ジューシーで甘く、芳醇な香りがたまらないメロン。一口食べれば、至福のひとときを味わえますよね。日本各地で様々な品種が栽培されていますが、「日本一のメロン産地はどこ?」と聞かれたら、すぐに答えられる方は少ないかもしれません。実は、意外な場所がメロン栽培に適した秘密を抱えているんです。この記事では、生産量ランキングを基に、日本を代表するメロンの名産地を徹底解剖!各地域が誇るメロン栽培の秘密と、その美味しさの秘密に迫ります。
メロンの国・日本!トップ産地が誇る品質の秘密
日本には、その土地ならではの気候や土壌を活かし、上質なメロンを栽培している地域がたくさんあります。「なぜここで?」と思う場所でも、メロン栽培に適した理由があるのです。丁寧な栽培管理、地域の気候を活かす工夫、そして長年の経験と技術が、各地でブランドメロンを確立してきました。ここでは、国内メロン生産量ランキングで上位を占める、主要な産地と、その地域が誇るメロン作りの秘密をご紹介します。
【1位】茨城県:連続日本一!メロン王国の強さの秘訣
茨城県は、メロンの生産量で国内1位を連続で獲得しています。年間収穫量は約36,500トンで、全国シェアの約25%を占めるまさに「メロン王国」です。メロンの他にも、ピーマンやレンコンなどの野菜も有名で、農業がとても盛んな地域です。茨城県がメロン栽培に適している理由は、台風や大雪などの自然災害が少なく、年間を通して比較的温暖で安定した気候であることです。この安定した気候が、メロンの生育に最適な環境を作り出します。さらに、太平洋からの潮風と水はけの良い土壌が、メロンの甘さを引き出すのに役立っています。県内では、鉾田市、八千代市、茨城町などがメロンの主要な産地として知られています。「イバラキング」をはじめ、様々な品種が栽培され、それぞれの品種の個性を最大限に活かした高品質なメロンが、毎年全国に出荷されています。「イバラキング」という名前には、「メロンの王様として茨城県を代表する存在になってほしい」という生産者の願いが込められています。
【2位】熊本県:盆地の寒暖差と火山灰土壌、豊かな水が甘さを引き出す
メロンの生産量で国内2位なのが熊本県です。年間収穫量は約25,400トンと、高い生産量を誇ります。熊本県はメロンの産地として有名ですが、実はスイカの生産量も日本一です。熊本県で美味しいメロンが育つ秘密は、独特な地形と豊かな自然にあります。熊本県は盆地が多く、昼夜の寒暖差が大きくなります。この寒暖差はメロンの糖度を高める上で重要で、甘くて美味しいメロンを育てます。また、阿蘇山の火山灰土壌は水はけと通気性が良く、メロンの根が健康に成長するための理想的な環境です。さらに、阿蘇の自然が育んだ、ミネラルと酸素をたっぷり含んだ湧き水も、メロンの甘さを引き出す大切な要素です。熊本県では昭和30年代後半からメロン栽培が始まり、最初はプリンスメロンからでしたが、今では多くの品種を栽培し、全国に出荷しています。特に有名なのは、「アンデスメロン」です。クマのロゴが特徴の「クマさんのアンデスメロン」は、高品質で人気があります。「アンデスメロン」という名前は、「作って安心、買って安心」から名付けられたというエピソードがあります。
【3位】北海道:寒暖差と火山灰土壌が育むブランドメロン
国内のメロン生産量で3位を占めるのは北海道です。年間収穫量は約20,400トンで、夕張メロンや富良野メロンなど、全国的に有名なブランドメロンを数多く生み出しています。北海道の主要産地である夕張や富良野は標高が高く、昼夜の寒暖差が大きくなります。この寒暖差が、メロンの糖度を高くする上で非常に有利に働きます。また、地温が上がりやすく、水はけの良い火山灰土壌であることも、北海道のメロンが美味しい理由の一つです。他の地域に比べて冬の寒さが厳しい北海道では、メロンの苗を育てるために温水設備を使ったり、ビニールハウスを導入したりと、生産者が多くの手間と工夫を凝らしています。徹底した温度管理や水分調整など、厳しい自然環境に負けないように、栽培管理には細心の注意が払われています。このような徹底した栽培管理と、北海道ならではの厳しい自然環境が、他にはない風味と甘さを持つブランドメロンを生み出しているのです。食べ頃のメロンを見分けるにはコツがあり、北海道産のメロンは熟成が進むにつれて香りが強くなり、ツルが枯れ始めるのが特徴です。
【4位】山形県:砂丘が生み出す、とろける「山形メルティ」
メロンの生産量ランキング、第4位は山形県です。年間約10,400トンの収穫量を誇ります。上位3県との差はややありますが、山形県もまた、その品質の高さで知られるメロンの産地です。庄内地方に広がる砂丘地帯は、水はけが良く、メロン栽培に最適な環境です。この砂丘特有の土壌が、メロンの水分量を調整し、甘さを凝縮させる役割を果たします。さらに、昼夜の寒暖差も、メロンの甘みを引き出す重要な要素です。月山や鳥海山からの清らかな水も、メロンの成長を支える恵みとなっています。近年、山形県オリジナルの品種「山形メルティ」が注目を集めています。その名の通り、口の中でとろけるような食感と、上品な甘さが特徴で、ふるさと納税の返礼品としても人気を集めています。
【5位】青森県:トンネル栽培と砂丘の恵み「つがるメロン」

続く第5位は青森県。年間収穫量は約9,650トンです。青森県産のメロンは、そのほとんどが雨除けトンネルで栽培されています。これにより、天候に左右されることなく、安定した品質のメロンを生産することが可能です。赤肉、青肉と多様な品種を栽培し、消費者の様々なニーズに応えています。主な産地は、津軽半島に位置するつがる市。山形県と同様に砂丘地帯であり、昼夜の温度差を利用した栽培が行われています。この寒暖差が、メロンの糖度を高め、風味豊かな味わいを生み出します。青森県では、産地の名を冠した「つがるメロン」が有名で、地元のイベントなどで広く親しまれています。
【6位】愛知県:伝統と技術が育む、温室マスクメロン
第6位は愛知県で、年間約9,610トンのメロンが収穫されています。愛知県のメロン栽培は、明治時代から続く長い歴史を持っています。特に温室栽培に力を入れており、高級メロンの代名詞とも言える「マスクメロン」の生産が盛んです。愛知県のマスクメロン栽培は、徹底した管理体制のもと、「1株1果」という特別な方法で行われます。これは、1つの株から1つのメロンだけを選び、全ての栄養と手間をその実に集中させることで、最高品質のメロンを育てるという栽培方法です。この繊細な技術と長年の経験が、愛知県産マスクメロンならではの上品な甘さと芳醇な香りを生み出しています。お取り寄せの高級品として人気が高く、贈答用としても多く選ばれています。
【7位】千葉県:組織力で高品質を追求する、高級マスクメロン
第7位は千葉県。年間収穫量は約7,880トンです。関東地方で唯一のランキング入りであり、その生産体制が注目されています。千葉県といえば落花生のイメージが強いかもしれませんが、メロン栽培にも力を入れています。愛知県と同様に、高級マスクメロンの栽培が中心です。特筆すべきは、その組織的な温室栽培体制です。県内には、海上温室組合、山武温室組合、君津温室組合、安房温室組合という4つの温室組合があり、これらが「千葉県温室組合連合」として、マスクメロンの栽培に取り組んでいます。各組合が技術を共有し、品質管理を徹底することで、安定した高品質のメロン生産を実現しています。この組織的な取り組みは、生産者のマスクメロンに対する情熱の表れと言えるでしょう。「長生マスクメロン」のように、地域名を冠したブランドメロンも人気を集めています。
【8位】静岡県:隔離ベッド栽培が生み出す、極上の甘さと品質「クラウンメロン」
第8位は静岡県、その年間収穫量は約6,470トンです。静岡県産のマスクメロンは、際立つ糖度と卓越した品質で、「メロンの最高峰」と称されるほど。中でも「クラウンメロン」は、高級メロンの代名詞として、全国にその名を知られています。静岡県のメロン栽培には、他地域にはあまり見られない独自の工夫があります。それが「隔離ベッド栽培」です。これは、メロンを地面から離した、プランターのようなベッドで育てる方法で、土壌と根の環境を徹底的に管理します。この栽培法の最大の利点は、メロンの生育に必要な水分や養分を、最適な量だけ、必要なタイミングで与えられること。これにより、メロンの成長具合に合わせて、きめ細やかな水分調整が可能となり、見た目も中身も美しい、極上のメロンが生まれるのです。徹底された環境管理と、熟練の技術が、上品な甘さ、豊かな香り、とろけるような食感のクラウンメロンを作り上げます。結婚式などの特別な場で提供されることも多く、ふるさと納税の返礼品としても非常に人気を集めています。
【9位】秋田県:寒暖差が育む甘さ。「秋田甘えんぼメロン」
第9位は秋田県、年間収穫量は約2,980トンです。秋田県では、昼夜の寒暖差を活かしたメロン栽培が盛んです。日中は太陽光をたっぷり浴びて光合成を行い、エネルギー源となる糖分を蓄えます。夜間は気温が下がることで、メロンの呼吸活動が抑えられ、日中に蓄積された糖分が消費されずに、効率よく甘味へと変わります。このように、自然の恵みを最大限に引き出す栽培方法が、秋田メロンの美味しさを支えています。秋田県には、「秋田甘えんぼメロン」という独自の品種があります。その名の通り、強い甘味と親しみやすい味わいが特徴で、赤肉と緑肉の品種があり、消費者の好みに合わせて選ぶことができます。暑い夏に冷やして食べれば、さわやかで上品な甘さが口いっぱいに広がります。
【10位】鳥取県:年間収穫量983トン!砂丘で育つ高品質メロン「エリザベスメロン」
メロン生産量ランキング第10位は鳥取県。年間収穫量は983トンと、トップ10の中で唯一1,000トンを下回ります。鳥取県は、少量ながらも高品質なメロンを追求し、地域の気候や土壌に適した栽培方法を確立している産地です。鳥取県特有の気候条件と、生産者の丁寧な手入れが、美味しいメロンを育てます。特に、鳥取県の砂丘地帯の特性を生かした栽培が盛んで、水はけの良い砂丘地がメロン栽培と非常に相性が良いことが、複数の砂丘地域がトップ10にランクインしていることからも分かります。鳥取県で栽培される様々なメロンの中でも、「エリザベスメロン」は特筆すべき存在です。網目のないノーネット系の品種で、鮮やかな黄色の果皮が印象的。ユニークな外観と甘い味わいで、多くの人に愛されています。
メロンの生産量、世界一はどこ?日本の高品質メロンとの違い
世界に目を向けると、メロンの生産量は国によって大きく異なります。驚くことに、メロン生産量世界一は中国で、そのシェアは約49%と圧倒的です。これは、国土の広さと人口の多さが影響していると考えられます。一方、日本のメロン生産量は世界で21位。中国と比較すると、その規模には大きな差があります。しかし、生産量の差は、必ずしも品質の差を意味するものではありません。日本は「量より質」を重視し、「メイド・イン・ジャパン」の農産物は、世界中でその品質の高さが認められています。日本のメロンは、一つ一つの果実に手間暇を惜しまず、徹底した栽培管理と熟練の技術によって、きめ細やかな果肉、芳醇な香り、濃厚な甘みが実現されています。他国のメロンを否定するわけではありませんが、国産メロンと海外産のメロンでは、品質に大きな差を感じる人も少なくありません。日本の生産者は、一つ一つのメロンに愛情を込めて、最高の状態でお客様に届けることに情熱を注いでいます。
まとめ
国内にはメロン栽培で名高い地域が多数存在し、その中でも茨城県は特に知られています。その他、熊本県、北海道、山形県、青森県、愛知県、千葉県、静岡県、秋田県、鳥取県など、各地で特色豊かなメロンが栽培されています。これらの地域で高品質なメロンが育つ背景には、水捌けの良い土壌と、日中と夜間の気温差が大きい気候という、メロン栽培に適した2つの条件が揃っていることが挙げられます。例えば、火山灰質の土壌や砂地は、メロンの根が必要以上に水分を吸収するのを防ぎ、健全な成長を促します。また、昼夜の寒暖差が大きいことで、日中に作られた糖分が夜間に消費されにくく、メロンの甘さを最大限に引き出すことができます。さらに、各産地では、安定した気候を利用したり、豊富な湧き水を利用したり、温室栽培や隔離ベッド栽培といった技術を導入したり、1本の苗から1つの果実だけを育てる徹底した管理を行ったり、組織的な栽培体制を構築したりするなど、地域ごとの特性を活かした独自の工夫を凝らしています。沖縄県宮古島のように、高品質ながらも手頃な価格で提供されるメロンもあります。世界に目を向けると、中国がメロン生産量で首位を誇りますが、日本は量よりも品質を重視し、手間暇を惜しまない栽培方法で、世界的に評価の高いメロンを生み出しています。産地ごとに栽培される品種も多岐にわたり、それぞれ異なる風味や食感を楽しむことができます。メロン栽培の背景や、各産地のこだわり、多様な品種について知ることで、メロンを味わう際の感動はさらに深まるでしょう。国産メロンの卓越した品質と味わいは、日本が誇るべき素晴らしい産物と言えるでしょう。
日本で一番メロンの生産量が多い都道府県はどこですか?
日本において、最もメロンの生産量が多い都道府県は茨城県です。 2021年のデータによれば、茨城県の年間収穫量は36,500トンに達し、23年連続で全国1位を誇っています。
メロンの生産量が減少しているのはなぜですか?
メロンの生産量が減少傾向にある主な原因として、栽培に手間がかかる割に利益を上げにくいという点が挙げられます。加えて、核家族化や一人暮らし世帯の増加に伴い、メロンを購入する家庭が減少していることも、消費量の低下と生産量の減少に影響していると考えられます。
美味しいメロンが育つ土壌の条件は何ですか?
美味しいメロンを育てるためには、水はけの良い土壌が不可欠です。土壌の水分が多いとメロンの糖度が低下しやすくなります。また、メロンの根は酸素を多く必要とするため、通気性の良い土壌が適しています。火山灰土や砂地などがその代表例であり、これらの土壌は適度な保水性と優れた排水性を兼ね備えているため、メロン栽培に適しています。













