シュークリームは、その軽やかな食感ととろけるようなクリームが魅力のスイーツで、多くの人々に愛されています。しかし、この素朴で美味しいデザートがどのようにして誕生し、どのように進化してきたのかを知る人は少ないでしょう。この記事では、シュークリームの歴史を辿り、その独自の風味や形状がいかにして育まれたのか、その意外なルーツと発展の過程について詳しく探っていきます。
クリームたっぷりのシュー菓子
シュークリームは、中が空洞に焼き上がった生地にカスタードクリームや他のクリームを詰めて作られる洋菓子です。このお菓子は、フランス語で「chou à la crème」として知られています。中に詰めるクリームは様々で、洋菓子店やメーカーによってチョコレートクリームやフルーツクリーム（例えばイチゴやメロン、マンゴーなど）を使用することがあります。
シュークリームとは
フランスの「シュー」（chou）と英語の「クリーム」（cream）が合わさった和製外来語です。フランス語では「chou à la crème」（シュー・ア・ラ・クレーム）といいます。「シュー」はフランス語でキャベツや葉野菜の総称ですが、このお菓子の場合、キャベツのように丸く絞って焼いた生地から由来しています。この生地のことを「pâte à choux」（パート・ア・シュー、シュー生地）と呼びます。
小さな一口サイズのシュークリームは「プロフィトロール」（profiterole）と呼ばれます。特にチョコレート・ソースがかかった「プロフィトロール・オ・ショコラ」（Profiterole au chocolat）を意味することがあります。
英語圏では、このお菓子は「クリーム・パフ」（cream puff）として知られています。また、主にイギリスでは、大きさに関係なく「プロフィトロール」としても知られています。
シュークリームの歴史
シュー生地の起源は「揚げシュー」とも呼ばれるベニエ・スフレにあると言われています。現在のシュークリームの誕生にはいくつかの説がありますが、一般には1553年にメディチ家のカトリーヌ姫がフランスに持ち込ませたとされており、この菓子は最初「ププラン」と呼ばれていました。1760年にジャン・アヴィスが洗練された形に完成させたとされています。
日本に初めてシュークリームを紹介したのは、横浜で西洋菓子店を開業したサミュエル・ピエールで、1884年に米津風月堂によって販売が始まりました。
一般にシュークリームが広まったのは、昭和30年代、冷蔵庫が浸透した時代からです。
フランスでは、日本で一般的に食べられるシンプルなシュークリームは「chou a l'ancienne」と称されます。1990年代のパリでは、家庭で作られることの方が普通で、店舗で見かけることは稀でした。シュー生地を用いてエクレアやサントノレ、パリ・ブレストなど、異なる食感の菓子が好まれていました。
シュークリームの種類
最近では、大きなシュークリームが市場に登場しています。さらに、クッキー生地でコーティングした「クッキーシュー」や、カスタードクリームの代わりにチョコレートやホイップクリーム、小倉あんなどを詰めたバリエーション豊かな商品もあります。また、アイスクリームを中に入れたシューアイスも人気です。シュー生地を使ったフランスの伝統菓子には、エクレアやクロカンブッシュ、シューケットなどがあります。
シュー生地を用いた別の菓子としては、スワン（白鳥型）があります。また、自転車レースのパリ・ブレスト・パリを記念して作られたパリ・ブレストは、そのテーマに合わせて、自転車のホイールを模したリング状に焼き上げられています。この中には、アーモンドプラリネを織り交ぜたバタークリームが詰められることが多いです。