マスカット・ベーリーA徹底ガイド:日本生まれの黒ブドウ品種が世界を魅了する理由
マスカット・ベーリーAは、日本原産の個性的な黒ブドウ品種として、その特徴的な甘い香りと軽快な口当たりで多くのワインファンを惹きつけています。かつてはそのほとんどが日本国内で消費されていましたが、2013年に日本のブドウ品種として初めて国際ブドウ・ワイン機構(OIV)に登録されてから、国際的な注目度が飛躍的に高まりました。この出来事は、日本ワインが世界に認められる大きなきっかけとなり、今もなお国内外でその可能性が探求され続けています。この記事では、マスカット・ベーリーAが誕生した背景から、その特別な個性、主な産地、おすすめの料理との組み合わせまで、あらゆる角度から詳しく解説します。日本が誇るこのブドウ品種の奥深い魅力と、世界がマスカット・ベーリーAに熱い視線を送る理由を、ぜひご堪能ください。

マスカット・ベーリーAとは?日本固有の黒ブドウ品種を解説

マスカット・ベーリーA(Muscat Bailey A)は、食用としてもワイン用としても栽培される黒ブドウ品種です。日本が発祥の地であり、特にワイン用ブドウとしては日本で最も多く生産されている、まさに日本の顔とも言える存在です。2013年には、国際ブドウ・ワイン機構(OIV)に正式に登録され、日本の黒ブドウ品種として初の快挙を成し遂げました。この登録によって、マスカット・ベーリーAはその品質と独自性が国際的に認められ、日本ワインが世界に進出する際の重要な役割を担っています。

「マスカット・ベーリーA」が正式名称:ベリーAとの違いとは

マスカット・ベーリーAの名称は、「マスカット・ベリーA」と書かれることもありますが、OIVには「Muscat Bailey A」というラテン文字で登録されており、日本語では「マスカット・ベーリーA」「マスカット・ベイリーA」「マスカット・ベーリA」「マスカット・ベリーA」の4つの表記が認められています。しかし、品種の開発者である川上善兵衛氏が昭和15年(1940年)に発表した日本農学賞受賞論文「交配に依るぶどう品種の育成」において「マスカット・ベーリーA」と記載していること、そして親品種の一つであるアメリカ系ブドウ品種「ベーリー(Bailey)」に由来することから、「ベーリー」と表記するのがより適切だと考えられています。そのため、現在では「ベリー(Berry)」ではなく「ベーリー」と表記することが推奨されており、正確な情報伝達の観点からもこの表記が重要視されています。ちなみに、川上善兵衛氏はマスカット・ベーリーAの他にマスカット・ベーリーBも開発しましたが、マスカット・ベーリーBはワイン用品種として広く普及することなく、系統が途絶えています。

マスカット・ベーリーAの比類なき特徴

マスカット・ベーリーAは、新潟県で最初に設立されたワイナリー、岩の原葡萄園の創業者である川上善兵衛氏によって1927年に生み出された、非常に個性的な黒ブドウ品種です。この品種は、アメリカ系品種のベーリー(Bailey)種と、ヨーロッパ系品種のマスカット・ハンブルク(Muscat Hamburgh)種を交配させることによって誕生しました。1931年に初めて実をつけ、1940年に正式に発表されて以来、川上善兵衛氏が開発した数多くの品種の中でも特に重要な品種として位置づけられています。ワイン用としてはもちろん、食用としても人気が高く、日本人にとって非常に身近なブドウ品種として愛されています。

日本の風土に寄り添う栽培の容易性

マスカット・ベーリーAは、日本の気候条件への適応能力が非常に高い品種です。芽出しが遅い性質を持つため、春先の遅霜による被害を軽減できます。一方で、成熟期が比較的早いため、秋の早い霜からも果実を守ることが可能です。さらに、寒さや湿気への耐性も備えているため、多様な日本の環境下で栽培しやすく、北海道を除く青森から九州までの広い地域で栽培されています。このような優れた適応性こそが、マスカット・ベーリーAが日本全国で広く栽培され、日本のワイン用ブドウ品種として生産量No.1を誇る理由の一つです。

鮮やかなピンク色の果実と豊かな甘み

マスカット・ベーリーAの特徴は、その濃いピンク色の美しい果皮です。果皮は厚めで、一粒一粒が大きく、耐病性にも優れています。栽培のしやすさに加え、糖度が20度前後に達するほど甘みが強いため、生食用としても人気を集めています。その甘さと大粒の果実は、消費者にも広く受け入れられ、ワイン用だけでなく、食卓を彩るブドウとしても広く流通しています。

ワインが語る、独自の香りと味わい

マスカット・ベーリーAから生まれるワインは、深みのある鮮やかな色合いが魅力です。味わいは、フルーティーで、タンニンや酸味が穏やかな、まろやかな口当たりが特徴です。香りは、まるでイチゴのような甘いアロマが際立ち、「キャンディ香」と形容される独特の甘い香りを放ちます。また、アメリカ系品種に由来するフォクシー・フレーバーと呼ばれる香りも持っていますが、この香りを生かすかどうかは、生産者のワイン造りの方向性によって異なります。かつては、その甘く濃醇な特性から甘口ワインに用いられることが多かったのですが、近年では、軽やかさと果実味を活かした辛口のカジュアルなワインが人気を集めています。さらに、マスカット・ベーリーAを主体に、ブラック・クイーンや甲州などの品種をブレンドしたワインも造られており、多様な味わいが生まれています。

品質向上を導く、香りの立役者「フラネオール」

マスカット・ベーリーAワインの特徴的なイチゴのような甘い香りは、「フラネオール」という成分によるものです。フラネオールは、イチゴ、パイナップル、トマトなどにも含まれる化合物で、マスカット・ベーリーAのワインに豊富に含まれており、フルーティーさを際立たせる重要な役割を果たしています。かつて、マスカット・ベーリーAは「良質な赤ワインを造れない」と言われていた時代もありました。しかし、2015年にメルシャンが発表した研究によって、フラネオールの含有量がブドウの成熟後期、具体的には成熟の約10週間前(早熟の状態)に急増することが科学的に明らかになりました。この発見が、マスカット・ベーリーAの栽培方法や収穫時期を根本的に見直すきっかけとなり、品質の大幅な向上につながりました。メルシャンの研究では、香りの生成条件や成熟段階に応じた成分量の変化などが詳細に分析されており、これらの知見は、今後の商品開発やさらなる品質改善に活用されています。

多彩な表情を持つワインスタイル

マスカット・ベーリーAは、軽やかなライトボディから、コクのあるミディアムボディまで、様々なスタイルのワインを生み出す可能性を秘めています。一般的には、タンニンが少なく、フレッシュで飲みやすいワインが多く、樽熟成をしないタイプが主流です。しかし、近年では、その潜在能力を最大限に引き出すため、樽熟成を行い、品種由来の香りに加え、スモーキーな風味や樽由来のバニラのような香りが加わった、力強く複雑な味わいのワインも造られています。ロゼワインやスパークリングワインにも用いられるなど、その用途は広く、可能性は無限に広がっています。有機栽培や自然酵母での発酵、ブドウを丸ごと発酵させる全房発酵による複雑味の追求、糖分や酸味を調整せずにブドウ本来の味わいを活かすなど、栽培家や醸造家たちは、マスカット・ベーリーAの個性を引き出すため、様々な試みに挑戦し続けています。

「日本ワインの父」川上善兵衛による偉業

マスカット・ベーリーAの歴史は、明治時代から昭和初期にかけて、日本のブドウ栽培とワイン造りに貢献した「日本ワインの父」川上善兵衛氏の情熱と先見性によって始まりました。新潟県上越市(旧高田)に生まれた川上善兵衛氏は、殖産興業の精神に感銘を受け、地域の農家の収入を増やす手段としてワイン造りを決意しました。その夢を実現するため、1890年にアメリカからベーリー種やマスカット・ハンブルク種など約150種類のブドウ苗を輸入し、自身の岩の原葡萄園(当時は自宅の庭)に植えたことが、日本の近代的なブドウ栽培の始まりとなりました。

日本の風土に適した品種開発への挑戦

川上善兵衛氏は、輸入されたブドウ品種が日本の高温多湿な気候や寒さに適応できないことに気づき、日本の気候風土に合った優れたブドウ品種を開発することが、日本のワイン産業の発展に不可欠であると考えました。その信念のもと、1922年頃からアメリカ品種とヨーロッパ品種の交配を本格的に開始し、試行錯誤を重ねた結果、100種類もの交雑種を誕生させました。その中で、1927年に交配され、1931年に初めて実を結んだ交雑番号3986こそが、後に「マスカット・ベーリーA」と名付けられることになったのです。

マスカット・ベーリーAの誕生と普及

マスカット・ベーリーAが誕生した後も、川上善兵衛氏の研究は止まることはありませんでした。東京大学農学部の教授らと協力して、優良品種の化学分析や官能試験を繰り返し行い、その品質を科学的、客観的に評価しました。そして、1940年にはマスカット・ベーリーAを含む22品種を推奨品種として発表し、これらの品種が日本のブドウ栽培の未来を担うことになりました。特に、アメリカ系の食用ブドウであるベーリー種とヨーロッパ系の食用・醸造用ブドウであるマスカット・ハンブルク種を掛け合わせたマスカット・ベーリーAは、同じく川上氏が開発したブラック・クイーン種とともに、日本各地で栽培されるようになり、日本を代表する赤ワイン用品種としての地位を確立しました。

全国普及と「日本ワインの父」の功績

川上善兵衛は、自らが開発した優れたブドウ品種を、求めに応じて全国のブドウ栽培農家に無償で分け与えました。その結果、1953年頃からマスカット・ベーリーAは日本各地で栽培されるようになり、国産ワイン産業の基礎を築きました。さらに、彼は寿屋(現サントリー)創業者の鳥井信治郎と共に、寿屋山梨農場(現サントリー登美の丘ワイナリー)を再興し、マスカット・ベーリーAを山梨県に導入するなど、栽培地域の拡大にも貢献しました。『葡萄提要』や『葡萄全書』といった専門書を執筆し、その生涯をブドウとワインに捧げたことから、「日本ワインの父」と称えられています。生誕の地である岩の原葡萄園には、川上善兵衛記念館が併設されており、彼の偉業と日本ワインの歴史を伝えています。

マスカット・ベーリーAに続く品種開発

マスカット・ベーリーAは画期的な品種でしたが、初期には栽培や醸造において様々な問題点も存在しました。そのため、1969年には山梨県果樹試験場がマスカット・ベーリーAに匹敵する品種として、ブラック・クイーンと甲州三尺を交配させた「甲斐路」を開発するなど、日本のブドウ品種改良への継続的な努力が行われてきました。こうした探求の歴史もまた、マスカット・ベーリーAの価値と、日本のワイン界におけるその重要な位置づけを改めて認識させるものです。

国際舞台への進出:OIV品種登録とその意義

近年、日本ワインが海外で著しい発展を遂げている背景には、国際ブドウ・ワイン機構(OIV)への品種登録という大きな出来事がありました。OIVは、ブドウ栽培、ワイン醸造、ワインの国際取引に関する科学的・技術的な基準を定める、世界的に権威のある機関です。2010年に日本の代表的な白ブドウ品種である甲州がOIVに登録されたことは、日本ワインの国際的な認知度を高める上で重要な契機となりました。これに続き、日本を代表する赤ワイン用ブドウ品種であるマスカット・ベーリーAも、国際的な評価を目指し、OIVへの品種登録に向けた取り組みが本格的に始まりました。

登録への道のりと関係機関の連携

マスカット・ベーリーAのOIV登録への道のりは、多くの関係機関による協力と地道な努力によって支えられました。特に、サントリー登美の丘ワイナリーが実務を担当し、登録手続きを主導しました。山梨県ワイン酒造組合や山梨県果樹試験場は、OIVの厳格な基準に従い、栽培されているブドウの特性分析やDNA遺伝子解析の結果などを詳細にまとめました。そして、独立行政法人を通じて2013年2月にOIVへワイン用ブドウ品種の登録申請が行われました。この過程において、マスカット・ベーリーA発祥の地である岩の原葡萄園は、原木のサンプル提供や系統に関する詳細な情報を提供するなど、登録実現に大きく貢献しました。

黒ブドウ品種初のOIV登録とその世界的影響

長年の努力が結実し、2013年6月のOIV総会において、マスカット・ベーリーAの品種登録が正式に認められ、同年7月にはワイン用ブドウとしての地位を確立しました。これは、2010年に認定された甲州(白ブドウ)に続き、日本固有のワイン用ブドウとしては2例目の登録であり、日本の黒ブドウ品種としては初の画期的な出来事です。OIVへの品種登録は、単に名前が記載される以上の、非常に重要な意味を持ちます。なぜなら、日本からEU諸国などへワインを輸出する際に、ワインのラベルに品種名「マスカット・ベーリーA」を明記することが可能になるからです。これにより、国際市場における日本ワインの透明性、信頼性、そして認知度が飛躍的に向上し、海外の消費者が品種名でマスカット・ベーリーAを認識し、選択するきっかけとなります。

芳香メカニズムの解明と品質向上への継続的努力

OIV登録後も、マスカット・ベーリーAの品質向上を目指した研究と努力は続いています。その一例として、2015年にはメルシャンがマスカット・ベーリーA特有の芳香のメカニズムを解明したことを発表しました。この研究により、マスカット・ベーリーAには、イチゴやパイナップル、トマトなどに含まれる香気成分であるフラネオールが豊富に含まれていることが明らかになりました。さらに、ブドウの成熟期間、特に成熟まで約10週間という比較的早い段階でフラネオールが大幅に増加するという興味深い事実も判明しました。メルシャンは、香りの発生条件や成熟期間に応じた成分量の変化などを詳細に分析し、これらの科学的知見を今後の商品開発やさらなる品種改良に役立てる方針を示しています。こうした継続的な研究開発こそが、マスカット・ベーリーAが国際的な舞台でその価値を発揮し続けるための重要な土台となっています。

マスカット・ベーリーAの主な産地と栽培状況

マスカット・ベーリーAは、その優れた耐寒性、耐湿性、そして耐病性によって、日本の多様な気候に広く適応できるという特徴を持っています。そのため、日本最北端の北海道を除く青森県から九州地方まで、日本列島の広範囲で栽培することが可能です。この高い適応力こそが、日本全国におけるマスカット・ベーリーAの普及、そして国内醸造用ブドウ品種の生産量第1位という地位を確立した大きな要因と言えるでしょう。

主要産地:山梨県を中心とした全国の栽培状況

2013年のワイン用ブドウ品種認定時点において、マスカット・ベーリーAの栽培面積は、日本国内の醸造用品種の中で最も広く、その大半が山梨県に集中しています。山梨県は日本の首都である東京の西に位置し、年間約75万本のマスカット・ベーリーAを主体としたワインを生産しています。現在、山梨県はマスカット・ベーリーAの生産量で全国のおよそ6割を占める最大の産地であり、赤ワイン、ロゼワイン、スパークリングワインなど、様々なスタイルのワインが生み出されています。また、マスカット・ベーリーA発祥の地である新潟県上越市(旧高田)でも、少量ながら栽培が続けられており、年間約42〜45トンが生産されるなど、そのルーツとなる地域でもブドウ栽培が大切に守られています。

栽培面積と生産量の変遷:最盛期から現在まで

マスカット・ベーリーAは、その親しみやすい風味から生食用としても親しまれてきたため、かつては広範囲で栽培されていました。最盛期には3,260ヘクタールを超える作付面積を誇りましたが、他のブドウ品種と同様に、栽培面積は徐々に減少しています。2006年には971ヘクタール(全ブドウ品種の2.4%)まで縮小しました。農林水産省が2012年に実施した果樹に関する調査によると、日本全体の栽培面積は470.5ヘクタールとなっています。都道府県別に見ると、山梨県が98.4ヘクタールで最も多く、次いで兵庫県が49.8ヘクタール、広島県が39.7ヘクタール、福岡県が32.9ヘクタール、岡山県が30.0ヘクタールと続いています。
2006年の品種別栽培面積データでは、巨峰(6,020ヘクタール)に次いでマスカット・ベーリーAは第5位でしたが、上位4品種はすべて生食用であり、醸造用としては、赤ワイン・白ワイン用を含めても依然としてトップの座を維持しています。生産量も、以前は20,700トンに達していましたが、栽培面積と同様に減少傾向にあります。しかし、その重要性は揺るがず、日本のワイン産業を支える主要品種としての地位を確立しています。収穫時期は地域や気候条件によって異なりますが、通常は8月中旬頃から始まり、10月頃まで続きます。

マスカット・ベーリーAのワインと相性の良い料理

マスカット・ベーリーAから生まれるワインは、タンニンが控えめで、軽快かつ繊細な味わいが際立っています。この特性が、日本の食文化に欠かせない繊細な和食との素晴らしい調和を生み出します。ワインのフルーティーな香りと穏やかな渋みが、和食の複雑な味わいや素材本来の風味を損なうことなく引き立て合い、お互いの魅力を高めます。

和食との絶妙なハーモニー:具体的なペアリング例

マスカット・ベーリーAのワインは、濃厚なソースをかけた肉料理よりも、塩胡椒でシンプルに味付けした肉料理や、果実を使ったソースの料理と特に良く合います。また、みりん、だし、醤油などの日本の調味料を使った料理との相性も抜群で、和食の奥深さとワインの個性が融合した新たな味わいを楽しむことができます。
特におすすめの料理は「焼き鳥(タレ)」です。タレの甘辛い風味と香ばしさ、そして鶏肉の豊かな旨味は、マスカット・ベーリーAが持つ甘い香りと穏やかな果実味と見事に調和します。もし樽熟成されたマスカット・ベーリーAであれば、品種固有の香りに加え、スモーキーなニュアンスや樽由来のバニラの香りが加わり、程よく焦げたタレの風味と鶏肉の旨味との組み合わせは、特別な体験となるでしょう。その他、焼き豚や豚の角煮、しゃぶしゃぶ、すき焼きなどの日本の肉料理から、魚の煮付け、照り焼きなど、幅広い和食との組み合わせを試すことで、マスカット・ベーリーAワインの多様な魅力を十分に堪能できます。

マスカット・ベーリーAのおすすめワイン

マスカット・ベーリーAは、その秘めたる可能性から、様々なスタイルのワインが生み出されています。ここでは、マスカット・ベーリーAの個性を最大限に引き出した、おすすめのワインをいくつかご紹介します。

軽快な口当たりが魅力の赤ワイン

山梨県勝沼に本拠地を構える老舗ワイナリー、グレイスワインが丹精込めて醸造した赤ワインは、マスカット・ベーリーA種の個性を最大限に表現した逸品です。このワインは、マスカット・ベーリーAにフランス原産の国際品種を絶妙なバランスでブレンドすることで、華やかな香りと凝縮された果実味が調和した、洗練された味わいを生み出しています。特に、自社畑である「三澤農場」で栽培されたブドウを使用していることが特徴で、その芳醇な香りは、ブドウそのものの品質の高さを物語っています。口に含むと、豊満な香りとキメ細かく柔らかなタンニンが広がり、心地よい余韻が長く続きます。親しみやすく飲みやすいだけでなく、日本ワインならではの繊細さと深みを備えた赤ワインとして、多くのワイン愛好家から支持を集めています。(参考価格:3,960円、2023年ヴィンテージ、評価:3.9)

食事が進む、爽やかなロゼスパークリング

東北地方を代表するワイナリー、高畠ワイナリーが醸造するロゼスパークリングワインも、マスカット・ベーリーAの新たな可能性を切り開く素晴らしい一本です。このワインは、マスカット・ベーリーAを贅沢に100%使用しており、口にした瞬間に広がる清涼感あふれる酸味と、みずみずしい果実味が印象的です。すっきりとした辛口の味わいは、様々な料理との相性が抜群で、食中酒としてそのポテンシャルを発揮します。また、マスカット・ベーリーAならではの鮮やかなロゼカラーは、テーブルを華やかに演出し、パーティーや記念日などの特別なシーンに彩りを添えてくれるでしょう。1990年の創業以来、高品質なワイン造りを追求してきた高畠ワイナリーが手掛ける、日本固有のブドウ品種を使用したロゼ・スパークリングワインを、ぜひ一度ご堪能ください。(参考価格:2,310円、評価:4.0)

まとめ

マスカット・ベーリーAは、日本の風土が生み出した、他に類を見ない個性的な黒ブドウ品種です。その歴史は、「日本ワインの父」と呼ばれる川上善兵衛氏の情熱から始まり、耐寒性や耐病性に優れた特性を持つことから、日本各地で広く栽培されるようになりました。2013年には、国際ブドウ・ワイン機構(OIV)に品種登録され、日本ワインが国際的に認められる上で大きな転換点となりました。その特徴的な香りは、綿菓子やイチゴを連想させる甘いアロマで、ワインの品質向上に貢献する香気成分「フラネオール」の研究によって、その魅力がさらに深く探求されています。軽やかでありながらも奥行きのある味わいは、繊細な和食との相性が抜群で、焼き鳥や煮物など、日本の食卓に寄り添います。ライトボディから樽熟成タイプ、ロゼやスパークリングまで、多様なスタイルが存在し、そのポテンシャルは計り知れません。世界が注目するマスカット・ベーリーAワインを、ぜひこの機会に様々なタイプを試して、お好みの味わいを見つけてみてはいかがでしょうか。

質問:マスカット・ベーリーAとはどんなブドウですか?

回答:マスカット・ベーリーAは、日本で生まれた黒ブドウ品種であり、主にワイン醸造に使用されますが、生食用としても楽しまれています。この品種は、アメリカ系のベーリー種とヨーロッパ系のマスカット・ハンブルク種を交配させて誕生したもので、日本の気候条件、特に寒さや湿気に強いという特徴があります。果皮は濃いピンク色で、糖度が高く(約20度前後)、その果実から造られるワインは、イチゴのような甘く華やかな香りが特徴です。

質問:マスカット・ベーリーAのワインの風味はどのようなものですか?

回答:マスカット・ベーリーAのワインは、深みのある鮮やかな色合いを持ち、フルーティーな風味が特徴です。タンニンや酸味は穏やかで、口当たりは滑らか。ストロベリーやキャンディーを思わせる甘い香りが際立ち、アメリカ系品種特有の「フォクシーフレーバー」が感じられることもあります。ライト~ミディアムボディが多く、若いうちに楽しむのに適したワインですが、近年は樽熟成によって力強い風味を引き出したものや、ロゼ、スパークリングワインなど、多様なタイプのワインも造られています。

質問:「ベリーA」と「ベーリーA」では、どちらが正しい書き方ですか?

回答:正式な表記としては「マスカット・ベーリーA」が推奨されます。国際ブドウ・ワイン機構(OIV)の登録名は、ローマ字で「Muscat Bailey A」となっており、「Bailey」は親品種の名称に由来します。「Bailey」の本来の発音に近いのが「ベーリー」であること、そして育種家の川上善兵衛氏の論文においても「マスカット・ベーリーA」と記載されていることから、この表記が公式とされています。
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