甘くてジューシーなメロンを収穫するためには、適切な追肥が欠かせません。しかし、肥料の与えすぎは禁物。「つるボケ」を引き起こし、せっかくの栽培が水の泡になることも。メロン栽培成功の鍵は、適切な時期に、適切な種類の肥料を、適切な量だけ与えることにあります。この記事では、肥料の具体的な与え方を徹底解説。肥料の過多による「つるぼけ」に注意しながら、初心者の方でも安心してメロン栽培に取り組めるよう、分かりやすく丁寧に解説していきます。
メロン栽培に適した肥料
メロン栽培には、一般的に窒素成分が少なく、リン酸成分が多い肥料が推奨されます。メロンの生育には、葉や茎の成長を促進する窒素(N)、花や実の形成に不可欠なリン酸(P)、根の発達と病害虫への抵抗力を高めるカリウム(K)の3要素がバランス良く必要です。しかし、ウリ科のメロンは、特に生育初期に窒素が過剰になると「つるぼけ」を起こしやすくなります。つるぼけとは、窒素過多により植物が生殖成長(花や実をつけること)から栄養成長(葉や茎を伸ばすこと)に偏り、つるばかりが伸びて花や実がつきにくくなる現象です。したがって、メロン栽培では窒素を控えめにし、果実の肥大に不可欠なリン酸を重点的に施肥することが重要となります。
メロンの生育期である夏場は、肥料切れを起こさないことが重要ですが、高温多湿という気候条件から肥料選びには注意が必要です。例えば、有機100%の肥料を使用する場合、高温下では発酵によるガスが発生し、カビや悪臭の原因となることがあります。また、有機肥料は一般的に緩効性であるため、メロンの旺盛な成長スピードに追いつかず、肥料不足となる可能性も考えられます。一方、化成100%の肥料は、効果が現れるのが早いため、肥料不足の心配は少ないでしょう。しかし、有機質肥料には、三大要素に加えて微量要素も豊富に含まれており、野菜本来の旨味を引き出す効果や、土壌微生物の活性化を促し、健全な土壌環境を維持する役割があります。つまり、有機肥料と化成肥料には、それぞれメリットとデメリットがあるのです。
そこで、有機肥料と化成肥料それぞれの利点を最大限に活かした「有機化成肥料」が、メロン栽培には特におすすめです。市販されているスイカやメロン向けの専用肥料には、窒素成分よりもリン酸成分の割合が高く調整されているものが多く、前述のつるぼけのリスクを軽減できます。さらに、メロン栽培に不可欠なマンガンやホウ素などの微量要素も豊富に含んでいるため、これらの要素欠乏による生育不良のリスクも低減できます。このように、肥料管理が難しいとされるメロン栽培ですが、適切な種類の肥料を選ぶことで、栽培の失敗を回避し、美味しいメロンを効率的に育てることが可能になります。
さらに、メロンは浅根性植物であり、根が地表近くに広がり、多くの酸素を必要とする性質があります。そのため、露地栽培では、牛糞堆肥などの有機質堆肥や腐葉土を土壌に混ぜ込むことで、土壌の通気性と排水性を高めることが重要です。有機物は、三大要素だけでなく、ミネラル(微量要素)も豊富に含んでおり、果実の甘みを増す効果があると言われています。土壌環境を整え、必要な栄養素を適切に供給することが、高品質なメロンを収穫するための重要な鍵となります。
メロン栽培における施肥のタイミング
メロンの施肥で特に重要なのは、施肥のタイミングと量です。肥料を与えすぎると「つるぼけ」を招くだけでなく、果実の裂果や徒長(茎や枝が不必要に伸びること)を引き起こし、病害虫に弱い株に育ってしまう可能性があります。メロンは畑などで地面につるを這わせる「地這い栽培」が一般的ですが、支柱を立てて立体栽培にすることで、限られたスペースでのプランター栽培も可能です。
施肥時期は、まず植え付け時に元肥を施すのが基本です。元肥は、苗の初期生育を助ける役割があります。その後、開花して着果し、実が親指大ほどの大きさになったら、最初の追肥を行います。この追肥は、雄花をたくさん咲かせ、雌花をしっかりと生育させて着果を良くするために、株がしっかりと伸びて脇芽に雄花が咲き始めた頃に与えるのが効果的です。
さらに、果実を大きく成長させ、甘みを増すための追肥を行います。これは、最初に着果した果実が鶏卵程度の大きさに育った時に与えるのが最適なタイミングです。栽培方法によって追肥の回数や間隔は異なります。
露地栽培の場合、元肥と上記の追肥1回(合計2回)が基本となります。一方、プランター栽培では、土の量が限られているため肥料不足になりやすいという特性があります。そのため、最初の追肥から10日~15日ごとに追肥を繰り返し、収穫の1週間前まで続ける必要があります。プランターのサイズや水やり状況によって異なりますが、葉が黄色くなってきた場合は肥料不足のサインであるため、速やかに追肥を行うようにしましょう。
メロン栽培における施肥方法
メロン栽培における施肥方法は、露地栽培とプランター栽培で具体的な方法と注意点が異なります。施肥量は肥料の種類や土壌環境、品種、生育状況によって変動するため、ここで記載する量はあくまで目安として、畑やプランターの状況に合わせて調整することが重要です。
地植えの場合
ネットメロンの本格栽培には通常、ハウス等の設備が用いられますが、露地栽培でもメロンは高温を好むため、トンネルや保温キャップ等で温度管理を行うのが一般的です。マクワウリであれば種を直接まくことも可能ですが、メロンを苗から育てる場合は、病害虫への抵抗力が高い接ぎ木苗を使用するのがおすすめです。
元肥
苗を植え付ける前にあらかじめ土壌に施す肥料を「元肥(もとごえ)」といいます。元肥は初期の生育をサポートする役割があり、肥料効果がゆっくりと長く続く緩効性肥料や遅効性肥料を施すのが一般的です。メロンが育ちやすいpH6.0~6.5を目指し、植え付け前に土に石灰などを加えて酸度を調整します。日本の土壌は雨や肥料の影響で酸性に偏っていることが多いため、酸度が強い場合は石灰等で酸度を調整する必要があります。元肥は土づくりと一緒に行いましょう。植え付け前に土に加えて、全体に均一になるよう混ぜ合わせます。
土壌と肥料について
美味しいメロンを栽培するためには、土壌づくりが非常に大切です。メロンは有機物を豊富に含み、水はけの良い土壌を好みます。同じ場所でメロンを続けて栽培すると「つる割れ病」などの連作障害が発生しやすいため、4年~5年の輪作を行うようにしましょう。
牛糞堆肥などの堆肥は、植え付けの1ヶ月前までに土壌に施しておくのが理想的です。土壌酸度(pH)は6.0〜6.5が適正範囲とされています。もし土のpHが高い場合は、苦土石灰を施して調整します。土壌酸度は市販の土壌酸度計や測定液で手軽に測定できるため、家庭菜園をされる方は一つ持っておくと便利です。
堆肥には様々な種類が存在します。動物の糞を原料とする牛糞、馬糞、豚糞、鶏糞や、植物性のバーク堆肥、腐葉土などがあります。土壌改良効果が高いのは、牛糞、馬糞、バーク堆肥、腐葉土などです。一方、鶏糞は肥料成分が多く含まれていますが、土壌改良効果は他の堆肥に比べて少ないため、主に肥料として利用するのが良いでしょう。
未発酵の堆肥を使用すると、発酵の過程で発生するガス等が作物に悪影響を及ぼす可能性があるため、完熟堆肥を使用するのが最も安全です。もし未発酵の堆肥を使用する場合は、植え付けの1ヶ月ほど前に施用し、完全に発酵を終えてから定植するようにしましょう。
追肥
開花時期に肥料が効きすぎると「つるぼけ」を起こしやすくなるため、追肥はメロンが着果してから行います。追肥として、つるの先端部分の株元から少し離れた場所に、化成肥料を1平方メートルあたり30g程度を目安に施します。菜園の場合は、畝の肩に施すと効果的です。
プランター栽培のポイント
プランターでメロンを育てる場合も、元肥と追肥は非常に大切です。元肥は、苗を植え付ける際に土に混ぜ込む肥料のことで、市販の野菜用培養土(元肥入り)を利用すると簡単です。もし肥料が含まれていない培養土を使う場合や、自分で土をブレンドした場合は、緩効性肥料をしっかりと混ぜ込んでください。
人工授粉で結実し、実が親指くらいの大きさになったら、最初の追肥を行います。化成肥料を使う際は、株元に直接触れないように注意し、プランターの縁に沿って均等に施しましょう。最初の追肥から10日から15日後に追加で追肥をします。液体肥料も有効で、実が親指大になったら、1週間に1回から10日に1回のペースで、500倍に薄めたものを水やり代わりに与えます。収穫の1週間前には肥料が切れている状態を目指しましょう。
メロン栽培におすすめの肥料
メロン栽培では、元肥と追肥に適した肥料の種類を知っておくことが、生育を良くし、収穫量を増やすために重要です。元肥には、ゆっくりと効果が続く緩効性肥料、追肥には、効果が早く現れる速効性の肥料が適しています。
元肥としては、土壌を改良し、メロンの味を良くする有機肥料や堆肥がおすすめです。プランター栽培では、室内で使用することも考えて、臭いが少ない有機配合肥料を選ぶと良いでしょう。
追肥には、化成肥料などの速効性肥料や液体肥料が良いでしょう。液体肥料は、水やりのように手軽に与えられ、効果が早いので、メロンの状態に合わせて栄養を補給できます。市販のメロン専用肥料は、生育段階に合わせて成分が調整されているので、初心者でも使いやすくおすすめです。専用肥料は、肥料選びに迷った際に役立ちます。
肥料の与える量について
メロンに与える肥料の量は、品種、土壌、栽培状況によって大きく変わるため、園芸書や肥料のパッケージに書かれている量は目安と考え、自分の畑やプランターの状態に合わせて調整することが大切です。園芸書などに書かれている施肥量は、速効性の化成肥料を基準にしていることが多いです。有機肥料を使う場合は、化成肥料よりも肥料成分が少ないため、窒素成分を基準に量を決めると良いでしょう。
メロンは、前の作物の養分を吸収しやすい性質があるため、土壌が肥沃な場所や、前作で肥料を多く与えた場合は、肥料を少なめにしましょう。肥料は多ければ良いというわけではなく、与えすぎると「つるぼけ」になったり、実が割れたり、病気になりやすい株になったりすることがあります。また、肥料を与えすぎると「肥料焼け」を起こして枯れてしまうこともあります。メロンの生育状況(葉の色、つるの勢い、実の成長など)を観察しながら、慎重に肥料を与えましょう。プランター栽培では土の量が限られているため、肥料不足になりやすいですが、与えすぎにも注意が必要です。葉が黄色くなってきたら肥料不足のサインですが、与えすぎると葉の縁が枯れたり、しおれたりします。
肥料を混ぜて、栄養価の高い肥料を作ろうとするのは良くありません。肥料同士を混ぜると、予期せぬ化学反応が起こり、植物に害を与えたり、人体に有害なガスが発生する危険性があります。肥料同士を原液のまま混ぜるようなことは絶対にやめてください。
メロンの肥料不足のサイン
肥料が多すぎると「つるぼけ」や「肥料焼け」が起こりますが、肥料不足の場合にどのような症状が出るかを知っておくことも重要です。肥料が足りていると、葉の色は濃い緑色になりますが、不足すると葉の色が薄くなります。全体的に色が薄くなったり、下の方の葉から黄色くなり始めるのが兆候です。また、子づる(側枝)の先端部分が、力なく垂れ下がってくることがあります。通常、子づるの先端は上を向いて伸びますが、肥料が不足すると勢いがなくなります。これらの症状が見られた場合は、速効性のある化成肥料や液体肥料を与えましょう。液体肥料は吸収されやすいので、早く回復することが期待できます。
まとめ
メロンは大きく分けて、表面に網目模様がある「ネットメロン」と、網目がない「ノーネットメロン」の2種類が存在します。ネットメロンはその栽培に高度な技術を要し、温度、湿度、そして肥料の管理を徹底する必要があるため、主に温室で栽培され、「温室メロン」とも呼ばれます。対照的に、ノーネットメロンは比較的容易に栽培でき、露地での栽培に適しているため、「露地メロン」として親しまれています。
特にネットメロンは栽培の難易度が高いため、メロン栽培に初めて挑戦する方には、比較的育てやすいノーネットメロン、例えばマクワウリや、コンパクトでプランター栽培にも適した「ころたん」といった品種から始めることを推奨します。適切な肥料を選び、施肥のタイミングと量を守ることで、初心者の方でも美味しいメロンを収穫する喜びを体験できるでしょう。
メロン栽培の成否は、適切な肥料の選択と施肥方法、そして生育状況の丹念な観察にかかっています。この記事で紹介したポイントを参考に、甘美で美味しいメロンの収穫を目指してください。
メロン栽培における「つるボケ」とは、具体的にどのような状態を指しますか?
「つるボケ」とは、メロンの生育初期段階において、窒素肥料の過剰な施用によって引き起こされる現象です。窒素は葉や茎の成長を促進する重要な栄養素ですが、過剰に供給されると、植物は生殖成長(花を咲かせ、実を結ぶこと)よりも栄養成長(葉や茎を伸ばすこと)に偏ってしまいます。その結果、つるや葉が過剰に茂る一方で、花が咲きにくくなったり、実がつきにくくなったり、あるいは実がついても途中で落下しやすくなったりします。この状態を回避するためには、窒素含有量が少なく、リン酸を多く含む肥料を選ぶことが不可欠です。
プランターでメロンを栽培する場合、追肥はいつ、どのくらいの頻度で行うのが適切ですか?
プランター栽培では、まず植え付け時に元肥を施します。その後、人工授粉によって着果し、実が親指ほどの大きさに成長したら、最初の追肥を行います。地植えとは異なり、プランターは土の量が限られているため、肥料不足に陥りやすい傾向があります。そのため、最初の追肥から10日から15日ごとに定期的に追肥を繰り返すことが重要です。液体肥料を使用する場合は、実が親指大になった段階で、7日から10日に1回の頻度で、500倍に希釈したものを水やりの代わりに与えるのが効果的です。ただし、収穫予定日の約1週間前までには、肥料成分がほぼ切れている状態にすることが、果実の品質を高める上で非常に大切です。
肥料過多を防ぐには?注意すべき兆候は?
肥料のやりすぎは、メロン栽培において様々な問題を引き起こします。蔓ばかりが茂り実がつかない「つるボケ」のほか、果実が割れる、株が軟弱になり病害虫に弱くなる、そして最悪の場合、根が傷んで枯れる「肥料焼け」に繋がることもあります。注意すべきサインとしては、葉が必要以上に濃い緑色になる、蔓が異常に伸びて花付きや実付きが悪くなるなどが挙げられます。肥料を与える際は、パッケージに記載された量を参考にしつつ、メロンの状態をよく観察することが大切です。葉の色、蔓の伸び具合、果実の成長などを確認し、肥料の量を調整しましょう。また、異なる種類の肥料を混ぜる際は注意が必要です。原液のまま混ぜると、植物に有害な化学反応が起きたり、有毒ガスが発生したりする危険性があるため、絶対に避けてください。
肥料不足のメロン、どんな症状が出る?
メロンが肥料不足になると、まず葉に変化が現れます。健康なメロンの葉は濃い緑色をしていますが、肥料不足になると全体的に色が薄くなったり、古い葉から黄色く変色し始めたりします。これは、光合成を行う能力が低下しているサインです。また、子蔓の先端が勢いなく垂れ下がったり、元気がなくなったりするのも、肥料不足の兆候です。これらの症状が見られた場合は、速効性のある化成肥料や液肥などを速やかに与えてください。不足している栄養を補給することで、生育を回復させることが期待できます。