近年、健康志向の高まりとともに、ナッツへの注目が集まっています。豊富な栄養素を含み、手軽に食べられるナッツは、美容と健康をサポートする強い味方。しかし、種類が豊富で、どれを選べば良いか迷ってしまう方もいるのではないでしょうか?この記事では、栄養価が高く、特に体に良いとされるナッツをランキング形式でご紹介します。それぞれのナッツに含まれる栄養素や効果、選び方のポイントを解説し、あなたの健康的な食生活を応援します。
ナッツとは
ナッツは、硬い殻に覆われた種実の総称です。種実類は、大きく分けて堅果類、核果類、種子類の3つに分類されます。カシューナッツや各種シードは種子そのものを食し、アーモンドやクルミは種子内部の仁と呼ばれる部分を食用とします。ヘーゼルナッツなどは、果実そのものである堅果を食べます。特にアーモンド、カシューナッツ、ヘーゼルナッツは世界三大ナッツとして知られ、クルミやピスタチオも広く親しまれています。ちなみに、ピーナッツはマメ科植物に属するため、厳密にはナッツではありません。
ナッツの栄養と効果
健康的な間食として人気のナッツは、骨を丈夫にしたり、血糖値をコントロールしたりする効果が期待されています。ここでは、様々なナッツに共通して含まれる栄養成分と、それらがもたらす健康へのメリットをご紹介します。ある調査によると、日常的にナッツを摂取している人は、そうでない人に比べて肥満になるリスクが25%低く、ウエストサイズが大きい人の割合も21%少ないことが判明しました。さらに、BMI(体格指数)、ウエスト周り、そして収縮期血圧においても、ナッツを習慣的に食べるグループの方が低い数値を示しました。また、善玉コレステロールとして知られるHDLコレステロール値が1.5mg/dL上昇していたことから、ナッツの摂取が体重管理をサポートするだけでなく、動脈硬化や心筋梗塞といった心臓血管系の疾患予防にも役立つと考えられます。学術誌「Advances in Nutrition」に掲載された2019年の研究では、1日に28gのナッツを摂取することで、心血管疾患のリスクが21%も低下するという結果が報告されています。
生活習慣病を防ぐ!不飽和脂肪酸
一般的にナッツ類は脂質含有量が高いと思われがちですが、その通り、約50~70%が脂質で構成されています。ただし、その脂質の大部分は植物由来の不飽和脂肪酸です。この不飽和脂肪酸は、中性脂肪やコレステロール値を改善する効果があることが知られています。ナッツには、α-リノレン酸、オレイン酸、リノール酸といった様々な種類の不飽和脂肪酸が含まれており、これらは生活習慣病の予防や血流の改善に貢献します。日々の食生活において良質な脂質の摂取量を増やすことは、健康的な生活を送る上で重要です。
死亡リスクが減る可能性!?植物性タンパク質の摂取
タンパク質は、肉類に豊富に含まれていると考えられがちですが、動物性タンパク質の過剰摂取は、コレステロール値を上げる飽和脂肪酸の摂りすぎにつながる可能性があります。一方、ナッツ類に含まれるタンパク質は植物性であり、研究によれば、植物性タンパク質の摂取量を増やすことは死亡リスクの低下に繋がるそうです。ナッツのタンパク質含有量は15~25%と、肉や魚に匹敵するほど高く、優れたタンパク源と言えるでしょう。
便秘解消にも嬉しい!食物繊維
ナッツ類は、食物繊維をたっぷり含んでいます。この食物繊維は、便秘を解消するだけでなく、腸内フローラを整える上でも重要な役割を果たします。腸内環境は、免疫力にも関与しており、食物繊維は、6番目の栄養素と言われるほど、健康維持に欠かせません。さらに、糖分の吸収速度を穏やかにする作用があるため、糖尿病や肥満といった生活習慣病の予防にも効果が期待されています。日々の食生活にナッツを取り入れることは、ダイエットのサポートにも繋がります。
体の機能維持に!ミネラルとビタミン
身体の正常な活動を維持するために、ミネラルとビタミンは欠かせません。これらは体内で十分に生成されないため、食事を通して摂取することが重要です。ナッツ類は、多種多様なミネラルやビタミンを豊富に含んでおり、栄養バランスをサポートするのに役立ちます。特に、現代の食生活で不足しやすいカルシウムや鉄分などを補給できるため、栄養補助食品としても有効です。

ナッツを食べるメリット
ナッツは、現代人に不足しがちな栄養を補給し、満腹感を持続させることで体重管理をサポート、さらには生活習慣病の予防にも役立つ食品として注目されています。豊富なビタミンやミネラル、食物繊維に加え、健康に良いとされる不飽和脂肪酸やオメガ3脂肪酸も摂取できます。食事の少し前に摂取することで、少量でも満腹感が得られやすくなり、結果として食事の量を抑えることに繋がります。
大規模な調査研究によれば、ナッツの摂取が特定のがんリスクを低下させる可能性が示唆されています。700名以上を対象とした調査では、ナッツ類を日常的に摂取することで、直腸がんのリスクが24%、すい臓がんのリスクが32%、そして子宮がんのリスクが42%低下することが確認されました。日々の食生活にナッツを取り入れることは、がん予防に繋がる有効な手段の一つと言えるかもしれません。
コレステロール値のバランスを整える
ナッツは、植物ステロールやビタミンE、オレイン酸といった健康に良い成分を多く含んでいます。これらの成分は、悪玉コレステロールを減らす効果があるため、ナッツを食べることでコレステロールのバランスを改善することが期待できます。韓国の研究では、アーモンドを間食に取り入れることがコレステロールを下げるのに役立つことが示されており、ナッツ類を賢く間食に利用することがおすすめです。
高血圧やメタボリックシンドロームの予防
豊富な脂質を含むナッツ類は、少量でも高カロリーですが、同時にカルシウム、マグネシウム、不飽和脂肪酸、食物繊維といった重要な栄養素の宝庫でもあります。近年の研究では、これらの栄養素が血圧の上昇を抑制したり、メタボリックシンドロームのリスクを軽減する効果があることが示されています。
ナッツ類は食物繊維を豊富に含み、よく噛んで食べる必要があるため、少量でも満腹感を得やすい食品です。また、良質な脂質が腹持ちを良くし、体に脂肪が蓄積されるのを防ぐ効果も期待できます。さらに、血中コレステロールのバランスを整える栄養素や、余分な塩分を体外へ排出するカリウムも豊富に含んでいます。
これらの特性から、ナッツ類は日々の食生活に取り入れることで、高血圧やメタボリックシンドロームの予防に貢献すると考えられています。
心血管疾患と体重増加の予防
研究により、ナッツの摂取が体重管理に役立ち、心臓病のリスクを軽減する可能性があることが示唆されています。アメリカ、ルイジアナ州立大学の研究グループが、1万4千人を超える男女を対象とした調査を実施した結果、ナッツを頻繁に食べる人は、そうでない人に比べて心血管疾患を発症するリスクが低いことが明らかになりました。さらに、ナッツに豊富な不飽和脂肪酸は、満腹感を長く保つ効果が期待できるため、体重増加を抑えることに貢献すると考えられています。
ナッツ効果を実感! 健康的なナッツランキング
一概に「体に良いナッツはどれか」と断言することはできません。なぜなら、ナッツの種類によって栄養価が大きく異なるからです。ここでは、目的別に最適なナッツをランキング形式でご紹介します。今回は【生活習慣病予防とダイエット】、そして【不足しがちな栄養補給と体調管理】という2つのテーマを設定しました。ランキング作成にあたっては、各テーマにおいて重要となる栄養素の含有量と、その栄養素自体の重要度を総合的に判断しています。比較対象は、人気の高い9種類(くるみ、アーモンド、カシューナッツ、ピスタチオ、ヘーゼルナッツ、マカダミアナッツ、ピーカンナッツ、ピーナッツ、かぼちゃの種)です。ナッツは種類が豊富で、栄養バランスもそれぞれ異なります。以降では、それぞれのナッツに含まれる栄養素と、その効果について詳しく解説していきます。
【生活習慣病予防とダイエットに】おすすめナッツランキング
健康的な毎日を送るために、食生活で特に意識したいのは、カロリー摂取量、植物由来のタンパク質、コレステロール対策に役立つ不飽和脂肪酸、血糖値の上昇を緩やかにする食物繊維、そして血行促進効果が期待できるビタミンEです。
1位【アーモンド】
アーモンドは、美味しくて栄養満点な人気のナッツです。特にビタミンEが豊富で、その抗酸化作用は肌のシミやシワを防ぐ効果が期待できます。また、オレイン酸はコレステロールバランスを整え、脂質に関する健康をサポートします。栄養の専門家も、健康的なナッツとしてアーモンドを高く評価しています。食物繊維も豊富で、健康的な体重管理や生活習慣病のリスク軽減に役立ちます。さらに、マグネシウムは筋肉の機能維持に不可欠です。皮に含まれるポリフェノールは、コレステロールを下げる効果が期待されています。骨の健康に重要なカルシウムとリンも含まれています。硬さが気になる場合は、無糖のアーモンドミルクで手軽に栄養を摂取できます。アーモンドは、タンパク質も豊富で、体の組織を構成し、生命維持に必要な栄養素を供給します。これらの成分が総合的に働き、老化防止や免疫力向上、動脈硬化の予防にも貢献すると考えられています。
2位【くるみ】
パンやスイーツでおなじみのくるみは、良質な多価不飽和脂肪酸、特にオメガ3脂肪酸の一種であるα-リノレン酸が豊富です。α-リノレン酸は、血中の中性脂肪を減らし、善玉コレステロールを増やす効果があると言われています。その他、不安を和らげたり、アレルギー性結膜炎の症状を緩和する効果も期待できるため、積極的に摂取したい栄養素です。くるみの外見は脳の形に似ていますが、実際に脳の健康をサポートするオメガ3脂肪酸がたっぷり含まれています。植物由来のオメガ3脂肪酸を摂取することで血流が促進され、脳に必要な栄養素がスムーズに運ばれるようになり、脳機能の向上につながると考えられています。さらに、くるみは悪玉コレステロールや中性脂肪を下げる効果も期待できるため、生活習慣病の予防にも役立つでしょう。血流改善は冷え性対策にもなり、ナッツ類の中では糖質が少ないため、ダイエット中のおやつにもおすすめです。他のナッツと比べて多価不飽和脂肪酸が豊富な点がくるみの特徴で、この脂肪酸には血圧を下げる効果や、悪玉コレステロールを減らす効果があるため、高血圧や生活習慣病の予防効果も期待されています。
3位【ヘーゼルナッツ】
普段、おつまみとして選ばれることは少ないヘーゼルナッツですが、実は私たちの健康をサポートする様々な栄養素が詰まっています。特に注目すべきは、アーモンドにも匹敵する豊富なオレイン酸。このオレイン酸は、生活習慣病のリスクを軽減し、抗酸化作用によって肌の老化を遅らせる効果が期待されています。さらに、ヘーゼルナッツは不溶性食物繊維も豊富で、腸内環境を整え、便秘の解消を助けます。また、鉄分や銅などのミネラルに加え、パントテン酸や葉酸も多く含んでいるのが特徴です。鉄分は貧血予防に、葉酸は口内炎や貧血の予防、そして免疫力アップに貢献します。特に、妊娠中や生理中の女性にとって、ヘーゼルナッツは積極的に摂取したい食品と言えるでしょう。
4位【ピーナッツ(落花生)】
落花生、一般的にはピーナッツとして知られていますが、厳密には豆の仲間です。しかし、その脂肪酸組成がナッツ類に似ているため、しばしば一緒に扱われます。特筆すべきは、その豊富なタンパク質含有量と比較的低いカロリーです。また、薄皮にはポリフェノールが含まれており、健康維持に役立つ抗酸化作用が期待できます。ピーナッツは、他のナッツ類と比較して脂質が少なく、タンパク質が豊富です。さらに、食物繊維やビタミンEに加え、ナイアシンやカリウムといった重要な栄養素も含まれています。特にカリウムは、体内の余分な塩分を排出し、血圧の調整を助ける働きがあります。ナイアシンは、脳の機能や血行を促進する効果があると言われています。
【体の調子を整える編】おすすめナッツランキング
健康維持をサポートする食品を選ぶ際、ミネラルとビタミンの含有量に着目しました。特に、カロリーだけでなく、カリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛といったミネラル類、そしてビタミンB1、B2、B6、葉酸などのビタミンB群を考慮しています。
1位【かぼちゃの種】
特にミネラルを豊富に含む食品として、かぼちゃの種は際立っています。血圧の上昇を抑えるカリウムに加え、不足しがちな鉄分、亜鉛、マグネシウムをバランス良く摂取できます。さらに、ピーナッツに匹敵するタンパク質が含まれている点も魅力です。栄養面でかぼちゃの種と類似しているものとしては、ひまわりの種も挙げられます。
2位【アーモンド】
アーモンドは、生活習慣病予防とダイエット、両方のテーマで推奨される食品です。不足しがちなカルシウムに加え、肌の健康をサポートするビタミンB2が豊富。さらに、様々なミネラルがバランス良く含まれており、全身のコンディションを整えるのに役立つでしょう。
3位【ピスタチオ】
ピスタチオは、美味しくおつまみとして親しまれていますが、実はミネラルやビタミンが豊富に含まれている栄養価の高い食品です。血圧対策に役立つカリウム、不足しがちなカルシウム、代謝をサポートするビタミンB群などがバランス良く含まれています。また、抗酸化作用を持つカロテンも含まれているのが特徴です。ピスタチオは、タンパク質と食物繊維が豊富であり、他のナッツ類と比較して太りにくいと言われています。特にビタミンB6の含有量はトップクラスで、免疫力や抵抗力を高め、健康的な髪や肌を維持する効果が期待できます。さらに、カリウムは余分な塩分を排出し、むくみ解消をサポートします。ルテインは、目の健康を保つ効果があるため、スマートフォンやパソコンを頻繁に利用する現代人にとって積極的に摂取したい栄養素です。ピスタチオに豊富なビタミンB6は、免疫機能の維持や皮膚の抵抗力向上、ヘモグロビンの合成に不可欠な栄養素であり、不足すると痙攣やむくみ、口内炎、免疫力低下、貧血などを引き起こす可能性があります。また、ピスタチオはカリウムも豊富に含んでおり、血圧を正常に保つだけでなく、筋肉の働きをサポートするなど、健康維持に欠かせない役割を果たします。
4位【カシューナッツ】
ミックスナッツでおなじみのカシューナッツがランクイン。現代人に不足しがちな鉄分や亜鉛は、かぼちゃの種に次いで豊富です。その他、マグネシウムやビタミンB群も含まれています。100gあたり576kcalと、ナッツの中では比較的カロリーが低いのも魅力です。特に女性に不足しがちな鉄分に加え、ビタミンB1、ビタミンK、亜鉛、マグネシウムなど、健康維持に役立つ栄養素が豊富に含まれています。甘みがありソフトな食感で、お子様にもおすすめです。ビタミンKは、止血作用や骨を丈夫にする働きがあるため、お子様のおやつや骨粗しょう症予防にも取り入れたい食品です。他のナッツに比べて脂質が少なく、低カロリーである点も特徴。体内で合成できないミネラル、特にマグネシウム、リン、鉄、亜鉛が豊富で、貴重なミネラル補給源として役立ちます。
ナッツの目安量
一日に摂取するナッツの目安量は25gです。これは、間食として推奨される200kcal以内に収まる量となります。各種ナッツ25gをおおよそ何粒に相当するかを以下にまとめました。ミックスナッツであれば、手のひら一杯弱を目安にしてください。
ナッツの効果的な食べ方
健康に良いとされるナッツですが、その摂取方法や選び方を誤ると、期待される効果を得られないことがあります。ここでは、ナッツの恩恵を最大限に引き出すための、効果的な食べ方と選び方をご紹介します。
ナッツの選び方
健康のためにナッツを食べるなら、カロリーオーバーにならないよう、素焼きで無塩のものがおすすめです。ナッツは酸化しやすいので、鮮度にも注意しましょう。おつまみとして売られているものは、油で揚げてあったり、塩分が多かったりするので避けた方が良いでしょう。効果的に摂取するためには、シンプルな素焼きタイプを選び、塩分の摂りすぎに注意することが大切です。過剰な塩分摂取は、食べ過ぎだけでなく、むくみや高血圧の原因にもなりかねません。
酸化を防ぐために
ナッツは健康的な不飽和脂肪酸が豊富ですが、酸化しやすいという弱点があります。酸化したナッツは体に良くないとされるため、開封後はできるだけ早く食べきるようにしましょう。保管する際は、密閉できる容器を選び、高温多湿の場所を避けてください。
適量を摂取する
近年、ナッツを食べる人が増えた影響か、アレルギーを発症する人も増加傾向にあるようです。特定原材料として表示が義務付けられているナッツもあるため、注意が必要です。この記事で取り上げたナッツの中では、クルミ、アーモンド、カシューナッツが該当します。美味しくてついつい手が伸びてしまうナッツですが、食べ過ぎは肥満やアレルギーのリスクを高める可能性があります。推奨量を守り、健康的な食生活に取り入れましょう。目安として、アーモンドやピーナッツは約20~25粒、カシューナッツは約12~18粒、マカダミアナッツは約7~10粒程度です。
食べるタイミングを意識する
豊富な食物繊維を含むナッツは、食事の少し前に摂取することで、満腹感を得やすく、食べ過ぎを抑制する効果が期待できます。さらに、ビタミンやミネラルも豊富なので、運動後の栄養補給にも適しており、汗で失われた大切な栄養素を効率的に補給できます。
健康な毎日を、体に良いナッツで
手軽に食べられるナッツは、豊富な栄養を含み、不足しがちな栄養を補給するのに役立ちます。以前はカロリーが高いと思われがちでしたが、無塩・無油のものを選び、適量を守れば、健康的な食生活の強い味方になります。不飽和脂肪酸やオメガ3脂肪酸などの良質な油は、生活習慣病の予防や改善に効果が期待できます。また、ナッツは代謝を促進し、冷え性の改善や美容にも良い影響をもたらす可能性があります。腹持ちが良いことから、ダイエット中の間食にも適しています。「体に良いナッツランキング」などを参考に、積極的に食生活に取り入れてみましょう。ナッツを食べることは、食生活の質を高める上で非常に有効です。ただし、高カロリーで栄養も豊富なため、無塩・素焼きを選び、食べ過ぎには注意が必要です。アレルギーをお持ちの方は摂取を避け、原材料にも注意しましょう。バランスの良い食生活を心がけ、ナッツを上手に活用して、健康的な毎日を送りましょう。