桃の旬はいつ?産地、品種、栄養、選び方の決定版ガイド
甘くてジューシーな桃は、夏を代表する味覚の一つ。でも、本当に美味しい桃を味わうには、旬の時期をしっかり把握することが大切です。この記事では、桃の旬はいつなのか、全国の主要な産地や品種ごとの特徴、さらに栄養価や美味しい桃の選び方を徹底解説します。産地直送でしか味わえない希少な品種や、ふるさと納税でお得に手に入れる方法もご紹介。桃の魅力を余すところなくお伝えする、決定版ガイドです!

桃の旬は夏(6月~9月)!産地別特徴、人気品種、栄養、人気の理由を徹底解説

夏の味覚、桃は多くの人に愛されています。しかし、「桃が最も美味しい時期」や、各地の産地の特色、代表的な品種、豊富な栄養価、人気の秘密などは、意外と知られていないかもしれません。本当に美味しい桃を味わうには、旬だけでなく、生産量、品種の個性、産地の気候条件などを知ることが大切です。この記事では、これらの情報を深く掘り下げ、桃の魅力を詳しく解説します。どの産地でどんな桃が育ち、どう選べば最高の桃に出会えるのか、桃の健康効果は何か、生産者の視点も交えて徹底的に解説します。

桃とは?歴史と主な種類

桃は、甘くてみずみずしい味わいで人々を魅了する果物です。原産地は中国で、日本には江戸時代に伝わりました。本格的な栽培が始まったのもこの頃です。日本の桃の歴史で重要なのは、岡山県生まれの「白桃」です。この品種が日本の桃のルーツとなり、品種改良を経て、現在では様々な桃が日本各地で栽培されています。
桃は大きく「白桃」と「黄桃」の2種類に分けられ、果肉の色で区別できます。白桃は果肉が白く、果汁が多く、とろけるような食感が特徴です。生食に最適で、繊細な甘さと香りが楽しめます。一方、黄桃は果肉が鮮やかな黄色で、白桃より少し固めの食感です。加工しても形が崩れにくく、缶詰やジャムなどに使われます。黄桃の中には、表面に毛がない「ネクタリン」という品種もあります。
日本の桃は、みずみずしさと滑らかな舌触りが世界中で高く評価され、海外市場でも人気です。中国が原産ですが、日本独自の栽培技術と品種改良により、独自の美味しさを追求し、世界に誇る果物へと進化しました。これらの知識を持つことで、桃を選ぶ楽しみが広がります。

桃が人気の理由

桃は数ある果物の中でも特に人気があり、ある市場調査では、好きな果物ランキングでいちごに次ぐ2位を獲得しています。桃がこれほどまでに愛される理由はいくつかあります。
まず、**卓越した味**が挙げられます。一口食べると口いっぱいに広がる甘みと、たっぷりの果汁がもたらすジューシーさは、他の果物ではなかなか味わえません。品種によって酸味や食感が異なりますが、とろけるような口どけや、しっかりとした歯ごたえを楽しめるのも魅力です。
次に、**豊かな香り**も桃の大きな魅力です。完熟した桃から漂う甘く芳醇な香りは、食欲をそそるだけでなく、リラックス効果もあると言われています。部屋に置いておくだけで、空間全体が優しい香りに包まれます。
そして、**美しい見た目**も人気の理由です。ふっくらとした丸い形と、淡いピンクから鮮やかな赤色へのグラデーションは、まるで芸術品のようです。贈答品として喜ばれるのは、その見た目の華やかさも理由の一つです。また、皮をむくと現れる純白や淡黄色の果肉も、清潔感と上品さを感じさせます。
さらに、**季節限定の特別感**も桃の魅力を高めています。夏の短い期間にしか味わえない旬の味覚として、多くの人が楽しみにしています。この限定感が、桃をより特別な果物として認識させる要因となっています。
このように桃は、味、香り、見た目のすべてが魅力的で、多くの人に愛される果物なのです。

桃の美味しい旬はいつ?

作物が最も美味しく食べられる時期を「旬」と言いますが、桃の旬はまさに夏です。具体的には、毎年「6月から9月」が桃の美味しい時期で、特に「7月」は桃の出荷が最も盛んな時期です。しかし、桃には様々な品種があり、品種によって収穫時期や味が異なります。桃の収穫時期は、大きく分けて早生、中生、晩生の3つがあり、早生が最も早く収穫されます。特に収穫時期が早い「極早生種」は5月頃から店頭に並び始め、一般的には7月〜8月に多くの品種が食べ頃を迎えます。その後、晩生品種は9月〜10月に収穫されます。近年ではハウス栽培も普及し、12月など冬に桃を楽しむことも可能です。このように、桃は様々な品種があるため、5月から10月まで長い期間楽しめる果物です。
また、日本全国には様々な桃の産地があり、気候や土壌条件が異なるため、地域によって旬の時期が異なります。例えば、同じ産地でも、早生品種は6月頃から収穫が始まり、中生品種、晩生品種へと時期がずれていきます。和歌山県のよけそ農園では、桃やみかんの出荷時期に合わせて、販売開始のお知らせメールを送るサービスを提供しています。これにより、各産地の桃の旬を逃さず、最高の状態の桃を手に入れることができます。

旬の時期に購入すれば、必ず美味しい桃に出会える?

桃はよく「味が安定しない」と言われますが、これは旬の時期であっても、品質にばらつきが出やすいという、生産者にとって頭の痛い問題が背景にあります。例えば、長雨が続く梅雨の時期には、日照時間が不足し、桃の木が十分に光合成を行えなくなることがあります。また、桃が水分を過剰に吸収することで、果肉が水っぽくなり、甘みや風味が損なわれた美味しくない桃ができてしまうこともあります。このような気象条件は、個々の生産者の努力だけでは、どうすることもできない問題です。
さらに、収穫のタイミングも桃の品質を大きく左右します。まだ十分に熟していない状態で収穫してしまうと、桃本来の甘さが足りず、硬くて青臭い印象を与えてしまいます。反対に、熟しすぎると傷みやすくなり、果肉の食感や味が落ちてしまいます。完熟になる直前に収穫し、消費者の手に届く頃に最高の状態になるように見極めるには、長年の経験と高い技術が必要です。
このような課題に対し、よけそ農園では数年前に「光センサー糖度計」を導入しました。この機器を使用することで、桃を切らずに一つ一つの糖度を正確に測定でき、外見からは判断できない内部の品質を客観的に把握し、一定の糖度を満たした桃だけを出荷することが可能になりました。具体的には、早生品種は糖度12度以上、中生・晩生品種は糖度13度以上という基準を設け、それを満たした桃だけを厳選して販売することで、お客様に常に高品質で美味しい桃をお届けしています。このような科学的な手法と、長年の経験に基づいた生産技術を組み合わせることで、美味しい桃を安定して供給できるのです。

美味しい桃を選ぶためのポイント

「桃は当たり外れがある」というイメージが広まっているのは、上記のような品質のばらつきが原因と言えるでしょう。しかし、本当に美味しい桃を味わうためのコツは明確です。それは、「最適な環境で、美味しい品種を、高い技術を持つ生産者が育て、最高の熟度で収穫しているか」という点に尽きます。桃の栽培は、土地選び、品種選び、そして生産者の経験と技術に大きく左右されます。桃の木が育つ土壌の質、日当たり、水はけ、そして昼夜の寒暖差といった自然条件が、桃の風味や甘さに大きく影響するのです。
生産者によって栽培方法や考え方が異なり、それが桃の味の違いとなって現れます。例えば、実の数を減らす「摘果」という作業によって、養分を集中させ、大玉で食感の良い桃を育てる方法や、袋をかけて栽培する「袋掛け栽培」によって、白い果皮の美しい高級桃を作り出す方法など、様々な工夫が凝らされています。また、桃の旬は一般的に夏ですが、優れた生産者の中には、徹底した管理と技術によって、ハウス栽培などを活用し、秋や冬といった時期にも美味しい桃を提供しているところもあります。
そのため、美味しい桃に出会うためには、信頼できる情報や評判を参考に、高品質な桃を安定して生産している生産者から直接購入することをおすすめします。生産者のこだわりと情熱が詰まった桃は、きっと期待を裏切らない最高の味を届けてくれるでしょう。購入する際には、どのような栽培方法で作られているか、糖度保証があるかなどの情報を確認することも、美味しい桃を選ぶ上で有効な手段となります。

桃に含まれる栄養とその健康への効果

桃はただ甘くて美味しいだけでなく、私たちの健康をサポートする様々な栄養素を豊富に含んでいます。これらの栄養素が、体の内側から健康を保つ手助けをしてくれます。
特に注目すべきは、**ペクチン**が豊富に含まれていることです。ペクチンは水溶性食物繊維の一種で、腸の活動を活発にし、善玉菌を増やす効果があるため、便秘や下痢の改善に役立ちます。腸内環境を整えることで、摂取した栄養素を効率良く吸収できるようになるため、全身の健康維持に繋がります。また、ペクチンには食後の血糖値の急上昇を抑制したり、血中コレステロール値を下げる効果も期待されており、生活習慣病の予防にも役立つと考えられています。
その他にも、桃には主に**カリウム**、**ビタミンC**、**ビタミンE**が含まれています。カリウムは、体内の余分なナトリウム(塩分)を排出する働きがあり、血圧を下げる効果が期待できます。そのため、高血圧の予防や改善に役立ち、ナトリウムの過剰摂取によるむくみの解消にも効果的です。また、カリウムは筋肉の生成や正常な機能を維持する上で重要なミネラルであり、不足すると筋肉が弱ったり、障害を引き起こす可能性もあります。
**ビタミンC**は、コラーゲンの生成を促進する効果があり、美肌に欠かせない栄養素です。また、シミやそばかすの原因となるメラニン色素の生成を抑える働きもあります。さらに、免疫力を高め、風邪などの感染症に対する抵抗力を向上させる効果も期待されています。
そして、**ビタミンE**は、強力な抗酸化作用を持つことで知られています。細胞の酸化は、肌荒れや老化、さらには血管の不調や動脈硬化につながる可能性がありますが、ビタミンEはこの酸化ストレスから細胞を守る役割を果たします。そのため、肌の調子を整えたい方や、血管の健康を維持したい方は、積極的に摂取すると良いでしょう。
このように、桃は美味しいだけでなく、ペクチン、カリウム、ビタミンC、ビタミンEなど、様々な栄養素を含み、私たちの健康維持に様々な良い影響をもたらしてくれる、まさに「食べる美容液」とも言える果物なのです。

桃の生産量ランキング:全国と都道府県別データ

農林水産省が公表している「農林水産統計」に基づき、桃の全国生産量と都道府県別のランキングについて、最新の情報を調査しました。日本全国での年間収穫量は約600トンに達し、その生産量の多さに驚かされます。しかし、意外にも桃の栽培面積と収穫量は、年々減少傾向にあります。一方で、出荷される桃の割合は増加しているように見受けられます。これは、近年推進されている食品ロス削減の取り組みが影響し、これまで規格外とされていた傷や形が不揃いな桃なども積極的に出荷されるようになったことが考えられます。消費者側の意識の変化と生産者側の努力が、出荷割合の増加につながっているのかもしれません。
次に、令和6年の都道府県別桃生産量ランキングを詳しく見てみると、山梨県と福島県が圧倒的な二大産地であることが分かります。この2県だけで全国の収穫量の半分以上、具体的には合計56%を占めています。この集中度は、両県が桃栽培に非常に適した条件を備えていることを示しています。続いて、3位には長野県、4位には山形県、そしてよけそ農園のある和歌山県が5位にランクインしています。興味深いことに、桃の産地として有名な岡山県は、この生産量ランキングのTOP5には入っていません。この事実は、単に生産量だけでなく、産地の知名度やブランドイメージが消費者の認識に大きく影響していることを示唆しており、産地ごとの特徴についてさらに深く調べてみるきっかけとなりました。

1.山梨県における桃の旬と主要品種

山梨県は、国内で消費される桃の約3分の1を生産する、名実ともに桃の生産量日本一の県です。この高い生産量を支えているのは、桃の栽培に理想的な地理的・気候的条件です。年間を通じて日照時間が長く、昼夜の気温差が大きいことが、桃の甘さを最大限に引き出します。さらに、水はけの良い土壌や傾斜地が多いことも、桃の生育に適した環境を提供しています。山梨県での桃の旬は比較的長く、6月中旬から9月下旬まで様々な品種が楽しめます。中でも、「加納岩白桃」や「一宮白桃」は、山梨県生まれの品種として、全国的に広く知られています。
山梨の桃の美味しさの秘密の一つに、「摘果」という栽培技術があります。これは、実がつき始めた段階で、生育の良い実だけを選び、残りの果実を摘み取る作業です。こうすることで、限られた栄養が選ばれた実に集中し、大きく、食感の良い桃が育ちます。山梨県産の桃でおすすめなのは「浅間白桃」です。果汁が豊富で、甘みが凝縮されているのが特徴です。白鳳と同様に大玉で、美しいピンク色の外観も魅力です。浅間白桃は7月下旬から8月上旬にかけて旬を迎え、桃の中ではやや遅めの時期に収穫されます。夏の暑い時期に出回るため、冷やしてデザートや水分補給に最適です。冷蔵庫で冷やした桃と常温の桃を食べ比べてみるのもおすすめです。食べる前に常温で置いておくと、桃の硬さや風味が変わり、異なる味わいを楽しめます。
このように、品種のラインナップを見るだけでも、その桃がどの産地で育ったものか、ある程度推測できます。山梨県が内陸に位置することによる昼夜の寒暖差は、甘い果物を育む上で重要な要素です。また、甲府盆地に形成された扇状地は、水はけが良く、桃の栽培に最適な土壌条件を提供します。あまり知られていませんが、山梨県は日照時間も日本一を誇ります。ちなみに、和歌山県は3位です。このような自然条件と、摘果などの生産者の高度な栽培技術が、山梨県産桃の高品質を支えています。

2.福島県における桃の旬と主要品種

福島県は、山梨県と並ぶ桃の二大産地の一つで、全国2位の生産量を誇ります。その生産量の多さから、「福島の果物といえば桃」というイメージを持つ人も多いでしょう。福島県の桃の旬は7月から9月にかけてです。福島県では様々な品種の桃が栽培されており、昨年、剪定技術を学ぶために福島県の農園を訪れた際、桃だけでなくリンゴの畑も多く見かけました。
福島県の桃としてまず思い浮かぶのは、やはり「あかつき」でしょう。この品種は、果肉が比較的しっかりとした固めの桃が多いというイメージがあります。「あかつき」という名前は、福島市の伝統的な祭りである「信夫三山暁まいり」に由来します。8月上旬頃から収穫が始まり、8月後半まで楽しめ、特にお盆の頃が旬とされています。酸味が少なく、糖度が高く、日持ちが良いのが特徴です。桃は収穫後すぐに熟してしまうため、日持ちしにくい果物ですが、あかつきは比較的長く美味しさを保つことができます。また、ふっくらとした形と鮮やかな桃色の色合いも魅力です。
福島県の桃栽培における産地の特徴を探ると、ここにも「福島盆地」の存在が大きく影響しています。県北部は盆地特有の気候で、夏は気温が高く、日照時間も長いのが特徴です。多くの桃の産地がこの盆地に集中しており、夏の厳しい暑さが桃の甘さを凝縮させ、美味しい桃が育ちます。さらに、福島県の県道5号線は「フルーツライン」と呼ばれ、桃の時期になると沿道の果樹園から桃の甘い香りが漂い、訪れる人々を幸せな気持ちにします。このような気候条件と地域を挙げた取り組みが、福島県産桃の品質と人気を支えています。

3.長野県における桃の旬と主要品種

長野県の桃の旬は、7月下旬から9月中旬にかけてです。長野県で栽培される桃の品種も多岐にわたりますが、中でも「川中島白桃」は、その名の通り「川中島の戦い」で知られる地域で生まれた品種として有名で、全国的にも高い評価を得ています。また、「なつっこ」も栽培しやすく、品質の良い品種として知られています。これらの品種は、長野県の気候風土に適応し、特色ある味わいを提供しています。
長野県の桃の生産地としての特徴を見てみると、長野盆地(長野・須坂・中野方面)、千曲川沿いに広がる扇状地(安曇野)、中南信地方(上田・飯田方面)など、標高400~800m程度の山間盆地や河川扇状地に桃畑が広がっています。山梨県と同様に、長野県も内陸部に位置し、昼夜の寒暖差が大きいのが特徴です。この寒暖差は、桃をはじめとする美味しい果物が育ちやすい環境を作る上で重要な要素です。日中の強い日差しで糖分が作られ、夜間の冷え込みでその糖分が果実に蓄えられるため、甘みが凝縮された桃が育ちます。また、長野盆地の存在が、水はけの良い扇状地を形成しており、これも桃の栽培に適した条件と言えます。実際に様々な産地を調べてみると、「桃の産地には盆地が多い」という共通点が見られます。

4.山形県における桃の旬と主要品種

山形県の桃の旬は7月下旬から10月上旬までと、他の主要産地が9月で終盤を迎えるのに対し、山形県では10月上旬まで桃を生産できるのが特徴です。これは、山形県が桃の産地としては最北に位置するため、収穫が始まるのが他の産地よりも遅く、その分遅い時期まで収穫が可能となるからです。これにより、市場に新鮮な桃を長く供給できるという強みを持っています。
山形県で主に栽培される桃の品種も、このような収穫時期の特性を反映しており、比較的遅い時期に収穫される品種が多い傾向にあります。これにより、秋口まで続く桃の需要に応えることができます。山形県の産地の特徴としては、ここにも「山形盆地」が存在します。盆地特有の気候として、日中は非常に暑く、夜は涼しいという昼夜の寒暖差が大きいことが挙げられます。この寒暖差が、桃の甘みを効率的に引き出し、濃厚な味わいを生み出します。さらに、梅雨期でも降雨量が比較的少なく、日照時間が長いという地域柄も桃の生育に適しています。豊富な日照時間は光合成を促進し、少雨は桃が水っぽくなるのを防ぎます。最北の産地として、10月まで高品質な桃を出荷できることは、山形県の桃にとって大きな強みであり、多様な品種戦略と独自の気候がその品質を支えています。

5.和歌山県における旬と代表的な品種

当園のある和歌山県では、桃の旬は「6月中旬~8月中旬」です。比較的温暖な気候から、もっと早い時期に収穫が始まると思われがちですが、他の主要な産地とほぼ同時期にスタートします。その理由は、早く収穫できる桃は小ぶりになりやすいからです。小ぶりな桃は市場での評価が低いため、生産者としては栽培を控える傾向があります。当園で最も早く収穫する桃は「ちよひめ」ですが、それよりも小さいと品質と収益性の両面で課題があります。
和歌山県で栽培される桃は、早生品種が中心です。他産地で主流の「川中島白桃」のような晩生品種は、あまり栽培されていません。温暖な気候のため、晩生品種を栽培すると成熟が早まりすぎて品質が安定しにくいことや、収穫期の高温多湿が病害虫のリスクを高めることが理由として考えられます。和歌山は、他の主要産地のような「盆地」という地形ではありませんが、紀の川流域に広がる水はけの良い土地で桃が栽培されています。この水はけの良さが、桃の根腐れを防ぎ、健全な生育を促します。温暖な気候のため収穫時期が比較的早いという利点がありますが、近年は地球温暖化の影響でさらに早まっていると感じています。この早期収穫という利点を活かし、和歌山独自の気候に適した品種選定や栽培技術の開発に取り組むべきだと考えています。

6.岡山県 – 独自のブランド戦略と高級白桃

岡山県は、桃の生産量ではTOP5に入っていませんが、産地としての知名度は非常に高いことで知られています。そこで、番外編として岡山県の桃についてご紹介します。岡山県の桃の旬は、「6月中旬~9月」です。生産量では上位ではないものの、その知名度は全国トップクラスです。これは、「桃太郎」伝説に代表される桃のイメージに加え、ブランディング戦略の成功によるものと考えられます。岡山県は、日本の桃のルーツである「白桃」で有名であり、強い甘さととろけるような食感で、高級な桃として知られています。
岡山県では、「白桃」や「清水白桃」といった、果皮が白い白桃系の品種に特化して生産しています。この白い果皮の秘密は、岡山独自の「袋掛け栽培」という栽培方法にあります。桃の実がまだ青い時に、一つ一つ手作業で袋をかけていきます。袋をかけることで、桃は太陽光を直接浴びないため、果皮が赤く色付かず、美しい白い桃になります。また、風雨や害虫からも実を守り、より美しく美味しい桃が育ちます。
岡山県の白桃でおすすめなのは「白鳳」です。強い甘みと豊富な果汁が特徴で、岡山の白桃を代表する品種と言えます。白鳳は1玉約300gと大玉で、食べ応えも抜群です。7月中旬から8月中旬に旬を迎え、白桃の中では比較的早く収穫されるため、白桃シーズンの始まりを告げる桃として知られています。このような手間暇をかけることで、岡山県の白桃は「高級な桃」としてのイメージを確立し、市場では高値で取引されています。このブランディング戦略は、私たち生産者にとっても学ぶべき点が多いと感じています。

まとめ

今回、桃の主要産地とその特徴、栄養素、人気の秘密について調査したことで、参考になる点が数多くありました。特に、栽培する品種のラインナップは、市場のニーズや気候変動に合わせて見直していく必要があると再認識しました。また、岡山県の事例から、高品質な桃を生産するだけでなく、明確なブランディング戦略を展開することの重要性を痛感しました。地域の特性を活かした栽培方法、品種の選定、消費者に響くストーリーテリングが、これからの農業には不可欠であると感じています。

桃の美味しい時期は?

桃の旬は一般的に夏、つまり6月から9月にかけてです。しかし、品種によっては5月の早い時期から収穫できるものや、ハウス栽培によって12月まで楽しめるものも存在します。特に、多くの品種が出回り、最も美味しくなる時期は7月から8月です。

美味しい桃の見分け方

本当に美味しい桃を選ぶためには、いくつかのポイントがあります。まず、「最適な土地で、美味しい品種を、高い技術を持つ生産者が、適切な熟度で収穫しているか」が重要です。また、光センサーで糖度を測定し、保証している生産者から購入するのも良い方法です。さらに、栽培方法(摘果や袋掛け栽培など)にも注目し、信頼できる生産者を選びましょう。

桃の主な産地はどこ?

最新のデータ(令和6年)によると、桃の生産量が多いのは山梨県と福島県で、この2県で全国の収穫量の半分以上(合計56%)を占めています。その後、長野県、山形県、和歌山県と続きます。

岡山県産の桃は、なぜ生産量上位ではないのに有名なのでしょうか?

岡山県は桃の生産量では上位5県に入っていませんが、その名は広く知られています。これは、ブランディング戦略が奏功した結果と言えるでしょう。「桃太郎」という物語との結びつきに加え、「白桃」や「清水白桃」、「白鳳」といった高品質な白桃に焦点を絞り、手間を惜しまない袋掛け栽培と厳格な品質管理を徹底することで、「高級桃」というブランドイメージを確立しました。その結果、高価格での販売を実現しています。

旬の桃でも、味が良くない場合があるのはなぜですか?

桃は旬の時期であっても、天候の影響を受けることがあります。例えば、梅雨の時期に長雨が続くと日照時間が不足し、光合成が十分に行われなくなります。また、桃が過剰に水分を吸収してしまうと、水っぽく、味が薄い桃になることがあります。さらに、収穫時期も重要です。早すぎると甘みが足りず、遅すぎると傷みやすくなり、味が落ちてしまいます。そのため、生産者の栽培技術と、適切な収穫時期を見極める判断が、桃の品質を大きく左右します。

桃の産地は盆地が多いと聞きますが、本当でしょうか?

その通りです。桃の主要な産地として知られる場所には、盆地が多く見られます。具体的には、山梨県の甲府盆地、福島県の福島盆地、長野県の長野盆地、山形県の山形盆地などが挙げられます。盆地は、一日の気温の変化が大きく、日照時間も長いため、桃の甘さを凝縮させるのに適した環境です。加えて、盆地によく見られる扇状地は、水はけが良いという特徴があり、これも桃の栽培に適した条件となります。

桃にはどのような栄養が含まれていて、どのような健康効果が期待できますか?

桃には、水溶性食物繊維であるペクチンが豊富に含まれています。ペクチンは、便秘や下痢の改善、血糖値の上昇抑制、コレステロール値の低下に効果が期待できます。また、カリウムは、血圧を下げる効果や、むくみの解消、筋肉機能の維持をサポートします。さらに、ビタミンCは、美肌効果(コラーゲンの生成促進、メラニンの抑制)や免疫力向上に役立ち、ビタミンEは、細胞の酸化を防ぐ抗酸化作用に優れています。

桃にはどんな種類があるの?

桃は、果肉の色によって大きく「白桃」と「黄桃」の二つに分類できます。白桃は、その名の通り果肉が白く、水分をたっぷり含んでいて、とろけるような舌触りが魅力です。生のまま食べるのがおすすめです。一方、黄桃は果肉が黄色く、少し固めの食感が特徴で、缶詰などの加工食品によく利用されます。また、「ネクタリン」という、表面に毛がない種類の黄桃も存在します。
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