甘酸っぱい果実が魅力のすもも。庭木として育てている方も多いのではないでしょうか。美味しい実をたくさん収穫するためには、適切な剪定が欠かせません。しかし、「剪定って難しそう…」と不安に思っている方もいるかもしれませんね。この記事では、初心者の方でも安心してすももの剪定ができるよう、時期ごとの剪定方法や年間スケジュールを分かりやすく解説します。剪定の基本をマスターして、すももの木を健康に育て、美味しい実りを楽しみましょう!
スモモとは
スモモは、バラ科スモモ属(またはサクラ属)に分類される果樹で、学術的には「Prunus salicina」や「Prunus domestica」という名称で知られています。英語では「Plum」または「Prune」と呼ばれます。原産地は種類によって異なり、「Prunus salicina」は中国、「Prunus domestica」は南ヨーロッパや西アジアが起源です。スモモ属には、ウメやアンズ、プルーンなど、私たちの食卓でおなじみの果実を実らせる植物も含まれています。名前の由来は、果実の形状がモモに似ているものの、モモよりも酸味が強いことから「酢桃(スモモ)」と呼ばれるようになったとされています。
スモモの種類
スモモは大きく分けて、日本で改良された「スモモ(日本スモモ)」と、海外で品種改良された「プルーン(西洋スモモ)」の2種類が存在します。スモモには非常に多くの品種があり、それぞれ自家結実性の有無が異なります。自家結実性を持つ品種は、1本だけでも実をつけるため、比較的容易に栽培できます。美味しい果実を収穫するためには、適切な品種を選ぶことが大切です。
スモモの剪定
スモモを健康に育て、良質な果実を収穫するためには、剪定が欠かせません。剪定は、果実の品質、収穫量、そして樹木の生育状況に大きく影響を与える重要な作業です。
剪定のポイント
剪定に適した時期は、一般的に12月から2月頃です。スモモは植え付けから3年ほどで花芽をつけ始めます。長い枝は20~30cm程度の長さに切り詰め、花芽が付いている短い枝が十分に成長できるように促します。垂直方向に伸びる徒長枝は、日当たりを悪化させたり、樹高を不必要に高くしたりする原因となるため、剪定の対象となります。
剪定方法
スモモ(プラムを含む)の剪定では、日当たりと風通しを良くするために、内向きに伸びる枝や込み合った枝を間引く「間引き剪定」と、枝の長さを調整する「切り戻し剪定」が基本となります。鉢植えを例にとると、植えつけて1年目の冬は、主幹から発生する枝の先端を1/3程度切り戻し、混み合った枝はつけ根まで切り詰めます。2年目以降は、6月の夏期剪定も併用し、樹勢が強い場合は剪定を控えめに、樹勢が弱い場合はやや強めに剪定するのが一般的です。
コンパクトに育てるための剪定
スモモ(プラム)は通常2~4m程度の高さまで成長します。すももの剪定は、樹の休眠期である12〜2月頃に行います。この時期は落葉後で芽吹き前のため、樹形把握が容易で花芽の誤除を防げます。また、剪定箇所からの病原菌侵入リスクが低く、樹体の回復力も高まります。...すももの生育サイクルを見ると、3月中旬に発芽し、3月下旬から4月中旬に開花します。その後、7月中旬に新梢が停止し、8月には翌年の花芽が分化するため、この時期までの管理が重要となります。
品種別の剪定ポイント
スモモの剪定は、品種ごとの特性を理解して行うことが重要です。果実の品質、収穫量、樹勢などを調整するためには、それぞれの品種に適した剪定方法を知っておく必要があります。
大石早生(おおいしわせ)の剪定
大石早生は、上に伸びやすい性質があります。成木になると樹高が高くなるため、若木の時から支柱を使って枝を誘引し、低く仕立てるように工夫しましょう。花芽の付き方は平均的ですが、枝の勢いに合わせて切り返し剪定を行い、花芽の形成と新梢の生育のバランスを保つことが大切です。短果枝に花芽が多くつきすぎると、着果負担が大きくなり樹勢が弱まる原因となります。そのため、短果枝が混み合っている箇所は定期的に間引き、残す短果枝も先端を軽く剪定して花芽の数を調整し、枝の活力を維持することが大切です。これにより、品質の良い果実の収穫にも繋がります。成木の太い枝を大きく切り落とすと、樹勢が著しく低下し、枯れてしまうこともあるので、剪定の際は大きな切り口を作らないように注意が必要です。
ソルダムの剪定
ソルダムは枝が広がりやすい性質を持つため、剪定で樹の骨格を作る際は、枝がやや上を向くように整えていくことが大切です。花芽がつきやすく、枝先が垂れ下がりやすいので、実をつける枝は強めに切り戻すことがポイントです。こうすることで、太い枝の近くから新しい枝が出やすくなります。横方向に伸びる枝の間隔は少し狭めにし、3~4年ごとに切り戻しを行いましょう。定期的に枝を更新することで、樹の形を維持し、収穫量を安定させることができます。また、ソルダムは枝の数が少なく、太い枝が日焼けしやすいので、勢いよく伸びる枝を上手に利用して、日差しから守ってあげましょう。
太陽・貴陽(きよう)の剪定
これらの品種は枝がまっすぐ上に伸びやすく、放っておくと樹形がほうきのように乱れがちです。若木の時から樹高を低く抑えることを意識し、骨格となる枝を誘引しましょう。枝の切り返しは、強すぎても弱すぎても良くありません。強すぎると勢いの強い枝ばかりになり、弱すぎると枝の先端に花芽が集中して枝が垂れ下がってしまいます。適度な強さで切り返すことが重要です。また、これらの品種は大玉の実をつけるため、質の高い果実を収穫するには、勢いのある新しい枝を育てることが大切です。そのため、やや強めに切り返すことを心がけましょう。さらに、太陽や貴陽は果実の色づきが良い品種なので、下の方の枝にも十分に日光が当たるように剪定することが重要です。適切な枝の配置によって、果実全体が均一に色づくことが期待できます。
まとめ
プラム(スモモ)栽培は、適切な品種を選び、しっかりと管理することで、ご家庭でも美味しい実を収穫する喜びを味わえます。この記事を参考に、ぜひプラム(スモモ)の栽培に挑戦してみてください。剪定の方法や病害虫への対策など、重要なポイントを押さえることで、より豊かな収穫に繋がるでしょう。
質問1:プラム(スモモ)は1本でも実がなりますか?
回答:プラム(スモモ)は、基本的に自分の花粉では受粉しにくい性質があるため、1本だけでは実がなりにくいです。ただし、1本でも実がなる品種(自家結実性のある品種)を選べば、1本でも収穫できます。品種を選ぶ際には、自家結実性があるかどうかを確認するようにしましょう。
質問2:スモモの剪定に適した時期はいつですか?
回答:スモモの剪定に最適な時期は、木が休眠状態に入る12月から2月にかけてです。この時期は葉が落ちているため、木の形をしっかりと確認しながら作業を進めることができ、誤って花芽を取り除いてしまう心配も少なくなります。さらに、剪定後の切り口から病原菌が侵入するリスクを抑える効果も期待できます。
質問3:スモモがかかりやすい害虫にはどのようなものがいますか?
回答:スモモは、アブラムシ、カイガラムシ、そしてシンクイムシといった害虫の被害を受けやすい果樹です。アブラムシやカイガラムシを発見した場合、まずはピンセットや歯ブラシなどを使って丁寧に取り除く、テープで捕殺する、あるいは被害の少ないうちに牛乳やでんぷん由来の薬剤(スプレー)を散布するなどの物理的・生物的防除を試しましょう。これらの方法で対処しきれず被害が広がる場合は、お住まいの地域でスモモに使用できる登録のある殺虫剤の使用を検討してください。農薬を使用する際は、必ずラベルに記載された使用方法、時期、回数を守り、周囲の環境や人に配慮して正しく使用しましょう。