春の訪れを賑やかに告げる桜の開花シーズン。人々が桜を愛でる楽しみの一つに、桜の花が散る頃に食べる"桜餅"があります。ふんわりと上品な香りが漂う桜の葉で包まれた求肥で、日本人にとってなじみ深い和菓子です。桜餅には様々な種類があり、地域によって風味や作り方が異なります。今回は、桜餅の種類や特徴について紹介していきます。
桜餅の生地は小麦粉と道明寺粉の2種類ある!?
桜餅には実は2種類あり、地域によって異なるスタイルで楽しむことができます。以下で、それぞれの特徴と違いについて詳しくご紹介します。
1. 小麦粉で作る桜餅(関東風)
生地の特徴: 小麦粉を水で溶いて平鍋で薄く焼いた生地を使用します。この生地はもちっとした食感が特徴で、色合いも淡いピンク色が多いです。
作り方: 生地を薄く焼いて、その上に餡をのせて包みます。焼き上げることで表面がほんのりカリっとし、中は柔らかい餅のような食感になります。
特徴: 関東地方でよく見られるスタイルで、色鮮やかで華やかな見た目が春を感じさせます。
2. 道明寺粉で作る桜餅(関西風)
生地の特徴: 道明寺粉(もち米を蒸して乾燥させたもの)を使って作る生地は、もち米の粒が感じられるザラっとした食感です。色は通常、淡いピンクや赤みがかった色です。
作り方: 道明寺粉を水で練り、蒸してから餡を包みます。生地はふわっとしたもち米の風味があり、ぷるっとした食感が楽しめます。
特徴: 関西地方で見られるスタイルで、伝統的な和菓子として親しまれています。
桜の葉について
桜餅には桜の葉が包まれており、葉の香りや塩味が餅に移ることで風味が増します。葉を食べるかどうかは個人の好みによります。葉を食べる派の人は、葉の香りと風味を楽しむことができ、葉を取り除く派の人は、あくまで装飾として扱うことが一般的です。
地域の違い
関東: 小麦粉で作る桜餅が主流です。関東風の桜餅は、見た目が鮮やかで、食感もカリっとしています。
関西: 道明寺粉で作る桜餅が主流です。関西風の桜餅は、もち米の風味ともちっとした食感が特徴です。
桜餅はその地域によって異なる特徴があり、どちらの桜餅も春の訪れを感じさせる美しい和菓子です。どちらのスタイルもぜひ試してみて、お好みの桜餅を見つけてください。
関東の桜餅は小麦粉から作られる
関東地方で親しまれている桜餅には、独自の製法があります。その特徴は、生地に小麦粉を使うことにあります。小麦粉の生地を用いることで、桜餅はもちもちとした食感と、しっとりとした質感が生まれるのです。 一般的な桜餅の生地は、お米で作られていますが、関東では小麦粉を使うことで、新たな風味と食感が生み出されています。小麦粉の生地の中には、桜の塩漬けや数種類の餡が包まれており、上品な甘さと花の香りが口中に広がります。 関東の桜餅は、長い歴史と確かな技術によって受け継がれてきた味わいです。春の訪れを祝う美味しい伝統が、世代を超えて愛され続けているのです。桜の花びらが舞う中、上品な味わいの桜餅を堪能することは、日本人の心を癒してくれる至福の時間なのです。
関西で多い道明寺粉製の桜餅。 元々は保存食!?
春の風物詩である桜餅。その起源は意外にも保存食にあったと言われています。もともとは桜の花を乾燥させて長期保存し、必要に応じて炊いて汁粉に混ぜて食べられていました。やがてそれが発展し、餡を加えた菓子に進化したのが現在の桜餅なのです。 関西地方では、その伝統が色濃く残る特徴的な桜餅があります。それが「道明寺粉」を使った桜餅です。道明寺粉とは、もち米を蒸してから乾燥させ、さらに蒸して色付けした粉のことです。この道明寺粉で餡を包むことで、つぶつぶとしたお米の食感が残る皮が特徴的な桜餅が生まれます。 この道明寺粉の歴史は古く、その起源は1000年以上前に大阪の道明寺というお寺で作られていた保存食「道明寺糒」にあると言われています。長期保存が可能だったことから、一般の保存食としても広く用いられ、水やお湯で戻して食べられていたそうです。保存食から発展した道明寺粉の桜餅は、日本人の季節を愛でる心を色濃く体現した味わいなのです。
気になる小麦粉の桜餅と道明寺粉の桜餅のカロリーは?
日本の伝統的な風物詩である桜餅。その味わいは格別ですが、カロリーが気になるところです。日本食品標準成分表によると、小麦粉で作られた桜餅は100gあたり239Kcalとなっています。一方、道明寺粉を使った桜餅は100gあたり200Kcalと、やや控えめなカロリーとなっています。洋菓子のドーナッツ(375Kcal/100g)やショートケーキ(327Kcal/100g)に比べると、桜餅のカロリーは低めで、春の味覚を楽しむ上では嬉しい逸品と言えるでしょう。適量を心して味わえば、健康的にも桜のシーズンを満喫できます。
気になる桜餅の「葉」みんな食べている?
桜餅は桜の葉で包まれていますが、この葉を食べるかどうかで意見が分かれています。葉自体は食用可能で、香りが良いことから食べる人も少なくありません。一方で、繊維質が多く含まれているため、食べにくいと感じる人もいるのです。 実は、桜餅に使われる葉には、目的別に2種類が用意されているのをご存知でしたか?葉を食べない人のために、別の種類の柔らかい葉が使われているのです。香りを愉しみながらも、餅そのものの味を堪能できるよう、こだわりが詰まっているのが桜餅なのです。 桜餅の葉を食べるかどうかは、個人の好みによるところが大きいでしょう。
まとめ
桜餅には地域性を感じさせる多様な種類があります。お花見の思い出を呼び起こすほろ苦い香りや、上品な甘さと歯ごたえの違いを楽しめるのが桜餅の魅力です。日本の春の訪れを祝うにふさわしい、味わい深い和菓子なのです。