太陽の恵みを浴びたフルーツが彩る、甘美なフィリピンのスイーツの世界へようこそ!「メリエンダ」と呼ばれるおやつの時間には、地元の人々が笑顔でデザートを囲みます。スペインやアメリカの影響を受けながらも、独自の進化を遂げたフィリピンのスイーツは、まさに文化の融合が生んだ芸術品。トロピカルな香りに包まれ、心ときめく甘い誘惑を探しにいきましょう。
フィリピンのデザート文化:メリエンダと甘味への愛
フィリピンでは、午前と午後の休憩時間、特に午前10時と午後3時に「メリエンダ」と呼ばれる軽食を摂る習慣があり、デザートは日常生活に深く根付いています。スペインやアメリカといった国々の影響を受けながらも、独自の文化と融合して生まれたフィリピンのデザートは、トロピカルフルーツを贅沢に使ったものから、伝統的な製法で作られたものまで、バラエティ豊かな甘い魅力にあふれています。
ハロハロ:フィリピンを代表する、ごちゃまぜの美味しさ

ハロハロは、タガログ語で「混ぜ合わせる」という意味を持つ、フィリピンを象徴するデザートです。その起源は、フィリピンがかつてスペインやアメリカなどの植民地支配下にあった時代にさかのぼり、異文化の影響と土着の文化が融合して誕生しました。砕いた氷とココナッツミルクをベースに、アイスクリーム、ナタデココ、ゼリー、レチェフラン(フィリピン風プリン)、ココナッツ、クリスピーライス、コーンフレーク、スイートコーン、紫芋のペーストなど、多彩な具材がトッピングされ、仕上げに練乳をかけて味わいます。一口ごとに異なる風味が楽しめる、まさにフィリピンの歴史と文化を体現するスイーツと言えるでしょう。
タホ:温かくてヘルシー、朝食にも軽食にも
タホは、できたての温かい豆腐とタピオカパールに黒蜜シロップをかけた、シンプルながらも奥深い味わいのヘルシースイーツです。朝になると「タホ!」と呼びかけながら売り歩くタホ売りの声が街中に響き渡り、屋台でも気軽に購入できることから、地元の人々に親しまれています。疲れた時でも食べやすい優しい甘さが魅力で、特にバギオでは、黒蜜の代わりにいちごソースがかかったタホが人気を博しています。
レチェフラン:お祝い事に欠かせない、濃厚フィリピンプリン
レチェフランは、結婚式やパーティー、お祭りなど、特別な日に欠かせないデザートです。濃厚な味わいのカスタードプリンで、日本のプリンと比べてやや硬めで、練乳をふんだんに使用しているため、非常に甘いのが特徴です。ほろ苦いカラメルソースとの相性は抜群で、一度食べたら忘れられない味となるでしょう。
ブコパイ:繊細な甘さが魅力、日本人も虜にする味わい

ブコパイは、まだ若いココナッツの果肉を薄くスライスし、それを濃厚なカスタードクリームと共に、香ばしいパイ生地で包み込んだフィリピンを代表するスイーツです。特にタガイタイやラグナ地方の名物として知られ、専門店が軒を連ねています。フィリピンのスイーツの中では比較的甘さが控えめで食べやすいと感じる方も多く、その洗練された味わいは試す価値があるでしょう。その上品な味わいは日本人の味覚にも合い、お土産としても非常に喜ばれています。
キャッサバケーキ:独特な食感が楽しい、素朴な味わいのケーキ

キャッサバケーキは、主に熱帯地域で栽培されるキャッサバ芋を主原料とした焼き菓子です。すりおろしたキャッサバに、ココナッツミルク、砂糖、そしてバターを加えて丁寧に焼き上げられます。その特徴は、何と言ってもモチモチとした食感。ケーキというよりも、どこか懐かしい餅菓子のような食感が楽しめます。フィリピンだけでなく、ベトナムやグアムなど、東南アジアや南洋地域でも広く親しまれているデザートです。
バナナキュー:手軽さが嬉しい、屋台の定番人気スイーツ
バナナキューは、フィリピンでよく用いられるサババナナを丸ごと素揚げし、熱々のうちにブラウンシュガーを絡めて、再び揚げただけのシンプルな屋台スイーツです。外側のカリカリとした食感と、中のバナナのふっくらとした食感のコントラストが楽しめます。「キュー」という名前は「バーベキュー」から来ており、肉の代わりにバナナが串に刺さっている様子を表しています。バナナだけでなく、サツマイモを使ったカモテキューも人気があります。
トゥロン:家庭でも簡単、バナナを使った揚げ春巻き
トゥロンは、バナナキューと同様に、バナナを主役にしたポピュラーなスイーツです。サババナナを春巻きの皮で丁寧に包み、油で揚げて、仕上げにブラウンシュガーをかければ完成という、その手軽さが魅力です。中にはランカ(ジャックフルーツ)を加えたものもあり、レストランなどではアイスクリームやチョコレートソースを添えて、より豪華にアレンジされたトゥロンを味わうことができます。
サンスリバル:多層的な味わいが織りなす至福
サンスリバルは、その名が示す通り「比類なき」美味しさを誇るデザートです。カシューナッツを練り込んだメレンゲを土台に、幾重にも重ねられたバタークリームが絶妙なハーモニーを生み出します。全体をバタークリームと香ばしいカシューナッツで覆い、豊かな食感と風味をプラス。クリームやナッツのバリエーションを変えることで、様々な個性を楽しめます。
エンサイマダ:ふんわり、やさしい、スペイン発祥の菓子パン
エンサイマダは、スペインのマヨルカ島で生まれた、バターの香りが食欲をそそるブリオッシュ風のパンです。薄く削ったチーズとグラニュー糖をトッピングするのが定番。本場ではラードを使用しますが、フィリピンではバターやマーガリンが用いられるのが一般的です。カフェやベーカリーでは、ウベやチョコレートクリームを挟んだ、アレンジ豊かなエンサイマダに出会えます。
ポルボロン:儚くも美味しい、お土産にぴったりの焼き菓子
ポルボロンは、スペインのアンダルシア地方発祥の、ほろほろとした食感が特徴的な焼き菓子です。スペインではラードとミルクで作られますが、フィリピンでは粉ミルクとマーガリンまたはバターを使用します。口の中で優しく溶けるような舌触りが魅力で、日本の落雁にも似ています。定番のフレーバーに加え、コーヒー、クッキー&クリーム、カシューナッツなど、多様な味が楽しめます。
フィリピンのデザートで、心ときめく甘い体験を
フィリピンには、手軽に味わえるストリートフードから、特別な日に楽しまれるデザートまで、バラエティ豊かな甘味が溢れています。街を歩けば、きっと心惹かれるスイーツに出会えるはず。フィリピンを訪れた際には、色々なデザートを試して、忘れられない甘い思い出を刻んでください。
結び
フィリピンのデザートは、その豊かな文化を映し出す、忘れられない食の旅へと誘います。街角の屋台で気軽に味わえるものから、お祝いの席で特別な意味を持つ伝統的なデザートまで、どれもがフィリピンの人々の温かさと笑顔を伝えてくれるでしょう。このガイドが、あなたのフィリピンでの体験を、より甘く、心に残るものにする手助けとなれば嬉しいです。
ハロハロはどんな味がしますか?
ハロハロは、多種多様な材料が織りなす味の万華鏡です。口にするたびに異なる風味が広がり、甘いアイスクリーム、色とりどりのゼリー、香ばしいライスフレーク、濃厚なウベなど、さまざまな食感と味が絶妙に調和し、奥深くも楽しい味覚体験をもたらします。
タホはどこで買えますか?
タホは、早朝に街を歩くタホ売りから買うのが一般的ですが、屋台などでも気軽に手に入れることができます。早朝に市場や人通りの多い場所を探すと、見つけやすいでしょう。
ブコパイはどこがおすすめですか?
ブコパイは、特にタガイタイやラグナといった地域で名高く、多くの専門店が軒を連ねています。これらの地域を訪れる際には、ぜひ現地のブコパイを味わってみてください。