更年期を迎える女性にとって、コレステロール値の上昇は気になる問題の一つです。女性ホルモンの減少がコレステロール値に影響を与えることはよく知られていますが、毎日の食生活を少し見直すことで、賢く対策できることをご存知でしょうか?この記事では、特に「飲み物」に焦点を当て、手軽にコレステロール値を下げるためのおすすめドリンクや、その選び方、飲むタイミングなどを詳しく解説します。毎日の習慣に取り入れやすい情報ばかりですので、ぜひ参考にしてみてください。
コレステロールの種類と基準値:LDLコレステロールとHDLコレステロールの差異
コレステロールには、LDLコレステロールとHDLコレステロールの2種類があります。LDLコレステロールは、肝臓で作られたコレステロールを全身に運ぶ役割を担っており、量が多くなりすぎると動脈硬化を起こす原因となるため、悪玉コレステロールとも呼ばれます。一方、HDLコレステロールは、増えすぎたコレステロールを回収したり、血管壁に溜まったコレステロールを取り除いたりして肝臓に戻す働きがあり、善玉コレステロールと呼ばれています。HDLコレステロールは、動脈硬化を抑制する働きがあります。
LDLコレステロールだけが高い要因
LDLコレステロールが140 mg/dL以上、HDLコレステロールが40 mg/dL未満の場合は脂質異常症と診断されます。脂質異常症とは、血液中にある脂質の量が基準値にない状態のことです。LDLコレステロールは増えすぎることが問題になりますが、逆にHDLコレステロールは少なすぎることが問題となります。LDLコレステロールが増えた状態を高LDLコレステロール血症、HDLコレステロールが減った状態を低HDLコレステロール血症と言います。LDLコレステロールとHDLコレステロールの理想的な基準値は、以下の通りです。 • LDLコレステロール:70~140 mg/dL • HDLコレステロール:40~70 mg/dLLDLコレステロール値が高くなる原因は様々ですが、主なものとして食生活の乱れ、運動不足、肥満、遺伝、ストレスなどが挙げられます。特に、脂質や糖質の多い食事はLDLコレステロール値を上昇させやすいです。また、運動不足はHDLコレステロール値を低下させ、LDLコレステロールが回収されにくくなる可能性があります。ストレスは、LDLコレステロールを増やすコルチゾールの分泌を促します。
女性におけるLDLコレステロール:更年期が及ぼす影響
女性の場合、更年期に入るとLDLコレステロールが高くなりやすい傾向があります。これは、閉経に伴いエストロゲンの分泌量が減少するためです。エストロゲンにはLDLコレステロールの排泄や異化を促す効果があるため、分泌量が減るとLDLコレステロールの値が高くなってしまうのです。閉経後にLDLコレステロールの値が高くなり、脂質異常症と診断される方が全体の約30~40%いると言われています。
LDLコレステロール放置のリスク:動脈硬化から重篤な疾患へ
LDLコレステロール値が高い状態を放置すると、動脈硬化が進行し、脳梗塞や心筋梗塞など命に関わる病気に発展する恐れがあります。初期段階では自覚症状がないため、健康診断などでLDLコレステロール値が高いと指摘された場合は、適切な対処が必要です。
コレステロール対策に役立つ飲み物:緑茶とウーロン茶の力
コレステロールを下げる飲み物として、緑茶とウーロン茶がおすすめです。紅茶や緑茶、ウーロン茶はツバキ科の「カメリアシネンシス」と呼ばれる茶の樹からできており、違いは「発酵度」だけです。緑茶は発酵させていない「無発酵茶」、ウーロン茶は中間程度に発酵させた「半発酵茶」、紅茶は100%発酵させた「全発酵茶」です。どれも抗酸化作用があるといわれるポリフェノールの一種である「カテキン」を多く含んでいます。さまざまな研究データが緑茶やウーロン茶の健康効果を示しています。緑茶には、悪玉コレステロールのLDLコレステロールを下げる効果があることが研究で示されています。緑茶に含まれるカテキンが、コレステロールの吸収を抑制し、LDLコレステロールの酸化を防ぐと考えられています。ウーロン茶に関しては対象者が22人と小規模ではあるものの、1日1ℓウーロン茶を飲む習慣を1か月続けた結果、糖尿病の指標であるHbA1cが低下し、「アディポネクチン」というホルモンが増加したというデータも存在します。アディポネクチンは、血管の傷を修復したり、血管を広げたり、体にインスリンを効きやすくしたりします。「生活習慣病」全般に効く非常に重要なホルモンです。
LDLコレステロール改善のための食生活:重要なポイント
LDLコレステロール値を改善するためには、食生活の見直しが不可欠です。脂質や糖質の摂取を控え、コレステロールを多く含む食品(卵黄、レバーなど)の摂取量に注意しましょう。また、飽和脂肪酸を多く含む動物性脂肪(肉の脂身、バターなど)を避け、不飽和脂肪酸を多く含む魚油(EPA、DHA)や植物油(オリーブオイル、アマニ油など)を積極的に摂取することが推奨されます。さらに、食物繊維を多く含む野菜、果物、海藻、きのこ類を積極的に摂取することで、コレステロールの吸収を抑制し、排泄を促進する効果が期待できます。
運動習慣:おすすめは有酸素運動
LDLコレステロール値を下げるためには、適度な運動が効果的です。日本動脈硬化学会が公表している「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版」でも、運動療法を行うことが推奨されています。1日合計30分以上の有酸素運動を毎日続けるようにしましょう。一度に続けて30分以上の運動を行う必要はありません。合計の運動時間が30分以上であれば大丈夫です。「ややきつい」と感じる中強度以上の運動を行います。ウォーキング、ジョギング、水泳、サイクリングなどが推奨されます。運動は、HDLコレステロール値を上昇させ、LDLコレステロール値を低下させる効果があります。
ストレス軽減:休息とリラックスの重要性
ストレスはLDLコレステロール値を上昇させる要因となるため、日頃からストレスを溜め込まないように意識することが大切です。十分な睡眠時間を確保し、リラックスできる時間を持つように心がけましょう。趣味や好きなことに時間を費やしたり、瞑想やヨガなどのリラックス法を取り入れたりすることも有効です。
まとめ
LDLコレステロール値の改善には、食事、運動、ストレス管理といった生活習慣の見直しが重要です。緑茶やウーロン茶などの飲み物も補助的な役割を果たす可能性があります。LDLコレステロール値が高いと指摘された場合は、放置せずに、専門医に相談し、適切な対策を講じることが大切です。