エンドウ豆栽培完全ガイド:初心者でも失敗しない育て方
春の食卓を彩るエンドウ豆。家庭菜園初心者さんでも、プランターでも畑でも、愛情を込めて育てれば美味しいエンドウ豆を収穫できます!この記事では、種まきから収穫まで、エンドウ豆栽培の全工程を徹底解説。品種選び、土作り、水やり、肥料、病害虫対策など、失敗しないためのポイントをわかりやすくまとめました。さあ、あなたも自家製エンドウ豆作りに挑戦して、採れたての味を楽しみましょう!

エンドウマメ栽培の全体像と季節ごとの流れ

エンドウマメの栽培は、適切な時期に種を播き、低温環境を経て成長を促し、春から初夏にかけて収穫時期を迎えるのが一般的です。スナップエンドウ、キヌサヤ(絹さや)、グリンピースはすべてエンドウの仲間であり、基本的な育て方は共通していますが、実やサヤの利用方法によって最適な収穫時期が異なります。エンドウは高温に弱いため、秋に種を播いて冬を越させる作型で栽培することが重要です。特に、苗が小さい状態(草丈20cm以下)で冬を越させるのが成功の秘訣です。この小さな苗は耐寒性が非常に強い一方で、大きく育ちすぎた苗は寒さに弱くなるため、時期を逸した早播きは避け、地域ごとの種播き適期を守ることが大切です。冬の間にしっかりと根を張らせることで、春先からの地上部分の生育が促進され、その後の花芽の付きや収穫量の増加にも繋がります。栽培する地域やその年の気候状況によって、種播きや植え付けの時期は多少前後する可能性があるため、近年の気候変動による異常な高温や大雨なども考慮し、臨機応変に対応することが求められます。開花から収穫期までが適温期間になるように種を播く時期を見極めることが成功への鍵となります。例えば、秋まき栽培で種を播くタイミングが早すぎると、厳冬期までに生育が進みすぎてしまい、寒さによる被害を受けやすくなるリスクが高まります。一方で、種を播くのが遅すぎると、初夏の気温が25℃以上と高くなる時期にエンドウのつるが急激に枯れてしまい、期待される収穫期間が大幅に短縮される可能性があります。エンドウマメの発芽は4℃以上の温度で始まりますが、10℃程度の比較的低温な環境でも発芽日数こそ長くなるものの、発芽率は比較的高いという特性があります。また、エンドウマメを含むマメ類の種は、水に浸してから播くと急激な吸水によって種皮が破れ、発芽を阻害する可能性があるため、水に浸さずに直接土に播くように注意が必要です。マメ科の中でもエンドウは連作すると病気が発生しやすい性質があるため、翌年には栽培場所を変えるなど、連作障害への対策も栽培計画に組み込む必要があります。このような基本的な栽培の流れと注意点を把握することで、エンドウマメ栽培を成功へと導くことができます。

エンドウマメの種類と特性

エンドウには大きく分けて3つの種類があり、それぞれ収穫時期と食する部分に特徴があります。これらエンドウの仲間は基本的な栽培方法は共通していますが、最終的な利用目的が異なるため、目的に見合った品種を選ぶことが重要です。

サヤエンドウ

サヤエンドウは、まだ熟していない柔らかいサヤを食べる品種です。代表的なものとしては「絹さや」が挙げられます。シャキシャキとした食感と、かすかな甘みが特徴で、和え物やお吸い物、炒め物など、様々な料理に彩りを添える野菜として人気があります。莢の中の豆が大きく膨らむ前の、薄くて柔らかい若莢のうちに収穫することが、美味しい食感を楽しむための重要なポイントとなります。

スナップエンドウ

スナップエンドウは、豆が大きく膨らんだサヤごと食べる品種です。正式名称はスナップ(snap=ポキっと折れる)エンドウと呼ばれ、サカタのタネの商品名である「スナックエンドウ」も同じ種類の豆を指します。サヤのシャキシャキとした食感と、中の豆の甘みが同時に堪能できるのが最大の魅力です。サラダや炒め物、茹でてそのまま食べるなど、幅広い調理法で親しまれています。莢が丸々と太り、鮮やかな緑色になった頃が収穫に適した時期であり、収穫が遅れるとサヤも豆も固くなって風味が損なわれてしまうため、適切な時期を見極めることが重要です。

実エンドウについて

実エンドウとは、その名の通り、サヤの中にある豆を食用とする品種の総称であり、中でも「グリーンピース」が広く知られています。収穫は、サヤが十分に膨らみ、中の豆がしっかりと成熟したタイミングで行い、サヤから取り出した豆を調理に使用します。豆ご飯としてそのまま楽しむのはもちろん、スープや煮込み料理の具材、料理の彩りを添える野菜としても重宝されます。収穫時期の目安としては、豆が大きく膨らみ、サヤの表面の光沢が鈍くなる頃合いですが、収穫が遅れると豆が硬くなり、風味も損なわれてしまうため、適切なタイミングでの収穫が重要です。

種まき時期の重要性

エンドウ豆の栽培において、成功の鍵を握る要素の一つが、適切な種まき時期の選定です。理想的なのは、開花から収穫までの期間が、可能な限り適温の環境下で長く確保できる時期を選ぶことです。一般地域での露地栽培では、10月中旬から11月中旬にかけて種まきを行うのが最適とされています。これは、秋の気温が下がり始める時期に種を播くことで、エンドウ豆の幼苗が寒さに耐えながら冬を越し、春の訪れとともに本格的な成長期を迎えることができるためです。ただし、秋まき栽培において、種まきの時期が早すぎると、本格的な冬を迎える前に苗が過剰に成長し、寒さによるダメージを受けやすくなるリスクがあります。特に、苗の丈が20cmを超えると、耐寒性が低下し、霜や冷たい風による被害を受けやすくなります。逆に、種まきの時期が遅すぎると、初夏の気温が25℃を超える時期にエンドウ豆のつるが急激に枯れ始め、収穫期間が短縮される可能性があります。エンドウ豆の発芽は、4℃以上の温度があれば可能ですが、10℃程度の比較的低温な環境下では、発芽に要する日数は長くなるものの、発芽率は比較的高い傾向にあります。エンドウ豆を含むマメ類の種子は、水に浸してから播くと、急激な吸水により種皮が破裂し、発芽能力が低下する可能性があるため、水に浸さずに直接土に播くようにしましょう。近年の気候変動に伴い、高温や大雨などの異常気象が発生しやすくなっているため、従来の栽培時期が適さなくなることもあります。状況に応じて、種まき時期を調整したり、品種を変更するなどの対策を講じることも重要です。これらの点を考慮し、地域やその年の天候状況に合わせた最適な時期を見極めることが、エンドウ豆栽培成功への第一歩となります。

土壌準備と肥料

エンドウ豆栽培において、土壌準備は非常に大切なプロセスです。エンドウ豆は連作障害を起こしやすいため、過去3〜4年の間、エンドウ豆を栽培していない場所を選ぶことが不可欠です。これにより、特定の病原菌や害虫、さらにはエンドウ豆自身が根から分泌する生育阻害物質が土壌に蓄積するのを防ぎ、健全な生育を促進することができます。エンドウ豆が良く育つ土壌とは、水はけと日当たりの良い、適度な水分を保持できる肥沃な土壌です。エンドウ豆は酸性の土壌を嫌うため、事前に苦土石灰を施用して土壌のpHを調整することが重要です。pHの目安としては6.5〜7.0程度が理想的です。堆肥を混ぜ込むことで、土壌をふかふかにし、通気性と保水性を高めることができます。元肥の目安としては、10平方メートルあたり窒素70〜100g、リン酸100〜150g、カリウム100〜150g程度が推奨されます。エンドウ豆は栽培期間が比較的長いため、窒素成分はやや多めの120g程度を目安にすると良いでしょう。ただし、エンドウ豆は元肥を控えめにすることが重要です。秋に種をまいて越冬させる場合、生育が旺盛になりすぎると寒さに弱くなり、霜や寒風による被害を受けやすくなるため、初期の生育を促進させすぎないように注意が必要です。エンドウ豆を含むマメ科植物の根には、空気中の窒素を固定する根粒菌が共生しており、自ら栄養を作り出すことができるため、特に窒素肥料は控えめにすることが大切です。春になり気温が上昇し、生育が本格化してきたら、追肥で栄養を補給するようにします。肥料には、バランスの取れた配合肥料がおすすめです。排水性と通気性を確保するために、畝を立てて栽培することも推奨されます。露地栽培の場合は、マルチング(マルチシートの使用)によって雑草の発生を抑制し、土壌の水分と肥料分の保持に役立ちます。マルチは土壌温度を一定に保つ効果もあり、特に冬季の地温確保や春先の生育促進に効果的です。

育苗と間引きのコツ

エンドウ豆の種まきには、畑に直接種をまく方法と、ポットで育苗してから畑に移植する方法があります。直接種をまく場合は、株間を約30cm空けてまき穴を作り、一つの穴に3〜4粒の種が重ならないように播種します。その後、土を軽く被せて手で優しく押さえ、たっぷりと水をあげましょう。種まき後、通常5日程度で発芽しますが、発芽直後から本葉が出るまでの間は、カラスやハトなどの鳥による食害が発生しやすいので、不織布などをベタ掛けして鳥害対策を行うと安心です。本葉が1〜2枚になったら、生育の良い苗を2本残して間引きを行います。苗を2本残して競わせることで、根張りが良くなり、収穫量が増えるという意見もあります。間引きの際は、残す苗の根を傷つけないように、生育の悪い苗や密集している苗の根元をハサミで丁寧に切り取ることが大切です。これにより、残った苗に十分な日光と栄養が行き渡り、健全な成長を促すことができます。鳥害対策を徹底したい場合や、生育初期の管理を容易にしたい場合は、ポットで育苗してから畑に定植する方法が有効です。育苗期間は約1ヶ月程度が目安で、直径9cmの3号ポットに種まき用の培養土を入れ、3〜4粒ずつ種が重ならないように播種します。土を軽く被せて、たっぷりと水をあげましょう。育苗中に本葉が1〜2枚になったら、生育の良い苗を2本に間引き、本葉が3〜4枚に成長したら、2本立ちのまま根鉢を崩さないように慎重に畑に定植します。セルトレイを使用する場合は、96〜128穴のトレイに2粒ずつ種をまき、本葉が2〜3枚になったら間引かずに2本立ちのまま植え付けることも可能です。苗が大きくなりすぎると定植後の活着が悪くなる可能性があるため、適切なタイミングで根鉢を崩さずに定植することで、移植によるストレスを最小限に抑え、スムーズな活着を促進することができます。

越冬対策と防寒の重要性

エンドウ豆の苗は、本葉が2~3枚の頃が最も寒さに強く、-4℃程度の低温にも耐えられます。しかし、生育が進むにつれて寒さに弱くなるため、冬を迎える前に成長しすぎると寒害を受けやすくなります。草丈が20cm以下の小さいうちに冬越しさせることが大切で、この時期にしっかりと根を張らせることで、春からの旺盛な成長、花芽の形成、そして収穫量の増加につながります。もし苗が大きくなりすぎた場合は、万全な防寒対策が必要です。多くのエンドウ豆は、生育初期に一定の低温にさらされないと花芽ができない性質があります。そのため、適切な時期に種をまいたとしても、直接霜に当たると株が傷みやすいため、霜対策が非常に大切です。具体的な防寒方法としては、株元にワラや燻炭を敷き詰めて保温効果を高め、さらに笹の葉やワラを被せて霜から守るのが効果的です。また、農家によっては、あらかじめ支柱を立てておき、紐に吊るしたワラの束で苗を囲んで霜を防ぐ「藁囲い」という方法を用いることもあります。寒さが厳しくなる12月下旬頃までは、トンネル支柱を立てて不織布や寒冷紗をかけることで、より徹底した防寒が可能です。トンネル内は外気よりも暖かく、霜や冷たい風から苗を守ります。冬は風が強くなることが多いため、被覆資材が飛ばされないように、ハウスバンドなどでしっかりと固定しましょう。これにより、厳しい寒さからエンドウ豆の苗を守り、春の健全な生育を促せます。

追肥の時期と方法

エンドウ豆の追肥は、品種、栽培期間、生育状況によって最適なタイミングが異なります。一般的には、冬が終わり、株の成長が本格的に始まる3月上旬に最初の追肥を行うのが良いでしょう。この際は、畝の肩に速効性の化成肥料をひとつかみずつ施します。「キヌサヤエンドウ」のように収穫期間が長い品種の場合は、1回目の追肥に加えて、土寄せの時期、開花期、収穫開始の頃にそれぞれ追肥を行うのが一般的です。これにより、長期間にわたって株の勢いを維持し、品質の良い莢を収穫できます。一方、「実エンドウ」や「スナップエンドウ」では、莢が大きく育ち始める着莢肥大期に1回程度、株の生育具合を見ながら追肥を行います。成長が旺盛で花が次々と咲いている時期に2回目の追肥を行うと、実のつきがさらに良くなります。エンドウ豆は莢を次々と収穫するため、窒素を多く必要とします。肥料が不足すると色艶が悪くなり、収穫量も減ってしまうため、この時期の追肥は特に重要です。生育が弱いと感じる場合は早めに、旺盛な場合は適切な時期に行うなど、状況に応じて判断しましょう。追肥は、中耕、除草、土寄せと一緒に行うと、土壌の通気性を高め、雑草を抑制し、肥料の吸収効率を高めることができるため効果的です。施肥量の目安としては、窒素成分で10㎡あたり30g程度の速効性化成肥料を追肥します。適切な時期に追肥を行うことで、株の栄養状態を良好に保ち、安定した収穫量と品質を維持できます。

支柱立てと水やり

エンドウ豆はつる性の植物であるため、健全な生育と安定した収穫を確保するには、適切な支柱立てと誘引が欠かせません。つるなし品種の場合でも、支柱なしで栽培できますが、株の安定性を高め、風による倒伏や実が地面に触れることによる病気のリスクを減らすためには、支えがあった方が良いでしょう。春になりつるが伸び始めたら、早めに支柱を立ててネットを張るようにしましょう。支柱を立てることで、つるが地面を這うのを防ぎ、風通しと日当たりを良くすることができます。これにより、光合成の効率が上がり、湿気がこもりにくくなり、うどんこ病などの病気の発生を抑える効果も期待できます。風で株が倒れないように、伸びてきた巻きひげが早めにネットに絡むように誘導することが大切です。絡まりにくい場合は、紐などで軽く結んで誘引してあげると良いでしょう。特にエンドウ豆が開花期を迎える際は、土壌が乾燥すると落花が増加し、収穫量の減少につながるため注意が必要です。したがって、乾燥が続く時期には、定期的な水やりを行うことが重要です。この際、液肥を水やりと同時に与えることで、株に必要な栄養を効率的に供給し、より品質の良い実の収穫が期待できます。支柱をしっかりと設置し、適切に水やりを行うことで、エンドウ豆は健康に育ち、豊かな収穫をもたらしてくれるでしょう。

整枝と誘引の重要性

エンドウ豆の整枝と誘引は、日照不足による結実不良を防ぎ、収穫量を最大限に引き出すために非常に重要です。エンドウ豆は、親づる、子づる、孫づるの順に実がつきやすいという特性があります。実がなるのは主に1次分枝(最初に枝分かれした枝)で、2次、3次分枝は実がつきにくく、また高温期に入るため良質な莢がつきにくい傾向があります。そのため、親づると元気な子づるを中心に伸ばし、適切な枝数になるように整枝を行う必要があります。畝の長さ1mあたり20~25本程度の枝数を保つのが目安です。具体的には、3月下旬頃までに出た元気な分枝(側枝)を残し、それ以降に分かれた枝や花つきの悪い枝は、誘引を行う際に取り除くようにしましょう。また、高温期に入ると良い莢がつきにくくなるため、4月以降に分かれたつるも取り除いておくのがおすすめです。この整枝作業により、株全体の受光状態が良くなり、光合成が促進されます。適切な整枝は、株の栄養が不要な枝に分散されるのを防ぎ、より多くの栄養を実のなる莢に集中させる効果もあります。誘引の際には、日当たりと風通しが良くなるように、つるの伸びる方向を変えて、等間隔になるように丁寧に行う必要があります。エンドウ豆の茎は中空で比較的折れやすいため、作業には十分注意しましょう。また、背丈が高くなってきたら、ビニールテープを横に張って緩やかに囲み、つるが広がりすぎないようにしておくと、株全体の形を整えやすくなります。株の通気性も向上し、病気の発生を抑える効果も期待できます。ただし、気温が25℃以上になるとエンドウ豆の生育が極端に弱まり、徐々に枯れてしまうため、高温期に入る前の適切な管理が重要です。高温期に入る前に最大限の収穫を終えられるよう、整枝と誘引で生育を最適化することが成功の鍵となります。

エンドウマメの収穫時期と方法

エンドウマメの収穫時期は、栽培している品種によって異なります。最高の味を楽しむためには、各品種の特性を理解し、適切なタイミングを見極めることが大切です。開花後、小さな実がつき始め、収穫期には次々と実がなります。品種ごとに最適な時期を見計らい、こまめに収穫を行いましょう。収穫する際は、サヤの根元を指で軽くつまみ、軸の付け根から優しく摘み取るようにしてください。
  • 実エンドウ(グリーンピース):莢の中の豆が十分に大きくなり、莢の色が鮮やかな緑色から少し光沢がなくなった頃が収穫に適した時期です。莢がふっくらと膨らみ、中の豆の形がはっきりとわかる状態が理想的です。開花からおよそ1ヶ月後が目安となります。この品種は莢ごと食べることはできませんので、収穫後、莢から豆を取り出して調理します。
  • きぬさやエンドウ:莢の中の豆がわずかに膨らみ始めた頃、サヤの長さが6〜7cm程度になったら収穫時期です。太陽光に透かすと、豆がうっすらと見えるくらいが目安です。開花から約12〜15日後が目安となります。莢が厚くなりすぎると、食感が硬くなり風味が落ちてしまうため、薄くて柔らかい若莢のうちに収穫することを心がけてください。きぬさやエンドウは莢ごと食べられる品種で、シャキシャキとした食感とほのかな甘みが特徴です。
  • スナップエンドウ:中の豆が膨らんで莢が丸みを帯びて太くなり、鮮やかな緑色になった頃、さらに莢に少しシワが寄り始めた頃が収穫の目安です。開花からおよそ20〜25日後が目安となります。豆の甘みと莢のシャキシャキとした食感を同時に楽しめるのが魅力ですが、収穫が遅れると莢が硬くなり風味が損なわれてしまうため、若莢のうちに収穫することが大切です。スナップエンドウも莢ごと食べられる品種です。
どの品種も、収穫が遅れると莢や豆が硬くなり、風味が低下してしまいます。最適なタイミングを逃さずに収穫することが、おいしいエンドウマメを味わうためのポイントです。また、早めの収穫を心がけることで、株への負担を軽減し、次々と新しいサヤが育ちやすくなるため、収穫期間を長く楽しむことができます。

開花後の水やりとうどんこ病対策

エンドウマメが開花期から収穫期に入る頃に、土壌が乾燥した状態が続くと、「うどんこ病」が発生しやすくなります。うどんこ病は、葉の表面に白い粉状のカビが発生する病気で、光合成を妨げ、生育不良や収穫量の減少につながります。この病気を防ぐためには、花が咲き始めてから土の乾燥が見られる場合は、株全体にたっぷりと水をかけるように水やりを行うことが効果的です。水やりはうどんこ病の発生を抑制するだけでなく、株の水分不足を解消し、実のつきを良くする効果も期待できます。特に乾燥しやすい時期や場所では、こまめな水やりを心がけ、土壌の適切な湿度を保つようにしましょう。

連作障害とその対策

連作障害とは、同じ種類の野菜を同じ場所で続けて栽培することで、土壌中の特定の成分のバランスが崩れたり、病原菌や害虫が増加したりして、病気にかかりやすくなったり、生育が悪くなったりする現象です。エンドウマメは、マメ科の中でも特に連作障害が起こりやすい野菜として知られています。エンドウマメの連作障害による生育不良の原因の一つは、野菜の根から分泌される「生育阻害物質」によるものです。エンドウマメはこの生育阻害物質を出すことが知られており、これらの物質は収穫後も長期間地中に残り、エンドウマメ自身の生育を阻害してしまいます。そのため、同じ場所でエンドウマメを栽培する場合は、少なくとも3〜4年、できれば4〜5年は間隔を空けるようにしましょう。その間、他の種類の野菜(特にマメ科以外の野菜)を栽培することで土壌環境を改善し、連作障害のリスクを減らすことができます。

主な害虫と対策:ハモグリバエ

エンドウマメの成長期、特に茎や葉が大きく成長する時期に、葉に白い線が描かれたような模様が見られることがあります。これは「ハモグリバエ」の幼虫による食害の痕跡です。ハモグリバエの幼虫は、葉の表皮の下に潜り込み、葉肉を内側から食べ進むため、独特な白い筋状の食害痕を残します。被害が少ない場合は生育に大きな影響はないこともありますが、多くの葉で被害が広がると光合成能力が低下し、株の元気がなくなる可能性があります。対策としては、被害が見られる葉を早めに取り除き、幼虫の拡散を防ぐことが基本です。また、必要に応じて、家庭菜園で使用可能な殺虫剤の使用も検討しましょう。早期発見と適切な対応が、被害の拡大を防ぐ上で非常に重要です。

まとめ

家庭菜園でエンドウ豆を育てるのは、種をまくときから収穫するまで、季節の変化に合わせて細やかな手入れが必要となる、やりがいのある挑戦です。成功の秘訣は、エンドウ豆の性質、特に暑さに弱く寒さに強いという特徴を理解することから始まります。種まきの時期は、冬の厳しい寒さによる被害や、初夏の暑さによる生育不良を防ぐために非常に重要で、小さく丈夫な苗で冬を越すことが、後の豊かな収穫につながります。連作障害を避けるための土選び、根粒菌の活動を考慮した控えめな肥料、そしてエンドウ豆が嫌う酸性の土壌を中和するために苦土石灰を使うなど、土壌の準備も欠かせません。冬の寒さ対策は、幼い苗を寒さから守り、春に元気に育つためのカギとなります。適切な時期に間引きや追肥を行い、支柱を立てたり、枝を整理して誘引することで、株全体に日光と風が当たるようにし、うどんこ病やハモグリバエなどの病害虫のリスクを減らし、健康な株を育てることが大切です。そして、それぞれの品種に応じた収穫時期を見極め、最適なタイミングで収穫することで、長く新鮮で美味しいエンドウ豆を家庭菜園で楽しむことができます。これらの基本をしっかり守ることで、初心者でもたくさんの収穫を体験し、エンドウ豆栽培の喜びを味わえるでしょう。

質問:エンドウ豆の種まきで失敗しないためには、どんなことに注意すればいいですか?

回答:エンドウ豆の種まきを成功させるには、まず時期が大切です。一般的には秋に種をまき、10月中旬から11月中旬を目安にすると良いでしょう。早すぎると冬の寒さで傷みやすく、遅すぎると初夏の暑さで早く枯れてしまうことがあります。草丈が20cm以下の小さいうちに冬を越すようにしましょう。また、豆の種は水に浸すと皮が破れることがあるため、そのまま直接まくのがおすすめです。連作障害を避けるために、過去4〜5年エンドウ豆を育てていない場所を選び、土壌のpHを6.5〜7.0に調整するために苦土石灰を使うことも重要です。種をまいた後は鳥に食べられやすいので、不織布などで覆って保護すると安心です。

質問:エンドウ豆を冬越しさせる際に、特に気を付けることは何ですか?

回答:エンドウ豆は、本葉が2〜3枚の幼苗の時期が一番寒さに強いですが、育ちすぎると寒さで傷みやすくなります。適切な時期に種をまいても、霜に直接当たると良くないので、笹の葉や藁を被せて霜から守りましょう。株の根元に藁や燻炭を敷くのも効果的です。さらに、12月下旬までは、トンネル支柱に不織布や寒冷紗をかけて防寒対策を強化することもできます。農家によっては、先に支柱を立てて藁の束で苗を囲む「藁囲い」をする人もいます。冬は風が強いので、覆っているものが飛ばされないように、しっかりと固定することが大切です。

質問:エンドウ豆には、どのように追肥をすれば良いですか?

回答:エンドウ豆への追肥は、品種や生育状況によってタイミングが異なります。冬を越して成長が始まる3月上旬に1回目の追肥を行い、畝の肩に速効性の化成肥料をひとつかみずつ撒くのが目安です。「きぬさやエンドウ」は、さらに土寄せをする時、花が咲く時期、収穫が始まる時期の3回、「実エンドウ」や「スナップエンドウ」は、実が大きくなる時期に1回程度、生育の様子を見ながら行います。特に成長が盛んで、花が次々と咲いている時期に2回目の追肥を行うと、実付きが良くなります。追肥は、土を耕したり、雑草を取り除いたり、土寄せをするのと一緒に行うと効率的です。肥料の量は、チッソ成分で10㎡あたり30g程度の速効性化成肥料が目安となります。
えんどう豆家庭菜園