大切な人を偲び、心を込めてお供えするお菓子選び。故人の好きだったものはもちろん、故人の霊前を華やかに彩る、季節感あふれるお菓子も喜ばれます。しかし、何を選べば良いか迷ってしまう方もいるのではないでしょうか。この記事では、お供えにふさわしいお菓子の選び方から、故人もきっと喜んでくれるおすすめのお菓子までご紹介します。心を込めたお供えで、故人を偲び、感謝の気持ちを伝えましょう。
お供えの基本となる「五供」とは
お供えの基本は、「香・花・灯燭(とうしょく)・浄水・飲食(おんじき)」の5つで構成される「五供(ごく)」です。それぞれに深い意味があり、香や美しい花は仏様が好むもの、灯燭は世の中を明るく照らすものとされています。中でも、食べ物をお供えする「飲食(おんじき)」は、現世に戻られたご先祖様や亡くなられた身近な方々を、心を込めておもてなしするという意味が込められています。
お盆のお供え物としてお菓子が推奨される理由
お盆に贈るお供え物としては、お線香や食品などの「消え物」が一般的です。仏教の教えである「不殺生」の戒律に基づき、肉や魚などの動物性食品や、刺激の強い食品は避けることが望ましいとされています。その点、お菓子は常温で比較的日持ちするものが多い上に、幅広い年齢層の方が食べやすく、お供えした後にお下がりとして分けやすいという利点があるため、非常に人気があります。
お供え物のお菓子を選ぶ上で重要なポイント
お供え物としてお菓子を選ぶ際には、以下の5つのポイントに注意して選ぶと良いでしょう。
- 常温で比較的長期間保存が可能であること
- 個別に包装されており、分けやすい形態であること
- 亡くなられた方やご親族の好みに合致していること
- 落ち着いた色調で、派手すぎない外観であること
- 縁起が良いとされる個数を選ぶこと
日持ちする常温保存可能なお菓子を選ぶ
お供えのお菓子は、お盆などの期間中に飾っておくことが多いため、常温で長期間保存できる、傷みにくいお菓子が適しています。昔ながらの落雁や饅頭の他に、クッキーやマドレーヌといった焼き菓子、水ようかんやゼリーなども喜ばれます。賞味期限が長いものを選ぶことで、お供えした後もゆっくりと味わっていただけます。
個包装のお菓子を選ぶ
お供えしたお菓子は、下げた後に親戚や友人などと分け合うことがよくあるため、個別に包装されているものが重宝されます。外箱や個包装のデザインは、落ち着いた上品なものを選ぶと良いでしょう。色々な種類のお菓子が個包装で入った詰め合わせは、それぞれが好きなものを選べるのでおすすめです。
故人やご親族の好みに合ったお菓子を選ぶ
お供え物は、亡くなられた方への供養の品ですので、故人が生前好んで召し上がっていたお菓子を選ぶのが良いでしょう。集まる人数で分けやすく、賞味期限内に食べきれる量を選ぶことも大切です。幅広い年齢層の方が集まる場合は、シンプルな焼き菓子やゼリーなど、お子様からご年配の方まで食べやすいお菓子を選ぶと良いでしょう。
落ち着いた色味のお菓子を選ぶ
鮮やかな色のお菓子は、お祝い事を連想させるため、お供え物にはあまり適していません。特に赤色や金色は、お祝いの席でよく使われる色なので、できるだけ避けるのが賢明です。落ち着いた色合いの包装や、シンプルなデザインのお菓子を選ぶように心がけましょう。
縁起を担ぐ、お菓子の個数選び
お供え用のお菓子を選ぶ際、詰め合わせの個数にも気を配りましょう。「4」や「9」といった数字は、一般的に良くない意味を持つとされるため、避けるのが賢明です。気にしない方もいらっしゃいますが、故人や贈る相手との関係性を考慮して判断しましょう。
お盆のお供え、お菓子の予算
お盆のお供えとしてお菓子を用意する場合、3,000円~5,000円程度が目安となります。あまりに安価なものは失礼にあたる可能性があり、高価すぎると相手に気を遣わせてしまうかもしれません。初盆の場合は、5,000円~10,000円程度が相場です。金額が大きくなる場合は、お菓子に加えてお花のアレンジメントを添えるのも良いでしょう。
お供えのお菓子、熨斗(掛け紙)のマナー
お供え物のお菓子には、掛け紙をかけるのが礼儀です。弔事用の掛け紙には水引が印刷されており、「結び切り」または「あわじ結び」を選ぶのが一般的です。表書きには「御供」または「御供物」と書きましょう。
熨斗紙の種類と書き方
四十九日法要の前(葬儀・通夜など)には、白黒の水引が用いられた掛け紙を使用し、表書きは「御霊前」とします。四十九日後(法事・七回忌・お盆など)には、白黒、黄白、双銀のいずれかの水引を使用します。ただし、地域や風習によって異なる場合があるため、地域の慣習に合わせたものを選びましょう。
掛け紙を選ぶ際の注意点
右上に飾りのアワビが付いている掛け紙は、慶事用なので、供え物には使用を避けましょう。水引は「結び切り」を選びます。「結び切り」は一度きりであってほしい場合に、「蝶結び」は何度あっても良いお祝い事に使うため、間違えないようにしましょう。
お盆の供え物を渡す際のマナー
供え物を持参する際は、紙袋に入れるか、落ち着いた色柄の風呂敷に包んで持参しましょう。挨拶後、紙袋や風呂敷から供え物を取り出し、相手に渡します。配送する場合は、お盆入りの前日までに届くように手配するのが一般的です。ただし、お盆前は配送が混み合う可能性があるため、早めの手配をおすすめします。
お菓子を供える際のマナー
お菓子などの供え物は、基本的にご遺族が供えるものとされています。持参したお菓子は、直接仏壇に供えるのではなく、ご遺族にお渡しして供えてもらうようにしましょう。掛け紙が見えるように袋から取り出し、相手に向けて渡すのが丁寧な渡し方です。
供える順番について
お菓子を受け取ったご遺族は、供える順番に注意しましょう。仏壇への供え物は「五供」と呼ばれ、①花、②香(線香)、③灯燭(ろうそく)、④浄水、⑤飲食の5種類で構成され、お菓子は「飲食」にあたります。一般的に、まず浄水と飲食(お菓子)を供え、次にお花を飾り、蝋燭に火を灯して線香をあげるという順番で供えます。
お供えのお菓子をいただいた時のお返しについて
お供えとしてお菓子や果物、お花などをいただいた場合、「お返しは必要なのかな?」と迷う方もいるかもしれません。原則として、お供え物に対するお返しは必須ではありません。しかし、もしも高額なお供え物をいただいたのであれば、お返しを検討するのが良いでしょう。一般的に、お供え物の相場は3,000円~5,000円程度(新盆の場合は5,000円~10,000円程度)とされています。
結び
お盆のお供え物としてお菓子を選ぶことは、亡くなった方を偲び、残されたご家族への思いやりを示す大切な機会です。この記事でご紹介した選び方のポイントやマナー、おすすめのお菓子を参考に、故人やご家族が喜んでくれるようなお供え物を選び、温かい気持ちで故人を偲びましょう。
質問1:お盆のお供えには、どのようなお菓子を選べば良いですか?
お盆のお供えには、常温保存が可能で、個包装になっているお菓子が適しています。具体的には、クッキーやマドレーヌといった焼き菓子、羊羹やゼリーなどがおすすめです。故人が好きだったお菓子や、集まる親族の年齢層を考慮して選ぶと良いでしょう。
質問2:お供えのお菓子の予算はどのくらいが適切ですか?
お盆のお供えのお菓子の予算は、一般的に3,000円から5,000円程度が目安とされています。ただし、初盆の場合は5,000円から10,000円程度が目安となることもあります。相手に過度な負担をかけない範囲で、心を込めて選びましょう。
質問3:お供えのお菓子を贈る際、気を付けるべきことはありますか?
お供えとしてお菓子を持参する際には、地味な色合いの包装紙や風呂敷で丁寧に包んで持参し、まずはお悔やみの言葉を述べましょう。その後、包みから取り出して相手に渡します。お菓子はご自身で仏壇に供えるのではなく、ご遺族にお渡しして、お供えをお願いするようにしましょう。熨斗(のし)が付いている場合は、それが相手に見えるように包みから出し、両手で丁寧に差し出すのが礼儀正しい作法です。