カットした梨が黒くなる原因と安全に食べるための知識
みずみずしい甘さが魅力の梨ですが、切った後に黒ずんでしまうこと、ありますよね。見た目が悪くなるだけでなく、本当に食べても大丈夫なのか不安になる方もいるかもしれません。梨の黒変には、酸化による自然な変化から、品質劣化や病気など様々な原因が考えられます。本記事では、梨が黒くなる原因を詳しく解説し、安全に美味しく食べるための知識をご紹介します。原因を正しく理解し、安心して梨を楽しみましょう。

梨をカットしたら中が黒い!考えられる理由

みずみずしい果汁とシャリっとした食感が魅力の梨。いざ食べようとカットしたら、果肉の一部や中心部分が黒く変色していて、驚いた経験はありませんか?梨の黒変は見た目の問題だけでなく、原因によっては安全性が気になることもあります。この現象は、表面的な酸化だけでなく、病気や害虫によるダメージ、長期保存による品質の低下など、様々な原因で起こりえます。梨の果肉が黒くなる原因を知ることで、適切な対応ができるようになります。ここでは、梨が黒くなる主な原因と、それぞれの状態について詳しく解説します。

芯腐れ症:胴枯病菌が原因

梨の中心部分が黒くなる原因の一つに「芯腐れ症」があります。これは胴枯病菌(Botryosphaeria dothideaなど)と呼ばれる菌に感染することで起こる病気です。この菌に梨の木が感染すると、まず枝が腐り、やがて果肉も腐らせて黒や茶色に変色させます。梨を黒くする病気には他に、黒斑病や輪紋病などがありますが、これらは表面にシミのような黒い模様ができるため、通常は出荷前に発見されます。しかし、「芯腐れ症」は主に中心部分を黒くするため、外見からは判断しにくいという特徴があります。そのため、「芯腐れ症」に感染した梨が市場に出回ることもあります。購入した梨に、保存状態や賞味期限に問題がないにもかかわらず、切ってみたら中心部が黒かった場合、この病気に感染している可能性が高いと考えられます。植物の病原菌なので、人体に感染することはありません。しかし、黒くなっているということは菌に感染している状態なので、品質や風味の点から考えると食べることはおすすめできません。変色部分が広い場合や、異臭がする場合は特に注意が必要です。

シンクイムシによる食害

梨の果肉の黒変は、害虫が原因である可能性もあります。特に「シンクイムシ」は、梨の内部に侵入して果肉を食い荒らし、黒変を引き起こす代表的な害虫です。シンクイムシは、主にモモシンクイガやナシヒメシンクイなどの蛾の幼虫のことで、イモムシのような姿をしています。これらの幼虫が梨の果皮を食い破って内部に侵入し、果実を食べて成長します。食害された部分は、虫の排泄物や、それに伴う微生物の繁殖によって黒く変色します。シンクイムシによる黒変は、果肉の一部が点状や線状に黒ずむことが多く、虫が侵入した小さな穴が見られる場合もあります。ダニやカメムシも梨に付着することがありますが、果肉が部分的に黒くなる場合は、シンクイムシの可能性が高いでしょう。虫食いの特徴として、黒変部分の周りに虫の糞が残っていたり、果肉が部分的に柔らかくなっていることがあります。また、果実の成長過程でできた傷や生理現象による黒変とは異なり、虫食いの穴がはっきりと確認できるのが特徴です。被害が小さい場合は、黒変部分を取り除いて食べられることもありますが、虫食い穴から他の菌が侵入している可能性もあるため、注意が必要です。果肉の広範囲に食害が見られる場合や、異臭、カビの発生がある場合は、食べるのを避けた方が安全です。

長期保存による品質劣化

梨の黒変は、長期保存や保存状態が悪い場合に起こる品質劣化のサインであることも多いです。梨は比較的日持ちする果物ですが、適切な環境で保存しないと、時間が経つにつれて細胞組織が壊れ、果肉の変色や食感の変化が起こります。特に、冷蔵庫での不適切な低温環境や、乾燥した場所での保存は、梨の細胞にダメージを与え、「低温障害」を引き起こすことがあります。低温障害になると、果肉の内部が黒ずんだり、茶色く変色したりします。また、エチレンガスを発生させる他の果物(りんごやバナナなど)と一緒に保存すると、梨の成熟が早まり、品質劣化が進んで変色につながることもあります。傷んでいる梨は外側から黒くなることが多いですが、内部が黒ずんでいて、切るまで判断が難しい場合もあります。品質劣化による黒変のサインとしては、変色部分が広範囲で取り除くのが難しい、果肉が柔らかすぎる、ブヨブヨしているなどが挙げられます。このような状態は、梨の鮮度や風味が大きく損なわれていることを示しています。適切な保存期間と保存環境を守ることが、梨の品質を長く保ち、変色を防ぐ上で非常に重要です。

ポリフェノールによる酸化

梨を切った際に表面が黒ずんでしまうのは、よく見られる現象です。これは、梨に含まれる成分が空気と反応する「酸化」と呼ばれる化学反応が原因です。梨には、ポリフェノールという天然の色素が含まれており、このポリフェノールが、梨自身が持つポリフェノールオキシダーゼという酵素と、空気中の酸素と結合することで、化学変化を起こします。この変化により、ポリフェノールはメラニンという褐色の物質に変わり、それが黒ずみとして見えるのです。これは、リンゴやジャガイモの皮をむいた後、時間が経つと変色するのと同じ仕組みです。ポリフェノールが酸化して黒くなった梨は、腐っているわけではないので、食べても健康上の問題はありません。ただし、見た目は良くないですし、水分が失われて乾燥しやすくなったり、栄養価が若干低下したり、風味が落ちて少し渋みを感じたりすることがあります。酸化による黒変は、時間が経つにつれて進行しますが、カビが生えたり、嫌な臭いがしたりする腐敗とは異なり、変色した部分が比較的乾燥しているのが特徴です。また、梨の内部から黒くなる芯腐れや、虫が食べた跡がはっきりわかる黒変とも区別できます。酸化は梨の味を損ねる可能性があるため、切った梨はなるべく早く食べるか、変色を防ぐための適切な処理をすることをおすすめします。

梨の変色、食べても大丈夫?安全な梨の見分け方

梨が黒く変色していると、「これ、本当に食べられるのかな?」と心配になるのは当然です。しかし、梨の変色が必ずしも食べられないというサインではありません。芯腐れ、虫食い、ポリフェノールの酸化による変色など、腐敗が原因ではない黒ずみであれば、基本的に食べても問題ありません。特に、黒い部分が気になる場合は、そこだけを取り除けば、味や食感は変わらずに美味しくいただけます。これまで変色した梨をすぐに捨てていた人も、今後は安心して食べられるケースが増えるでしょう。ただし、広範囲に傷んでいる場合でも、取り除ける範囲であれば食べられます。重要なのは、変色の原因と、品質がどの程度劣化しているかを見極めることです。見た目だけでなく、匂いや感触なども確認し、安全性を慎重に判断しましょう。ここでは、食べても安全な梨と、廃棄すべき梨を区別するための具体的なポイントを解説します。

品質劣化の度合いをチェック

梨の黒変が品質の劣化によるものかどうかを判断するには、その状態をよく観察することが重要です。まずは、黒ずんでいる範囲を確認しましょう。一部分だけの変色であれば、そこを取り除けば問題なく食べられます。しかし、黒変が果肉全体に広がっていて、取り除くのが難しい場合は、品質がかなり落ちている可能性があります。次に、梨の硬さを確認します。新鮮な梨はシャキシャキしていますが、傷んでいる梨は果肉が柔らかく、ブヨブヨした感触になります。特に、押すと大きくへこむような場合は注意が必要です。また、水分の状態も確認しましょう。果肉が乾燥して水分がなくなっている場合や、逆に水分が出てきてベタベタしている場合も、品質が劣化しているサインです。さらに、匂いも重要な判断材料です。梨本来の甘い香りがなくなり、酸っぱい匂いやカビのような臭い、発酵したような臭いがする場合は、腐敗が進んでいると考えられます。一部分が変色しているだけで、異臭がなく、ある程度の硬さが保たれている場合は、変色部分を取り除けば食べられますが、これらの兆候が複数見られる場合は、食べるのを避けた方が良いでしょう。

傷んだ梨の見極め方:廃棄すべき状態

梨が「食べてはいけない」状態というのは、単に品質が落ちているだけでなく、健康に悪影響を及ぼす可能性のある腐敗が進んでいる状態を指します。見た目に明らかな変化が見られる場合は、残念ですが処分しましょう。具体的には、以下の状態の梨は食べるのを避けてください。まず、最もわかりやすいのは「カビが生えている」状態です。果肉や皮に、青、緑、白などのカビがはっきりと見える場合は、カビ毒による健康被害のリスクがあるため、絶対に食べてはいけません。次に、「異臭がする」状態です。新鮮な梨の香りが全くせず、アルコールのような発酵臭、酸っぱい腐敗臭、ツンとした刺激臭など、不快な臭いがする場合は、微生物による腐敗が進んでいます。カビが生えていたり、異臭が強い場合は、すぐに捨ててください。さらに、「過度に柔らかい、またはヌメりがある」状態も危険です。果肉全体がドロドロに溶けていたり、表面がヌルヌルしている場合は、細菌が繁殖している可能性が高いです。また、「虫食いの穴から菌が侵入している」場合も注意が必要です。小さな虫食いの穴があるだけでも注意が必要ですが、その穴から黒ずみやカビが内部に広がっている場合は、食べるのは避けましょう。これらの兆候が一つでも見られる場合は、安全のために廃棄することが大切です。

梨の果肉が透けて見えるのはなぜ?蜜入りについて解説

梨の果肉の一部が透明感を帯びて見える現象は、「蜜入り」と呼ばれることがあります。これは、梨が黒く変色するのとは異なり、品質が劣化したわけではありません。むしろ、十分に熟した美味しい梨に見られる特徴の一つと考えられています。りんごでよく知られていますが、特定の品種や栽培条件によっては梨にも現れることがあります。蜜入りの梨は、通常乳白色の果肉部分とは異なり、光を通しやすく、半透明またはゼリー状に見えるのが特徴です。見た目から傷んでいるのではないかと心配になるかもしれませんが、蜜入りは糖度が高まっている証拠であり、基本的には安心して食べられます。ここでは、蜜入りが起こる科学的な理由や特徴を詳しく解説し、梨の黒変との違いについて理解を深めていただけるように情報をお届けします。

蜜入りの原因とメカニズム

梨の蜜入りは、主に梨が熟していく過程で、ソルビトールという糖アルコールが果肉に蓄積することで発生します。一般的な果物に含まれる糖はブドウ糖や果糖ですが、梨やリンゴにはソルビトールが多く含まれています。梨が樹上で十分に熟すと、果肉細胞内で生成されたソルビトールが、細胞と細胞の間に溜まります。この部分に水分が集まることで、光の屈折率が変わり、透明に見えるようになるのです。そのため、蜜入りの部分は半透明でゼリーのように見えるのです。蜜入りは、梨の糖度が高いことを示すサインであり、特に甘い梨に見られます。ただし、品種によって蜜の入りやすさは異なり、全ての梨に現れるわけではありません。蜜が入った梨は、一般的に甘みが強く、ジューシーで風味が豊かになると言われています。蜜入りは品質の低下ではなく、むしろ美味しい梨であることの証です。通常の果肉とは異なる食感も楽しむことができるでしょう。

蜜入りの梨は安心して食べられる?

蜜入りの梨は、問題なく食べることができます。むしろ、蜜入りは梨が十分に熟して甘くなっている証拠なので、安心して美味しく味わうことができます。蜜入りは、梨が成熟する過程で自然に起こる現象であり、カビや腐敗とは全く異なります。蜜が入っているからといって、梨が傷んでいるわけではありません。蜜入りの梨は、糖度が高く、みずみずしく、独特の甘さを感じられるため、好んで選ぶ人も多くいます。ただし、蜜入りであることに加えて、カビが生えていたり、異臭がしたり、極端に柔らかくなっていたりするなどの腐敗の兆候がないか確認することは大切です。蜜入りの部分が変色していたり、異臭がする場合は、蜜入り以外の原因が考えられるため、注意が必要です。特に問題がなければ、蜜入りの梨はそのまま生で食べるのがおすすめです。豊かな甘さと独特の食感を堪能してください。

変色した梨の活用法:無駄にしない調理アイデア

少し変色してしまった梨や、蜜入りが進みすぎた梨でも、まだ美味しく食べられる可能性があります。見た目や食感が変わってしまっても、傷んで黒い部分が多い、またはブヨブヨしているなどの状態でない限り、調理することで美味しく消費できます。ただし、傷みが進むほど、食感や味、鮮度は低下するため、気になる場合は無理に食べる必要はありません。少しでももったいないと感じる場合は、加熱調理やすりおろしなどの工夫を凝らして、新たな魅力を引き出しましょう。加熱することで変色が目立たなくなり、梨の甘みと風味が凝縮されます。すりおろすことで見た目の問題が解消され、梨本来の甘さや水分を活かした楽しみ方ができます。ここでは、変色した梨を無駄にせず、美味しく活用するための調理法をいくつかご紹介します。これらのアイデアを参考に、梨を最後まで味わい尽くしてください。

加熱調理:コンポートやジャムとして

梨が少し変色してしまったり、食感が気になる場合に有効なのが加熱調理です。加熱することで梨の果肉が柔らかくなり、特有のシャリシャリ感が和らぎます。そのため、食感の変化を気にせず美味しく食べられます。「コンポート」や「ジャム」は、梨の甘みと風味を凝縮し、見た目の変色も気にならなくなるためおすすめです。加熱により、梨に含まれるポリフェノールなどの酵素の働きが抑えられ、品質の維持にもつながり、さらなる変色を防ぐ効果も期待できます。コンポートは、梨を砂糖、レモン汁、水や白ワインなどと一緒に煮るシンプルなデザートです。材料の目安は、梨1kgに対し砂糖200〜300g、レモン汁大さじ2程度です。弱火でじっくり煮込むことで梨の甘みが引き出され、上品な味わいになります。ジャムにする場合は、さらに煮詰めてとろみをつけ、パンやヨーグルトに合わせるなど、様々な用途で楽しめます。砂糖漬けにすることで、風味や食感が変わるだけでなく、保存性も高まり、品質劣化を遅らせる効果も期待できます。作り方は簡単で、変色部分を取り除き、皮を剥いてカットした梨を、砂糖とレモン汁と共に鍋に入れ、弱火で煮詰めるだけです。加熱調理によって、変色した梨も美味しいデザートとして楽しめます。

すりおろして:スムージーやヨーグルトのアクセントに

変色部分を取り除いた梨や、蜜入りの梨など、梨本来のフレッシュな味や食感を楽しみたい場合は、生のまますりおろして活用するのがおすすめです。梨をすりおろすことで、変色した部分が細かくなり、見た目の抵抗感が軽減されます。また、すりおろすことで、わずかな渋みが甘さや水分で打ち消され、より美味しく味わえます。すりおろした梨は、料理や飲み物のアクセントとして活用できます。手軽な方法としては、他の食材と混ぜて「スムージー」や「ジュース」にするのがおすすめです。バナナ、ほうれん草、牛乳や豆乳などと組み合わせることで、栄養満点で飲みやすい一杯になります。「ヨーグルト」のトッピングにすれば、梨の自然な甘みとシャキシャキとした食感がヨーグルトの酸味と調和し、朝食やおやつに最適です。その他、肉料理のソースやドレッシングの材料としても活用できます。梨に含まれる酵素が肉を柔らかくする効果も期待でき、風味豊かな仕上がりになります。梨の食感や水分を活かしたこれらの活用法は、変色した梨を無駄なく美味しく消費するための方法の一つです。

梨の変色を防ぐ:保存方法と下処理のポイント

梨の美味しさを保ち、変色や品質劣化を抑えるためには、適切な保存方法と丁寧な下処理が重要です。梨は環境によって鮮度維持期間が左右されやすく、保存方法が適切でないとすぐに傷んだり、風味が損なわれたりします。カットした梨は、空気に触れると酸化が進みやすいため、早めの対策が必要です。ここでは、未カットの梨の鮮度を保つ保存方法から、カットした梨の変色を抑える工夫まで詳しく解説します。これらの対策を実践することで、梨をより長く美味しく楽しめるでしょう。

切る前の対策:鮮度を保つ保存術

未カットの梨の鮮度を保ち、変色を防ぐ保存方法は、保存期間と目的に応じて異なります。常温保存の場合、直射日光を避け、涼しい場所に置くことで2~3日、条件が良ければ5日程度の保存が可能です。段ボールに入れてキッチンの涼しい場所で保管するのが一般的ですが、日持ちしないため早めに食べきるようにしましょう。冷蔵保存の場合は、冷蔵庫に入れると1週間程度、最大10日ほど保存できます。梨は乾燥に弱いため、新聞紙やキッチンペーパーで一つずつ包み、密封袋やポリ袋に入れて、野菜室で保存するのが理想的です。野菜室がない場合は、温度変化の少ない冷蔵室のドアポケットなどでも構いません。エチレンガスを発生するりんごやバナナなどの果物とは分けて保存することで、品質劣化を遅らせることができます。長期保存には冷凍保存が有効で、1か月程度保存できます。すぐに食べられない場合や、傷みかけている梨には冷凍保存がおすすめです。冷気が直接当たらないよう密封袋に入れ、冷蔵保存と同様に冷凍します。金属製のトレーに乗せて冷凍すると、急速冷凍でき、細胞破壊を抑えて賞味期限を延ばすことができます。解凍する際は自然解凍しますが、冷凍すると食感が変わるため、用途は限られます。品種ごとに最適な保存期間を考慮し、適切に管理することで梨の鮮度を保てます。

切った後の対策:変色を防ぐための工夫

カットした梨が時間の経過とともに色が変わってしまうのを防ぐには、いくつかの有効な事前準備があります。一般的な方法としては、カットした梨を薄い塩水、またはレモン水に数分間浸すのが効果的です。塩水を作る際は、水1リットルに対し小さじ1/2程度の塩を、レモン水の場合は水1リットルに対し大さじ1程度のレモン汁を目安にしてください。塩水には酸化を遅らせる働きがあり、レモン水に含まれるビタミンC(アスコルビン酸)は、その優れた抗酸化作用によって変色を抑制します。ただし、長時間浸しすぎると梨本来の風味が損なわれることがあるため、注意が必要です。市販されているビタミンCの粉末を水に溶かして使用することでも、同様の効果が期待できます。浸した後、軽く水分を拭き取ってから保存しましょう。また、物理的に空気との接触を最小限にすることも重要です。カットした梨は、空気に触れる表面積を減らすため、ラップでしっかりと包むか、密閉できる容器に入れて冷蔵庫で保管します。できるだけ大きくカットしたり、切り口を下にして保存することで、酸素に触れる面積を少なくできます。カットされた梨も、切る前の梨と同様に冷蔵保存が可能ですが、一度カットすると賞味期限が約3日と短くなるため、早めに食べきるようにしましょう。これらの方法を組み合わせることで、カットした梨の美しい色と新鮮な味を、より長く保つことができます。

まとめ:梨の状態に応じた適切な対処法

梨の変色や透明化といった状態に遭遇した際に、この記事で提供した情報をもとに、読者の皆様が適切に対処するためのポイントをまとめます。まず、梨が黒くなる原因が全て腐敗ではないということをご理解いただけたかと思います。梨の黒変は、芯腐れ、虫による食害、長期保存による品質の低下、そしてポリフェノールによる酸化など、様々な原因によって起こります。これらのうち、芯腐れや虫食い、軽度の品質低下、酸化による変色は、腐敗の兆候が見られなければ、変色した部分を取り除いて食べられることが多いです。特にポリフェノールの酸化は自然な反応であり、見た目に影響はあっても安全性に問題はありません。しかし、異臭がする、カビが生えている、果肉が非常に柔らかい、または粘り気があるといった明らかな腐敗の兆候が見られる場合は、ためらわずに廃棄することが大切です。一方で、梨の果肉が半透明になる「蜜入り」は、品質の劣化ではなく、成熟が進んだことによる糖度の高さを示すもので、美味しく食べられる状態です。もし軽度の変色がある梨を無駄にしたくない場合は、加熱調理(コンポートやジャムなど)や、すりおろして(スムージーやヨーグルトのトッピングなど)活用することで、美味しく消費できます。これらの調理法は、変色を目立たなくし、風味をより豊かにする効果もあります。さらに、梨の変色を事前に防ぐためには、適切な保存方法が重要です。カットしていない梨は、新聞紙に包んで冷蔵庫の野菜室で保存し、カットした梨は塩水やレモン水で処理し、密閉して冷蔵保存することで鮮度を保つことができます。原因の特定、安全性の判断、適切な活用方法、そして予防策までを理解することで、梨を最後まで美味しく楽しむための総合的なアドバイスを提供します。

質問1:芯が変色している梨は食べても大丈夫ですか?

梨の芯が変色している場合、「芯腐れ」や長期保存による品質低下が考えられます。芯腐れは植物の病原菌である胴枯病菌によるものですが、この菌は植物にのみ感染するため、人間への感染の心配はなく、病気の梨を食べても人体に大きな影響はありません。ただし、黒くなっているということは病原菌に感染しているため、品質や風味の点からは食べることはおすすめできません。変色が芯の部分のみで、果肉に異臭やカビがなく、著しい柔らかさや見た目の異常が見られなければ、変色部分を取り除いて食べられることもあります。しかし、変色が果肉全体に広がっていたり、異臭やぬめりがある場合は、安全のために食べない方が良いでしょう。

質問2:梨の一部が透けて見えるのですが、これは傷んでいるのでしょうか?

梨の一部が透けて見える現象は、多くの場合「蜜入り」と呼ばれ、品質が低下しているわけではありません。これは梨が十分に熟し、糖の一種であるソルビトールが細胞間に蓄積することで起こる自然な現象です。蜜入りの梨は糖度が高く、美味しいとされています。蜜入りの梨は安全に食べることができ、むしろ完熟している証として高く評価されます。ただし、透けて見える部分が極端に柔らかかったり、異臭がする場合は、蜜入り以外の原因も考えられるため注意が必要です。

質問3:梨を切ったらすぐに色が濃くなってしまうのを防ぐには?

梨を切った断面がすぐに茶色っぽく変色するのは、梨に含まれる成分が空気中の酸素と結合する酸化という現象が原因です。変色を抑えるには、切った梨を薄い塩水(水1リットルに対して塩小さじ1/2程度)や、レモン水(水1リットルに対してレモン汁大さじ1程度)に数分間浸すと効果的です。レモン水に含まれるビタミンCが酸化を防ぐ役割を果たします。その他、密閉できる容器に入れて冷蔵庫で保管したり、食べる直前にカットするのも有効な手段です。

質問4:梨にある黒い点は虫食いかどうか、どうやって判断すれば良いですか?

梨の表面に見られる黒い点が虫によるものかどうかを見極めるには、いくつかの点に注意が必要です。まず、黒い点の周りに小さな穴が開いていたり、虫が通ったような跡がないか確認しましょう。もしシンクイムシなどの幼虫が入り込んでいる場合、虫のフンが残っていたり、周囲の果肉が柔らかくなっていることがあります。また、黒い変色が点状ではなく、梨の内部に向かって線状に広がっていることも特徴の一つです。一方、単なる打ち身や表面的な傷であれば、内部への大きな影響は見られないことが多いでしょう。広範囲にわたって食害が見られる場合や、異臭がする、カビが生えているなどの場合は、食べるのを避けるのが賢明です。

質問5:変色してしまった梨を美味しく食べる方法はありますか?

少しだけ変色したり、傷がある梨でも、加熱調理すれば美味しく食べられます。特におすすめなのは、梨のコンポートやジャムです。梨をカットして、砂糖とレモン汁と一緒に煮るだけで、変色が気にならなくなり、甘みが凝縮された美味しいデザートになります。加熱することで梨の果肉が柔らかくなり、独特のシャリシャリ感が抑えられるため、食感の変化も楽しめます。さらに、加熱によってポリフェノールなどの酵素の働きが弱まるため、品質の劣化を抑え、変色を防ぐ効果も期待できます。その他、すりおろしてスムージーやジュースに加えたり、ヨーグルトのトッピングにするのも良いでしょう。すり潰すことで変色部分が目立たなくなり、梨本来の甘みと水分を堪能できます。

質問6:梨はどのくらい日持ちしますか?(保存期間について)

梨の保存期間は、保存方法によって大きく変わります。常温で保存する場合は、直射日光を避け、涼しい場所であれば2~3日程度、状態が良ければ最長で5日程度保存できます。冷蔵保存(新聞紙で包んでから密閉袋に入れ、野菜室へ)の場合は、1週間から最大10日程度保存可能です。ただし、カットした梨は酸化が進みやすいため、冷蔵保存でも2~3日を目安に食べきるようにしましょう。長期保存したい場合は冷凍保存がおすすめです。密閉できる袋に入れて冷凍すれば、約1ヶ月保存できます。ただし、冷凍すると梨のシャキシャキとした食感が損なわれるため、ジャムやスムージーなど、食感を気にしない用途に向いています。