故人を偲び、心安らぐお供え物。中でもお菓子は、故人の好きだった味や、家族みんなで分け合える温かさを届けられる品として選ばれています。しかし、いざ選ぶとなると、どんなお菓子が良いのか迷ってしまう方もいるのではないでしょうか。この記事では、お供えにふさわしいお菓子の選び方から、故人を偲び、ご家族にも喜ばれるおすすめの品までご紹介します。故人の思い出を大切に、心を込めて選び抜かれたお菓子で、安らかなご供養を。
常温で長期間保存できるお菓子
仏壇に供えるお菓子は、ある程度の期間そのまま飾っておくことが一般的です。そのため、お供え物には、日持ちがして常温で保存できるものを選ぶのが適切でしょう。例えば、溶けやすいチョコレートやアイス、日持ちの短いケーキや和菓子などは避けるようにしましょう。
分けやすい個包装のお菓子
供え物のお菓子は、多くの場合、下げた後に親族や親しい人に分けられます。そのため、個別に包装されているものが便利でしょう。また、仏壇の大きさに合わせて量を調整できるのも利点です。
故人や親族がお好きだったお菓子
故人を偲ぶ供物として、故人が愛したお菓子を選ばれてはいかがでしょう。ご親族やご友人など、皆さまで分けられることを考慮し、幅広い世代に喜ばれるお菓子も良いかもしれません。色々な味が楽しめる詰め合わせを選ぶと、より多くの方に楽しんでいただけるでしょう。
落ち着いた色合いのお菓子
華美な色のお菓子は、慶事を連想させる可能性があります。特に赤色や金色は祝いの席で用いられることが多いため、供物としては控えるのが賢明です。親しい方へのお供えであれば問題ありませんが、そうでない場合は注意が必要です。
縁起の良い数のスイーツ
お菓子の詰め合わせを選ぶ時には、個数にも気を配りましょう。「4」や「9」といった数字は、縁起が悪いとされることがあるため、できるだけ避けた方が無難です。ただし、気にされない方もいるので、故人や相手との関係性を考慮して判断することが大切です。
お供え物のお菓子にかける熨斗紙(掛け紙)のマナー
お供え物にお菓子を選ぶ際は、熨斗紙を添えるのが一般的です。包装紙の上から掛けるのが基本ですが、配送時は熨斗紙保護のため内側に付けると良いでしょう。熨斗紙の種類は、葬儀、法要、お盆など、場面に応じて使い分ける必要があります。四十九日を迎える前。葬儀や通夜など、四十九日法要前のお供えには、白黒の水引が印刷された熨斗紙を選びましょう。表書きは「御霊前」とし、故人の御霊にお供えする意味合いを込めます。四十九日後。四十九日後の法事やお盆には、白黒、黄白、双銀の水引を使用します。地域の慣習によって異なるため、適切なものを選びましょう。迷った時は宗派や状況によって表書きが異なり、迷うこともあるかもしれません。そのような場合は、「御供」または「御供物」とすれば、どのような場面でも失礼にあたることはありません。注意点として、右上にある熨斗鮑(のしあわび)は慶事に用いるため、お供え物には不向きです。必ず熨斗鮑がないものを選びましょう。水引は「結びきり」を選びます。「結びきり」は一度きりの意味合いで使用し、「蝶結び」は何度あっても良い場合に用いますので、注意が必要です。
お菓子をお供えする際のマナー
お供え物としてのお菓子は、基本的にご遺族が用意し、仏壇にお供えします。参列者がお菓子を持参した場合は、直接仏壇に供えるのではなく、ご遺族にお渡しするのがマナーです。袋から取り出し、熨斗が見えるようにして、相手に正面を向けてお渡ししましょう。一方、お供え物を受け取るご遺族は、供える順番に注意が必要です。仏壇へのお供えは五供(ごくう)と呼ばれる、①花、②香(線香)、③灯燭(ろうそく)、④浄水、⑤飲食で構成されます。お菓子は飲食にあたります。五供を供える際は、まず浄水と飲食(お菓子)を供え、次いで花を飾ります。その後、蝋燭に火を灯し、線香をあげるのが正式な順番です。
お供えのお菓子をいただいた時のお返しについて
供え物としてお菓子や果物、お花などをいただいた際、返礼すべきかどうか迷う方は少なくありません。原則として、供え物へのお返しは不要とされています。しかし、状況によっては返礼が必要となるケースも存在します。例えば、高額すぎる品をいただいた場合です。供え物の一般的な相場は3,000円から5,000円程度(新盆の場合は5,000円から10,000円程度)とされており、相場を大幅に超える品物に対しては、お返しを検討しましょう。また、葬儀や法要に参列されなかった方から供え物をいただいた場合も、返礼を考慮する必要があります。葬儀・法要後の会食は参列者へのおもてなしの意味合いがあるため、欠席された方には別途お返しを用意するのが望ましいでしょう。返礼品の金額は、いただいた品の半額から3分の1程度が目安です。熨斗には「志」と記載します。
お供え物には、分け合えるお菓子がおすすめ
仏壇へのお供え物は、傷む前に下げ、皆で分ける「お下がり」としていただくのが一般的です。そのため、お供えのお菓子を選ぶ際は、人数が多い場合でも分けやすいものを選ぶと良いでしょう。特に夏場は、常温で長時間保存できるお菓子を選ぶと、相手への配慮にもなり、喜ばれます。