家庭菜園で日本の伝統食材、あずきを育ててみませんか? あんこやお汁粉など、様々な料理に使えるあずきは、自分で育てると格別の味わいです。この記事では、あずきの種まきから収穫、そして長期保存の方法まで、初心者でも分かりやすく解説します。無農薬で安心安全なあずきを収穫し、手作りのお菓子や料理を楽しみましょう。さあ、あずき栽培の世界へ飛び込んで、豊かな実りを体験してください!
あずきの栽培・収穫・保存:家庭菜園で成功するポイントとコツ
日中の気温が30度を超える日も増えてきました。家庭菜園で野菜やハーブを育てている皆さん、こんにちは。夏野菜の収穫を楽しんでいる方も、秋冬野菜の準備を始めている方もいらっしゃるかと思います。今回は、私が初めて挑戦したあずきの栽培について、その過程と収穫後の保存方法をまとめました。あんこ、おはぎ、ぜんざいなど、私たち日本人に馴染み深いあずきは、美味しいだけでなく、美容に良い成分も豊富で、ダイエット中のおやつにも最適です。この記事では、あずきの栽培方法、種まきの時期や手順、収穫後の処理と保存方法まで、家庭菜園で成功するための秘訣を詳しく解説します。
あずきの基礎知識:特徴、歴史、栄養価、そして多様な品種
あずき(学名:Vigna angularis)は、東アジアを原産とする一年草です。日本では古くから親しまれており、和菓子やお赤飯など、日本の食文化に深く根付いています。あずきは寒さに弱い性質があり、温暖な気候を好みます。特に霜には弱いため、種まきは地温が10℃を超えてから行うのがおすすめです。あずきの名前の由来は諸説ありますが、一説には、赤い色を表す「あ」と、煮ると溶ける様子を表す「つき」や「ずき」が組み合わさったものと言われています。あずきの歴史は古く、中国の古い薬学書にもその名が登場し、日本でも古来より薬用として利用されてきました。現在、日本におけるあずきの主要産地は北海道であり、国内生産量の約8割を占めています。そのほとんどが和菓子用のあんとして利用されています。その他、あんぱん、おはぎ、ぜんざい、ようかん、甘納豆、お汁粉など、様々な食品に加工されています。あずきは栄養価も高く、特にビタミンB1、カリウム、亜鉛が豊富です。また、あずきの特徴的な赤紫色は、ポリフェノールの一種であるアントシアニンによるものです。「二日酔いにあずきの汁」という言葉があるように、あずきに含まれるビタミンB1はアルコールの分解を助ける働きがあると言われており、現代科学でもその効果が注目されています。これらの成分は、健康維持や美容にも役立つと考えられています。
小豆(アズキ)の多様な品種とそれぞれの特性
あずきの種には、生育期間の違いによって、主に晩生種と早生種の2種類があります。晩生種は栽培が難しく、特定の地域での栽培に適しています。種まきの時期も限られており、栽培には専門的な知識と経験が必要です。一方、早生種は比較的育てやすく、家庭菜園初心者にもおすすめです。さらに細かく分類すると、あずきの品種は、夏小豆型、秋小豆型、中間型の3つに分けられます。夏小豆型は、一定の積算温度に達すると開花する性質を持ち、沖縄を除く全国で広く栽培されています。特に、北日本では4月上旬から5月下旬頃に種をまくのが一般的です。秋小豆型は、日照時間が短くなると開花する短日植物であり、主に西日本で栽培され、温暖な地域では6月中旬から7月中旬頃に種をまくのが一般的です。中間型は、夏小豆型と秋小豆型の中間の性質を持ち、中部地方の山間部や東北地方で栽培されることが多いです。あずきは、地域の気候条件や栽培時期に合った品種を選ぶことが重要です。種を購入する際は、地域の園芸店やホームセンターで扱っている種子を選ぶと、その地域の気候に適した品種を間違いなく選ぶことができます。
種子の選び方と入手先
あずき栽培を始めるにあたり、種子の選び方と入手先は非常に重要です。栽培地の園芸店やホームセンターで、栽培用種子として販売されている地域の気象条件に適した品種を選ぶことが、栽培成功の鍵となります。特に豆類や玉ねぎなどの種を選ぶ際には、早生か晩生か、あるいは地域特性を考慮した品種かどうかを確認することが大切です。栽培用種子の入手が難しい場合でも、家庭菜園での栽培であれば、スーパーなどで食用として市販されている乾燥あずきを使うことも可能です。ただし、市販のあずきは北海道産の夏小豆型品種が多いため、西日本で生産される秋小豆型品種(都府県で育成した品種や地域在来種)が販売されていることもあるため注意が必要です。できるだけ栽培地と気象条件が似通った地域で生産されたあずきを使う方が良い結果が得られる傾向があります。例えば、北海道の夏小豆型品種を温暖な地域で栽培した場合、生育量が小さいうちに開花期を迎え、十分な収量が得られないことがあります。そのため、購入前に品種タイプと原産地を確認することをおすすめします。
家庭菜園であずき栽培を成功させる秘訣:初心者向けステップガイド
あずきの栽培というと、特別な手入れが必要なイメージがあるかもしれませんが、実は意外と手間がかかりません。私も特別なことはせず、気がつけば収穫時期を迎えていました。ただし、全く何もしなかったわけではなく、特に注意した点が3つあります。この3つのポイントこそが、私のあずき栽培を成功に導いた要因だと考えています。一般的に、あずきの生育に適した温度は20~25℃程度。寒さに弱い性質があり、温暖な気候を好みます。そのため、日当たりと風通しの良い場所を選ぶことが、あずき栽培の成功には不可欠です。
生育環境を整える:土壌選びと日当たりの確保
あずきを元気に育てるためには、栽培に適した土壌を用意することが非常に大切です。あずきは、水はけと保水性のバランスが良く、有機物を豊富に含んだ弱アルカリ性の土壌を好みます。特に肥沃な土地である必要はなく、むしろやせ地の方が適しています。家庭菜園で栽培する場合は、場所や土質に神経質になる必要はありませんが、極端に水はけや日当たりの悪い場所、粘土質の強い土壌は避けるようにしましょう。畑であずきを栽培する際は、植え付けの2週間ほど前に苦土石灰を土に混ぜて耕し、土壌のpHを調整します。目安として、1㎡あたりコップ1杯(100~150g)の苦土石灰を使用してください。その1週間後には、堆肥や腐葉土をたっぷりと混ぜ込み、土壌に馴染ませることで、あずきが育ちやすい環境を作ることができます。黒マルチで畝を覆うと、土壌の乾燥を防ぎ、雨による泥はねを防止できるため、病害虫の予防にも効果的です。プランター栽培の場合は、市販の野菜用培養土を使用すると手軽に栽培を始められます。これらの環境を整えることで、あずきの成長を大きくサポートできます。
種まき:時期、方法、発芽のコツ、鳥害対策
あずきの種まきに適した時期は、地温が10℃を超える頃、一般的には5月中旬頃が目安とされています。私の場合は5月中旬に種をまきましたが、やや遅めのタイミングでした。早すぎる種まきは、葉や茎ばかりが茂って実がつきにくくなる「つるぼけ」という現象を引き起こす可能性があります。適切な時期に種をまくことで、生育不良を防ぎ、健全な成長を促すことができます。夏あずきの場合、北海道では5月中下旬、東北から九州では4月上旬~5月下旬が種まきの目安です。秋あずきの場合は、本州では6月中旬~7月中旬に種をまくのが一般的ですが、播種時期は地域や品種によって異なるため、お近くの農業改良普及センターや農協に問い合わせるか、種苗店で確認することをおすすめします。
種まきの具体的な手順ですが、畑の場合は、まず土をよく耕し、平らにならした後、60~70cm間隔で深さ10~20cm程度の溝を作ります。溝の中に肥料を筋状にまき、種が肥料に直接触れないように土で埋め戻します。肥料を埋め戻した上に、10~20cm間隔で2、3粒ずつ、深さ3~4cm程度に種をまきます。株間は25~30cm程度を目安にしましょう。種まきから10日~2週間ほどで発芽します。プランター栽培の場合は、あらかじめ用土に肥料を混ぜておき、直径20cm程度の鉢であれば中央に2、3粒、細長いプランターであれば3箇所程度に2、3粒ずつ、深さ3~4cmに種をまきます。栽培数の目安は、10号鉢に1株、60cmのプランターに2株程度です。種をまいた後はたっぷりと水をやり、発芽するまでは水やりを控えめにしましょう。豆類は鳥に種を食べられてしまうことがあるため、種をまいた後に不織布や寒冷紗をかけて保護するのが効果的です。発芽したら不織布や寒冷紗を取り外します。もし不織布などが用意できない場合は、育苗ポットで発芽させてから畑やプランターに植え付けると、鳥の被害を防ぐことができます。育苗ポットで育てた苗は、本葉が数枚出た頃が植え付けの適期です。畑やプランターに育苗ポットと同じくらいの大きさの穴を掘り、苗をポットごと丁寧に植え付けます。植え付け後、軽く土をかぶせてたっぷりと水をあげましょう。発芽後の間引きは基本的に不要です。
日々の管理:水やり、摘芯、支柱立て
あずきの水やりは、畑に直接植えている場合は、基本的に雨水に任せて大丈夫です。自然の雨で十分な水分が供給されるため、追加で水やりをする必要はほとんどありません。ただし、極端に乾燥した日が続く場合は、水やりを検討しましょう。プランター栽培の場合は、土が乾きやすいため、こまめなチェックが必要です。土の表面が乾いているのを確認したら、鉢底から水が流れ出るまでたっぷりと水を与えましょう。土が完全に乾き、葉が少ししおれてきたタイミングで水を与えるくらいで問題ありません。あずきは過湿を嫌うため、発芽後も水の与えすぎには注意が必要です。あずきは成長すると、小さくて可愛らしい黄色い花を次々と咲かせます。この花が咲いた後に、あずきの実が入ったサヤができます。収穫量を増やすために重要な作業が、摘芯です。本葉が4~5枚の頃に、茎の先端を摘み取ることで行います。摘芯をすることで、茎の成長を一時的にストップさせ、脇芽の成長を促し、枝数を増やします。ベランダなど限られたスペースで栽培する場合は、摘芯によって草丈を抑えることで、風通しが良くなり、より多くのサヤがつき、全体の収穫量アップが期待できます。また、草丈が高くなると倒れやすくなるため、本葉が4~5枚くらいになったら支柱を立てて株を支えましょう。たくさん植えている場合や、畑に植えている場合は、株を囲むように支柱を立て、周りに紐を張るだけでも倒伏防止になります。畑植えの場合は、本葉が4~5枚の頃から開花するまでに2回ほど株元に土を寄せ、倒れないように支えることも大切です。
開花と着莢:あずきの成長と実りのサイン
日当たりの良い場所で栽培した場合、あずきは発芽後、約1ヶ月半から2ヶ月で、小さく可愛らしい黄色の花を咲かせ始めます。この黄色い花は、次々と枝の先端に現れ、咲き終えて花びらが落ちると、緑色の小さな莢(さや)が形成され始め、徐々に大きくなっていきます。この莢の中であずきの豆が育ち、成熟していく様子は、収穫への期待を高めるサインとなります。ただし、開花したすべての花が莢になるわけではなく、結実に至る割合は、品種によって異なりますが、一般的には50%程度と言われています。このようにして、それぞれの莢が成熟へと向かいます。
肥料管理:適切な施肥量と計算方法
小豆はマメ科植物であり、根に共生する根粒菌が空気中の窒素を固定する能力を持っています。そのため、基本的には元肥のみで十分であり、生育期間中の追肥は必須ではありません。種まきの際に、約20gの肥料を土に混ぜ込むことで、その後の追肥は基本的に不要となります。過剰な肥料は、葉や茎ばかりが茂り、実のつきが悪くなる「徒長」の原因となる可能性があるため、注意が必要です。施肥量は、一般的な野菜栽培の約2割程度を目安とし、窒素成分量で2~4kg/10aが推奨されます。肥料は通常、全量を元肥として施用し、追肥は行わないのが一般的です。
市販の化成肥料や家庭菜園用複合肥料には、成分表示としてN:P:K=6:8:8や10-10-10といった表記があります。これは、肥料に含まれる窒素、リン酸、カリウムの各成分の含有量を重量比率(%)で示したものです(ただし、15-15-10を550、14-12-14を424のように一部数字を省略して表示している場合もあります)。肥料の種類によって成分の含有割合は異なるため、実際の施肥量は、栽培基準などで示された単位面積当たりの成分量から、以下の計算式を用いて算出します。通常、リン酸とカリウムは考慮せず、窒素を基準に計算を行います。計算式は以下の通りです。
化成肥料の施肥量(g)=単位面積当たり窒素施肥量(g/㎡)÷使用する化成肥料の窒素成分含有割合(%)×100×栽培面積(㎡)
例えば、1坪(約3.3㎡)の家庭菜園で、窒素施肥量が2kg/10a、使用する化成肥料の窒素成分含有割合が10%の場合を考えてみましょう。まず、2kg/10aをg/㎡に換算します。10aは1000㎡なので、2kg/1000㎡ = 2000g/1000㎡ = 2g/㎡となります。この値を計算式に当てはめると、施肥量(g)= 2g/㎡ ÷ 10% × 100 × 3.3㎡ = 2 ÷ 0.1 × 3.3 = 20 × 3.3 = 66g となります。また、直径20cmの鉢で栽培する場合、窒素施肥量4g/㎡、使用する化成肥料の窒素成分含有割合6%を適用すると、施肥量(g)= 4g/㎡ ÷ 6% × 100 × 0.0314㎡ = 約2g となります。このように、栽培面積と肥料の成分含有割合に応じて、適切な施肥量を計算することが重要です。
コンパニオンプランツの活用
あずきの栽培において、私はコンパニオンプランツとしてあずきの株元にエダマメを植えました。エダマメは土壌を肥沃にし、周囲の植物の生育を促進する効果があると言われています。特に、肥料をほとんど使用しない自然農法では、エダマメのような土壌改良効果のあるコンパニオンプランツは非常に有効です。「タネの種類」「タネまきの時期」「コンパニオンプランツ」という3つの要素を考慮し、自然農法を実践した結果、一般的に栽培が難しいとされるあずきを、ほとんど手間をかけずに収穫することができました。
病害虫対策:主な病気と害虫、予防と対処法
小豆の栽培では、病害虫対策も欠かせません。水はけと日当たりの良い場所を選び、連作を避けることが、健康でおいしい小豆を育てるための重要なポイントです。特に、マメ科植物の連作は連作障害を引き起こしやすいため、過去にマメ科植物を栽培した場所での栽培は避けるようにしましょう。被害を最小限に抑えるためには、日頃から植物の状態を注意深く観察し、早期発見と早期対策を心がけることが大切です。農薬を使用する場合は、必ずあずきが適用作物として登録されている農薬を選び、使用時期、使用方法、注意事項を厳守してください。また、周囲の作物や環境への影響を考慮し、散布には十分注意を払いましょう。
小豆栽培で気をつけたい病害
小豆を栽培する上で注意が必要な病気として、主に以下のものが挙げられます。 まず、**アズキ落葉病**は、冷涼な気候の年に8月上旬から中旬にかけて発生しやすい病気です。発病すると、株の下の方の葉から徐々に枯れていき、最終的には株全体が枯死してしまいます。病気に侵された葉や茎を見つけたら、速やかに取り除いて焼却処分することが重要です。この病気の発生を予防するためには、連作を避け、前にトウモロコシを栽培すると効果的です。 次に、**アズキ萎凋病**は、気温が高く乾燥した状態が続く年の6月下旬から7月上旬にかけて発生しやすい病気で、葉の葉脈と葉脈の間が黄色くなり、葉が内側に巻き込まれるようにして枯れていく症状が見られます。 さらに、**アズキ茎疫病**は、種が発芽しなかったり、発芽してもすぐに立ち枯れてしまうといった症状を引き起こす病気です。この病気への対策としては、抵抗力のある品種を選び、水はけの良い土壌で栽培することが大切です。
小豆栽培における害虫とその対策
小豆を栽培する際には、いくつかの害虫にも注意を払う必要があります。 **スズメガの幼虫**は、大きく太ったイモムシで、小豆の葉を食い荒らします。発生する数は少ないことが多いので、見つけ次第、箸やピンセットなどで一匹ずつ取り除くのが効果的な対処法です。 **メイガの幼虫**は、サヤに小さな穴を開けて内部に侵入し、豆を食害する害虫です。侵入されたサヤを見つけたら取り除き、植え付け時に防虫ネットで株全体を覆い、成虫の飛来を防ぐことが重要です。 小豆は害虫がつきやすい作物なので、適切な防虫対策を行うことが栽培の成功に繋がります。虫の侵入を防ぐためには、トンネル支柱を立てて寒冷紗を張るのが有効な手段の一つです。また、種をまいた後には、鳥に種を食べられないように防鳥糸や反射テープなどを設置するのもおすすめです。
小豆の収穫:最適なタイミングと方法
完全に管理が行き届いていたとは言えない状況での小豆栽培だったため、収穫できた小豆がすべて完璧な状態だったわけではありません。中には虫に食われてしまったものや、収穫時期が遅れてしまったものも見られました。特に小豆は、同じ株の中でもサヤごとに成熟の度合いが異なるため、全てのサヤを同時に収穫するのは非常に困難です。小豆は開花期間が長く、一つの株で次々と花が咲き、サヤが実り始めるため、それぞれのサヤが成熟するまでの時間にばらつきが生じます。収穫のタイミングを見極める目安としては、サヤが乾燥して茶色くなり、サヤを振ったときに中の小豆がカラカラと音を立てるようになったら収穫に適した時期です。
収穫時期の見極め方と二通りの収穫方法
小豆の収穫に最適な時期は、開花後30日から40日程度が目安となり、サヤの色が緑色から褐色に変わり、全体的に硬く乾燥した状態になったときです。サヤを振ってみて、中の豆がカラカラと音を立てていれば、収穫のタイミングであると判断できます。しかし、同じ株の中でもサヤの成熟具合は均一ではないため、収穫方法としては大きく分けて二つの方法があります。
一つ目の方法は、熟したものから順番に「少しずつ収穫」していく方法です。これは、株全体の成熟を待つのではなく、個々のサヤが薄茶色になって硬く乾いたものから、その都度手で摘み取っていく方法で、数回に分けて収穫を行います。この方法には手間がかかりますが、最も品質の良い状態で小豆を収穫できるというメリットがあります。特に温暖な地域で露地栽培している場合、成熟期に雨に当たると豆が腐りやすくなるため、熟したサヤから逐一手摘みで収穫するのがおすすめです。鉢やプランターで数株栽培している場合にも、この方法が適しています。手摘みしたサヤは、新聞紙などの上に広げて風通しの良い場所で乾燥させます。
二つ目の方法は、サヤの7割から8割が褐色になった時点で、株全体をまとめて根元から切り取り、「一斉に収穫」する方法です。小豆は開花期間が長いため、同じ株でもサヤの成熟度にばらつきが出やすいですが、この方法であれば株全体のサヤが7割程度成熟した頃が収穫の目安となります。この方法ならば一度に作業を終えられるため効率的ですが、まだ完全に成熟していないサヤや、すでに熟しすぎたサヤが混ざってしまう可能性があります。切り取った株は束ねて、雨の当たらない軒下などに吊るし、サヤを振るとカラカラと音がする程度まで完全に乾燥させます。
それぞれの方法には長所と短所がありますが、収穫が遅れると虫に食われてしまうリスクが高まります。過去の経験から考えると、収穫時期が遅れることによる虫害のリスクを考慮すると、「少しずつ収穫」する方法の方が良いのではないかと感じています。この方法であれば、最適な状態で収穫できるサヤを見逃さず、虫による被害を最小限に抑えることが可能です。手間はかかりますが、より品質の良い小豆を多く収穫するためには有効な手段と言えるでしょう。
収穫後の脱穀と選別:品質を決定づける重要な最終段階
完全に乾燥したあずきの莢や株からは、豆を取り出す「脱穀」という作業を行います。乾燥させた莢や株を広げた新聞紙やシートの上に置き、棒などで軽く叩くことで、効率的に豆を取り出すことができます。一般的に、あずきの莢には平均して7粒程度、大納言あずきでは4粒程度の豆が入っています。
脱穀が終わったら、次は「選別」です。この工程は、収穫したあずきの品質を向上させるために欠かせません。まず、「ふるい」を使って、豆と混ざっている莢の破片や茎などの不要物を取り除きます。その後、虫食いの豆や変色した豆を手作業で丁寧に取り除きます。選別を終えた豆は、風通しの良い日陰でさらに乾燥させます。この追加の乾燥が、保存中のカビや虫の発生を防ぎ、品質を維持する上で非常に重要です。完全に乾燥した豆は、通気性のある紙袋などに入れ、涼しい場所に保管しましょう。
あずきの最適な保存方法:虫対策と品質維持
収穫したあずきは、まず莢から取り出し、清潔な容器に移して保存します。保存する際に最も注意すべき点は、虫の発生です。暖かい場所に保管すると、収穫時に紛れ込んだ虫の卵が孵化する可能性があります。虫が発生するのは避けたいものですが、もし孵化したのを見てしまったら、せっかく育てたあずきを食べる気が失せてしまうかもしれません。虫害を防ぐためには、冷蔵保存が効果的です。冷蔵庫の低温環境下では、虫の卵の孵化を抑制することができます。常温保存も可能ですが、高温多湿な場所では品質が低下してしまいます。そのため、常温で保存する場合は、乾燥した涼しい場所を選び、直射日光を避けて保管しましょう。適切な方法で保存することで、長期間安心してあずきを保存でき、いつでも美味しいあずき料理を楽しむことができます。
あずきの多彩な活用法:食品から手作りカイロまで
あずきは、日本の食文化に深く根ざした食材であり、その用途は非常に多様です。国内生産量の約8割を占める北海道産のあずきは、主に和菓子用の餡として利用されています。その他、お祝いの席に欠かせない赤飯や、上品な甘さの羊羹、子供にも人気の甘納豆、冬に体を温めるお汁粉など、様々な形で親しまれています。あずきは美容に良い成分も豊富で、ダイエット中のおやつにも適しています。栄養価が高く、ビタミンB1、カリウム、亜鉛などを豊富に含み、特徴的な赤紫色のアントシアニンはポリフェノールの一種です。「二日酔いにはあずきの汁」という言い伝えがあるように、ビタミンB1にはアルコールの分解を助ける効果があると言われています。近年では、食品としての利用だけでなく、あずきを使った手作りカイロも注目されています。綿100%の布で袋を作り、中にあずきを入れて電子レンジで温めるだけで、手軽に利用できます。あずきに含まれる水分が温められ、心地よい温かさが持続します。繰り返し使えるため、環境に配慮したエコカイロとしても人気があります。これらの多様な活用法は、あずきが私たちの生活に深く浸透していることを示しています。
まとめ
今回の栽培を通して、あずき栽培は想像以上に簡単であることがわかりました。地植えだけでなくプランターでも栽培しましたが、どちらも手間をかけずに順調に収穫できました。「種の種類選び」「種まきの時期」「コンパニオンプランツ」という3つのポイントと、適切な栽培環境を整え、日々の管理をきちんと行うことで、家庭菜園初心者でも比較的簡単に育てられるでしょう。あずきは栄養価が高く、食品としてもカイロとしても活用できる、用途の広い作物です。収穫したあずきを何に使うか考えた結果、お正月に美味しいぜんざいを作ることにしました。今からお正月が楽しみです。
質問:家庭菜園が初めてでも、あずき栽培に挑戦できますか?
回答:もちろんです。ご紹介した「品種選び」「種まき時期」「相性の良い植物」の3点に加えて、日当たりや温度、土壌といった栽培環境を整え、適切な水やりと肥料管理をすれば、初心者の方でも手間をかけずに収穫まで育てられます。プランターでの栽培成功例もあり、比較的容易に育てられる作物と言えるでしょう。
質問:あずきの種を選ぶ上で、特に注意すべき点は何ですか?
回答:あずきの種には、生育期間の長い「晩生」と短い「早生」があります。家庭菜園初心者の方には、比較的育てやすい「早生」がおすすめです。また、気候条件によって「夏小豆型」「秋小豆型」「中間型」などの分類があり、栽培する地域や時期に合った品種を選ぶことが大切です。地元の園芸店やホームセンターで販売されている種は、その地域に適した品種である可能性が高いでしょう。手軽に栽培したい場合は、スーパーなどで売られている乾燥あずきも利用できますが、品種と栽培地の気候が合っているか確認することをおすすめします。
質問:あずきの種まきに最適な時期と、発芽を成功させるコツはありますか?
回答:あずきの種まきは、地温が10℃を超える5月中旬頃が目安です。時期が早すぎると、葉や茎ばかりが成長して実がつきにくくなる「つるぼけ」という現象が起こることがあるので注意が必要です。一般的に、夏あずきは北海道で5月中下旬、東北から九州では4月上旬~5月下旬、本州の秋あずきは6月中旬~7月中旬が種まき時期とされていますが、地域や品種によって異なるため、地域の農業改良普及センターや種苗店の情報を参考にすると良いでしょう。種をまく際は、10~20cm間隔で1か所あたり2〜4粒ずつまき、2〜4cmほど土をかぶせます。最初にたっぷりと水を与え、その後は発芽するまで水やりを控えめにしてください。鳥に種を食べられるのを防ぐため、種まき後に不織布や寒冷紗をかけたり、育苗ポットで発芽させてから植え付けたりするのも効果的です。