抹茶 季節

日本の四季を彩る風物詩のひとつ、抹茶。その深緑の色合いは、春の新緑、夏の濃い緑、秋の落ち着いた緑と、季節の移り変わりを感じさせてくれます。抹茶には、古く日本人の心を捉えてきた魅力があります。その歴史と、季節ごとの楽しみ方を探ってみましょう。

煎茶の旬は春ですが、抹茶の旬は秋(10月~11月)!

日本茶の味わいは、季節の移り変わりと共に変化します。春は新緑の甘い香りが立ち込める煎茶の旬を迎えますが、秋は深く濃厚な味わいが堪能できる抹茶の季節です。 10月、11月は抹茶の最盛期です。この時期に収穫された新茶は、鮮やかな緑色と芳醇な香りが特徴的です。熟練の茶師によって丁寧に焙じ上げられた新茶は、まさに抹茶の芸術品と言えるでしょう。ほんのり苦みを感じる渋みと、深い旨味が広がる味わいは、まるで上質なワインを味わうかのようです。 抹茶は、日本の伝統文化に深く根付いた飲み物です。茶道では、その味を最大限に引き出す点前法が大切にされています。秋は、新茶の味を堪能しながら、その精神性にも触れる絶好の機会となります。上品な香りと風味に酔いしれれば、少しずつ秋の心を感じ取ることができるはずです。

11月開催の「口切りの茶事」は茶人にとってのお正月

日本の伝統文化である茶道には、季節の移り変わりに合わせて茶会の演出を変える習わしがあります。その中でも、11月に行われる「口切りの茶事」は、茶人たちにとって新しい茶期の幕開けを祝う、最も重要な行事の一つとされています。 この日は、新茶の荻を用いて初めての茶会が開かれ、茶筌や茶杓など茶道具一式を新調することが恒例となっています。茶人たちは、精魂を傾けて茶席を構えるとともに、珍重する茶碗や茶入れなどを一新し、新年度の始まりを祝福します。 江戸時代には、将軍家でも盛大な「口切りの茶事」が催されるなど、茶道界で最も賑わう茶会の一つとされてきました。茶人たちにとって、この行事は喜びに満ちた新しい一年の幕開けを実感する、大切な日なのです。

抹茶の流通は2月がピーク!冬は抹茶スイーツの季節

日本の伝統的な味わいを持つ抹茶は、季節を問わず様々な形で愛されています。2月の立春を祝う行事では欠かせない存在となり、寒さ残る時期には心身ともに癒やされる一杯に。一方、冬場は抹茶の風味を堪能できるスイーツのシーズンでもあります。ほっこり温まる抹茶ラテや上生菓子など、この季節ならではの魅力に浸ることができます。 旬の味覚を大切にしつつ、抹茶ラテやケーキ、お菓子など、様々な抹茶スイーツも楽しみの一つ。2月6日は"抹茶の日"と呼ばれ、この時期には多くの抹茶スイーツが店頭へ並びます。抹茶には健康に良い成分も豊富で、甘いものが苦手な方にもおすすめです。最近では持ち運びしやすいスティックタイプも発売されており、カジュアルな野点を楽しんだり、人気のスイーツを作ってみるのも良いでしょう。季節を問わず、様々な形で抹茶の魅力に浸れます。

まとめ

歴史の重みを感じさせてくれる抹茶は、季節を彩る日本の文化です。濃い色合いは深みのある味わいにも通じ、一服するごとに季節の移ろいを体感できます。料理やお菓子とも相性が良く、春夏秋冬、それぞれの季節に合わせた楽しみ方があります。日本の伝統の中に息づく抹茶は、心を静める癒やしの時間を与えてくれるでしょう。

抹茶