春の訪れはうれしいものですが、花粉の飛散とともに、くしゃみや鼻のムズムズ、目のかゆみなどに悩まされる方も多いのではないでしょうか。市販薬を使う以外にも、日常の食生活や習慣の中でできるケアに関心が集まっています。今回は、そんな中でも注目されている「柑橘類」を活用した取り入れ方をご紹介。身近な食材を上手に使って、少しでも春を快適に過ごせるヒントを探ってみましょう。
みかんの皮が注目される理由とは
最近では、「みかんの皮がすこやかな生活に役立つかもしれない」といった話題が増えてきました。みかんの皮は、乾燥させて「陳皮(ちんぴ)」と呼ばれる生薬として古くから親しまれてきましたが、現代ではその成分の一つ「ノビレチン」が研究対象となっています。ノビレチンは、温州ミカンの果皮に含まれるポリメトキシフラボノイドの一種で、健康的な生活を支える成分として注目されています。
一部の研究では、ノビレチンに含まれる成分が、季節の変わり目に起こりがちな不快感に対して穏やかに寄り添う働きを持つ可能性があることが報告されています。また、乳製品の一種と組み合わせることで、その働きがより良いかたちで発揮されることが期待されている研究結果もあります。
みかんの皮、どうやって取り入れる?
とはいえ、みかんの皮をそのまま食べるのは難しいですよね。そこでおすすめなのが、乾燥させて粉末状にした皮を、ヨーグルトに混ぜて摂る方法です。ヨーグルトの風味で飲みやすくなり、日常の習慣として続けやすいのもポイントです。その他、スープやカレーに加えたり、はちみつと合わせてお湯に溶かして飲んだりするのもおすすめ。いずれも、香りや風味が程よいアクセントになります。

話題の柑橘「じゃばら」もチェック
こうした柑橘類の活用法が注目される中、「じゃばら」という珍しい果実が近年話題を集めています。「邪(じゃ)を払う」という名前の由来からもわかるように、昔から縁起のよい果実として親しまれてきた香酸柑橘で、和歌山県北山村を中心に栽培されています。
じゃばらの特性と、他の柑橘類との違い
じゃばらは、そのまま食べやすい甘いみかんとは異なり、ゆずやスダチのように、その果汁や果皮を料理に利用する香酸柑橘です。見た目や風味はゆずに似ていますが、「香りのゆず」に対し「果汁のじゃばら」と言われるほど、果汁がたっぷりでジューシーな点が大きな特徴です。強い酸味を持ちながらも、意外と糖度も高いため、まろやかな味わいも楽しめます。また、種がほとんどなく、使いやすく搾りやすいことも、じゃばらの魅力の一つ。焼き魚、漬物、鍋料理、飲み物など、多岐にわたる料理で重宝され、後からくるほろ苦さが料理のアクセントにも最適です。
じゃばらが注目される理由と、その背景にある調査結果
じゃばらは「季節の変わり目の不快感にうれしい変化があった」といった声が広がり、近年ますます注目を集めている柑橘類です。和歌山県北山村では、じゃばらの摂取が春先の生活にどう影響するかを探るため、2001年から定期的にモニター調査を実施してきました。2022年2月下旬〜3月中旬にかけても同様の調査が行われ、その結果が発表されています(出典: 和歌山県北山村 2022年花粉症モニター調査結果発表, URL: https://www.atpress.ne.jp/news/340833, 2022-12-27)。
その調査では、北山村産じゃばらを取り入れた人のうち、約半数が「なんらかの良い変化を感じた」と回答。こうした結果から、じゃばらが季節の不調に寄り添う食品素材として注目されていることがうかがえます。
じゃばらの特長としてよく挙げられるのが、「ナリルチン」というフラボノイドが豊富に含まれている点です。ナリルチンは柑橘類に広く含まれる成分のひとつですが、じゃばらには特に多く含まれていることが分かっています。この成分が、日々の健やかな生活を支える可能性があるとして、一部では研究も進められています。
ナリルチンは果皮に多く含まれるため、果皮をまるごと活用した粉末や、果皮ごと搾ったジュースなどの加工品も多く開発されています。今後も、地方自治体や研究機関によって、じゃばらに関するさらなる知見の蓄積が期待されています。
じゃばらを美味しく楽しむ、日常の取り入れ方

酸味とほろ苦さが特長の「じゃばら」は、そのまま食べるよりも、料理や飲み物に風味をプラスする使い方がおすすめです。ゆずやレモンのように、香り豊かなアクセントとして日々の食卓に取り入れてみませんか?
まずは定番の使い方として、たっぷり果汁をしぼって、自家製ポン酢やジュース、酎ハイなどに加えるのが人気。すっきりとした風味が広がります。
また、ヨーグルトにじゃばら果汁とはちみつを加えると、朝食にもぴったりの爽やかな一品に。じゃばらのほろ苦さをしっかり味わいたい方には、マーマレードもおすすめです。炭酸水で割れば夏にぴったりの爽快ドリンクに、寒い季節にはお湯割りや紅茶に加えてほっと一息つく時間にぴったりです。
料理のシーンでは、魚料理との相性が抜群。ちらし寿司や海鮮丼の酢飯に米酢の代わりにじゃばら果汁を使えば、香り高い仕上がりに。さらに、野菜との組み合わせも◎。和え物やピクルスなど、いつもの料理にじゃばらを加えるだけで、ひと味違う楽しみ方ができます。
じゃばらには、ナリルチンをはじめ、ビタミンCやβ-カロテンなど、日々の健康を支える成分がバランスよく含まれているのも魅力のひとつ。花粉の季節に注目されがちな果実ですが、季節を問わず活用できる万能な柑橘です。
ぜひ、毎日の食事やリフレッシュタイムに、じゃばらを取り入れてみてください。
まとめ
花粉の季節、食生活に自然の恵みを取り入れることで、健やかな毎日をサポートすることができます。みかんに含まれるノビレチンや、じゃばらに多く含まれるナリルチンといったフラボノイドは、季節の変わり目に注目されている成分のひとつです。中でも、みかんの皮はヨーグルトと一緒に摂ることで、手軽に取り入れられるのが嬉しいポイントです。じゃばらは果汁や果皮を活かした商品も多く、調味料やドリンクなど日常の食事に取り入れやすいのも魅力。粉末タイプなど、使いやすい形で販売されている製品もあります。毎日の食卓に柑橘類をうまく取り入れながら、季節の変化に寄り添うライフスタイルを楽しんでみてはいかがでしょうか。自然の力を味方に、春の暮らしを心地よく過ごしましょう。
みかんの皮が注目されている理由は?
みかんの皮には「ノビレチン」という成分が豊富に含まれており、季節の変わり目に注目される成分のひとつです。ノビレチンは、アレルギーに関わる物質「ヒスタミン」の放出に関する研究などでも取り上げられており、みかんの皮を活用する方法に関心が高まっています。
みかんの皮をよりおいしく手軽に摂るには?
研究では、βラクトグロブリンを含むヨーグルトと一緒に摂取することで、ノビレチンの働きにも注目が集まっています。粉末状のみかんの皮をヨーグルトに混ぜると手軽に取り入れられ、味もマイルドになります。そのほか、水やお湯に溶かしたり、カレーや味噌汁に少量加えるなど、毎日の食事にプラスする方法もおすすめです。
じゃばらとは?どこで栽培されているの?
じゃばらは、「邪気を払うほど酸っぱい」と言われるほど、独特な酸味と香りをもつ柑橘です。ユズやスダチとは異なり、和歌山県北山村を原産地とする自然交配によって生まれた品種で、以前は「幻の果実」とも呼ばれていました。現在では、和歌山県のほか、愛媛県や三重県などでも栽培されています。
なぜ「じゃばら」が季節の悩みに注目されているの?
じゃばらが注目される理由のひとつが、「ナリルチン」というフラボノイドを豊富に含んでいる点です。特に果皮に多く含まれるこの成分は、季節性の不調に対して研究が進められている成分のひとつとして知られています。そのため、じゃばらの果皮を丸ごと使ったパウダーやジュースなどの加工品も数多く展開されています。和歌山県北山村による調査では、実際に摂取した方の中で「体感があった」と答えた人もいたという報告もあり、引き続き関心が高まっています。
じゃばらを使ったおすすめレシピは?
じゃばらは、その強い酸味とほのかな苦味から、そのまま食べるよりも、料理に風味を加える用途に適しています。例えば、ゆずやレモンのように、香りづけやアクセントとして使用するのがおすすめです。果汁をたっぷり搾って、自家製ポン酢やジュース、あるいは酎ハイの材料にしたり、ヨーグルトに蜂蜜と混ぜて風味豊かなデザートにしたりするのも良いでしょう。また、マーマレードにして、炭酸水やお湯で割れば、爽やかなドリンクとしても楽しめます。特に、魚料理との相性は抜群で、酢飯や和え物、ピクルスなど、お米を使った料理に米酢の代わりに使うのもおすすめです。