和栗とは?風味豊かな日本原産の栗を徹底解説
秋の味覚として親しまれる栗の中でも、ひときわ風味豊かな「和栗」。日本原産の栗の総称であり、その歴史は深く、私たち日本人の食文化に根ざしています。大粒でほっくりとした食感、そして上品な甘さと香りは、和栗ならではの魅力です。この記事では、和栗の特徴や種類、美味しい食べ方まで、その魅力を余すところなく徹底解説いたします。

和栗とは?日本生まれの栗を指す言葉

和栗とは、日本固有の栗の総称で、「ニホングリ」とも呼ばれます。野生の「芝栗」を品種改良したもので、海外の栗に比べて実が大きいのが特徴です。甘さは控えめですが、豊かな風味が魅力です。

和栗、洋栗、中国栗、アメリカ栗の違い

栗は原産地によって大きく4種類に分類されます。和栗は日本が原産ですが、洋栗は南東ヨーロッパや西アジアが原産です。中国栗は、おなじみの天津甘栗として知られています。アメリカ栗も存在します。

和栗の種類:丹波栗、筑波、銀寄など

和栗には非常に多くの品種があり、その数は100種類にも及ぶと言われています。特に有名なのは丹波栗です。丹波栗は特定の品種名ではなく、京都の丹波地方で収穫される和栗の総称です。丹波栗の中には、国見、大峰、筑波、有磨、銀寄など、様々な種類があります。同じ品種でも、栽培される地域の気候や土壌などの環境によって味が大きく変化するのが特徴です。

丹波栗:栗の王様と称される所以

丹波栗は、その大きさ、香り、そして食感から「栗の王様」と呼ばれることがあります。中でも京都府の丹波地方で採れる丹波栗は特に有名で、豊かな自然の中で育まれたその味わいは格別です。その歴史は古く、江戸時代には献上品として用いられていたという記録も残っています。

筑波:大粒で濃厚な甘さが魅力の人気品種

筑波は、1949年に岸根と芳養玉という品種を掛け合わせて生まれた栗で、1959年に品種登録されました。一粒あたり約30gと大きく、ほっくりとした食感と際立つ甘みが特徴で、多くの人に愛されています。

銀寄:上品な甘さと豊かな香りが特徴

銀寄は、江戸時代中期の1753年頃、能勢町に広島から持ち込まれた栗を植えたことが起源とされる品種です。その名の由来は、江戸時代後期の飢饉の際、銀寄が高値で取引されたことにあります。大きめのサイズで、程よい甘さと芳醇な香りを楽しめるのが魅力です。

利平:中国栗との交配によって生まれた品種

利平栗は、1940年に岐阜県山県郡大桑村の土田健吉氏が、日本産の栗と天津甘栗として有名な中国栗を交配させて誕生させた品種です。「利平」という名前は、土田氏の家号である「利平治」に由来します。太平洋戦争中に一度は枯れてしまいましたが、奇跡的に残った一本が原木となり、全国で栽培されるようになりました。

その他の品種:丹沢、石鎚、国見、岸根、ぽろたん、人丸、柴栗

和栗には、上記以外にも多彩な品種が存在します。丹沢は、1959年に「乙宗」と「大正早生」を交配して生まれた品種で、北海道と沖縄を除く地域で栽培されています。石鎚は、1968年に「岸根」と「笠原早生」を掛け合わせて誕生しました。国見は、1983年に「丹沢」と「石鎚」の交配によって生まれた品種で、名前は産地の一つである熊本県の「国見岳」にちなんでいます。岸根は山口県坂上村発祥とされ、平家の落人が持ち込んだとも伝えられ、現在では山口県の特産品となっています。ぽろたんは、茨城県つくば市の農林水産省果樹試験場で「209-5」と「丹沢」を交配し、1991年に誕生しました。人丸は千葉県で発見された品種で、「幻の栗」とも呼ばれています。茨城県では生産者がごくわずかで、流通量も少ないため、高級品として珍重されています。柴栗は山に自生する栗で、縄文時代から食用とされてきたと言われています。

和栗と洋栗の違い:風味、食感、用途

栗には、日本で古くから親しまれてきた和栗と、ヨーロッパや西アジアを原産とする洋栗があります。和栗の特徴は、その大きさと、渋皮と呼ばれる薄皮が剥がしにくい点です。対して洋栗は、和栗に比べて小ぶりで、渋皮が比較的容易に剥けます。食感にも違いがあり、和栗は粉質でほっくりとした食感が楽しめますが、洋栗は身が締まっていて、ずっしりとした重みを感じます。洋栗はその特性から、マロングラッセやマロンテリーヌといったフランス菓子によく用いられます。また、皮付きのまま焼き上げる焼き栗は、ヨーロッパでは秋の味覚として広く親しまれています。

和栗の栄養成分:ビタミン、ミネラル、食物繊維

和栗は、多様な栄養素をバランス良く含んでいます。中でも注目すべきはビタミンCの含有量です。また、ミネラルの一種であるカリウムも豊富で、和栗100gあたり約420mg含まれています。その他にも、カルシウム、マグネシウム、リンなどのミネラルも摂取できます。食物繊維も豊富で、和栗100gあたり約4.2gの食物繊維が含まれており、特に不溶性食物繊維が多いのが特徴です。

和栗の味:上品な甘さと風味

和栗は、控えめで上品な甘さが際立つのが特徴です。濃厚な甘さがお好みの方よりも、さっぱりとした甘さを好む方におすすめです。その独特の風味は、和菓子や料理に奥深い味わいを加えます。

和栗のおすすめの食べ方・レシピ:甘露煮、栗ごはん

和栗の持つ、あの何とも言えない優しい食感と、甘すぎない上品な甘さは、多種多様な料理やデザートに最適です。ここでは、和栗を存分に楽しめるおすすめのレシピを二つご紹介します。

和栗の甘露煮:昔ながらの栗スイーツ

栗を使ったスイーツとして、甘露煮は長年愛されています。まず、皮をむいた栗を鍋に入れ、栗全体が水に浸るように水を加えて約10分間茹でます。次に、別の鍋に砂糖、みりん、水、少量の塩を入れ、煮詰めます。そこに先ほど茹でた和栗を加え、落とし蓋をして弱火でじっくりと煮込みます。火を止めて粗熱を取り、冷蔵庫で1時間ほど冷やせば、自家製甘露煮の完成です。クチナシの実を一緒に煮込むと、鮮やかな黄色に仕上がり、見た目も楽しめます。

栗ごはん:素朴ながらも豊かな風味

研いだお米を炊飯器に入れ、しょうゆ、塩、料理酒を加えて軽く混ぜ、その上にむき栗を乗せて通常通り炊飯します。炊き上がったら、栗の香りが食欲をそそる栗ごはんの出来上がりです。お好みで黒ゴマを振りかけると、風味が増してより美味しくいただけます。

和栗の保存方法:冷蔵・冷凍が基本

和栗は鮮度が落ちやすいため、常温での保存は避けるべきです。虫が発生したり、風味が損なわれる可能性があります。冷蔵または冷凍での保存を徹底しましょう。適切に低温保存することで、栗の甘みが増し、より美味しく味わえます。

冷蔵保存:新聞紙と保存袋を活用

冷蔵保存する際は、まず鬼皮(外側の硬い皮)の表面の汚れを丁寧に拭き取ります。その後、栗を新聞紙で包み、ビニールまたは保存袋に入れてしっかりと口を閉じ、冷蔵庫で保管します。野菜室よりも温度が低いチルド室での保存がよりおすすめです。この方法で約1週間程度の保存が可能です。

冷凍保存:長期保存の秘訣

和栗を長く楽しむなら、冷凍保存がおすすめです。鬼皮がついたままの栗を丁寧に水洗いし、キッチンペーパーで水気をしっかり取り除きます。その後、ジッパー付き保存袋に入れて空気を抜き、冷凍庫へ。こうすることで、約6ヶ月間もの長期保存が可能になります。解凍時は、鬼皮ごと軽く茹でるだけで手軽に調理できます。

和栗の皮むき:楽々剥ける熱湯活用術

和栗は皮が硬くて剥きにくいと感じるかもしれませんが、熱湯を使えば簡単です。まず、鬼皮がついたままの栗を水に約1時間浸けて、表面の汚れや虫を取り除きます。その後、水を張った鍋に栗を入れ、沸騰するまで加熱します。沸騰したら火を止め、余熱で5~10分ほど置いてください。栗を取り出し、底の部分から縦に切り込みを入れて皮を剥きます。熱いので、軍手などを着用して安全に作業しましょう。鬼皮を剥いた栗は、再び鍋に戻してしばらく浸します。お湯が冷めていたら、再度2分ほど茹でてから渋皮を剥くと、より綺麗に剥けます。

おすすめ和栗商品:栗が香る和紅茶

熊本県産の和栗と静岡県産の和紅茶が出会った、特別な紅茶はいかがでしょうか。栗の優しい甘みが広がり、ストレートはもちろん、ミルクティーにしても美味しくいただけます。

まとめ

和栗は、その豊かな風味と栄養価の高さで、秋の味覚として広く親しまれています。それぞれの品種が持つ個性を知り、最適な調理法で味わうことで、和栗の魅力を最大限に引き出すことができます。定番の甘露煮や栗ご飯に加え、新しいレシピにも挑戦して、この秋は和栗を心ゆくまでご堪能ください。

質問:和栗の旬の時期はいつ頃ですか?

回答:和栗は品種によって収穫時期に差がありますが、一般的には8月下旬頃から収穫が始まり、9月下旬に最も美味しい時期を迎えます。

質問:和栗のカロリーについて教えてください。

回答:和栗のカロリーは、100gあたり(およそ5粒)で生の状態だと約164kcal、茹でると約167kcalです。意外とカロリーが高めなので、摂取量には注意が必要です。また、お菓子や料理に使う際は砂糖を多く使うことが多いため、さらにカロリーが高くなる傾向があります。

質問:和栗の適切な保存方法を教えてください。

回答:和栗は鮮度が落ちやすいので、常温での保存は避けましょう。虫食いや風味の劣化を防ぐため、冷蔵または冷凍保存がおすすめです。低温で保存することで甘みが増します。冷蔵保存する場合は、栗の表面の汚れを軽く拭き取り、新聞紙で包んでからビニール袋に入れ、口をしっかり閉じて冷蔵庫へ。野菜室より温度の低いチルド室での保存がより効果的です。この方法で約1週間保存できます。冷凍保存の場合は、鬼皮付きのまま水洗いし、キッチンペーパーで水気を拭き取ります。その後、ジッパー付き保存袋に入れて密閉し、冷凍庫へ。冷凍保存なら約半年間の長期保存が可能です。解凍する際は、鬼皮が付いたまま軽く茹でるだけで美味しくいただけます。

質問:和栗の皮を簡単に剥く方法はありますか?

回答:和栗は皮が硬く剥きにくいことで知られていますが、熱湯に浸すことで比較的簡単に剥くことができます。まず、鬼皮が付いたままの栗を水に1時間ほど浸けて、表面の汚れや虫を取り除きます。次に、水を張った鍋に栗を入れ、沸騰するまで加熱します。沸騰したら火を止め、そのまま余熱で5~10分ほど置いてください。栗を取り出し、底の部分から上に向かって包丁で切り込みを入れ、皮を剥いていきます。熱い状態の方が皮が剥きやすいので、軍手などを着用して作業することをおすすめします。鬼皮を剥いた後、再度鍋に戻し、しばらく水に浸します。お湯が冷めていたら、再度2分ほど茹でてから渋皮を剥きましょう。