甘酸っぱくてジューシーなパイナップルは、食卓を彩る人気のフルーツ。でも、あのユニークな形の実がどのように育つのか、知っている人は意外と少ないのではないでしょうか?実は、パイナップルは家庭でも栽培可能なんです!この記事では、苗の選び方から日々の管理、収穫のタイミングまで、パイナップル栽培の全工程を徹底解説。この記事を読めば、あなたも自宅でパイナップルを育て、収穫の喜びを味わえるはず!
パイナップルの魅力と育て方:知っておくべき全て
スーパーで一年中見かけるパイナップル。とても身近な果物ですが、あの独特な形はどのようにしてできているのか、不思議に思ったことはありませんか?この記事では、そんな身近でありながら奥深いパイナップルの秘密に迫ります。
パイナップルは、その実のなり方も独特です。草丈は1メートルほどで、そこから細長い葉が四方八方に伸び、株の中心に実が一つだけ実ります。あのトゲトゲした部分一つ一つが実は花で、およそ100もの花が集まって一つの実になるのです。花全体が実になる、というのがパイナップルの大きな特徴です。若い花は右図の下の方に見られるように紫色をしていますが、時間が経つにつれて硬くなり、灰色へと変化していきます。
花の段階からすでに実のような形をしているのが面白いところ。この状態から、あの私たちがよく知るパイナップルの実へと成長していくのです。南国をイメージさせるような派手な花ではないので、普段パイナップルの花を意識することは少ないかもしれません。それだけに、実際に目にすると貴重な体験になるでしょう。一つ一つの粒が花であり、その集合体がパイナップルの実なのです。花は両性で、花びらは3枚、萼片が3枚、中央に雄しべと雌しべがあります。花は淡紫色で、開花後すぐに果実形成が始まります。花の色だけを見れば、薄紫色の可憐な印象です。粒の形が隠れるように上から見ると、優しい花が円を描いて咲いているようにも見えます。
パイナップルは広大な農場で大切に育てられています。
パイナップルの実から葉の部分を切り取ったものが苗として使われます。一見無造作に置かれているようですが、きちんと等間隔に植え付けられていきます。
パイナップルの実は、花全体が融合して一つの果実となります。植え付けからおよそ10ヶ月後に花が咲き、そこから半年ほどかけて実が大きく成長します。収穫は一つ一つ手作業で行われ、果実を傷つけないようにベルトコンベアーを使って運びます。収穫されたパイナップルは、次亜塩素酸を含む大きなプールで殺菌・殺虫処理されます。次亜塩素酸は、人が入るプールにも使われる消毒剤です。熟しすぎて腐ってしまったパイナップルは底に沈むため、取り除かれます。品質をチェックしながら、サイズごとに丁寧に梱包されます。パイナップルは鮮度が命。収穫から出荷までを24時間以内に行い、日本へは約4~5日かけて届けられます。
パイナップルを家庭で育てる場合、春から秋にかけては、日当たりの良い場所が適しています。例えば、屋根のない南向きのベランダなどが良いでしょう。遮光は特に必要ありません。雨ざらしでも問題ありませんが、風通しの良さが重要です。冬は、最低気温が10℃を下回るようになったら室内に移動させ、窓際のレースカーテン越しの光が当たる場所に置いて管理します。
水やりは、雨ざらしにしている場合は、晴天が続いて土の表面が乾いた時に行います。パイナップルは過湿を嫌うため、鉢底に石を敷き、水はけの良い土を使用することで根腐れを防ぐことができます。冬は成長が緩やかになるため、鉢の重さを確認しながら、月に1~2回程度の水やりで十分です。肥料は、春から秋にかけて、緩効性の化成肥料を月に1回程度、置き肥として与えます。冬は水やりの頻度が減るため、肥料は与えません。
パイナップルは本来、酸性の土壌を好みます。市販の用土を使う場合は、鹿沼土を主体としたものを選ぶと良いでしょう。草花用や家庭菜園用の市販品(pH6.5前後に調整されているものが多い)でも栽培は可能です。
パイナップルの栽培期間中は、病気や害虫の被害は比較的少ないです。葉が大きく成長して場所を取るため、必要に応じて剪定を行います。横一文字に切ると無機質な印象になるため、V字カットがおすすめです。パイナップルらしい雰囲気を残しつつ、丸みをつけてU字カットにすると優しい印象になります。特に、冬越しのために室内に取り込む際は、鉢の大きさに合わせて強めに剪定すると良いでしょう。
パイナップルを食べた後のクラウン(葉の部分)を再利用して栽培する方法があります。クラウンに実が残らないように下の方の葉を数枚取り除き、1日半ほど乾燥させます。その後、用意しておいた土と鉢に植え込みます。2週間ほど室内に置いてからベランダに出します。クラウン挿しから14ヶ月ほどで株が大きく成長します。もし夏の時期に成長が鈍いと感じたら、根詰まりを起こしている可能性があるため、鉢のサイズを大きくすることをおすすめします。(実を付けるには8号以上の鉢が必要と言われています)。
果実が濃い緑色から黄色に変わったら収穫のサインです。黄色くなり始めてから全体が染まるまでの期間は短いので、色づき始めたら毎日チェックするようにしましょう。収穫時期が近づくと、実からパイナップルの甘い香りが漂ってきます。
収穫時に果実が付いた茎を切ると、パイナップルの幹から脇芽が出てくることがあります。この脇芽をそのまま育てると、そこにまた実がつくそうです。(ただし、収穫するたびに実は小さくなるようです。)脇芽を幹につけたままにするのではなく、もぎ取って植え付けることでも増やすことができ、この方法だとクラウン挿しよりも早く実がつくと言われています。栽培スペースに余裕がある方は、ぜひ試してみてはいかがでしょうか。
パイナップルは輸入量第2位を誇る、私たちにとって身近な輸入青果です。日本に輸入されるパイナップルのほとんどはフィリピン産です。パイナップルは収穫後に熟さない果物なので、鮮度が非常に重要です。東京から沖縄までの距離と、沖縄からフィリピンまでの距離はほぼ同じくらい。距離の近さから、新鮮なうちに運ぶことができるフィリピン産が人気なのです。購入した際は、なるべく早く食べるようにしましょう。
パイナップルが一年中手に入るのは、一年中栽培・収穫できるからです。一度果実を収穫すると、同じ場所からまた実がなります。ただし、収穫するたびに実は小さくなっていくため、3回ほど収穫したら、株を刈り倒してしまいます。その後、畑をしばらく休ませてから、新しい苗を植え付けます。これを複数の畑で時期をずらして行うことで、一年を通して収穫が可能になるのです。四季のある日本では想像しにくいかもしれませんが、パイナップルの生産国は一年中温暖な地域が多いです。例えば、フィリピンでは一年を通して気温がほとんど変わりません。
パイナップルには、ビタミン、ミネラル、酵素、食物繊維など、豊富な栄養素が含まれています。中でも特に注目したいのが、食物繊維とタンパク質分解酵素です。食物繊維は便通を良くし、腸内環境を整える効果があります。また、プロメラインという酵素は、食後に摂取するとタンパク質の消化を助け、腸内腐敗物を分解する作用があります。そのため、肉料理との相性は抜群です。ただし、酵素は加熱すると活性を失ってしまうため、生のまま食べるようにしましょう。缶詰のパイナップルは加熱殺菌されているため、酵素の効果は期待できません。パイナップルは、胃腸などの消化器官の働きを助けてくれる果物と言えるでしょう。
パイナップルの鋭い葉先や、その周辺に生えているトゲには注意が必要です。近くを通る時や、しゃがみこもうとする時に、うっかりすると怪我をしてしまうことがあります。アガベやサボテンのような鋭いトゲではありませんが、不意に刺さると痛いです。葉が引っかかったまま無理に歩こうとすると、鉢を倒してしまうこともあります。狭い場所で育てている場合は、葉の長さを調整することをおすすめします。パイナップルの近くでは、常に注意を払い、正面から向き合って行動するようにしましょう。
まとめ
パイナップルは、その独特な生態から栽培方法、栄養価まで、多くの魅力を持つ果物です。この記事を参考に、パイナップルをより深く理解し、味わい、育ててみてください。家庭で栽培したパイナップルは、市販のものとは違った格別の味わいがあるでしょう。
パイナップルのクラウン挿しは難しいですか?
クラウン挿しは、比較的簡単に行える繁殖方法です。パイナップルを食べた後のクラウンを乾燥させて土に植えるだけで、新たな株を育てることができます。ただし、水やりや日当たりに注意し、適切な環境を整えることが大切です。
パイナップルは一年中収穫できますか?
パイナップルは熱帯地域で栽培されており、一年を通して温暖な気候であるため、一年中収穫が可能です。日本に輸入されているパイナップルも、フィリピンなどの国々から安定的に供給されています。
パイナップルの酵素は加熱するとどうなりますか?
パイナップルに含まれるタンパク質分解酵素(プロメライン)は、加熱すると活性を失ってしまいます。そのため、酵素の効果を期待する場合は、生のパイナップルを食べるのがおすすめです。缶詰のパイナップルは加熱殺菌されているため、酵素の効果は期待できません。