リンは人体に不可欠なミネラルで、カルシウムに次いで多く体内に存在し、主に骨や歯を構成する重要な役割を果たします。リンはエネルギー代謝や脂質代謝にも関与し、細胞内でも不可欠な働きをしています。この記事で詳しく見ていきましょう。
リンとは
リンは、元素記号「P」で表される非金属元素で、人体内でカルシウムに次いで多く含まれています。体内の約80%が骨や歯に、残りは筋肉や細胞膜などに存在します。リンは無味無臭で目視できませんが、主にリン酸塩として骨や歯を構成しています。また、エネルギーや脂質代謝にも重要な役割を担っています。
リンの吸収と体内での働き
リンは主に十二指腸、回腸、大腸で吸収され、ビタミンDにより吸収が促進されます。腸内で吸収されたリンは、尿として排出されます。消化管では吸収と同時に消化液も分泌され、成人の吸収率はおおよそ60〜70%とされています。
リンの摂取基準と実際の摂取状況
日本の食事摂取基準(2020年版)によると、成人男性の1日のリン摂取量は1000mg、女性は800mgが目安です。実際の摂取量は、成人男性で1079mg、女性で942mgとなっており、加工食品に含まれるリンを含めると、基準を超えて摂取している場合が多いです。
有機リンと無機リンの違い
リンには、有機リンと無機リンの2種類があります。自然食品に含まれる有機リンの吸収率は20〜60%ですが、無機リンは90%以上吸収されるため、加工食品を多く摂取することで過剰摂取が起こりやすいです。

リンの摂取基準量と実際の摂取量
有機リンは自然食品、無機リンは加工食品に多く含まれ、無機リンは吸収されやすいため、加工食品の摂取を控えることが過剰摂取防止に役立ちます。
リンの過不足:リスクと注意点
リンの過剰摂取により、高リン血症(血液中のリン濃度が高くなる)が起こり、血管の石灰化や心不全、心筋梗塞を引き起こすリスクがあります。特に腎機能障害がある場合、尿中のリン排出量が減少し、注意が必要です。
リンを多く含む食品と少ない食品
リンが豊富な食品は魚介類、穀物、卵、乳製品、豆類などです。加工食品には無機リンが含まれるため、過剰摂取を避けるためには摂取を控えめにしましょう。また、リンが少ない食品は、たんぱく質の少ない食品です。脂身を使うことで、リンの摂取量を抑えることができます。
リンを減らす!調理の工夫
リンの摂取を抑えるためには、食材を水にさらしたり、茹でたりすることが効果的です。特に肉や魚などのたんぱく質が豊富な食品を調理する際には、表面積を大きくし、茹でることでリンを減らすことができます。加工肉や水産練り製品も茹でることでリンを減らせます。
まとめ
リンは健康維持に欠かせない栄養素ですが、現代の食生活では加工食品による過剰摂取が問題となっています。食生活の中で工夫を凝らすことで、リンの摂取量をコントロールし、健康を維持することが可能です。特に腎臓病や透析を受けている方は、リンの摂取に注意が必要です。