桃は、その甘くてジューシーな果肉で夏を彩る果物として多くの人々に愛されています。しかし、桃と言ってもその品種は多彩で、それぞれに独自の風味や食感があります。この記事では、桃の種類に迫り、その多様な品種の魅力と特徴を紹介します。あなたのお気に入りの桃を見つける手助けとなる情報をお届けします。
桃のバラエティと主な品種
桃は非常に多様な果物であり、100以上の品種が存在すると言われています。その品種は大きく分けて白桃系、白鳳系、黄桃系の3系統に分類されます。同じ「桃」と言っても、系統の違いや細かい品種があるため、多様な特性を持っています。これら3つの系統の特徴を理解することで、お好みの味や食感を見つけてみましょう。
白桃系
日本の桃の中で最も古い歴史を持つ白桃は、その名の通り、果皮や果肉が純白で高貴な印象を与えます。この品種は、みずみずしくしっかりとした果肉が特徴で、さわやかな甘さとともに程よい酸味が感じられます。主要な品種としては、岡山県の「清水白桃」や、山梨県および山形県で広く育てられている「川中島白桃」が挙げられます。
白鳳系
白鳳は、鮮やかな赤色に色づく実が印象的で、特に日差しをたっぷりと受けた部分はさらに深い色になります。その味わいは糖度が非常に高く、酸味はわずかしか感じられず、まるでとろけるような甘さが特徴です。質感は白桃と比較して柔らかく、滑らかさを持つ品種が多いのが特徴です。
主な品種としては、和歌山県で栽培される「日川白鳳」や、山梨県産の「みさか白鳳」があり、白桃と同様に多くの地域で広く栽培されている人気のある桃です。
黄桃系
黄桃は特有の黄色い皮と果肉が目を引きます。桃の中では最も硬めで、シャキシャキとした食感が特徴です。果汁が豊富でジューシーなため、コンポートなどのお菓子の材料としても人気があります。
代表的な品種として「黄金桃」や「黄ららのきわみ」が挙げられますが、全体の生産量は少なめです。その希少性ゆえ、贈り物としても喜ばれる一品です。
注目を集める硬い桃の名高い品種
桃の選び方は、個人の食感の好みによって大きく異なります。特に硬い桃は、その緻密な食感と滑らかな舌触り、心地よい歯ごたえが魅力です。硬めの桃は白桃系品種に多く見られ、味も素晴らしいことから、桃の産地では「硬さこそが美味しさの証」とされることもあります。
あかつき
国内で一番生産量が多いとされる品種「あかつき」。主な生産地は福島県であり、初夏から盛夏にかけての7月下旬から8月にかけてが収穫期です。あかつきの魅力は、硬めの果肉に洗練された甘さがあり、爽やかな香りが特徴で、夏の暑さを感じる頃にぴったりのフルーツです。
さらに、あかつきはさまざまな食材と調和し、料理にも適しています。チーズとオリーブオイルであえ、あかつきのカプレーゼにすると、そのシンプルさの中で桃の香りと甘さが際立ち、さっぱりとした前菜として絶妙な味わいを楽しめます。
川中島白桃
「川中島白桃」は、その発祥地である長野県川中島町に由来する品種で、甘さとジューシーさから「桃の王様」と称されています。白桃系の中で特に人気が高く、口に含むと滑らかで、梨のようにシャキッとした歯ごたえが特徴です。果肉がしっかりしており、保存が効くのも魅力の一つです。
この川中島白桃の旬の時期は、8月下旬から9月中旬まで。他の品種が収穫期を終える頃に市場に出回り、夏の終わりまでその味を楽しむことができます。
おどろき
「おどろき」という品種は、その名が示す通り「驚くほど硬く、驚くほど大きい」特徴を持っています。この桃は特に果肉がしっかりしており、カリッとした食感が楽しめます。完熟しても硬さがほとんど変わらず、濃厚な甘みと心地よい歯ごたえが長続きします。
この桃の旬は8月下旬から9月中旬までで、大玉になると重量が350gを超えることもあります。また、品質が長く保持されることと、お盆時期に旬が重なることから、お供え物としても人気を集めています。
大人気の柔らかい桃の品種
柔らかい食感で口の中でとろける桃は、白鳳系や黄桃系といった品種に多く見られ、滑らかな舌触りと心地よい歯ごたえが特徴的な硬い桃とは対照的です。最近では硬い桃も注目を集めていますが、桃のイメージといえばやはりみずみずしくて柔らかい果肉を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
ここでは、そのような柔らかい桃の代表的な品種、それぞれの特徴、さらに旬の時期について詳しく紹介していきます。
白鳳
「白鳳」は、白桃と橘早生の交配によって生まれた品種で、白鳳系にも分類される代表的な桃の一種です。その果肉は緻密で繊維が少なく、たっぷりとした果汁が詰まっています。酸味や渋みが少なく、豊かな甘みが特徴で、「これぞ桃!」と思う人も多いでしょう。
白鳳の旬は7月中旬から8月上旬です。旬を迎えると、白鳳の果実は鮮やかな紅色に染まり、見た目も美しさを増します。
清水白桃
「清水白桃」は、白桃の中でも珍しい品種で、繊細な果肉を特徴としており、その香りと甘さのため「桃の女王」とも称されています。皮が簡単に手で剥けるほど柔らかく、口に含むと豊かな甘さが広がります。
岡山県を中心に栽培されており、旬は7月下旬から8月中旬までとされています。
西王母
「西王母」は片手で持つには大きすぎるほどのサイズで、その重さは350gから600gにも達します。色合いは乳白色に薄くピンクがかった可憐なもので、昔話に登場する桃を思い起こさせる姿をしています。
この名前は中国の神話に登場する仙人に由来していると言われています。収穫時期は9月下旬から10月の終わりにかけてと遅めで、桃の中では晩成種に分類されます。
美味しい桃が収穫される地域
全国には美味しい桃の産地が多数あります。生産量のランキングで見ると、1位は山梨県、続いて福島県、長野県がトップ3を占めています。その後、4位に山形県、5位に和歌山県が続いています。具体的な生産量については以下をご覧ください。
国内で生産される桃の約60%は、山梨県、福島県、長野県の3県で収穫されており、いずれの県も生産量と品質で高い評価を得ています。