北海道で生まれたノーザンルビーは、その名の通りルビーのような鮮やかなピンク色が目を引くじゃがいもです。皮だけでなく中身もピンク色という珍しさから、食卓を華やかに彩る食材として注目されています。アントシアニン由来の美しい色合いは加熱しても褪せにくく、ポテトサラダやポタージュなど、様々な料理でその個性を発揮します。今回は、ノーザンルビーの魅力と、おすすめの活用法をご紹介します。
ノーザンルビーとは?基本情報と特徴
ノーザンルビーは、2006年に誕生した北海道産のじゃがいもです。その際立った特徴は、皮だけでなく中身も鮮やかなピンク色である点です。この美しい色は、アントシアニンという天然色素によるもので、加熱調理後もその鮮やかな色合いが保たれるのが魅力です。一般的なじゃがいもとは一線を画す外観は、食卓に彩りを添えるのに最適です。
ノーザンルビーの来歴:品種改良の背景
ノーザンルビーは、かつての農林水産省北海道農業試験場、現在の国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構 北海道農業研究センターで開発されました。ジャガイモシストセンチュウへの抵抗性を持ち、かつアントシアニンを豊富に含む赤紫色のじゃがいもを開発するという目標のもと、1993年に「キタムラサキ」の自然交配による種子が採取されました。1997年から実生個体の選抜を開始し、長い年月をかけて選抜を繰り返した結果、2006年に「ノーザンルビー」として品種登録されるに至りました。
ノーザンルビーの形態的な特徴
ノーザンルビーの株の姿は直立型で、枝分かれは比較的少ない傾向があります。茎の長さは「男爵薯」よりもわずかに長く、茎の色は赤紫色をしています。葉の色は「男爵薯」よりも薄い緑色で、やや大きく、形はやや細長いです。花の色は白色で、「男爵薯」とは異なり、葯(花粉を出す部分)の色は橙色をしています。芋の形は長楕円形で、皮と中身が赤いのが大きな特徴です。目の深さは浅く、その数も比較的少なめです。
ノーザンルビーの生態的な特徴
ノーザンルビーは、初期の生育速度が「男爵薯」よりもやや遅く、成熟期も「男爵薯」より少し遅い中早生品種です。芋の肥大の程度は「男爵薯」と同程度ですが、芋の形は「男爵薯」よりも揃っている傾向があります。収穫量は「男爵薯」とほぼ同じくらいですが、芋の数は少なく、一つあたりの平均重量はやや大きいです。でんぷん含有量は「男爵薯」と同程度で、休眠期間はやや長めです。
ノーザンルビーの耐病性と耐虫性
ノーザンルビーは、ジャガイモシストセンチュウに対する抵抗力に優れています。疫病に対する圃場抵抗性はやや弱いものの、塊茎腐敗に対しては強い抵抗性を示します。また、そうか病への抵抗性はやや低く、Yモザイク病への抵抗性は低いとされています。生理的な障害としては、二次生長が「男爵薯」よりもわずかに多く見られることがありますが、褐色心腐の発生頻度は同程度で、中心空洞や裂開は少ない傾向にあります。
ノーザンルビーの品質特性:食感、風味、調理特性
ノーザンルビーは、煮込んでも形が崩れにくく、調理後の変色も少ないという特長があります。肉質はややねっとりとしており、風味は平均的です。チップスやフライドポテトにした際に焦げ付きにくいことから、様々な料理に活用できます。主な用途は調理用として広く利用されています。
ノーザンルビーと他のジャガイモ品種との比較
ノーザンルビーの最も際立った特徴はその鮮やかなピンク色ですが、他の品種と比較した場合、どのような差異があるのでしょうか。ここでは、代表的なジャガイモ品種との違いについて詳しく解説します。
ノーザンルビーと男爵薯の違い
男爵薯は、日本で最も広く栽培されている代表的な品種の一つです。皮は黄褐色で、果肉は白色をしており、ホクホクとした食感が特徴です。ノーザンルビーとは対照的に、煮崩れしやすい性質を持っています。用途としては、じゃがバターやマッシュポテト、粉ふきいもなどに適しています。
ノーザンルビーとメークインの差異
メークインは、つるりとした表皮を持つ長楕円形であり、煮込んでも形が崩れにくい点が持ち味です。ノーザンルビーと同じく煮込み料理に合うものの、果肉の色合いは異なります。食感においては、ノーザンルビーがややねっとりしているのに対し、メークインはきめ細やかであることが特徴です。
ノーザンルビーとシャドークイーンの差異
シャドークイーンは、外皮が黒紫色で、中身が赤紫色のじゃがいもです。ノーザンルビーと同様にアントシアニンを含有しますが、色の濃さが際立っています。風味はじゃがいも本来のものですが、食感はサツマイモを彷彿とさせます。
ノーザンルビーとキタアカリの差異
キタアカリは、果肉が黄色く、甘みが感じられることが特徴です。加熱すると、ほっくりとした食感が楽しめます。皮をむく前の外観は男爵薯に似ていますが、芽の部分に赤みがあるため区別できます。
ノーザンルビーとレッドムーンの差異
レッドムーンは、表皮が赤色のじゃがいもです。メークインのような楕円形をしており、表面は滑らかです。果肉は濃い黄色で、ほくほく感よりも粘り気のある食感が特徴的です。かすかな甘みを有します。
ノーザンルビーの選び方と保存方法
ノーザンルビーを選ぶポイントは、まず皮の色合いです。鮮やかな赤色で、表面にハリがあるものを選びましょう。芽が出ていたり、表面にしわが寄っているものは、鮮度が落ちているサインです。保存方法としては、風通しの良い冷暗所が適しています。光に当てると芽が出やすくなるため、新聞紙などで包んで保存すると良いでしょう。
ノーザンルビーのおすすめの食べ方・調理法
ノーザンルビー最大の特徴は、加熱してもその美しい色が失われにくいことです。そのため、料理の彩りを添えるのに最適です。また、煮崩れしにくいという特性も持っているため、煮物やスープなど、幅広い料理に活用できます。
ポテトサラダ
ポテトサラダにノーザンルビーを使用すると、その鮮やかなピンク色が食卓を華やかに彩ります。彩りのアクセントとして、緑色のきゅうりや白いゆで卵などを加えると、さらに見た目も楽しめます。
フライドポテト
ノーザンルビーで作るフライドポテトは、その独特の色合いで、食欲をそそる一品となります。薄切りにして揚げれば、カリッとした食感のポテトチップスとしても楽しめます。他の品種のじゃがいもと混ぜて、カラフルなフライドポテトにするのもおすすめです。
スープ
鮮やかなピンク色が特徴のノーザンルビーは、ポタージュやビシソワーズに最適です。その美しい色合いは、特別な日の食卓を華やかに演出します。
その他の調理法
ノーザンルビーは、煮物、炒め物、そして焼き物など、幅広い料理でその美味しさを発揮します。煮崩れしにくい性質を持つため、煮込み料理やスープにも安心してご利用いただけます。
まとめ
その美しい外見に加え、多様な調理法に対応できるノーザンルビーは、まさに万能なじゃがいもと言えるでしょう。ぜひノーザンルビーを使って、普段の食卓をより豊かなものにしてみてください。
質問:ノーザンルビーはどこで購入できますか?
回答:ノーザンルビーは、特定のスーパーマーケット、青果店、またはオンラインストアで見つけることができます。最も入手しやすい時期は、旬である9月から11月頃、そして4月から5月頃です。
質問:ノーザンルビーの風味は、通常のジャガイモと異なりますか?
回答:ノーザンルビーのテイストは、多くの人が慣れ親しんでいるジャガイモと比べて、際立った違いはありません。どちらかと言うと、ややねっとりとした食感で、煮込んでも形が崩れにくいという特性があります。
質問:ノーザンルビーの最適な保存方法を教えてください。
回答:ノーザンルビーを保管する際は、直射日光を避け、涼しく暗い場所を選んでください。発芽を防ぐため、光が当たらないようにすることが大切です。