。

発酵バターとは?その風味と製造方法

発酵バターの「発酵」は、ヨーグルトや漬物などと同様に、乳酸菌の働きを利用したものです。製造過程でクリームに乳酸菌を加えて発酵させるか、バターに直接乳酸菌を練り込むことで作られます。乳酸菌による発酵によって、バター本来の甘さに加え、ヨーグルトのような爽やかな酸味と独特の香りが生まれます。

発酵バターの豊かな芳香を活かす使い方と代用時の注意点

発酵バターは、一般的なバターと同様に様々な使い方ができます。パンやホットケーキに塗って、その芳醇な香りを楽しむのはもちろん、料理に加えることで、奥深いコクと風味をプラスすることができます。特に、発酵バターならではの香りを生かしたレシピは多く、日々の料理をより美味しくすることが可能です。例えば、焼き菓子やソースに使用すると、その豊かな風味が料理全体に奥行きを与えます。ただし、パン作りやお菓子作りに発酵バターを使う際は、レシピに記載されている塩分量に注意し、必要に応じて調整することで、理想的な仕上がりを目指しましょう。

発酵バターは独特な風味が強いため、無塩バターの代用には適さないことがあります。しかし、マドレーヌやパイなど、バターの風味を強く出したいお菓子を作る場合は、試してみるのも良いでしょう。逆に、発酵バターがないときに無塩バターで代用することもできますが、発酵バター特有の風味は感じられなくなる点に注意が必要です。発酵バターならではの豊かな風味は、非発酵の無塩バターでは完全に再現できないため、代用する際は風味の変化を考慮しましょう。

無塩バターの代替品:マーガリンとオリーブオイル

急な料理やお菓子作りで無塩バターが足りない場合でも、他の食材で代用が可能です。それぞれの代替品が持つ特徴を把握し、レシピや理想の仕上がりに合わせて選びましょう。ただし、バター特有の風味や食感を完全に再現することは難しい場合が多いです。

マーガリンによる代用:メリットと注意点

マーガリンは、多くの料理で無塩バターの代わりに使うことができます。特に、パンに塗ったり、炒め物の油として使ったりする際には、手軽で便利な選択肢です。しかし、バターと比較すると、マーガリンはコクや風味がやや劣る場合があります。これは、バターが乳脂肪を主成分とするのに対し、マーガリンは植物性油脂を主成分とすることが多いためです。また、多くのマーガリンには塩分が含まれているため、お菓子作りなど塩分調整が必要な料理で使用する際は、味付けを調整するようにしましょう。無塩マーガリンも販売されているので、お菓子を作る際は探してみると良いでしょう。マーガリンを選ぶ際には、成分表示を確認し、料理の目的に合ったものを選ぶことが大切です。

オリーブオイルによる代用:レシピへの影響

クッキーやパウンドケーキなどの焼き菓子を作る際、無塩バターの代わりにオリーブオイルを使用することもできます。固形のバターの代わりに使う場合は、バターの量の1/3から半分程度が目安となります。オリーブオイルは液体のため、バターとは異なり、しっとりとした食感や、あっさりとした仕上がりになります。また、オリーブオイル特有の香りが加わるため、焼き菓子の風味もバターを使った場合とは違ってきます。特に、風味の強いエクストラバージンオリーブオイルを使うと、その香りが強く感じられることがあります。レシピの風味を大きく変えたくない場合は、精製されたマイルドなオリーブオイルや、他の無味無臭の植物油を検討するのも良いでしょう。オリーブオイルを使う際は、仕上がりの食感や風味の変化を考慮し、レシピとの相性を確認することが重要です。

無塩バターを活用したおすすめレシピ

無塩バターは、お菓子作りやパン作りのみならず、様々なお料理にも使える便利な食材です。ここでは、無塩バターを使った色々なレシピをご紹介します。バターの種類によって風味や出来上がりが変わるので、有塩バターを代わりに使う場合は、少し塩味が強くなることを考慮して、味を調整してみてください。

バタークッキー

材料(約20枚分)

  • 無塩バター:100g
  • 砂糖:70g
  • 薄力粉:150g
  • バニラエッセンス:少々

作り方

  1. バターを室温で柔らかくし、砂糖を加えて白っぽくなるまで混ぜます。
  2. バニラエッセンスを加え、薄力粉をふるいながら混ぜ込む。
  3. 生地をまとめて冷蔵庫で30分休ませる。
  4. 好みの厚さに伸ばし、型抜きして170℃で約12分焼く。

無塩バターを使うことで、素材の風味が引き立ち、香り高い仕上がりになります。

バターケーキ

材料(18cmパウンド型1台分)

  • 無塩バター:120g
  • 砂糖:120g
  • 卵:2個
  • 薄力粉:120g
  • ベーキングパウダー:小さじ1

作り方

  1. バターを柔らかくし、砂糖を加えて泡立てる。
  2. 卵を少しずつ加え、よく混ぜる。
  3. 薄力粉とベーキングパウダーを合わせてふるい、2に加えて混ぜる。
  4. 型に流し入れ、170℃のオーブンで約35分焼く。

無塩バターを使うことで、甘さや風味のバランスが取りやすく、しっとりとした生地に仕上がります。

無塩バターを使ったパン・おかずレシピ

先ほどは無塩バターを使ったお菓子レシピをご紹介しましたが、ここからはパンやおかずのレシピをご紹介します。

2-1. クロワッサン

無塩バターはパン生地の折り込みにも最適です。生地にバターを包み込むことで、層がきれいに出て、香ばしく風味豊かなクロワッサンになります。

ポイント

  • バターは生地と同じくらいの柔らかさにして折り込む。
  • 発酵中は温度管理に注意し、バターが溶けないようにする。

ガーリックシュリンプ

材料(2人分)

  • エビ:200g
  • 無塩バター:20g
  • にんにく:1片(みじん切り)
  • 塩・こしょう:少々
  • パセリ:適量

作り方

  1. フライパンにバターを溶かし、にんにくを香りが出るまで炒める。
  2. エビを加え、塩・こしょうで味付けし、両面焼く。
  3. 仕上げにパセリを振りかける。

バターのコクがエビの旨味を引き立て、簡単ながらレストラン風の一品になります。

バター醤油野菜炒め

材料(2人分)

  • 好みの野菜(キャベツ、にんじん、ピーマンなど):200g
  • 無塩バター:10g
  • 醤油:小さじ2
  • 塩・こしょう:少々

作り方

  1. フライパンにバターを溶かし、野菜を炒める。
  2. 火が通ったら醤油を回し入れ、塩・こしょうで味を整える。

無塩バターを使うことで、野菜本来の味が引き立ち、風味豊かに仕上がります。

無塩バターは、甘味も塩味も自分で調整できるため、幅広いレシピに応用可能です。お菓子やパン作りはもちろん、料理の仕上げにも香りとコクをプラスできる万能食材として活躍します。

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まとめ

この記事では、有塩バター、無塩バター、発酵バターといった様々な種類のバターについて、それぞれの定義、製造プロセス、栄養価、価格帯、そして風味の違いと最適な用途について詳しく解説しました。無塩バターが製菓や製パンにおいて特に重宝される理由、有塩バターとの具体的な代用方法、減塩バターという選択肢、そしてヨーロッパで広く親しまれている発酵バターの魅力についても掘り下げました。さらに、無塩バターがない場合に、マーガリンやオリーブオイルで代用する方法、無塩バターを使ったお菓子や料理の具体的なレシピもご紹介しました。バターは、私たちの食生活をより豊かにする可能性を秘めた食材です。この記事でご紹介した情報を参考に、用途に最適なバターを選び、ぜひ様々な料理に取り入れて、食卓をより豊かに彩ってください。

バターとは?その定義

バターは、厚生労働省によって「生乳、牛乳、または特別牛乳から得られた脂肪球を凝集させたもの」と定義されています。具体的には、生クリームを撹拌して得られる乳脂肪の塊を練り上げた乳製品であり、日本の品質規格では乳脂肪分80.0%以上、水分17.0%以下と定められています。その甘美な香り、滋味深さ、そして豊かなコクは、料理やお菓子作りにおいて欠かせない要素となっています。

有塩バターと無塩バターの一番の違いは何?

有塩バターと無塩バターの最も顕著な違いは、製造工程における食塩添加の有無です。有塩バターは、保存性を向上させ、料理に塩味と豊かな風味を加える目的で塩分が加えられています。それに対し、無塩バター(正式名称は食塩不使用バター)は、パンや焼き菓子を作る際に、塩分量を微調整するために意図的に塩分を加えていません。これによって、料理やお菓子の味の調和を繊細にコントロールすることが可能になります。

お菓子作りやパン作りに無塩バターが推奨されるのはなぜ?

お菓子作りやパン作りに無塩バターが推奨される主な理由は、塩分が小麦粉の粘り成分であるグルテンに影響を与えるからです。塩分が過剰だと、パン生地の膨らみが悪くなったり、パイやクッキーのサクサクとした食感が損なわれたりする可能性があります。無塩バターを使うことで、レシピで指示された塩分量を別途加え、グルテンの形成を適切にコントロールし、理想的な食感と風味を引き出すことができるのです。

有塩バターを無塩バターの代わりに使ってもいい?注意すべき点は?

はい、クッキーやスコーンなど、ある程度の塩味が加わっても美味しくいただけるお菓子であれば、有塩バターで代用できます。ただし、バタークリームのように大量のバターを使用し、甘さを際立たせたいお菓子には適さない場合があります。代用する際は、レシピに記載されている塩の量を減らすか、他の材料や水分量を調整して、全体として塩味が強くなりすぎないように注意しましょう。

発酵バターってどんなバター?甘性バターとはどう違うの?

発酵バターは、製造過程で原料となるクリームに乳酸菌を加えて発酵させるか、バターそのものに乳酸菌を練り込んで発酵させたものです。ヨーロッパでよく使われており、乳酸菌による発酵によって、バター本来の甘さに加え、ヨーグルトのような爽やかな酸味と独特の香りが生まれます。一方、甘性バター(非発酵バター)は発酵の工程を経ないため、酸味や香りは控えめで、原料乳本来の甘みとクリーミーな風味をより強く感じられるのが特徴です。

無塩バターの代用となる食材は?

無塩バターの代替品としては、主にマーガリンや植物油(特にオリーブオイル)が考えられます。マーガリンは、様々な料理でバターの代わりに使用できますが、風味やコクの点ではバターに劣る可能性があります。また、製品によっては塩分が含まれているため、使用量には注意が必要です。一方、オリーブオイルは、焼き菓子(クッキーやパウンドケーキなど)に利用でき、バターの約3分の1から半分の量を目安に代用すると良いでしょう。ただし、バターを使用した場合と比較して、あっさりとした風味に仕上がり、オリーブオイル独自の風味が加わる点に留意してください。

バター