メロン特徴
メロンは、植物学的にはウリ科キュウリ属に分類される野菜ですが、一般的には果物として親しまれています。甘くとろけるような果肉は、小さなお子さんからご年配の方まで幅広い世代に愛されており、水分やカリウムを豊富に含むため、夏場の水分補給に適していると言われています。熱中症対策には適切な水分・塩分補給が推奨されています。
メロンの歩み:古代から現代に至るまで
岡山県の鹿田遺跡で出土したメロン種子の解析では,多様なメロンの利用,導入が示唆されています。西洋系のメロンが日本に導入されたのは明治時代で、比較的高価で取引されることが多い品種でした。
メロンの多様性:外観、果肉、味わいの違い
メロンは、果皮の網目の有無、果肉の色、栽培方法などによって分類されます。網目があるものをネット系メロン、ないものをノーネット系メロンと呼びます。果肉の色は、緑色の青肉種、オレンジ色の赤肉種、乳白色の白肉種に分けられます。これらの分類によって、味わいや風味、栄養価も異なるため、好みに合わせて選ぶことができます。
ネット系メロン:美しい網目と芳醇な甘さ
ネット系メロンは、果皮に網目状の模様があるのが特徴で、アールスメロン(マスクメロン)やアンデスメロンが代表的です。甘くジューシーなものが多く、網目がくっきりとしてきれいに広がっているものが、品質の良いメロンを選ぶ目安とされています。
アールスメロン(マスクメロン)
アールスメロンは、立体的に盛り上がった大きな網目模様が特徴で、上品な香りとみずみずしい甘い果肉が特徴です。贈答用としても人気が高く、高級メロンとして知られています。温室栽培が主流で、年間を通して流通しています。マスクという名前はフランス語で麝香(じゃこう)を意味するムスクが由来です。
クラウンメロン:静岡県が誇る高品質なマスクメロンとして知られ
クラウンメロンは、静岡県の特産品であり、独自に改良したマスクメロンをガラス温室で栽培したものです。徹底した品質管理と高い栽培技術によって育てられ、品質・価格ともに最高級とされています。マスクメロンの最高峰とも言われ、希少価値が高く、贈答用にもおすすめです。
アンデスメロン:親しみやすい価格のネット系メロン
アンデスメロンは、1970年代に開発された品種で、マスクメロンに似た芳醇な香りと強い甘みが特徴です。ハウス栽培によって手頃な価格で流通するようになり、手軽に楽しめるメロンとして人気を集めました。「安心ですメロン」の略称としても知られています。
アムスメロン:スイカを思わせる縞模様が目印
アムスメロンは、果皮の緑色が濃く、スイカのような濃い緑色の縦じま模様が特徴です。皮が薄く、果肉・果汁ともに豊富で食べ応えがあり、芳醇な香りと強い甘みで人気を集めています。各地で生産されており、ご当地メロンとしてブランド化もされています。
イバラキング:茨城が生んだメロン
大ぶりで上品な香りと甘みがあり、果肉はジューシーでなめらか。日持ちがするため、長く美味しさを楽しめます。この品種を生んだ茨城県は、メロンの栽培面積・生産量ともに日本一の“メロン王国”です。令和4年の作付面積は、5790ヘクタール(前年比95.1%)と、前年に比べてやや減少しました。上位5道県では ◦茨城県 1170ヘクタール(同 96.7%) ◦北海道 835ヘクタール(同 90.3%) ◦熊本県 832ヘクタール(同 98.0%) ◦山形県 475ヘクタール(同 96.0%) ◦青森県 407ヘクタール(同 90.6%)となっています。令和4年の出荷量は、13万500トン(前年比95.5%)と、前年に比べてやや減少しました。上位5道県では、 ◦茨城県 3万1700トン(同 92.7%) ◦熊本県 2万3100トン(同 96.3%) ◦北海道 1万8400トン(同 97.4%)となっています。
肥後グリーン:熊本の風土が育む特別なメロン
肥後グリーンは、熊本県を代表するご当地メロンです。熊本県は水はけのよい土壌と昼夜の寒暖差のある気候を活かして、多くのフルーツが栽培されています。肥後グリーンは、糖度が高くジューシーでありながら、後味はさっぱりしているのが特徴です。果肉はギュッと詰まっており、シャキシャキとした食感を楽しめます。
ノーネットメロン:滑らかな外観が魅力
ノーネット系メロンは、果皮に網目がない、つるっとした見た目が特徴です。プリンスメロンやホームランメロン、ハニーデューメロンなどが代表的で、ネット系メロンに比べて栽培しやすいという特徴もあります。
プリンスメロン:懐かしい味わいの定番メロン
プリンスメロンは、昔は気軽に楽しめるメロンの定番品種でしたが、近年では価格の安いネット系メロンが出回るようになり、市場に出回ることが減っています。熊本県で主に生産されており、4月下旬から6月ごろに旬を迎えます。ジューシーで強い甘みが特徴です。
ホームランメロン:軽快な歯ごたえが魅力
ホームランメロンは、熊本県で主に生産されている白肉種のノーネット系メロンです。完熟する前のものはシャキシャキとした食感ですが、完熟すると果肉が柔らかくなり、なめらかな食感に変わります。香りはあまり強くありませんが、味わい深い上品な甘さが特徴です。
ハニーデューメロン:海外育ちのさっぱりメロン
ハニーデューメロンはアメリカやメキシコで栽培されている輸入メロンで、日本では年間を通して流通しています。果肉の色が、薄いオレンジ色と黄緑色の2種類があり、強い甘みとすっきりとした後味が特徴です。サクサクとした食感の果肉は、追熟させると柔らかくなめらかな口当たりに変わります。
赤肉メロン:目を引く果肉の色合い
赤肉メロンは、果肉が鮮やかなオレンジ色をしているのが特徴で、ネット系メロンのなかでも人気が高い品種です。夕張メロンが代表的な品種で、コクのある甘みと濃厚な香りが魅力です。ビタミンやカリウムのほか、βカロテンを豊富に含んでいます。
夕張メロン:北の大地が育む極上メロン
夕張メロンは、北海道夕張市で栽培される高級メロンで、その名は全国に知られています。独特の香りと濃厚な甘みが特徴で、鮮やかなオレンジ色の果肉は繊維質が少なく、口当たりがなめらかです。夕張市は昼夜の寒暖差が大きく、水はけのよい土壌でメロンの栽培に適した地域です。毎年、市場の初セリでは高値がつくことでも有名です。
クインシーメロン:鮮やかなサーモンピンクの果肉が魅力
クインシーメロンは、美しいサーモンピンクの果肉が特徴で、実がギュッと詰まっており、なめらかな食感を楽しめます。果汁がたっぷり含まれていて、甘みも十分にある美味しいメロンです。比較的日持ちする品種で風味も安定しているので、代表的な赤肉メロンとして流通しています。
ルピアレッド:薄皮で果肉たっぷり、食べ応えのあるメロン
ルピアレッドは、つややかなオレンジ色の果肉が特徴で、皮が薄く果肉が厚いので食べ応えがあります。糖度が高く果汁が豊富でジューシーな味わいを楽しめます。主な生産地は北海道や茨城県です。北海道産の「らいでんメロン」や「富良野メロン」などのブランドメロンとしても使われています。
レノン:すっきりとした甘さが特徴のメロン
レノンは、茨城県や青森県、熊本県で主に生産されており、糖度が高く果汁が多く含まれています。果肉はやわらかくなめらかな舌触りで、後味がさっぱりとしており食べやすいのが魅力です。種の部分が少なく皮が薄いので、可食部が多いのが特徴で、食べ応えのある美味しいメロンです。
オレンジハート:熊本うき生まれのオリジナルブランド
オレンジハートは、JA熊本うきで栽培されているオリジナルブランドメロンです。オレンジハートはJA熊本うき管内で作られている赤肉メロンのブランドで、糖度16度以上など一定の基準を満たしたものだけをこの品名で出荷しています。果肉は濃いオレンジ色で、なめらかな口当たりと強い甘みが特徴です。みかんの産地である「うき」をイメージしてこの名前がつけられました。
鶴姫レッド:山形県庄内砂丘が生み出す美味
鶴姫レッドは、山形県を代表するメロンで、山形県庄内地方の砂丘で栽培されるメロンの総称である、庄内砂丘メロンのひとつです。水はけのよい土壌と豊富な地下水で栽培された、美味しいメロンです。鮮やかなオレンジ色の果肉となめらかな食感、すっきりした甘さは多くの人々に愛されています。
白肉メロン:すっきりとした甘さが魅力
白肉メロンは、乳白色の果肉が特徴で、青肉種や赤肉種のメロンと比較すると品種が少なめです。さわやかな甘みとさっぱりとした後味、香りは控えめで食べやすいのが魅力です。果肉が柔らかく、なめらかな舌触りもおいしさの秘密です。
新芳露:京丹後で育まれる幻のメロン
新芳露は、1960年代に砂丘がある地域で栽培が始まりましたが、現在では主に京都府の京丹後地方で生産されています。果肉はパール系と呼ばれるにふさわしいつやのある乳白色で、柔らかな果肉と豊かな香り、たっぷりとした甘みが特徴です。全国的には出回らず、産地周辺で流通しています。
グランドール:限られた地域でのみ出会える希少な味
グランドールは、山形県庄内地方や新潟県佐渡地方で主に生産されています。生産者が少なく、全国的に出回ることのない希少性の高いメロンです。ジューシーで甘みが強く、なめらかな口当たりの柔らかい果肉が特徴です。
メロンの育て方:3つの代表的な手法
メロンの栽培方法には、ガラス温室栽培、ビニールハウス栽培、トンネル栽培の3種類があります。ガラス温室栽培は光を採り入れやすいガラスを使った温室で栽培する方法です。ビニールハウス栽培とは、ビニールハウスを建てて内部の環境をコントロールして栽培する方法のこと。トンネル栽培とは、畝をビニールなどでトンネル状に覆って栽培する方法を指します。ハウスは人が作業できるくらいの広いスペースで設置されていますが、トンネル栽培では作物を覆うくらいの小さなスペースを確保します。栽培方法によって、風味や食感が異なります。
美味しいメロンの選び方:注目すべき4つのポイント
美味しいメロンを選ぶためには、いくつかのポイントがあります。形が整っており、ずっしりと重いものを選びましょう。また、完熟したメロンは甘い香りがします。ネット系メロンの場合は、網目がくっきりとして盛り上がっているものがおすすめです。ノーネット系メロンの場合は、表面に傷がなく、なめらかなものを選びましょう。
メロンの旬と産地:各地の個性
メロンの旬は初夏で、品種や栽培地域によって異なります。暖かい地方では4月ごろから収穫が始まり、露地物メロンは5月から6月が収穫のピークです。7月ごろには北海道産のメロンが旬を迎えます。温室栽培のマスクメロンと輸入メロンのハニーデューメロンは、年間を通して収穫されています。主な産地は、茨城県、熊本県、北海道、山形県などで、水はけのよい土壌と温暖な気候、昼夜の温度差が大きいことが共通しています。
北海道メロン:夕張メロン、ふらのメロン
北海道は、夕張メロンやふらのメロンなど、全国的に有名なメロンの産地です。夕張メロンは、濃厚な甘みと芳醇な香りが特徴で、高級メロンとして知られています。ふらのメロンは、ルピアレッドやティアラなど、様々な品種があり、それぞれ異なる味わいを楽しめます。
メロンの味わい方:冷やしてダイレクトに、スイーツとして、サラダのアクセントに
メロンは、冷やしてそのまま食べるのが最も一般的ですが、デザートやサラダなど、様々な料理に活用できます。メロンジュースやメロンゼリー、メロンアイスなどは、メロンの甘みと風味を存分に楽しめる人気のデザートです。また、メロンと生ハムを組み合わせたサラダは、さっぱりとした味わいで食欲をそそります。
メロンの保存方法:追熟させて、冷蔵保存、冷凍保存も可能
メロンは、購入後すぐに食べない場合は、追熟させる必要があります。常温で保存し、お尻の部分が柔らかくなり、甘い香りがしてきたら食べ頃です。完熟したメロンは、冷蔵庫で保存し、早めに食べましょう。カットしたメロンは、種を取り除き、ラップをして冷蔵庫で保存します。長期保存する場合は、冷凍することも可能です。
まとめ
メロンは、甘く芳醇な香りと、とろけるような食感が特徴的な果物です。球形または楕円形の果実で、表面には網目状の模様があるものや、つるりとしたものなど、様々な種類があります。果肉の色も、緑色、白色、オレンジ色など多様で、品種によって風味や甘さが異なります。水分を豊富に含み、口に含むとジューシーな甘さが広がるため、デザートや贈答品として人気があります。
よくある質問
質問:メロンは野菜?それとも果物?
回答:植物学的には野菜ですが、一般的には果物として扱われます。
質問:美味しいメロンの見分け方は?
回答:形が整っていて、ずっしりと重く、甘い香りがするものを選びましょう。ネット系メロンは網目がくっきりしているものがおすすめです。
質問:メロンが最も美味しい時期はいつですか?
回答:メロンの旬は一般的に初夏の頃と言われています。品種や栽培地域によって時期は多少異なりますが、おおよそ5月~7月にかけてが最も美味しく味わえるシーズンです。