美食の都リヨンで生まれた「ガトー・マルジョレーヌ」。レストラン「ラ・ピラミッド」の巨匠、フェルナン・ポワンが生み出したこのデザートは、別名ガトー・シュクセとも呼ばれ、その洗練された味わいから「世界最高のデザート」と称されることもあります。一見シンプルな姿の中に、驚くほどの奥深さが秘められているのがマルジョレーヌの魅力。この記事では、独特の食感を生み出す生地の秘密、3種のクリームが織りなす絶妙なハーモニーを徹底解剖し、マルジョレーヌが世界を魅了する理由を探ります。
ガトー・マルジョレーヌとは?:その歴史と特徴
ガトー・マルジョレーヌ(Gâteau Marjolaine)は、美食の都リヨンにある名店「ラ・ピラミッド」のシェフ、フェルナン・ポワン氏が1950年代に創作した、洗練されたデザートです。ガトー・シュクセという別名でも知られています。その卓越した風味から「世界最高のデザート」と評されることも少なくありません。見た目はシンプルながら、特徴的な食感の生地と、3種類のクリームが織りなすハーモニーが魅力です。通常、2cm程度の薄切りにして提供されます。
ガトー・マルジョレーヌのレシピ:材料と作り方
ガトー・マルジョレーヌは、主にフォン・ド・マルジョレーヌ(生地)、濃厚なガナッシュ、香ばしいプラリネ風味のクレーム・シャンティイ、そしてプレーンなクレーム・シャンティイという、4つの要素で構成されています。以下に、一般的なレシピと作り方をご紹介します(9cm×55cmサイズ1台分)。
フォン・ド・マルジョレーヌ
材料:アーモンド200g、ヘーゼルナッツ150g、グラニュー糖220g、薄力粉25g、卵白240g、グラニュー糖70g
作り方:アーモンドとヘーゼルナッツをそれぞれオーブンで丁寧にローストします。ヘーゼルナッツは、ロースト後、皮を取り除くためにふるいにかけます。アーモンドとヘーゼルナッツを混ぜ合わせ、グラニュー糖220gを加え、均一になるまで細かく挽きます。薄力粉を加えて混ぜ合わせます。別のボウルで、卵白にグラニュー糖70gを少しずつ加えながら、しっかりと角が立つまで泡立てます。粉類とナッツ類の混合物を加え、均一になるまで丁寧に混ぜ合わせます。生地が流れ落ちる程度の状態になったら、バターを薄く塗ったオーブンプレート(60×40cm、2枚)に均一に広げ、冷蔵庫で冷やします。220℃に予熱したオーブンで、焼き色がつくまで焼き上げます。熱いうちに、9cm×60cmの帯状に5枚切り分けます。
ガナッシュ
材料:チョコレート165g、生クリーム(乳脂肪分38%以上)150cc
作り方:生クリームを鍋に入れ、沸騰直前まで温めます。火からおろし、細かく刻んだチョコレートを加えて、滑らかになるまで溶かします。目の細かいシノワで漉し、冷蔵庫で冷やし固めます。
プラリネ風味のシャンティイクリーム
材料:乳脂肪分47%の生クリーム500ml、自家製プラリネ100g、無塩バター40g
作り方:冷やした生クリームを丁寧に泡立てます。プラリネと室温で柔らかくしたバターを混ぜ合わせ、泡立てた生クリームに加えて均一になるまで混ぜます。
基本のシャンティイクリーム
材料:乳脂肪分47%の生クリーム500ml、グラニュー糖50g、無塩バター40g
作り方:冷やした生クリームにグラニュー糖を少しずつ加えながら、しっかりと角が立つまで泡立てます。室温に戻して柔らかくしたバターを加え、なめらかになるまで混ぜ合わせます。
組み立て手順
- 焼き上げた生地の一方に、薄くガナッシュを塗布し、もう一枚の生地で挟んで一組とします。同様にもう一組作成します。
- 作成した一組の生地の上に、プラリネ風味のシャンティイクリームをたっぷりと乗せます。
- 何も塗っていない最後の生地を重ね、その上に基本のシャンティイクリームをたっぷりと乗せ、残りのガナッシュを挟んだ生地を重ねます。
- ケーキの側面にシャンティイクリームを均一に塗り、チョコレートフレークを隙間なく貼り付けます。
- ケーキ上面にピラミッド型の型紙を置き、粉糖を丁寧に振りかけて模様を付ければ完成です。「ラ・ピラミッド」で供されていたガトーは、店名にもなっているピラミッドの形状が粉糖で美しく表現されていました。
ガトー・マルジョレーヌの魅力:時を超えて愛される軽やかな味わい
1950年代は濃厚なバタークリームが主流でしたが、ガトー・マルジョレーヌは新鮮な生クリームをふんだんに使用することで、他に類を見ない軽やかな食感を実現しました。凝固剤としてのゼラチンなどは一切使用せず、シェフの創造性によって誕生したと言われています。ボリュームのある料理にも引けを取らない存在感を放ちながら、あっさりとした上品な味わいは、レストラン「ラ・ピラミッド」を訪れる多くの人々を魅了しました。
締めくくり
ガトー・マルジョレーヌの背景にある物語、その誕生秘話やレシピに込められた想いを知ることで、このデザートは一層魅力的なものとなるでしょう。各要素が丁寧に組み合わさることで生まれる、他に類を見ない絶妙な調和を心ゆくまでご堪能ください。
ガトー・マルジョレーヌはどのような場所で誕生したのでしょうか?
ガトー・マルジョレーヌは、フランス、リヨン郊外に位置する名店「ラ・ピラミッド」で産声を上げました。
ガトー・マルジョレーヌを創り出したのは誰ですか?
ガトー・マルジョレーヌは、「ラ・ピラミッド」のオーナーシェフであり、料理界の巨匠と称されたフェルナン・ポワン氏によって生み出されました。
ガトー・マルジョレーヌならではの魅力とは何でしょう?
ガトー・マルジョレーヌの特筆すべき点は、アーモンドとヘーゼルナッツを贅沢に使用した生地、濃厚なガナッシュ、香ばしいプラリネクリーム、そして軽やかなシャンティクリームという、四重奏のようなハーモニーです。その洗練された味わいが人々を魅了し続けています。