日常のスナックとして、また料理やデザートのアクセントとして親しまれているレーズン。小粒ながら、その健康効果は驚くべきものがあります。レーズンにはビタミンやミネラル、食物繊維が豊富に含まれており、腸内環境を整えたり、血圧を安定させたりと、私たちの身体をサポートしてくれます。本記事では、レーズンの具体的な健康効果に加え、その多様な活用法について詳しく紹介していきます。
レーズンとは?その特徴と産地について
レーズンは「干しぶどう」とも呼ばれ、ぶどうを皮ごと乾燥させて作られます。1kgのぶどうから生成されるレーズンは約200gに過ぎず、そのため甘みや栄養が凝縮されています。ぶどうは聖書にもよく登場し、古代から世界中で愛されているフルーツです。栽培地も多く、種類も豊富です。主な生産国としては、中国、イタリア、アメリカ、スペインなどが挙げられます。このようにレーズンには多様な種類と生産地が存在します。皮を残して干されているため、ミネラルや食物繊維、さらにポリフェノールといった色素成分が豊富に含まれていることも特徴です。
レーズンの栄養素:食物繊維
食物繊維は不溶性と水溶性の2タイプが存在し、レーズンにはこれらが適度に配合されています。これにより、便の通りをよくするだけでなく、糖の吸収を抑えたり腸内環境を整える効果があります。野菜や海藻などに豊富に含まれますが、摂取が不足しがちな栄養素です。
レーズンの栄養素:鉄分
レーズンには、銅、マグネシウム、カルシウム、リンといった豊富なミネラルが含まれていますが、中でも特に鉄分が重要です。鉄は、血流を通して酸素を運ぶヘモグロビンの一部を成します。これにより、全身に酸素が行き渡るのをサポートし、貧血の予防に重要な役割を果たします。鉄分はレバーや海藻に多く含まれていますが、現代人に不足しがちな栄養素でもあります。
レーズンの栄養素:カリウム
体内の水分均衡とミネラルバランスの維持に欠かせないカリウムは、果物から多く摂取できます。このミネラルは、特にナトリウムの調整に役立ち、塩分過剰摂取時には余分な水分とともにナトリウムを体外に排出します。さらに、夏は汗をかくことでナトリウムが失われますが、その際カリウムも同時に失われます。カリウムの不足は、食欲減退や倦怠感を引き起こすため、夏バテを防ぐためにも重要です。
レーズンの栄養素:ポリフェノール
ポリフェノールは植物に含まれる色素や苦味の成分であり、老化や生活習慣病を引き起こす活性酸素を無害化する優れた抗酸化作用を持っています。様々な種類が存在し、レーズンには特にエピカテキンやアントシアニンが豊富に含まれています。抗酸化力の指標としてORAC(酸素ラジカル吸収能)があります。日常的に接する果物や野菜の中で、一食あたりのORAC値を比較すると、レーズンはその値が非常に高いグループに分類され、これがレーズンの抗酸化作用の強さを示しています。
レーズンの栄養素:ブドウ糖
ドライフルーツのレーズンは甘い味わいから砂糖が多く含まれていると認識されがちですが、実際にはショ糖を含まないのです。レーズンに含まれているのはブドウ糖と果糖です。これらの糖分は、ショ糖以上に体内での吸収が速やかで、即座にエネルギーに変わる性質を持っています。
健康に寄与するレーズンの効果
レーズンの持つ栄養に注目し、その健康への影響を確認していきましょう。今回は、6つの主な効果に絞ってご紹介します。
効能①がん防止
現在、2人に1人ががんになるとされる時代です。がんの要因は複数存在しますが、活性酸素もその1つです。紫外線の照射や喫煙、酸化した食物の摂取によって、人は酸化ストレスを受け、結果として細胞を傷つける活性酸素が増加します。さらに、体内の脂質と結合して過酸化脂質が作られると、がんの発生や免疫力の低下、そして動脈硬化を引き起こす可能性があります。そのため、抗酸化作用に優れるレーズンは活性酸素の働きを抑制し、これらの病気の予防に繋がります。また、レーズンに含まれるカテキンは抗菌作用を持ち、胃がんの原因となるピロリ菌の抑制に役立ちます。さらには、がんの進行を抑える効果も期待されています。
効果②糖尿病を防ぐための予防策
2016年の厚生労働省の調べによれば、「糖尿病の疑いがある人や、糖尿病の可能性を完全に除外できない人」の数はおよそ2,000万人に上ります。糖尿病は放置すると多くの合併症を引き起こすため、その予防が肝要です。予防の基本としては、栄養バランスの良い食事と適度な運動が求められます。レーズンはミネラルやビタミンを多く含んでいるため、食事のバランスを整えるのに役立ちます。さらに、血糖値の急上昇を防ぐことが重要です。急激に血糖値が上がると、インスリンが過剰に分泌され、次第にその効果が弱まっていく危険性があります。レーズンに含まれるエピカテキンと食物繊維は、血糖値の上昇を緩やかにし、糖尿病の予防に寄与します。カテキンには代謝を活性化して肥満を防ぐ効果もあるため、ダイエットにも有益です。
効果③生活習慣病全般の予防にもつながる
生活習慣病には多くの種類があります。例えば、過剰な塩分摂取が原因で高血圧になると、脳卒中や心筋梗塞といった病気のリスクが高まります。レーズンは高血圧を含む様々な生活習慣病の予防に役立つカリウムが含まれており、ナトリウムを体外に排出します。さらに、レーズンは脂質の量が少ないのもメリットです。ドライフルーツの中でも特に脂質が低く、コレステロールは全く含まれていません。このため、動脈硬化や肥満の予防に適した食材と言えるでしょう。
効果④腸内環境の改善と便秘の解消効果
レーズンには、水溶性および不溶性の食物繊維が含まれています。不溶性の食物繊維は腸に刺激を与えて便通を改善し、水溶性の食物繊維は善玉菌の栄養源となり、腸内フローラを整える役割を担っています。腸内の善玉菌を増やしその環境を整えることは、肥満や感染症などの病気予防に寄与するだけでなく、認知や精神の健康にも良い影響を及ぼすことが確認されています。
効果⑤貧血を防ぎ、だるさを回避
貧血に必要なミネラルとして、鉄だけでなく銅も重要です。レーズンには鉄や銅が豊富に含まれているため、貧血の予防に役立ちます。貧血は、ふらつきやめまいだけでなく、だるさや疲れやすさ、動悸・息切れなどの症状として現れることもあります。そのため、日常的にこれらのミネラルを摂取することが大切です。
運動時のエネルギー供給源としての効果⑥
レーズンにはブドウ糖や果糖がたっぷり含まれており、素早くエネルギーを得ることができます。アメリカでは、特にスポーツをする際のエネルギー補給として、多くの人に利用されています。マラソンに特に適していると言われ、即効性のエネルギーに加え、食物繊維が糖分の吸収をゆっくり持続させるため、長時間エネルギーを供給することができるのです。また、その小さなサイズと手軽さも人気の理由です。さらに、カリウム不足で足がつることもありますが、レーズンを食べることでこの予防にもつながります。
レーズンの適切な1日あたりの摂取量
レーズンには多くの効果がある一方で、生のフルーツと比較すると糖質やカロリーが高めですので、適量を心がけることが大切です。推奨されるレーズンの摂取量は、約1/2カップ(80g程度、約120~140粒)です。この量を毎日摂ることで、ガン予防や血糖値、血圧の管理に良い影響があると研究結果が示しています。しかし、1/2カップのレーズンは約250kcalと高カロリーだと感じる方もいるかもしれません。確かに、日本では間食の目安を1日200kcalに設定しています。ですので、カロリーに配慮する場合は、100kcal程度(30~40g)に留めると良いでしょう。
手軽に楽しめるレーズンは健康に最適!
レーズンは美味しさだけでなく健康にも良い効果をもたらします。日常生活に少し取り入れることで、健康的で活力ある日々を送ることが可能です。自分に合ったレーズンを探して、毎日の健康的な習慣に加えてみてはいかがでしょうか。