じゃがいも図鑑:品種ごとの特徴
一口にじゃがいもと言っても、その種類は実に豊富。世界中で2000種以上、日本でも約20種が流通し、それぞれ個性的な特徴を持っています。この記事では、代表的な品種をピックアップし、食感、風味、旬の時期などを詳しく解説。さあ、奥深いじゃがいもの世界へ、一緒に足を踏み入れてみましょう。

じゃがいもの基本情報:多様性と日本の状況

じゃがいもはナス科の植物で、原産は南米のアンデス地域です。世界には2,000を超える品種があり、日本でよく見かけるのは約20種類です。品種によって食感や旬が異なり、最適な調理法も変わります。日本には17世紀初頭にジャカルタから伝わり、「じゃがたらいも」から「じゃがいも」という名前になったと言われています。別名「馬鈴薯」は、中国語で馬の鈴に似ていることに由来するとされています。

じゃがいもの生産地:北海道が大部分を占める

じゃがいもの栽培は冷涼な気候が適しており、国内生産の約8割を北海道が担っています。北海道産のじゃがいもには、「キタアカリ」や「とうや」のように、北海道にちなんだ名前が多いのが特徴です。その他、長崎県、鹿児島県、千葉県などでも栽培されています。

じゃがいもの選び方:料理に合わせた品種選び

じゃがいもを選ぶ際は、作りたい料理に合わせて品種を選ぶと良いでしょう。煮込み料理には、煮崩れしにくいメークインやとうやが適しており、ポテトサラダやコロッケには、ホクホクとした男爵やキタアカリがおすすめです。赤肉種や紫肉種は、蒸したりレンジで加熱することで、鮮やかな色を活かした料理が楽しめます。家庭菜園での栽培もおすすめです。

食感別おすすめ品種:ホクホク系じゃがいも

ホクホクした食感が特徴のじゃがいもは、ポテトサラダ、コロッケ、じゃがバターなど、じゃがいもそのものの風味を楽しむ料理に最適です。

男爵

日本で広く親しまれている代表的な品種、男爵。その特徴は、表面の凹凸と丸みを帯びたフォルムです。果肉は白く、口に含むとホクホクとした食感とともに優しい甘みが広がります。でんぷんを豊富に含むため、煮込むと形が崩れやすい性質を持ち合わせています。そのため、マッシュポテトやコロッケなど、素材を活かしてつぶして調理する料理に最適です。一年を通して安定して手に入るのも、人気の理由の一つでしょう。

キタアカリ(北あかり)

キタアカリは、あの男爵を親に持つ品種で、「男爵」と「ツニカ」の交配によって生まれました。外見は男爵に似ていますが、芽の部分が赤紫色をしているので簡単に見分けられます。鮮やかな黄色の果肉は、男爵をしのぐ甘みと豊富なビタミンCを含んでいます。でんぷん質が多く、ホクホクとした食感から「黄金男爵」や「クリじゃがいも」「栗じゃが」といった愛称で呼ばれることも。ポテトサラダから粉ふきいも、じゃがバター、コロッケ、マッシュポテト、そして冷製スープのビシソワーズまで、様々な料理でその美味しさを発揮します。主な産地は北海道や千葉県です。

ベニアカリ(紅あかり)

ベニアカリは、その名の通り赤い皮と白い果肉を持つ、丸い形が特徴的なじゃがいもです。男爵よりもでんぷん質を多く含み、ホクホクとした食感が際立ちます。煮崩れしやすい性質から、マッシュポテトやコロッケ、ガレット、ポテトサラダ、フライドポテトなど、素材をつぶして使う料理に特に適しています。貯蔵することで甘みが増すため、より一層美味しく味わえます。主な産地は北海道、滋賀県、石川県です。

アンデスレッド

アンデスレッドは、鮮やかな赤い皮と黄色の果肉のコントラストが美しいじゃがいもです。「ネオデリシャス」という別名でも親しまれています。主な産地は岡山県、九州地方、中国地方、そして北海道。旬の時期は12月初旬から2月、そして6月から7月にかけてです。ポテトサラダ、コロッケ、ジャーマンポテト、じゃがバターなど、食卓を彩る様々な料理で活躍します。

ジャガキッズパープル90

ジャガキッズパープル90は、鮮やかな紫色の皮と、ほんのりとした黄色の果肉が特徴的なじゃがいもです。「アンデスレッド」を基に、高度なプロトプラスト培養技術を用いて開発されました。一般的には「ジャガキッズパープル」として親しまれています。主に北海道で栽培されており、旬を迎えるのは5月頃。その美しい色合いを活かして、コロッケやポテトサラダ、フライドポテト、ポテトチップスなど、様々な料理で楽しむことができます。

こがね丸

こがね丸は、特にでんぷん含有量が高く、揚げ物料理に最適な品種として知られています。芽が出にくい性質を持ち、長期保存にも適しています。主な産地は北海道で、旬の時期は6月から7月にかけて。カリッとした食感が魅力のフライドポテトや、風味豊かなポテトチップス、滑らかなポテトサラダなど、幅広い用途で活躍します。

グラウンドペチカ

グラウンドペチカは、独特のまだら模様の赤い皮と、濃い黄色の果肉が印象的なじゃがいもです。「レッドムーン」の突然変異によって偶然発見されました。別名「デストロイヤー」とも呼ばれています。長崎県や滋賀県が主な産地で、旬は5月から6月頃。素材本来の味を活かしたじゃがバターや、彩り豊かなポテトサラダ、定番のフライドポテトのほか、ホイル焼きやオーブン焼きなど、様々な調理法で美味しくいただけます。

ジャガキッズレッド

ジャガキッズレッドは、最新のバイオテクノロジーを駆使して誕生した品種です。小ぶりで丸みを帯びた可愛らしい形をしており、赤い皮と黄色の果肉のコントラストが特徴的です。肉質は非常に柔らかく、火が通りやすい一方で、煮崩れしやすい一面も持っています。舌触りがなめらかなため、特にポテトサラダに最適です。

食感別おすすめ品種:煮崩れしにくいジャガイモ

形をキープしたい煮込み料理には、煮崩れしにくいジャガイモが最適。カレーやシチュー、肉じゃがなどで、その持ち味を発揮します。

メークイン

メークインは、ジャガイモの代表格である男爵薯と並び、広く栽培されている品種です。そのルーツはイギリスにあり、大正時代にアメリカ経由で日本へ。名前は英語の「Mayqueen(5月の女王)」に由来すると言われています。見た目は長楕円形で、表面の凹凸が少ないのが特徴。果肉はほんのりとした黄色で、きめ細かく、しっとり滑らかな舌触りです。煮込んでも形が崩れにくいため、肉じゃが、カレー、シチュー、グラタン、ポテトサラダ、ジャーマンポテトなど、煮込み料理全般にマッチします。主な産地は北海道をはじめ、鹿児島県、長崎県、千葉県などです。

インカのひとみ

インカのひとみは、人気品種「インカのめざめ」の血統を受け継ぐ品種です。サイズは小ぶりで、インカのめざめよりわずかに大きめ。形は長楕円形で、皮は淡い赤色、果肉は鮮やかな黄色をしています。風味や食感はインカのめざめによく似ており、煮崩れしにくいのが特徴です。また、揚げても色が変わりにくいので、見た目も美しく仕上がります。主な産地は北海道で、旬は4月頃。クリームシチューやカレー、肉じゃがなど、様々な料理に活用できます。

インカの目覚め

インカのめざめは、南米アンデスのジャガイモをルーツに持つ、日本で改良された品種です。小粒で、果肉の色は濃い黄色。きめが細かく、ホクホクとした食感が特徴で、栗やナッツのような独特の風味と甘みが楽しめます。シンプルに蒸すだけでも美味しく、煮崩れしにくいので、カレー、シチュー、肉じゃがといった煮込み料理のほか、ポテトチップス、ポテトフライ、コロッケ、ポテトサラダなど、幅広い料理に活用できます。ただし、芽が出やすい性質があるため、長期保存には不向きです。主な産地は北海道で、旬は9月~11月頃。低温で保存すると、デンプンが糖に変わり、甘みと風味がより一層増します。

とうや(黄爵)

北海道で生まれた「とうや」は、その名の通り洞爺湖にちなんで名付けられました。別名「黄爵」とも呼ばれ、丸みを帯びた形状と、果肉の鮮やかな黄色が目を引きます。舌触りが滑らかで、しっとりとした食感が特徴。でんぷん質が少ないため、ホクホク感は控えめです。煮崩れしにくい性質から、肉じゃが、カレー、サラダ、クラムチャウダーなど、煮込み料理や炒め物に最適です。また、ビタミンCが豊富に含まれているのも魅力の一つ。主に北海道で栽培され、旬は8月中旬から1月下旬にかけてです。

シンシア

シンシアはフランスで開発され、1996年にEUで品種登録された後、1997年に日本へ導入されました。長期保存が可能で、貯蔵期間が長くなるほど甘みが増すという特徴があります。北海道や青森県が主な産地で、旬の時期は6月から7月です。肉じゃが、カレー、シチュー、コロッケ、グラタンなど、様々な料理に活用できます。

北海こがね

北海こがねは、特にフライドポテト用に開発された品種です。揚げても変色しにくい特性を持つため、揚げ物に適しています。果肉の色が濃い黄色であることから、「北海黄金」とも呼ばれます。メークインのように細長い形状で、ねっとりとした食感と滑らかな口当たりが特徴です。フライドポテトなどの加工用としてだけでなく、生鮮品としても美味しく食べられます。煮崩れしにくいので、煮物にも向いています。主な産地は北海道と鹿児島県で、旬は7月から10月。保存期間に応じて甘みが増します。

十勝こがね

十勝こがねは、北海道で品種改良されて誕生しました。楕円形の形状で、皮は白黄色をしており、芽が浅く少ないのが特徴です。芽が出にくいため、長期保存に適しています。表面の凹凸が少ないため調理がしやすく、滑らかな舌触りとホクホクとした食感が楽しめます。煮崩れしにくく、揚げても変色しにくいという利点があります。蒸すと一層ホクホク感が増し、幅広い料理に活用できる万能なじゃがいもです。

レッドムーン

レッドムーンは、その名の通り、表皮が鮮やかなピンク色から赤色を帯び、内部は深みのある黄色をしています。「紅じゃがいも」や「紅メークイン」という別名でも知られていますが、市場での流通量は比較的少なめです。主に北海道や沖縄県で栽培されており、旬は7月から8月にかけて。おすすめの調理法としては、グラタン、肉じゃが、シチュー、カレー、ポタージュ、ポテトサラダなどが挙げられます。

ジャガイモの保存方法:長持ちさせるためのポイント

ジャガイモは、低温環境で保存すると、デンプンが糖分に変化し、甘味が増します。特に、「インカのめざめ」や「インカのひとみ」などは、保存後に甘さが増し、独特の風味が生まれます。芽が出やすい品種も存在するため、長期保存には注意が必要です。

まとめ

この記事では、多種多様なじゃがいもについて、それぞれの個性と、その持ち味を最大限に引き出す調理法を詳細にご紹介しました。 各品種が持つ独自の風味や舌触りを活かすことで、毎日の食事がさらに楽しくなることでしょう。 ぜひ、色々な品種を試してみて、あなたにとって最高のじゃがいもを見つけてください。

質問:じゃがいもの品種はどのくらい存在しますか?

回答:世界全体では2,000を超える品種が存在すると言われており、日本国内では約20種類が市場に出回っています。

質問:皮が赤いじゃがいもと一般的なじゃがいもでは、どのような違いがありますか?

回答:皮の色の違いは品種によるもので、食感や煮崩れやすさも品種によって異なります。

質問:じゃがいもをより長く保存するための良い方法はありますか?

回答:じゃがいもは低温で保管することで保存期間を延ばすことができます。 ただし、品種によっては発芽しやすいものもあるため、保管場所には注意が必要です。
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