低血圧に悩む方にとって、日常生活は時に困難なものとなりがちです。朝の目覚めが悪かったり、立ちくらみを感じたりすることも。そんな低血圧の方々に朗報です。実は、日常的に愛飲されているコーヒーが、低血圧の改善に役立つ可能性があるのです。その意外な役割に迫り、どのように活用できるのかを紹介します。健康的な生活を送るための鍵として、コーヒーの持つ効果を理解しましょう。
コーヒーを飲むと血圧はどう変わるのか?
アメリカのジョンズ・ホプキンズ大学の研究で、コーヒー消費と血圧の関連性に関する興味深い発見が示されました。1017名を対象に約30年間の追跡調査を行ったところ、コーヒーを日常的に飲む人は、全く飲まない人に比べて血圧が高い傾向が見られました。具体的には、1日1杯のコーヒーの追加で収縮期血圧が0.19mmHg、拡張期血圧が0.27mmHg上昇しました。
しかし、調査では60歳までに高血圧を発症する割合に関しては、コーヒーを飲む人と飲まない人の間に差は見られませんでした。すなわち、コーヒーによる一時的な血圧上昇があったとしても、それが直接的に高血圧を引き起こすわけではないと考えられます。
高血圧の人がコーヒーを飲んでも安全なのか?
高血圧の人がコーヒーを飲むことに関しては、大きな問題がないと言えるでしょうか。
コーヒーのカフェインと血圧の関係についての様々な研究をまとめた報告があります。その報告によると、高血圧の方が約1.5〜2杯分に相当する200〜300mgのカフェインを摂った場合、一時的に収縮期血圧が平均8.1mmHg、拡張期血圧が5.7mmHg上昇することが示されています。また、長期間にわたってコーヒーを飲んだ場合でも、カフェインを含まない食事やコーヒーと比較して血圧の上昇は見られなかったとのことです。さらに、コーヒーを日常的に摂取しても高血圧患者の心血管疾患リスクは増加しないことも示されています。
これらの結果から考えると、高血圧の方でもコーヒーを飲むことに大きな問題はないようです。ただし、砂糖やシロップ、ホイップクリームなどを多く使うと、体重増加や糖尿病などのリスクが増す可能性があるため、注意が必要です。
コーヒーの過剰摂取に気をつけるべき理由とは?
コーヒーに含まれるカフェインが多いことから、飲み過ぎを心配する人もいるかもしれません。
カフェインは適度な摂取量であれば、頭をすっきりさせたり、眠気を覚ましたりする効果があります。しかし、過剰になると、めまい、動悸、興奮状態、不安感、手の震え、不眠、下痢、吐き気といった副作用を引き起こすことがあります。また、利尿作用もあるため、頻繁にトイレに行くことになったり、夜中に目が覚めてしまい浅い眠りになる可能性があります。そのため寝る前の摂取は避けた方がよいでしょう。ただし、カフェインの適切な摂取量は個人差が大きいため、日本では具体的な1日の許容量は設定されていません。
海外の研究からの情報によれば、健康な大人が悪影響なく摂取できるカフェイン量はおおよそマグカップ3杯分までで、妊婦や授乳中の方はその半分が推奨されています。
日常的にコーヒーを楽しんでも問題ない?
コーヒーを日常的に飲むことが高血圧のリスクにどの程度影響するかは、現在も議論の余地があります。
ただし、1日に4杯以上のコーヒーを飲む女性では、高血圧のリスクが約10%低下するというデータもあります。これまでの研究では、コーヒーが高血圧の直接的な原因となる可能性は低いとされています。また、心臓病や脳卒中の予防、大腸がんや肝がんのリスク軽減、2型糖尿病における血糖値の改善、さらには脂肪燃焼を助けることで肥満の防止にも効果があるとされています。
これらのポジティブな効果を踏まえると、コーヒーを定期的に楽しむことは問題ないと考えられます。