甘くて美味しいいちごを自宅で育てたい!そう思ったら、まず最初に考えるべきは栽培場所選びです。日当たりや水はけなど、いちご栽培には適した環境と避けるべき環境があります。場所選びを間違えてしまうと、せっかく育てても実がつかなかったり、病気にかかりやすくなったりすることも。この記事では、いちご栽培で成功するための庭選びのポイントと、避けるべき場所について詳しく解説します。初心者の方でも安心して美味しいいちごを収穫できるよう、丁寧にガイドします。
いちごの基礎知識
いちごは、世界中で愛される果物として広く栽培されています。その証として、品種改良は活発で、家庭菜園愛好家向けにも様々な品種が登場しています。例えば、一粒が15~20gにもなる大粒の品種や、見た目も珍しい白い実をつける品種など、栽培する人の好みや目的に合わせて選ぶことができます。これらの品種は、食味の良さはもちろんのこと、その美しい姿で観賞用としても楽しまれています。
いちご栽培はビギナーには難しい?
いちごは、世界中で広く親しまれている果物であり、品種改良も進み、家庭菜園向けのバラエティ豊かな品種が存在します。しかし、その栽培には独特の注意が必要なため、家庭菜園での難易度はやや高めと言えるでしょう。主な理由として、栽培期間が比較的長いことと、「ランナー」と呼ばれるつるの管理が挙げられます。ランナーは新たな株を増やすために重要な役割を果たしますが、その伸びる方向を調整したり、必要に応じて切り取ったりする作業が定期的に発生します。これらの作業は、植物が健康に育ち、豊かな収穫を得るためには欠かせませんが、初心者には少し複雑に感じられるかもしれません。そのため、家庭菜園でいちご栽培を始める際には、まず「一季なり」と呼ばれる育てやすい品種を選ぶことをおすすめします。これらの品種は、一度の収穫期に集中的に実をつけるため、管理が比較的簡単で、成功体験を得やすいでしょう。
家庭菜園におけるいちごの年間スケジュール
家庭菜園でいちごを育てる際には、年間を通じた計画を立てることが成功の秘訣です。いちごは多年草であり、適切な手入れをすれば数年にわたって収穫を楽しめます。特に一季なりの品種では、特定の時期に重要な作業が集中します。具体的には、苗の植え付けは通常9月から10月頃に行われます。この時期にしっかりと根を張らせることで、冬の寒さに耐え、翌春の開花と実を結ぶ準備をします。冬の間は成長が緩やかになりますが、寒さ対策をすることで株を守ります。そして、4月頃に開花の時期を迎え、自然に受粉が行われますが、必要に応じて人工授粉を促すことも有効です。受粉から約1ヶ月半後の4月から5月頃には、実が赤く色づき、収穫期を迎えます。収穫が終わると、ランナーの管理や翌年の株の更新、または連作障害を避けるための植え替えなどを検討する時期となります。このサイクルを理解し、季節に合わせた手入れを計画的に行うことが、美味しくて大きないちごを収穫するための大切なステップです。

栽培場所の選択
いちごを庭で栽培する際、日当たりが良く、風通しの良い場所を選ぶことが、成功への第一歩となります。いちごは十分な日光を浴びることで、光合成が活発になり、甘くて大きないちごを実らせます。また、風通しの良い場所は、湿度が高くなるのを防ぎ、うどんこ病や灰色かび病といった病気のリスクを減らす効果があります。土壌の準備と並行して、栽培場所を慎重に選ぶことが重要です。
土壌準備と畝作り
いちごは、水はけと保水性のバランスが取れており、わずかにアルカリ性の土壌を好みます。健全な生育と豊かな実りを実現するためには、これらの条件を満たす土壌作りが不可欠です。まず、苗を植え付ける約1ヶ月前に、畑全体を深く耕して土を柔らかくします。こうすることで、根がしっかりと広がるための環境が整います。次に、植え付けの2週間ほど前に、土壌のpHを調整するために苦土石灰を施し、同時に元肥として堆肥や化成肥料を混ぜ込みます。堆肥は土壌の保水性と排水性を向上させ、化成肥料は成長に必要な栄養分を供給します。これらの材料を土に均等に混ぜ込んだ後、幅80cm、高さ15cm程度の畝を作ります。畝を作ることで、水はけがさらに良くなり、土からの湿気による病害虫のリスクを減らす効果も期待できます。プランターでいちごを育てる場合は、市販の野菜用培養土を使用するのが簡単でおすすめです。これらの培養土は、いちごの生育に適した水はけ、保水性、そして栄養バランスが調整されているため、初心者でも安心して使用できます。適切な土壌準備は、いちごが病気に強く、元気に育つための基盤となります。
植え付け時期とポイント
いちご(一季成り品種)の苗を植えるのに最適な時期は、一般的に9月から10月頃です。この時期に植え付けることで、苗は冬の休眠期に入る前にしっかりと根を張り、翌春の成長に備えることができます。苗を植え付ける際には、苗同士の間隔を約30cm程度空けることが大切です。これにより、それぞれの株が十分な日光と栄養を得られるだけでなく、風通しを良くして病気を予防することにもつながります。特に重要なポイントは、ランナー(親株から伸びるつる)が畝の内側を向くように苗を植えることです。これは、いちごの花と実がランナーの反対側に多くできるため、畝の内側に実がなるように配置することで、収穫作業がしやすくなり、地面に直接触れて傷つくリスクを減らすためです。さらに、いちごの苗のクラウン(葉の付け根、成長点がある部分)が地上に出るように浅めに植えることも重要です。クラウンが土に埋まってしまうと、成長点が腐ったり、新しい葉や花芽の形成が妨げられたりする可能性があります。逆に、浅すぎると根が乾燥しやすくなります。適切な深さに植え付けたら、株元の土を軽く手で押さえて固定し、たっぷりと水をやり、土と根を密着させましょう。
水やりの頻度と注意点
いちご栽培における水やりは、土の表面が乾いたらたっぷりと与えるのが基本です。水の与えすぎは根腐れの原因になるため、土の状態をよく確認してから水やりを行いましょう。特に畑で栽培している場合、ある程度の期間雨が降っていれば、真夏を除いて自然の雨だけで十分に育つこともあります。これにより、水やりの手間を省けますが、乾燥が続く時期や、実が大きくなる時期には特に注意が必要です。土の湿り具合をこまめにチェックし、水不足にならないように適宜水を与え、健康な株と甘い実を育てましょう。プランター栽培の場合は、畑に比べて土の量が少ないため、より頻繁な水やりが必要になることがあります。
肥料・追肥の与え方
いちごを丈夫に育て、たくさんの実を収穫するためには、苗を植え付けた後から収穫期にかけて、定期的に肥料を与えることが大切です。ただし、肥料は多すぎても少なすぎても良くないので、適切な量とタイミングを見極めることが重要です。植え付け時に与える元肥だけでは、成長に必要なすべての栄養を補うことができないため、株の成長に合わせて追肥を行う必要があります。特に、花が咲き始め、実がつき始める時期は多くの栄養を必要とするため、この時期の追肥は非常に効果的です。追肥には、緩効性の化成肥料や液体肥料などがよく使われます。しかし、肥料の与えすぎは、葉ばかりが茂って実がつきにくくなったり、根を傷つけてしまう原因になるため、肥料のパッケージに記載されている指示に従って、適切な量を守ることが大切です。特に、窒素成分が多い肥料を与えすぎると、葉は大きくなるものの、実の成長が妨げられることがあります。リン酸やカリウムなどの成分もバランス良く含んだ肥料を選ぶことで、花芽の形成や実の肥大を促進し、甘くておいしいいちごの収穫につながります。土の状態や株の成長具合を観察しながら、肥料の量を調整することが、いちご栽培を成功させるためのポイントです。
庭にいちごを植える際の注意点
いちごは比較的丈夫な植物ですが、冬の寒さ対策は重要です。晩秋に植え付けが終わったら、株元にマルチングを施しましょう。マルチングとは、土の表面を藁や腐葉土などで覆うことです。地温の低下を防ぎ、根の凍結を予防します。マルチングは、病気の予防にも有効です。雨による泥はねを防止し、病原菌の飛散を抑制します。また、土壌の乾燥を防ぎ、雑草の抑制にもつながります。積雪地帯や霜が降りやすい地域では、不織布をかけると更に効果的です。春の生育を促し、収穫量を増やします。
受粉を成功させるために
いちごは春に白い花を咲かせます。通常は、風や昆虫によって自然に受粉が行われます。しかし、家庭菜園などでは、受粉が不十分になることがあります。風通しが悪かったり、昆虫が少ない環境では、人工授粉を行うと良いでしょう。受粉が不十分だと、実が変形したり、大きく育たないことがあります。人工授粉の方法は簡単です。開花した花を軽く揺すって花粉を落としたり、筆や綿棒で花粉をめしべにつけてあげましょう。晴れた日の午前中に行うと効果的です。花粉が乾燥しているため、受粉しやすくなります。適切な受粉作業で、形の良い、甘いいちごを収穫できます。
収穫時期の見極め方とコツ
いちごの収穫時期は、一般的に春から初夏にかけてです。開花後、約1ヶ月半で実が赤く熟します。収穫の目安は、ヘタの近くまで赤く色づいていることです。全体が真っ赤に熟したいちごは、甘くて美味しいサインです。もし、白い部分が残っている場合は、もう少し待ちましょう。収穫する際は、実を傷つけないように丁寧に扱いましょう。ヘタのすぐ上の茎をハサミで切って収穫します。手で無理に引っ張ると、株を傷める可能性があります。収穫したいちごはデリケートなので、優しく扱い、早めに食べましょう。適切な時期に収穫することで、美味しく味わえます。
病害虫から守るための対策
いちご栽培で注意すべきは、病害虫の被害です。代表的な病気として、「うどんこ病」や「灰色かび病」があります。うどんこ病は、葉に白い粉状のカビが発生する病気です。風通しの悪い場所で発生しやすいので、株間を広くとり、葉を整理して風通しを良くしましょう。灰色かび病は、果実や葉に灰色のカビが生える病気です。多湿な環境で発生しやすいため、マルチングで泥はねを防ぎ、傷んだ葉は早めに除去しましょう。害虫としては、アブラムシやハダニに注意が必要です。アブラムシは、新芽や葉の裏に群生し、植物の汁を吸います。見つけ次第、取り除くか、水で洗い流しましょう。ハダニは、葉の裏に寄生し、葉を白く変色させます。乾燥した環境で発生しやすいので、葉に霧吹きで水をかけましょう。病害虫の早期発見と対策が、いちご栽培成功の秘訣です。
イチゴ栽培で避けたい組み合わせ:共存植物の注意点
イチゴを育てる際、特定の植物を近くに植えることで、病気や害虫から守ったり、成長を促進したりすることが可能です。これは共存植物(コンパニオンプランツ)と呼ばれ、自然の力を利用した栽培方法として注目されています。ただし、イチゴとの相性には良い組み合わせと悪い組み合わせがあるため、植物を選ぶ際には注意が必要です。
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*注意!イチゴと相性の悪い植物** 家庭菜園で人気のイチゴですが、例えばニラ、タイム、ミント、ローズマリー、そしてキャベツなどを近くに植えると、イチゴの生育が遅れることがあります。これらの植物は、イチゴの成長を妨げる物質を放出したり、栄養を奪い合ったり、特定の害虫を引き寄せる可能性があるため、できるだけ離して栽培することが大切です。特に、タイム、ミント、ローズマリーなどのハーブ類は、根がよく張るため、イチゴの栄養を奪ってしまうことがあります。
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*推奨!イチゴと相性が良い植物:ニンニク** 一方で、イチゴとの相性が良いとされるのがニンニクです。ニンニクの持つ香り成分、例えばアリシンなどには、強い抗菌作用や虫を寄せ付けない効果があります。これを利用することで、イチゴをうどんこ病や灰色かび病などの病気、そしてアブラムシなどの害虫から守ることが期待できます。イチゴの株の間にニンニクを植えることで、自然な形で病害虫対策をすることができます。このように、相性の良い植物を配置することは、農薬の使用を減らし、より健康なイチゴを育てるための有効な手段となります。
コンパニオンプランツとは?相性を考慮することの重要性
家庭菜園で野菜を育てる際、一つの野菜だけを育てるのではなく、複数の野菜を組み合わせて植えることは、収穫量の増加や野菜の風味を向上させる効果的な方法として知られています。この中でも特に重要なのが、コンパニオンプランツという考え方です。コンパニオンプランツとは、一緒に植えることで互いの成長を助け合ったり、病害虫を防いだり、土壌の状態を良くしたりする植物の組み合わせを指します。例えば、ある植物が出す香りが害虫を遠ざけたり、根から分泌する物質が土壌の栄養吸収を助けたり、日陰を作ることで土壌の乾燥を防いだりする効果が期待できます。しかし、すべての植物が相性が良いわけではありません。中には、互いの成長を妨げたり、同じ病害虫を引き寄せてしまったりする組み合わせも存在します。これらの相性の良し悪しを事前に把握しておくことは、家庭菜園を成功させる上で非常に重要です。適切なコンパニオンプランツを選ぶことで、農薬の使用を減らし、より健康的で美味しい野菜を育てることが可能です。逆に、相性の悪い組み合わせを選んでしまうと、期待通りの収穫が得られなかったり、病害虫の被害が拡大したりするリスクがあるため、注意が必要です。相性の良し悪しを理解し、上手に活用することで、家庭菜園の楽しみをさらに深めることができるでしょう。
避けるべき野菜の組み合わせ
家庭菜園では、植物同士の相性を考慮することが、健康な野菜の育成と豊かな収穫に繋がります。以下に、特定の野菜との相性が悪い、あるいは良いとされる組み合わせを具体的な例とともにご紹介します。
枝豆との組み合わせ:相性の良いもの、悪いもの
枝豆は家庭菜園でも人気の野菜ですが、ほとんどの豆類はネギ類との相性が良くないとされています。ネギ類が放出する成分が、豆類の根に共生する根粒菌の活動を抑制し、生育を鈍らせる可能性があるため注意が必要です。一方、枝豆と相性が良いのはニンジンです。ニンジンを枝豆と一緒に植えると、互いの成長を助け合う効果が期待できます。また、ナスなども枝豆と相性が良いとされており、一緒に植えることで双方にとって良好な生育環境を作り出すことができます。
庭でいちごを育てる際の注意点:避けるべき植物とは?
家庭菜園で人気を集めるいちごですが、一緒に植える植物には注意が必要です。特に、キャベツ、ボリジ、タイム、ローズマリー、ミント、じゃがいもなどは、いちごの生育に悪影響を及ぼす可能性があります。これらの植物は、いちごの成長を妨げたり、病害虫を呼び寄せたりする原因となるため、近くに植えるのは避けましょう。特にキャベツとは、養分を奪い合ったり、病気を媒介したりするリスクが考えられます。しかし、いちごと相性の良い植物も存在します。例えば、ニンニクは、いちごを害虫から守る効果が期待できます。
トマト栽培で気をつけるべき植物:相性の良い組み合わせは?
家庭菜園の定番であるトマトですが、相性の悪い野菜も存在します。トマトと同じナス科の野菜(例えばピーマン)や、アブラナ科の野菜(例えばブロッコリー)との混植は避けた方が良いでしょう。これらの野菜は、土壌の栄養バランスを崩したり、病害虫を共有したりするリスクがあります。また、コンパニオンプランツとして知られるマリーゴールドも、トマトの生育を阻害する可能性があります。一方で、バジルはトマトと相性の良い組み合わせとして知られています。バジルは害虫を遠ざける効果があり、トマトの風味を向上させる効果も期待できます。その他、ネギ類やパセリもトマトとの相性が良く、一緒に植えることで互いの成長を助け合うことができます。
レタス栽培:避けるべき組み合わせとおすすめのコンパニオンプランツ
シャキシャキとした食感が魅力のレタスは、家庭菜園でも手軽に楽しめる野菜です。しかし、キュウリやナスなど、水分を多く必要とする野菜との混植は、レタスの生育を妨げる可能性があります。これらの野菜は、土壌の水分バランスを崩し、レタスの根腐れを引き起こす原因となることがあります。一方、レタスと相性が良いのは、ニンジンやダイコンなどの根菜類です。これらの野菜は、土壌の通気性を良くし、レタスの根張りを助ける効果があります。また、コンパニオンプランツとして知られるカモミールも、レタスの成長を促進し、風味を向上させる効果が期待できます。
いちごのランナー(つる)管理:切るべき?残すべき?
いちごのランナーは、株を増やすための重要な役割を果たしますが、放置すると果実の生育に影響を与えることがあります。ランナーが伸び続けると、株の栄養が分散され、果実が大きくならなかったり、味が落ちたりする可能性があります。そのため、良質な果実を収穫するためには、ランナーを適切に管理することが重要です。基本的には、収穫期間中はランナーをこまめに切り取ることが推奨されます。ランナーを切る際は、株元から5mm~1cm程度の場所で清潔なハサミやナイフで切断しましょう。 一方で、株を増やしたい場合は、ランナーを利用することができます。ランナーの先端には子株ができるため、それを土に植え付けることで新しい苗を育てることができます。ただし、すべてのランナーが優良な苗になるわけではありません。親株に近い最初のランナーは、病気や害虫の影響を受けやすい傾向があります。そのため、親株から2番目、3番目に伸びてくるランナーを選び、子株が十分に成長してから親株から切り離すようにしましょう。こうすることで、より強く健康な苗を育てることができます。
地植えのいちごは植え替えなしでも育つ?必要な手入れとは?
多年草であるいちごは、適切な管理を続ければ、同じ場所で長期間の収穫が可能です。株は年々成長し、ランナーから新しい株が増える様子も観察できます。ただし、いちごには連作障害が起こりやすいという点に注意が必要です。連作障害とは、同じ場所で同じ作物を繰り返し栽培することで、土壌の栄養バランスが崩れたり、特定の病原菌が増殖したりして、生育不良を引き起こす現象です。 毎年、良質な実を安定して収穫したいのであれば、定期的な植え替えや場所の移動を検討しましょう。一般的には、2〜3年に一度、株の植え替えを行うか、別の場所へ植え替えることで、連作障害のリスクを軽減できます。同じ場所で栽培を続ける場合は、土壌改良を徹底し、堆肥を多めに施すなどして、土壌の健康状態を維持することが重要です。植えっぱなしでも栽培は可能ですが、より良い収穫を目指すのであれば、植え替えを視野に入れることをおすすめします。
甘いいちごを育てる秘訣とは?冬の水やりがポイント?
甘くて美味(おい)しいいちごを収穫するためには、いくつかの重要な要素があります。特に、冬の水やり、肥料の種類、そして日々の手入れがポイントです。 まず、冬の水やりについてです。冬の時期は、いちごの成長が緩やかになるため、水やりの頻度を調整することで、甘みが増し、品質が向上します。土の表面が完全に乾いてから、株が枯れない程度の水を与えるのが基本です。水の与えすぎは、株が軟弱に育ち、根腐れの原因にもなるため、控えめを心がけましょう。土の表面が乾いてから数日後に水を与える程度が良いでしょう。 次に、肥料の選び方です。甘い実を育てるためには、リン酸を多く含む肥料が効果的です。リン酸は、花芽の形成、果実の成熟、そして糖度を高める上で重要な役割を果たします。発酵油かすや骨粉はリン酸が豊富で、追肥として使用することで、いちごの甘さを引き出すことができます。窒素分の多い肥料は、葉ばかりが茂って実の甘さが損なわれる可能性があるため、リン酸とカリウムのバランスがとれた肥料を選ぶようにしましょう。 そして、日々の手入れ(脇芽摘み・葉かき)も重要です。いちごは、親株から次々と脇芽や古い葉を出します。これらの余分な芽を摘み取る「脇芽摘み」や、黄色くなったり枯れたりした葉を取り除く「葉かき」を行うことで、株全体の風通しが良くなり、病害虫のリスクを減らすことができます。また、古い葉を取り除くことで、残った葉や成長点、果実に栄養が効率良く行き渡るようになります。これらの手入れを適切に行うことで、株が健康に育ち、甘くて美味しいいちごの収穫につながります。これらの管理をしっかりと行えば、家庭菜園でもプロ並みの甘いいちごを育てることができるでしょう。
いちごが鳥に食べられるのを防ぐには?効果的な対策
いちごの実が赤く色づき始めると、鳥たちがその甘い香りに引き寄せられ、食害のリスクが高まります。鳥による被害は一度始まるとエスカレートしやすく、愛情を込めて育てたいちごが収穫前に食べられてしまうのは、家庭菜園を楽しむ人にとって非常に残念なことです。鳥の食害からいちごを守るためには、適切な対策を講じることが大切です。 最も効果的で一般的な対策は、市販の「防鳥ネット」を使用することです。防鳥ネットをいちごの栽培エリア全体を覆うように設置することで、鳥が実に近づくのを物理的に阻止します。ネットの網目が細かすぎると受粉を妨げる可能性があるため、適切なサイズを選ぶことが重要です。また、ネットにたるみがあると鳥が侵入する恐れがあるため、しっかりと固定し、隙間ができないように設置することがポイントです。 その他の対策としては、光を反射するものを吊るして鳥を威嚇したり、鳥が嫌がる音を出す装置を設置したりする方法もありますが、鳥は学習能力が高いため、これらの対策に慣れてしまうと効果が薄れることがあります。そのため、防鳥ネットのような物理的な障壁を設けることが、長期的かつ安定した効果をもたらすと考えられます。特に、地面に直接植える露地栽培の場合は、畝を高くしたり、プランター栽培の場合は台の上に置いたりすることで、実が地面に触れるのを防ぎ、鳥の食害から守りやすくなります。収穫までの大切な期間、鳥の食害からいちごを守り、美味しい実を収穫するために、防鳥ネットの利用を検討してみてはいかがでしょうか。
いちごはプランターでも育てられる?
はい、いちごはプランターを使った栽培にも適しています。庭のスペースが限られている場合や、鉢を移動させたい場合、土壌管理をより細かく行いたい場合に、プランター栽培は最適な選択肢となります。プランター栽培の基本的な方法は、庭に直接植える場合とほぼ同じですが、いくつか注意すべき点があります。 プランター栽培で便利なのが、市販されている野菜用の培養土です。培養土は、いちごの成長に必要な水はけ、保水性、栄養バランスが考慮されているため、自分で土を配合する手間が省け、初心者の方でも簡単に栽培を始めることができます。 ただし、プランター栽培で特に注意すべき点は「水切れ」です。プランターは庭の土に比べて土の量が少ないため、水分が蒸発しやすく、乾燥しやすい傾向があります。特に、晴天の日や風の強い日、気温の高い時期には、庭植えよりも頻繁に水やりを行う必要があります。土の表面が乾いていないかこまめにチェックし、水切れを起こさないように注意しましょう。水切れは株の生育を阻害し、実の品質にも悪影響を与える可能性があります。 また、プランターのサイズ選びも重要です。ある程度の深さと幅があるプランターを選ぶことで、根が十分に広がり、株が大きく成長します。側面に植え込み口があるストロベリーポットのような専用のプランターは、果実が地面に触れにくく、病気を予防できるため、初心者の方にもおすすめです。適切なプランターと培養土を選び、水切れに注意して管理すれば、ベランダや庭先で美味しいいちごを収穫できるでしょう。

まとめ:庭でいちご栽培を成功させるには?コンパニオンプランツも活用!
庭でのいちご栽培は、ちょっとしたコツと手間をかければ、初心者でも十分に楽しめます。確かに少しデリケートな面もありますが、育てやすい品種を選び、年間計画を立てて取り組めば大丈夫。日当たりと風通しの良い場所を選び、水はけと保水性のバランスがとれた、少しアルカリ性の土を用意しましょう。植え付けは9月から10月がベスト。ランナーの向きや株の中心(クラウン)の位置に気を付けて植えることで、実付きが良くなり、病気のリスクも減らせます。水やりは土の表面が乾いたらたっぷりと。肥料は植え付け後から収穫まで定期的に与えますが、与えすぎには注意しましょう。冬は霜よけ対策をして、春には人工授粉が必要な場合もあります。そして、赤く熟したいちごを収穫する喜びを味わいましょう。病害虫にも注意が必要で、早めに見つけて対処することが大切です。 さらに、家庭菜園をグレードアップさせるために、コンパニオンプランツを活用しましょう。いちごのそばにニンニクを植えると、ニンニクの抗菌作用でいちごを病気から守ってくれる可能性があります。ただし、ニラや一部のハーブ、キャベツなどは、いちごの成長を邪魔することがあるので、一緒に植えるのは避けましょう。野菜にも相性があり、枝豆とネギ、トマトとナス・キュウリなどは相性が悪い組み合わせです。一方で、枝豆とにんじん、キャベツとレタス、トマトとパセリなどは、互いに良い影響を与え合います。 庭に植えっぱなしでもいちごは育ちますが、連作障害を防ぐためには、数年ごとに植え替えるのがおすすめです。甘いいちごを育てるには、冬の水やりを控えめにして、リン酸分の多い肥料を与え、無駄な芽や葉を取り除くことで、栄養を実に集中させることがポイントです。鳥に食べられないようにネットをかけたり、プランターで育てる場合は水切れに注意したりするのも大切です。これらの知識と工夫を活かして、美味しいいちごや色々な野菜を庭で育てて、収穫の喜びを味わってください。
初心者でも育てやすい、庭植えいちごの品種は?
庭でいちご栽培を始めるなら、「一季なり」の品種がおすすめです。一季なりは、収穫時期が限られている分、管理がしやすいのが魅力です。特におすすめなのは、日本の気候によく合う「宝交早生」や、育てやすさで人気の「とちおとめ」です。
いちごのランナーは、いつまで切ればいいの?
いちごのランナーは、株の栄養を実に集中させるために、収穫が終わるまではこまめに切り落としましょう。株元から少しだけ残して切るのがポイントです。収穫が終わってから、新しい株を増やしたい場合は、元気なランナーを選んで土に固定して育てます。
庭植えのいちご、何年くらい収穫できる?
いちごは多年草なので、きちんと手入れをすれば、庭植えのままでも何年も収穫を楽しめます。でも、連作障害のリスクがあるので、毎年たくさん収穫したいなら、2~3年に一度は植え替えたり、場所を変えたりするのがおすすめです。
甘いイチゴを育てる秘訣:冬の水やりと肥料以外の重要ポイント
冬場の水やりを控えるのは基本ですが、それ以外にも甘いイチゴを収穫するためには、リン酸を豊富に含む肥料が不可欠です。例えば、発酵油かすや骨粉などが効果的でしょう。さらに、無駄な脇芽や古くなった葉を取り除く作業も重要です。これらの手入れを行うことで、植物全体の光合成が促進され、栄養が果実に集中し、甘さを引き出すことにつながります。
イチゴ栽培で避けるべきコンビ:家庭菜園での注意点
イチゴには、一緒に植えることで生育に悪影響を及ぼす野菜やハーブが存在します。特に、ニラ、タイム、ミント、ローズマリー、そしてキャベツなどは、イチゴの成長を妨げる可能性があるため、近くに植えるのは避けた方が良いでしょう。逆に、にんにくは自然な抗菌作用を持ち、イチゴを病害虫から守る効果が期待できるため、相性の良いコンパニオンプランツとして活用できます。