秋の味覚として親しまれるみかん。特に温州みかんは、その甘酸っぱさと手軽さから老若男女問わず愛されています。しかし、せっかくなら一番美味しいタイミングで収穫したいものですよね。収穫時期を見極めることは、甘みと酸味のバランスがとれた、最高に美味しいみかんを味わうための重要なポイントです。この記事では、温州みかんの収穫時期を見極めるためのポイントを詳しく解説。美味しいみかんを逃さないための秘訣をご紹介します。
みかんとは?種類と収穫時期の基礎知識
「みかん」という言葉は、一般的に小型の柑橘類を指しますが、中でも最も多く生産されているのは「温州みかん」です。温州みかんは、日本で最も親しまれているみかんの一つで、皮がむきやすく手軽に食べられるのが魅力です。この記事では、特に指定がない限り、「温州みかん」を「みかん」として解説します。「温州」という名前は中国浙江省温州に由来しますが、温州みかんは日本原産で、鹿児島県長島町で偶発実生として発見されたものと考えられています。みかんは温暖な気候を好み、和歌山県、愛媛県、静岡県などが主要な産地として知られています。
みかんの収穫時期と品種による分類
みかんは、品種によって収穫時期が異なり、それぞれの時期に特有の風味を楽しむことができます。農林水産省の統計によると、みかんは大きく「早生温州」と「普通温州」に分類されます。さらに、「早生温州」の中には、特に収穫時期が早い「ハウスみかん」や「極早生みかん」が含まれています。温州みかんは、成熟の早さにより「極早生」「早生」「中生」「晩生」の4区分に分類されます。業界やJAの分類では「普通温州」は「中生温州」と「晩生温州」に分けられることが多いです。
極早生みかん:9月~10月
9月頃から10月末にかけて市場に出回る極早生みかんは、そのシーズンで最初に出荷されるみかんです。外皮は鮮やかな緑色や、淡い黄色が混ざった色をしており、強い酸味が特徴で、爽やかな味わいを堪能できます。
早生温州:11月上旬~11月下旬
11月初旬から11月末頃まで出荷される早生温州は、外皮全体が黄色みを帯びています。極早生みかんと比較して、日照時間がやや長いため、糖度が増し、甘みと酸味のバランスが取れた味わいが特徴です。程よい酸味が好みの方におすすめです。
中生(なかて)温州・普通温州:12月初旬~12月下旬
12月初旬から12月下旬にかけて市場に出回る中生温州と、一般的に普通温州と呼ばれるものは、多くの人が「みかん」と聞いて思い浮かべる種類でしょう。贈答品としても人気があります。外皮は鮮やかなオレンジ色で、収穫時期が遅い分、太陽光を浴びる時間が長いため、糖度が高くなる傾向があります。口当たりがまろやかで、非常に食べやすいのが特徴です。
晩生(おくて)温州:12月下旬~3月
12月下旬頃から3月頃まで、みかんシーズンの最後に登場するのが晩生温州です。収穫後、一定期間貯蔵することで甘みを凝縮させてから出荷されます。糖度が高く、酸味もしっかりと感じられる、昔ながらのみかんの濃厚な味わいが特徴です。外皮や瓤嚢(じょうのう)と呼ばれる果肉を包む薄皮が、やや固く厚めであるため、比較的長期保存に適しています。特に、濃厚な甘さのみかんを好む方には、青島温州などの晩生温州がおすすめです。
収穫時期と大きさによる味わいの違い
みかんの味わいは、収穫時期だけでなく、その大きさによっても変化します。みかんのサイズは、横の直径によって2Sから3Lまで、全部で6つの規格に分けられています。一般的に、大きいサイズよりも小さいサイズのみかんの方が、味が凝縮されており、甘みが強いと言われています。特に、2Sサイズは甘味と酸味が強く凝縮されていますが、酸味が際立っている場合もあります。甘味と酸味のバランスが最も良いとされるのは、SサイズとMサイズです。
みかんの選び方:美味しいみかんを見分けるポイント
美味しいみかんを選ぶためには、いくつかの重要なポイントを押さえておく必要があります。まず、皮の色が均一で、濃いオレンジ色をしているものを選びましょう。また、表面に自然なツヤがあり、ヘタの部分が緑色で新鮮さを保っているものがおすすめです。形は、やや扁平で、手に取った時にずっしりとした重みを感じるものが、果汁を豊富に含んでいる傾向があります。サイズの大きいものよりも、3SからSサイズ程度の小さめのものの方が、酸味と甘みが凝縮されて濃厚な味わいを楽しめます。十分に完熟したみかんは横に広がるため、横から見た時に平らな形をしているものが美味しいみかんです。
みかんの収穫方法と注意点
みかんを収穫する際は、実を手で優しく持ち、果柄をハサミで丁寧に切りましょう。切った後の果柄は、みかんに傷をつけないように、もう一度短く切るのがおすすめです。手で無理にもぎ取ると、実を傷つける原因になるため、ハサミの使用を推奨します。ハサミを使う際も、実を傷つけないように注意深く作業しましょう。また、枝を斜めに切るとみかんに傷がつく可能性があるため、枝に対して平行に切るように心がけましょう。
もし手でもぎ取る場合は、実を保護するために手袋を着用すると良いでしょう。実を引っ張ると傷つきやすいため、引っ張らずに優しく収穫してください。収穫中にみかんを落としてしまった場合は、他のものとは別の容器に入れるようにしましょう。傷ついたみかんを一緒に保管すると、腐敗が進み、他の実にも影響を与える可能性があります。
収穫後の保存方法:みかんを長持ちさせるコツ
収穫したみかんは、常温であれば約10日間保存できます。もし食べきれない場合は、冷凍保存がおすすめです。みかんを水で洗い、軽く水気を拭き取った後、一つずつラップで包みます。保存袋に入れて空気を抜き、冷凍庫で保存しましょう。冷凍した場合、約2ヶ月間の保存が可能です。また、皮を剥いた状態でも冷凍でき、冷凍庫で約1ヶ月保存できます。皮を剥いておけばすぐに食べられるので、ご自身の好みに合わせて保存方法を選んでみてください。
優良品種への転換が進む柑橘栽培
消費者の間では、糖度が高く、皮がむきやすく、食べやすい柑橘類が好まれる傾向にあります。このニーズに応えるため、次々と新しい品種が開発されています。新品種開発の背景には、自由貿易協定(FTA)などによる海外からの安価な果物の流入や、国内のみかん農家の高齢化、後継者不足といった問題があります。国産みかんの栽培を安定的に維持し、農家の収入を確保するため、主要な産地では新品種などの高品質な品種への転換が進められています。国の政策に基づいた「果樹対策事業」の一環として、「優良品種への植え替え・新植」が推進されており、補助事業を通じて優良品種に植え替えた面積は、2018年度から2022年度までの5年間で累計約960ヘクタールに達しています。国の果樹農業に関する政策は、果樹農業振興特別措置法(果振法)および関連法令に基づいて、おおむね5年ごとに策定される「果樹農業振興基本方針(基本方針)」に沿って予算化され、実施されています。
みかん以外の柑橘類:晩生柑の種類
近年、みかんに加えて、多種多様な風味と特徴を持つ「晩生柑」の栽培が盛んになっています。「晩生柑」とは、年明けから春先にかけて市場に出回る、みかん以外の柑橘の総称です。代表的なものとして「夏みかん」や「伊予柑」などが挙げられますが、他にも様々な品種が存在します。晩生柑の栽培面積は、全体としては減少傾向にあるものの、「不知火(しらぬい)」や「はるみ」といった、糖度が高く食味の良い品種の人気が高まっています。「不知火」は、「デコポン」という名称でも広く知られています。
夏みかん:2月~6月
主な産地:熊本県、鹿児島県など。果実はやや平たい形状で、大きめなのが特徴です。外皮は表面が凸凹としています。果肉を包む袋(じょうのう)に苦味があるため、果肉のみを食べるのが一般的です。果肉はしっかりとした粒感があり、ぷりぷりとした食感と、さわやかで甘酸っぱい風味が楽しめます。
八朔:2月~4月
主な産地:和歌山県、広島県など。外皮は厚く、じょうのうも比較的しっかりとしているため、皮をむいて果肉のみを食べるのがおすすめです。果汁は控えめで、プリプリとした食感が特徴。上品な甘さと酸味に加え、ほのかな苦味がアクセントになっています。「八朔」という名前は、旧暦の8月1日に由来します。かつては、毎年その頃から食べられるようになったことから、この名が付けられました。
伊予柑:1月~3月
主な産地:愛媛県など。愛媛県の特産品として知られ、同県の旧国名である「伊予国」にちなんで名付けられました。外皮はつやのある濃いオレンジ色をしており、やや厚めですが、手で簡単にむくことができます。じょうのうごと食べられ、果肉はジューシーで、甘みと酸味のバランスが絶妙。濃厚な味わいが特徴です。
ポンカン:1月~3月
主な産地は愛媛県や鹿児島県などです。手で簡単に皮がむけ、中の薄皮(瓤嚢)も柔らかいため、そのまま美味しくいただけます。特徴的な芳香があり、果肉は甘くジューシーで、濃厚な味わいが楽しめます。その優れた品質から、新しい品種を生み出すための親品種としても重宝されています。
日向夏(ひゅうがなつ):12月下旬~5月
主に宮崎県や高知県で栽培されています。宮崎市で発見された柚子の突然変異種で、高知県では「土佐小夏」や「小夏みかん」という名前でも親しまれています。また、愛媛県や静岡県では「ニューサマーオレンジ」として栽培されています。果肉と果汁は爽やかな酸味が特徴で、すっきりとした味わいです。外皮の内側にある白い綿状の部分にも甘みがあり、果肉と一緒に食べることで独特の風味が楽しめます。
文旦(ぶんたん):1月~4月
高知県が主な産地で、高知県の特産品として広く知られています。厚い皮と多めの種が特徴ですが、果肉はプリプリとした食感で、甘みとほのかな苦味、そして豊かな香りが楽しめます。
不知火(しらぬい):12月下旬~5月
熊本県が主な産地です。頭部にコブのような突起がある独特の形状をしています。長崎県で清見と中野3号ポンカンの交配によって生まれました。「デコポン」は熊本県果実農業協同組合連合会(熊本果実連)が所有する登録商標であり、不知火の中でも糖度13度以上などの厳しい基準を満たしたものだけが名乗ることができます。外皮はやや厚めですが手でむきやすく、果肉は柔らかく、薄皮も薄いため、種もほとんどなく食べやすいのが特徴です。
清見 (きよみ):12月下旬~5月
主な産地:愛媛県、和歌山県など。「清見オレンジ」とも呼ばれています。アメリカ生まれのオレンジと温州みかんを掛け合わせた品種で、その名前は生まれた場所の近く、静岡県の清見潟に由来します。見た目はオレンジに似ており、手で皮をむくよりも、くし形にカットして食べるのがおすすめです。果肉は種が少なく、ジューシーで、非常に甘みが強いのが特徴です。
結び
この記事では、みかんの旬な時期、種類、選び方のコツ、栽培のポイントを詳しくご紹介しました。みかんは日本の食卓に欠かせない果物であり、その豊富な品種と味わいは私たちを楽しませてくれます。この記事を参考に、ぜひ美味しいみかんを選び、栽培にもチャレンジしてみてください。
みかんの収穫時期はいつですか?
みかんの収穫期は、通常10月中旬から1月下旬にかけてです。品種によって時期が異なり、極早生みかんは9月から10月、早生みかんは11月上旬から11月下旬、中生・普通温州みかんは12月、晩生みかんは12月下旬から3月頃に収穫されます。
おいしい温州みかんを選ぶポイント
果皮の色ムラがなく、鮮やかなオレンジ色をしているものがおすすめです。表面に自然な光沢があり、ヘタが緑色でいきいきとしているものを選びましょう。形は少し平たいものが甘く、手に持った時にずっしりと重みを感じるものが良品です。
温州みかんの保存方法
常温保存であれば約10日間、冷凍保存であれば約2ヶ月間保存できます。冷凍する際は、水で丁寧に洗い、軽く水気を拭き取った後、一つずつラップで丁寧に包み、保存用袋に入れて冷凍庫へ入れてください。