桃の種類図鑑:品種と旬の収穫時期で楽しむ、夏の味覚
夏の訪れを告げる甘くジューシーな桃。一口かじれば、芳醇な香りととろけるような食感が、至福の時間をもたらしてくれます。実は桃には多彩な品種があり、それぞれに個性的な味わいと旬の時期があることをご存知でしょうか?
この記事では、代表的な品種とその特徴・収穫時期をご紹介。甘さ、食感、香りなどの違いを知れば、今年の夏はもっと桃が楽しめるはず。あなたのお気に入りの桃を見つけて、旬の味覚を存分に味わいましょう。

多様な桃の世界:甘味・食感・香りの違い

日本では100種類以上の桃が栽培されており、旬の時期や果肉の硬さ、甘み、香りに至るまで、多様な個性を持っています。この記事では、特に人気の高い品種を「硬めの桃」「柔らかめの桃」に分けて詳しく紹介します。

硬めの桃(シャキッと食感が魅力)

川中島白桃(かわなかじまはくとう)

白桃系の中でも代表的な晩生品種で、果肉は緻密でしっかりとした歯ごたえ。糖度が高く、果汁も豊富で、贈答用としても人気です。主に8月下旬〜9月上旬にかけて収穫されます。

なつっこ

「川中島白桃」と「あかつき」の交配で生まれた中晩生品種。やや硬めの果肉と強い甘み、バランスの取れた酸味が特徴。8月上〜中旬が旬です。

あかつき

「白桃」と「白鳳」の交配から生まれた代表的な品種で、果肉はやや硬めながら多汁で甘みが強く、バランスの良さが魅力です。7月下旬〜8月中旬が食べごろ。

さくら白桃

果肉はしっかりと硬く、糖度が高め。収穫後に追熟するとほどよくやわらかくなり、風味が変化します。8月下旬〜9月中旬の晩生種。

美郷(みさと)

長野県で育成された早生種。シャキッとした歯ごたえと控えめな酸味で、甘さが際立ちます。7月中旬頃が最盛期。

黄貴妃(おうきひ)

果肉はやや硬めの黄桃で、豊かな甘みと高糖度が魅力。追熟するとさらに香りが引き立ちます。

夢みずき

山梨県で育成されたオリジナル品種。大玉で糖度が高く、果肉はしっかりしつつ、なめらかな舌触りが特徴。

ネクタリン

表皮にうぶ毛がない滑らかな桃。酸味があり、甘酸っぱい爽やかな味が楽しめます。果肉はやや硬めで果汁も豊富。

ワッサー

桃とネクタリンの自然交雑種。酸味と甘みのバランスがよく、果肉はやや硬め。7月中旬〜下旬が旬。

おどろき

果肉は極めて硬く、長期間保存できる珍しい品種。甘みは控えめで、独特の食感にファンが多い晩生種。

まどか

紅色の果皮とマーブル状の果肉が美しく、やや硬めの食感で高糖度。果汁も豊富で食べごたえがあります。

白麗(はくれい)

乳白色の果肉で、見た目も美しく高糖度。やや硬めの食感があり、贈答用としても高評価。

嶺鳳(れいほう)

果肉はしっかりしており、甘さが強い晩生種。9月上旬〜中旬頃に出回ります。

赤宝(せきほう)

赤い果皮と甘酸っぱい風味が特徴。果肉は硬めで、果汁も多め。

アルプス美人

長野県で育成された品種。果肉は硬めで弾力があり、酸味が少なく、甘さをしっかり感じられる。

幸茜(さちあかね)

400gを超える大玉で、晩生種の中でも高糖度。硬めの果肉と上品な風味が魅力。

一宮白桃(いちのみやはくとう)

山梨県笛吹市一宮町が発祥。果肉は緻密でジューシー、甘みが強く酸味は少なめ。

柔らかめの桃(とろける食感が魅力)

清水白桃(しみずはくとう)

岡山県原産で、果皮は白く、手でむけるほどやわらか。芳醇な香りと高糖度で、贈答用の王道品種。

白皇(はくおう)

岡山県オリジナルの品種で、果肉はやわらかく、渋みや酸味が少なく上品な甘さ。

白鳳(はくほう)

日本を代表する桃の一つで、ジューシーでやわらかく、甘さと香りのバランスに優れた品種。7月中旬〜下旬が旬。

黄金桃(おうごんとう)

黄色い果肉をもつ希少な桃。マンゴーのような風味で、強い甘みと香りを持ち、近年人気上昇中。

日川白鳳(ひかわはくほう)

「白鳳」の枝変わりで、早生種として人気。やわらかく多汁で、さっぱりとした甘さ。

加納岩白桃

山梨県甲府市加納岩地区で発見された「浅間白桃」の枝変わり。果汁が豊富で甘みも強い。

おかやま夢白桃

岡山県限定栽培の大玉品種。果肉は緻密で、甘みが非常に強く、酸味が少ない。

はつひめ

極早生で大玉の品種。果汁が多く、フレッシュな甘さが魅力。6月下旬〜7月初旬に楽しめます。

夏かんろ

糖度が非常に高く、強い甘さと旨味を持つ希少な品種。栽培量は限られています。

美月(みづき)

晩生種で、9月頃まで楽しめるやわらかめの桃。甘さは上品で、香りも高くジューシー。

西王母(せいおうぼ)

大玉でとろける果肉。濃厚な甘みと美しい外観で注目の新品種。

ゆうぞら

「白桃」と「あかつき」の交配種。果肉はなめらかで果汁が多く、甘さも十分。

紅清水(べにしみず)

清水白桃の枝変わりで、赤みのある果皮とやわらかい果肉が特徴。香りと甘みが非常に強い。

その他の注目品種

  • 浅間白桃:山梨県産の晩生種。「高陽白桃」が親。
  • 暁星(ぎょうせい):「あかつき」の枝変わりで早生品種。
  • 長沢白鳳:「白鳳」の枝変わり。
  • みさか白鳳:山梨県笛吹市御坂町で発見された白鳳系。
  • ちよひめ:6月中旬から出荷される極早生種。
  • 蟠桃(ばんとう):中国由来の平たい形の桃で、濃厚な甘さと独特の香りが特徴。

桃の旬と主産地

  • 旬の時期:6月中旬〜9月上旬(品種により異なる)
  • 主要産地:
    • 山梨県(生産量全国1位、甲府盆地が主産地)
    • 福島県(福島市・郡山市周辺が有名)
    • 岡山県(白桃・清水白桃などの名産地)
    • 山梨県(生産量全国1位、甲府盆地が主産地)
    • 福島県(福島市・郡山市周辺が有名)
    • 岡山県(白桃・清水白桃などの名産地)

桃の保存方法

  • 常温保存:硬めの桃は風通しの良い場所で追熟。
  • 冷蔵保存:熟した桃は新聞紙で包み、野菜室で保存(1〜2日以内に消費が理想)。
  • カット後:ラップで包み、冷蔵庫で早めに食べ切る。

桃のレシピ活用法

  • 桃のコンポート
  • 桃のジャム
  • 桃のタルト
  • 桃の冷製パスタ
  • 桃のサラダ(生ハムとの相性◎)

桃の栄養と効能

  • ビタミンC:美肌効果
  • カリウム:むくみ・高血圧予防
  • 食物繊維:腸内環境を整える
  • 香り成分(ラクトン類):リラックス効果が期待される

まとめ


桃は、品種や収穫時期によって驚くほど多様な味わいを楽しめる果物です。硬め・柔らかめ、お好みの食感と味を見つけて、旬の時期にぜひいろいろ試してみてください。夏のひとときを、香り高い桃とともに。

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