桃の生産量・収穫量が多いのはどこ?産地ランキングを紹介!
夏に旬を迎える桃は、スーパーや産直市場などで目にすることが多い人気の果物ですが、どこの地域で多く栽培されているかご存知でしょうか?北は青森県から、南は瀬戸内地方の岡山県や香川県まで、日本各地で栽培されています。しかし、国内で収穫される桃の約8割は、上位5県によって生産されているのが現状です。この記事では、桃の生産量・収穫量に焦点を当て、ランキング形式でご紹介するとともに、各産地の桃の特徴についても詳しく解説していきます。それぞれの土地で育まれた桃の個性や魅力を、ぜひご確認ください。

都道府県別ランキング!桃の収穫量日本一は?

桃の生産に関するデータは、農林水産省のウェブサイトで定期的に公開されています。令和6年1月に発表された最新データによると、日本全国の桃の収穫量は約10万9400トンで、山梨県が圧倒的なシェアを占めています。このデータは通常、前年の収穫量(ここでは2023年産)に基づいており、日本の桃生産の現状を把握する上で非常に重要です。上位5県で全国の収穫量の約8割を占め、特に山梨県と福島県は突出しており、この2県だけで全国の半分以上を占めています。地域ごとに気候条件が異なるため、それぞれの土地で育つ桃の風味も様々です。トップ10には、新潟県、岐阜県、岡山県など、米や野菜の生産が盛んな地域も名を連ねており、全国各地で多様な桃が栽培されていることがわかります。具体的には、6位以下は岡山県、青森県、新潟県、岐阜県、香川県の順となっており、比較的冷涼な地域から温暖な地域まで、幅広い地域で桃が栽培されていることが分かります。それでは、上位5県の桃の特徴を詳しく見ていきましょう。

第1位:山梨県

桃の収穫量で日本一を誇る山梨県は、水はけの良い盆地の土壌と、日照時間の長さが特徴です。フルーツ王国として知られる山梨県は、昼夜の寒暖差が大きく、年間降水量が少ない内陸性気候であり、日照時間が長いため、果樹栽培に最適な環境です。日中にたっぷりと太陽光を浴び、夜間の気温低下によって糖度が上がるため、甘くて美味しい桃が育ちます。また、降水量が少ないため、病害虫の被害が少ないのも利点です。このような自然条件に加え、長年の栽培経験と技術の蓄積が、高品質な桃の安定生産を支えています。山梨県では、様々な品種の桃が栽培されており、シーズンを通して収穫が途切れることがありません。代表的な白桃系の品種としては、7月上旬から「夢しずく」、「白鳳」、「浅間白桃」などが収穫され、その後8月上旬からは「川中島白桃」が登場します。太陽をたっぷり浴びて育つことで、果皮が鮮やかなピンクや赤色に染まるのも特徴です。また、オリジナル品種の「夢みずき」は、7月中旬から味わえる人気の品種です。

第2位:福島県

桃の収穫量ランキングで第2位に位置する福島県は、全国の約26%にあたる2万8500トンを生産しています。東北地方の南端に位置し、冷涼な気候でありながら、日照時間が確保できるという恵まれた環境です。昼夜の寒暖差が大きく、桃の甘みと風味を引き出すのに適しているため、高品質な桃が育ちます。山梨県と比較すると気温が低いため、生育期間が長くなり、木の上でより多くの栄養を蓄えることができるため、甘みが強くなる傾向があります。果肉が硬めの品種が多く、特に有名なのが白桃系の「あかつき」です。「あかつき」は、県の試験場での研究開発によって生まれた品種ですが、当初はサイズが小さく、研究が一時中断されました。しかし、その美味しさを諦めなかった福島県が改良を重ね、現在のような大玉の「あかつき」が誕生したのです。「あかつき」の他にも、晩生品種の「ゆうぞら」や、8月中旬に出荷される「まどか」など、多様な品種が栽培されています。

第3位:長野県

「フルーツ王国」として知られる長野県は、桃の生産量においても国内有数の地位を誇ります。全国の桃の約9%が長野県で収穫されており、その量は膨大です。山梨県や福島県と同様に、標高差による多様な気候、豊富な日照時間、水はけの良い土壌といった恵まれた自然環境が、桃の栽培を支えています。これらの好条件に加え、生産者の長年の経験と努力が、多種多様な桃を生み出し、それぞれの桃が独自の風味と食感で多くの人々を魅了しています。本州の中部に位置する長野県では、7月から8月にかけて収穫の最盛期を迎えます。この時期はお中元のシーズンと重なるため、贈答品としての需要も高まります。長野県は、品種改良にも積極的に取り組んでおり、数多くのオリジナル品種を生み出しています。特に、白桃の代表的な品種である「川中島白桃」は全国的に有名です。その他にも、オリジナル品種の「なつっこ」や、黄桃系の「黄金桃」などが長野県生まれの代表的な品種として知られています。また、桃の表面の産毛がないネクタリンの栽培も盛んで、山根白桃とネクタリンの自然交配によって誕生した「ワッサー」も長野県で発見されました。降水量が少ないため、土壌の栄養分が流出しにくく、桃の木にしっかりと吸収されるため、大きく甘みの強い桃が育ちます。

第4位:山形県

桃の収穫量で全国4位にランクインするのは山形県です。山形県は、国内の桃生産において重要な役割を果たしており、その品質と品種の豊富さで高い評価を得ています。東北地方に位置する山形県は、上位5県の中でも比較的冷涼な気候が特徴です。年間を通して涼しい気候のため、桃の収穫は8月以降とやや遅めになりますが、夏の暑い時期でも夜間の気温がしっかりと下がるため、昼夜の寒暖差によって甘みと果汁が凝縮された高品質な桃が育ちます。冷涼な気候でありながら、白桃から黄桃まで幅広い品種を栽培しており、その多様なラインナップは多くの消費者を魅了しています。晩生品種の栽培が盛んで、遅いものでは10月頃まで収穫が可能です。白桃系では、「あまとう」、「あかつき」、「川中島白桃」などが栽培されるほか、黄桃系の栽培も盛んです。具体的には、「光黄(こうき)」、「黄金桃」、「黄貴妃」、「黄ららのきわみ」、「光月(こうげつ)」など、数多くの黄桃品種が栽培されています。

第5位:和歌山県

全国の桃収穫量ランキングで第5位に位置するのは和歌山県です。上位5県の中で最も西に位置する和歌山県は、収穫時期が早いことが特徴です。特に、早生品種よりもさらに早い極早生品種の栽培が盛んで、代表的な品種としては6月中旬から市場に出回る「ちよひめ」があります。山梨県産のような鮮やかな赤色ではなく、上品なピンク色の果皮が特徴で、袋掛け栽培される品種も多く、美しいクリーム色の桃も収穫されています。和歌山の桃として特に有名なのが「あら川の桃」です。これは、桃山町あら川地区で収穫される桃の総称で、特に白い果皮を持つ「清水白桃」はブランド桃として全国的な知名度を誇ります。また、「川中島白桃」や「日川白鳳」といった白鳳系の品種も多く栽培されているのが特徴です。

まとめ

日本全国で親しまれている桃は、特に山梨県、福島県、長野県、山形県、和歌山県の5県で生産量の大部分を占めています。各産地は、それぞれの気候や土壌の特性を最大限に活かし、早生品種から晩生品種、白桃から黄桃、さらにはネクタリンまで、多種多様な品種を栽培しています。昼夜の寒暖差や豊富な日照時間など、桃の栽培に最適な環境を持つこれらの地域では、長年の経験に裏打ちされた栽培技術と、品種改良への飽くなき情熱が、甘く、香り高く、みずみずしい高品質な桃を生み出しています。日本産の高品質な桃は、海外でも高い評価を受けており、輸出果実としての今後の発展が期待されています。

桃の主要な産地はどちらになりますか?

日本国内で桃が盛んに栽培されている地域としては、山梨県、福島県、長野県、山形県、そして和歌山県が挙げられます。これらの5つの県で、日本全国の桃の収穫量の約8割を占めています。これらに次いで、岡山県、青森県、新潟県、岐阜県、香川県などが主な産地として知られています。

日本で最も桃の収穫量が多い都道府県はどこですか?

農林水産省が発表した最新のデータ(令和6年1月発表、2023年産)によれば、日本で一番桃の収穫量が多い都道府県は山梨県です。

桃を栽培するのに適した土壌とはどのようなものですか?

桃の栽培に最適な土壌条件としては、川沿いの平野部に広がる砂地や、水田から転換された土地、褐色森林土や赤色土に覆われた山地などが挙げられます。中でも特に大切なのは、水はけが良いことです。水田を転換した土地では、明渠や暗渠を設けて、排水対策をしっかりと行う必要があります。土壌の特性によって適した品種も異なり、例えば、水はけの良い砂質壌土には「日川白鳳」などが適しています。