食卓の定番、じゃがいも。煮物、炒め物、揚げ物…どんな料理にも合う万能食材ですが、実は種類によって食感や風味が大きく異なることをご存知ですか?せっかく調理するなら、それぞれのじゃがいもの個性を活かしたいもの。この記事では、用途に合わせたじゃがいもの選び方を徹底解説!種類ごとの特徴や、スーパーでの見分け方をマスターして、いつもの料理をさらに美味しく、楽しくしてみませんか?
じゃがいも選びの基礎知識:おいしさを見極めるポイント
じゃがいもを選ぶ際、まず考えるべきは用途です。作りたい料理に最適な品種を選びましょう。良質なじゃがいもの特徴として、一般的に皮が薄く滑らかで、ふっくらとした形をしていることが挙げられます。手に取った時に**しっかりとした重みを感じる**ものが、水分を豊富に含んだ新鮮な証拠です。同じくらいの大きさなら、より重い方を選びましょう。また、皮が薄く滑らかで、ふっくらとしているものが良品です。表面がしなびていたり、緑色に変色しているものは避けましょう。 芽が出ているじゃがいもは、本体の栄養が芽に奪われ、風味が落ちていることが多いです。ただし、芽が出る直前のじゃがいもは、でんぷんが糖化して甘みが増している場合があり、おいしいこともあります。じゃがいもの色も重要なチェックポイントです。表面が緑色に見えるものは避けましょう。緑色の部分にはソラニンという天然毒素が多く含まれており、摂取すると吐き気や腹痛などの食中毒を引き起こす可能性があります。濃い緑色に変色したじゃがいもは避ける方が多いと思いますが、わずかに変色しているものにも注意が必要です。ソラニンは摂取量によっては危険な場合もあります。緑色に変色したじゃがいもは絶対に食べないでください。もし自宅のじゃがいもが緑色になった場合は、緑色の部分と芽を大きめに、しっかりと取り除いてから調理してください。
じゃがいもの種類:普通のじゃがいもと新じゃがいも、その違いと見分け方
じゃがいもは大きく「普通のじゃがいも」と「新じゃがいも」に分けられ、それぞれに特徴があります。普通のじゃがいもは、収穫後に一定期間貯蔵されたもので、皮が厚めで、ホクホクとした食感のものが多いです。一方、「新じゃがいも」は春に収穫される、掘りたてのじゃがいものことを指します。男爵いもやメークインといった品種に関わらず、その時期に収穫されたものを総称して新じゃがいもと呼びます。新じゃがいもは普通のじゃがいもに比べて水分が多く、みずみずしい味わいが特徴です。また、皮が非常に薄く、指で軽くこするだけでむけるほど柔らかいため、皮ごと調理するのに適しています。新鮮な新じゃがいもを見分けるには、いくつかのポイントがあります。まず、表面に傷がなく、つるつるとして光沢のあるものを選びましょう。新じゃがいもは水分が多いため、傷があるとそこから傷みが広がりやすく、虫食いの原因にもなります。ただし、皮が非常に薄く剥がれやすいため、少し皮が剥けかけている程度であれば問題ありません。次に、芽が出ていないものを選ぶことが大切です。普通のじゃがいもは芽が出ることがありますが、新じゃがいもから芽が出ている場合は、鮮度が落ちていると考えられます。最後に、緑色がかったものは避けるべきです。通常のじゃがいもと同様に、ソラニンを多く含んでいる可能性があるため注意しましょう。
じゃがいもの主要品種と特徴:料理に合わせて選ぶ
じゃがいもは品種によって、甘み、食感、煮崩れのしやすさなど、さまざまな特性を持っています。日本で特に有名なのは「男爵」と「メークイン」ですが、他にも多くの品種があり、それぞれ適した料理があります。例えば、男爵は粉質でホクホクとした食感が特徴で、煮崩れしやすい性質があるため、ポテトサラダやコロッケ、マッシュポテトなど、じゃがいも本来の風味を生かしたい料理に向いています。一方、メークインは粘質で煮崩れしにくく、細長い形をしていることが多いです。カレーやシチュー、肉じゃがなどの煮込み料理や、フライドポテトなど、形を残したい料理に適しています。このように、料理の仕上がりをイメージして最適な品種を選ぶことが、じゃがいも料理をよりおいしくする秘訣です。他にも多くの品種がありますので、迷った際は店員さんに特徴を確認してから購入すると良いでしょう。
じゃがいもを長持ちさせる保存方法:鮮度を保つコツ
じゃがいもは適切な方法で保存することで、鮮度とおいしさを長く保てます。特に水分が多い新じゃがいもは、普通のじゃがいもとは異なる注意が必要です。じゃがいも全般に言えることですが、直射日光を避け、風通しの良い冷暗所で保存するのが基本です。通気性の良いカゴや紙袋に入れ、リンゴを1つ一緒に入れておくと、リンゴから出るエチレンガスがじゃがいもの発芽を抑える効果があります。冷蔵庫の低温環境(約2~4℃)でじゃがいもを保存すると、でんぷんが糖に変わる『低温糖化』が起こります。これにより甘みが増す一方、揚げたり炒めたりした際に焦げ付きやすくなり、有害物質であるアクリルアミドが生成されやすくなるというデメリットがあります。そのため、煮込み料理などに使う場合を除き、基本的には常温保存が推奨されます。
じゃがいもの見分け方と種類ごとの特徴
じゃがいもの鮮度を見極めるポイント
じゃがいもを選ぶ際、鮮度を見分けることは重要です。新鮮なじゃがいもは料理の味を格段に引き上げます。まず、表面をチェックしましょう。皮に張りがあり、滑らかなものが新鮮です。しわが寄っていたり、ぶよぶよしているものは避けるべきです。次に、重さを確認します。見た目の大きさに比べてずっしりと重いものは、水分を多く含んでおり、新鮮な証拠です。また、芽が出ていないかも確認しましょう。芽が出ているものは、味が落ちている可能性があります。最後に、色を確認します。全体的に均一な色で、緑色に変色していないものを選びましょう。緑色に変色している部分はソラニンという有害物質を含んでいるため、取り除く必要があります。
代表的なじゃがいもの種類と特徴
じゃがいもには様々な種類があり、それぞれに異なる特徴を持っています。それぞれのじゃがいもに適した料理法を知ることで、より美味しくじゃがいもを味わうことができます。以下に、代表的なじゃがいもの種類と特徴をご紹介します。
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男爵薯(だんしゃくいも):ゴツゴツとした形が特徴で、粉質でホクホクとした食感が楽しめます。加熱すると煮崩れしやすいため、ポテトコロッケやマッシュポテトなど、粉ふきいもに向いています。
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メークイン:細長い形をしており、煮崩れしにくいのが特徴です。そのため、カレーやシチュー、肉じゃがなど、煮込み料理に適しています。しっとりとした食感も楽しめます。
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キタアカリ:皮の色が黄色く、果肉も黄色いのが特徴です。甘みが強く、ホクホクとした食感も楽しめます。ポテトサラダやジャーマンポテトなど、素材の味を生かした料理に向いています。
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インカのめざめ:栗のような甘さと、ねっとりとした食感が特徴です。小粒で皮が薄いため、皮ごと調理するのもおすすめです。揚げ物やローストなど、シンプルに素材の味を楽しむ調理法が適しています。
じゃがいもの保存方法
常温保存のコツ
じゃがいもは基本的に常温で保存できますが、いくつかのポイントを守ることで、より長く美味しく保存することができます。まず、風通しの良い冷暗所で保存することが重要です。直射日光や高温多湿を避け、段ボール箱や紙袋に入れて保存しましょう。また、リンゴと一緒に保存すると、リンゴから発生するエチレンガスがじゃがいもの発芽を抑制する効果があります。ただし、傷んだじゃがいもがあると他のじゃがいもも傷みやすくなるため、定期的に状態を確認し、傷んだものから取り除くようにしましょう。
長期保存のための冷凍保存
じゃがいもを長期保存したい場合は、冷凍保存がおすすめです。ただし、生のまま冷凍すると食感が悪くなるため、加熱してから冷凍するようにしましょう。マッシュポテトやポテトサラダなど、調理してから冷凍すると、解凍後すぐに使えるので便利です。また、フライドポテトのように揚げてから冷凍することも可能です。冷凍する際は、小分けにしてラップで包み、冷凍用保存袋に入れて保存しましょう。冷凍した場合の日持ちは、だいたい1ヶ月程度です。切ったじゃがいもや茹でたじゃがいもも、冷凍することで長期間保存が可能です。
まとめ
じゃがいもは、品種の選択から調理方法、保存方法まで、その知識を深めることで、日々の食事がより豊かになる素晴らしい食材です。適切な品種を選ぶことで、料理の風味や食感が向上し、男爵やメークインといった代表的な品種だけでなく、多様な特性を持つじゃがいもが存在することを理解することは、料理の可能性を広げます。特に春に旬を迎える新じゃがは、みずみずしさと薄い皮が特徴で、通常のじゃがいもとは異なる選び方や保存方法をすることで、その美味しさを最大限に楽しむことができます。適切な選び方と保存方法を実践することで、じゃがいもの鮮度と美味しさを長く保ち、食品廃棄を減らすことにも繋がります。この記事でご紹介した選び方のポイント、おすすめレシピ、保存のコツを参考に、ご家庭でのじゃがいも料理をさらに美味しく、楽しく探求していただければ幸いです。
じゃがいも選びで最も大切なことは何ですか?
じゃがいもを選ぶ上で最も重要なのは、用途に合わせて品種を選ぶことです。その上で、皮が滑らかで、ふっくらとした形をしており、**手に取った時に重みを感じ**、しっかりとした硬さがあるもの、そして大きすぎない中サイズのものが良いでしょう。芽が出ているものは避けるべきですが、芽が出る寸前のものは甘みが強くなっています。特に新じゃがを選ぶ際には、傷がなく、表面がツルツルと光沢のあるものを選び、芽が出ていたり、緑色に変色しているものは避けましょう。
男爵とメークイン、どう使い分ければいい?
男爵は、粉質でホクホクとした食感が特徴なので、ポテトサラダ、コロッケ、マッシュポテトなど、じゃがいも本来の風味と食感を活かしたい料理に適しています。一方、メークインは粘質で煮崩れしにくいという特徴があるため、カレー、シチュー、肉じゃがといった煮込み料理や、フライドポテトに適しています。
芽が出たり緑色になったじゃがいもは食べても大丈夫?
じゃがいもに芽が生えたり、緑色に変色している箇所は、ソラニンという天然の有害物質を多く含んでいます。これを摂取すると、吐き気や腹部の不快感といった食中毒の症状が現れることがあります。ジャガイモの可食部分は、100gあたり平均7.5 mgのソラニンやチャコニンを含んでいて、そのうち3~8割が皮の周辺にある。一方、光に当たって緑色になった部分は100gあたり100 mg以上のソラニンやチャコニンを含んでいるといわれています。また、芽や傷のついた部分にもソラニンやチャコニンが多く含まれる。体重が50kgの人の場合、ソラニンやチャコニンを50mg摂取すると症状が出る可能性があり、150mg~300mg摂取すると死ぬ可能性があります。(出典: 厚生労働省『自然毒のリスクプロファイル:ジャガイモ』, URL: https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000082078.html, 2007-09-07)
もしじゃがいもから芽が出ている場合は、芽とその周辺の緑色に変色した部分を、広めに、そして丁寧に取り除けば食べられます。しかし、芽が多数出ていたり、じゃがいも全体が緑色に変色している場合は、安全のために食べるのを避けることを推奨します。
新じゃがいもの特徴と最適な保存方法
新じゃがいもは、一般的なじゃがいもとは異なり、収穫後すぐに市場に出回るため、皮が非常に薄いのが際立った特徴です。購入する際は、皮が薄くて、指で軽く擦るだけで容易に剥がれそうなものを選ぶと、新鮮で品質が良いでしょう。新じゃがいもは、その瑞々しい食感と、さっぱりとした風味が魅力です。保存方法としては、通気性の良い新聞紙やキッチンペーパーで包み、直射日光を避けた涼しい場所で常温保存するのが理想的です。新じゃがいもはできれば1個ずつ新聞紙などにくるみ、通気性の良い冷暗所か、これからの時期は気温が上がるので野菜室で保存します。新じゃがいもは芽が出ることは少ないですが、念のためりんごと一緒に保存すると、りんごが出すエチレンガスで芽が出にくくなります。また保存の際、0℃以下になると、でんぷん質が破壊されて味が悪くなるので、温度を下げ過ぎないように注意しましょう。ビニール袋に入れたり、生のまま冷蔵庫や冷凍庫で保存するのは避けるべきです。
じゃがいもをより長く保存するための秘訣
じゃがいもをできるだけ長く保存したい場合は、生の状態で保存するよりも、一度加熱してから保存する方法が適しています。特に新じゃがいもの場合、加熱後にマッシュポテトの状態にしてから冷凍保存するのがおすすめです。この方法ならば、使いたい時にすぐに使え、食感の変化も最小限に抑えることができます。通常のじゃがいもであれば、直射日光を避け、風通しの良い冷暗所で保存し、リンゴを一緒に保管することで発芽を抑制するのも効果的です。