マンゴー生産量

マンゴー生産量

太陽の恵みをたっぷり浴びた、甘く芳醇な香りのマンゴー。かつては海外からの輸入が中心でしたが、国内の栽培技術向上により、今や各地で高品質な国産マンゴーが生産されています。この記事では、日本におけるマンゴーの主要産地を徹底解剖し、品種ごとの特徴や生産量の違いを比較。さらに、気候変動や技術革新がマンゴー生産に与える影響、そして今後の展望について詳しく解説します。国産マンゴーの奥深い世界を、ぜひご堪能ください。

日本のマンゴー栽培の歩み

日本でマンゴー栽培が始まったのは、明治時代の中頃のことです。大正時代の初めには、鹿児島高等農林学校(現在の鹿児島大学農学部)に持ち込まれた記録が残っています。しかし、日本の気候は露地栽培には適さず、長らく生産量は非常に限られていました。昭和の時代、30年代から50年代にかけて、アメリカや台湾からいくつかの品種が導入されましたが、本格的な栽培には至りませんでした。
1980年代に入り、沖縄県で開発された雨よけ栽培技術が転機となり、各地でハウス栽培が普及し、安定的な生産が可能となりました。沖縄県が生産量で日本一を誇り、次いで宮崎県、鹿児島県と九州地方での栽培が盛んですが、東京都の小笠原諸島や静岡県、北海道といった地域でもマンゴーが栽培されています。

主要品種:アップルマンゴー(アーウィン種)の特長

日本で栽培されているマンゴーの大部分、9割以上を占めるのが、アップルマンゴー、アーウィン種。アーウィン種は、熟すとリンゴのように果皮が赤くなるのが特徴で、果肉は繊維質が少なく、滑らかな舌触りを楽しむことができます。甘味と酸味のバランスが絶妙で、濃厚な風味が魅力です。その他にも、日本国内では様々な品種のマンゴーが栽培されています。

希少な国産マンゴー品種:キーツ、玉文、愛紅

アーウィン種以外にも、日本ではいくつかの希少な品種が栽培されています。これらの品種は生産量が限られており、「幻のマンゴー」と称されることもあります。

キーツマンゴー

キーツマンゴーは、外見が特徴的で、熟しても緑色の皮を保ちます。一般的なアップルマンゴーがおよそ500gであるのに対し、キーツマンゴーはその4倍、約2kgにも達することがあります。その食感は非常に滑らかで、口の中でとろけるようです。味は濃厚で、甘い香りが豊かに広がります。

玉文(ぎょくぶん)マンゴー

玉文マンゴーは一つ700g程度に成長する長卵形の大きなマンゴーで、果肉は鮮やかなオレンジ色。舌触りが非常に滑らかで、クセが少なく際立った甘さを誇り、時には糖度が20%を超えます。

愛紅(あいこう)

愛紅は、2008年に品種登録された、日本で初めてのマンゴーの新品種です。台湾原産の「金煌」とアーウィン種を掛け合わせて生まれました。味が濃く、まるでプリンのようにきめ細かく、滑らかな食感が楽しめます。この品種は、和歌山県にある近畿大学附属農場湯浅農場で開発されました。

おいしい国産マンゴーの選び方

美味しい国産マンゴーを選ぶ際には、いくつかの重要な点に注目しましょう。まず、果皮に光沢があり、丸みを帯びていて、ふっくらとしているものを選ぶことが大切です。また、手に取った時に、見た目以上に重く感じるものがおすすめです。マンゴーは収穫後も熟成が進むため、軽く触れた際に柔らかさを感じるものが、まさに食べ頃を迎えた完熟マンゴーと言えるでしょう。

国産マンゴーの保存について

まだ熟していないマンゴーは、室温で保存してください。十分に熟したマンゴーは、日持ちが短いため、なるべく早くお召し上がりください。もし、すぐに食べきれない場合は、皮をむいてカットし、冷凍保存することもできます。冷凍することで、長期保存が可能となり、スムージーやデザートなど、様々な用途で活用できます。

日本各地におけるマンゴー栽培の挑戦

元々、南国の果物であるマンゴーは、日本の気候での栽培は容易ではありませんでした。しかし、各地で独自の栽培技術が開発され、現在では日本全国でマンゴーが栽培されるようになりました。

宮崎県:完熟マンゴーへの情熱

宮崎県は、温暖な気候と豊富な日照時間、そして晴天日数の多さなど、マンゴー栽培に最適な環境です。ここでは、特に香りが良く、糖度が極めて高い完熟状態での収穫にこだわり、他産地のマンゴーとの差別化を図っています。完熟したマンゴーは自然に落下するため、完熟直前の果実一つ一つにネットを被せ、自然に落ちてくる実をネットで受け止める方法が開発されました。この方法で収穫されたマンゴーは、「太陽のタマゴ」というブランド名で知られています。

北海道:真冬に実るマンゴー

北海道の十勝地方では、真冬にマンゴーを収穫するという他に類を見ない試みが行われています。これは、寒冷地の知恵を活かしたもので、世界的にも珍しい「根の制御」技術を利用しています。夏は冷涼な気候と雪の冷熱を利用して地温を下げ、冬は温泉水とヒートポンプで地温を上げ、マンゴーの木に季節を誤認させることで、真冬の収穫を実現しています。さらに、バイオディーゼル燃料を使用することで、化石燃料を一切使用しない、環境に優しい自然エネルギー栽培を実現しています。こうして冬に収穫された完熟マンゴーは、お歳暮などの年末年始の贈答品として人気を集めています。

和歌山県:柑橘栽培のノウハウを活かしたマンゴー栽培

温暖な気候と豊かな日照時間に恵まれた和歌山県は、マンゴー栽培に適した土地です。特に有田地域では、近畿大学附属農場湯浅農場が1987年からマンゴー栽培の研究を重ねており、同農場から出荷される「近大マンゴー」は、有名百貨店などで販売されています。また、長年培ってきたミカン栽培の技術を応用し、マンゴー栽培への取り組みを促進するため、行政も積極的に支援しています。近大マンゴーは、その優れた品質で知られ、贈答品としても高い人気を誇っています。

世界のマンゴー生産量と日本のポジション

FAO(国際連合食糧農業機関)の統計データによれば、世界のマンゴー、マンゴスチン、グアバの合計生産量において、インドが2,600万トンという圧倒的な量で首位を占めています(2023年)。これは、世界全体の生産量の約45%に相当します。上位10か国は、インド、インドネシア、中国、メキシコ、パキスタン、ブラジル、マラウイ、エジプト、タイ、バングラデシュの順に並びます。上位5か国で世界全体の約65%、上位10か国では約80%の生産量を占めています。
世界のマンゴー生産量は増加傾向にあり、2011年には4,000万トンだった生産量が、2023年には6,500万トンにまで増加しています。

日本のマンゴー生産量の推移と主要産地

日本のマンゴー生産量は、2019年には3,500トンでした。最も生産量が多いのは沖縄県で、1,800トンと日本全体の52%を占めています。次いで宮崎県、鹿児島県、熊本県、静岡県となっています。北海道のマンゴー栽培面積は、平成29年(2017年)2.1haから平成30年(2018年)0.8haへと約62%減少し、収穫量も21.0tから6.9tへと約67%減少している。もともと広くない面積だったが、この減り方はおそらく廃業されたマンゴー農園があったのではないかと推測できる。
2021年には5,600トンまで生産量が回復し、2017年とほぼ同水準となっています。沖縄県が引き続きトップを維持し、高品質なマンゴーの生産に注力しています。

まとめ

国内産マンゴーは、栽培技術の進歩により、日本各地で多様な品種が楽しめるようになりました。各地域の気候や風土を活かした栽培方法によって、高品質なマンゴーが生産されています。ぜひ、様々な国産マンゴーを味わい、お好みの味を見つけてください。贈り物にも最適な国産マンゴーで、ご家庭の食卓にトロピカルな風味を添えてみてはいかがでしょうか。

よくある質問

質問1:国産マンゴーはなぜ高価なのですか?

国産マンゴーが輸入マンゴーよりも値段が高いのは、いくつかの理由があります。日本の気候はマンゴーの生育に最適な環境とは言えず、温室栽培などの特別な設備や高度な栽培技術が不可欠です。加えて、人件費や輸送にかかる費用も価格に反映されます。また、完熟した状態で収穫するため、輸送時の品質維持にも細心の注意が必要となり、コストがかかります。

質問2:国産マンゴーの最も美味しい時期はいつですか?

国産マンゴーの旬は、地域や品種によって多少異なりますが、おおむね6月から8月にかけてが最盛期です。例えば、沖縄県産のマンゴーは5月頃から市場に出回り始め、宮崎県産マンゴーは6月から7月頃、鹿児島県産マンゴーは7月から8月頃に旬を迎えます。ユニークな点として、北海道産のマンゴーは冬に収穫されるのが特徴です。

質問3:国産マンゴーはどこで購入できますか?

国産マンゴーは、一般的なスーパーマーケットや百貨店、高級フルーツ専門店などで手に入れることができます。さらに、インターネット通販サイトでも多種多様な国産マンゴーが販売されています。産地から直接届けられる新鮮なマンゴーや、珍しい品種のマンゴーも気軽に購入できるため、ぜひオンラインでの購入も検討してみてください。
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