びわの旬:甘くみずみずしい初夏の味覚を堪能

初夏の訪れを告げる果物、びわ。楽器の琵琶に似た愛らしい形と、甘くみずみずしい味わいは、私たちを魅了します。びわは旬を迎える短い期間にしか味わえない、貴重な初夏の味覚です。この記事では、びわの旬や魅力、栄養についてご紹介します。枇杷を味わい、爽やかな初夏の訪れを感じてみませんか?

びわとは:初夏の訪れを告げる、独特な風味と滋味

びわは、バラ科に属するビワ属の植物であり、原産は中国です。その果実の形状が、日本の伝統楽器である琵琶に似ていることから、この名前が付けられました。日本へは江戸時代に渡来し、温暖な気候の地域を中心に栽培が広まりました。旬は初夏で、甘さとみずみずしさが際立つ味わいが魅力です。通常は皮をむいてそのまま食しますが、皮ごと食べることもでき、皮には栄養が豊富に含まれています。

びわの旬:地域と品種で変わる収穫のタイミング

びわの市場への出荷時期は、おおよそ3月から6月にかけてですが、最も美味しく味わえる旬の時期は、5月から6月頃とされています。この時期は、露地栽培されている多くの品種が収穫期を迎え、完熟したびわが豊富に出回るためです。近年では、ハウス栽培の技術も発展しており、早いものでは2月頃から店頭に並ぶこともあります。びわの旬は、産地や品種、栽培方法によって差があるため、それぞれの特性を理解することで、より美味しいびわを選ぶことが可能です。

産地ごとの旬の時期

びわの旬は、栽培される地域によって異なり、気候条件や栽培技術が大きく影響します。主な産地別に、それぞれの旬の時期を確認してみましょう。

長崎県:栽培方法で変わる旬の時期

びわの生産量で日本一を誇る長崎県。長崎県産のびわは「長崎びわ」として親しまれ、「茂木」や「長崎早生」といった品種が有名です。ハウス栽培が中心で、その旬は2月から4月頃。一方、露地栽培のものは5月から6月頃に旬を迎えます。長崎びわの特徴は、何と言ってもその瑞々しさと、爽やかな甘さです。

千葉県:大ぶりで食べ応えのある「房州びわ」

びわの生産量で全国2位の千葉県。「房州びわ」という名で知られ、その特徴は大粒で肉厚な果肉です。「大房」、「富房」、「瑞穂」、「田中」など、様々な品種が栽培されています。千葉県では、ハウス栽培のびわが4月下旬から5月下旬頃に、露地栽培のびわが5月下旬から6月下旬頃に旬を迎えます。

香川県:短い旬に詰まった濃厚な甘さ

香川県のびわは、5月から6月にかけての短い期間が旬となります。香川県ではびわのほか、キウイフルーツやシャインマスカットなど、多様なフルーツ栽培が盛んです。

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美味しいびわの選び方:注目すべき4つのポイント

美味しいびわを選ぶには、いくつかの重要な点があります。上品な甘さが特徴のびわだからこそ、以下の点に注意して選んでみましょう。

ハリがあり、うぶ毛が残っている

採れたてのびわは、果実全体にピンとしたハリがあり、表面には細かなうぶ毛が確認できます。もしハリが弱く、うぶ毛が少ない場合は、鮮度が落ち始めているサインかもしれません。

均整の取れた丸いフォルム

びわならではの、ふっくらとした丸みを帯びた、左右対称に近い形を選びましょう。形が崩れているものは、生育中に栄養が偏った可能性があり、味が均一でないことがあります。

軸の付け根が力強い

びわの軸についているヘタの部分が、しっかりと果実に付いているかを確認しましょう。ヘタが鮮やかな緑色で、生き生きとしているものが理想的です。ヘタが萎れていたり、元気がない場合は、果肉が乾燥していたり、甘みが足りない場合があります。

色合いが均一で美しい

びわ全体の色ムラが少なく、均一に色づいているものを選びましょう。美しく色づいているびわは、太陽の光をたっぷりと浴びて育った証拠で、甘みが強い傾向にあります。

びわの栄養価:美と健康を支える注目の成分

みずみずしいびわには、β-カロテンをはじめ、β-クリプトキサンチン、クロロゲン酸といった、私たちの健康と美しさをサポートする栄養成分がたっぷり含まれています。これらの成分が持つ、嬉しい効果をご紹介しましょう。

β-カロテン:健やかな肌と粘膜を育む

β-カロテンは、体内で必要に応じてビタミンAへと姿を変え、肌や粘膜の健康維持に貢献します。さらに、優れた抗酸化作用や、身体を守る力を高める作用も期待されています。

β-クリプトキサンチン:免疫力向上をアシスト

β-クリプトキサンチンは、みかんやパパイヤ、かぼちゃなどの鮮やかな色を生み出す成分であり、β-カロテンと同様に、体内でビタミンAとして働き、免疫力をサポートします。日々の健康維持はもちろん、風邪の予防や、高血圧、心筋梗塞といった生活習慣病のリスク軽減にも役立つと考えられています。

クロロゲン酸:血糖値コントロールをサポート

クロロゲン酸は、ポリフェノールの一種であり、食後の血糖値の急激な上昇を穏やかにする効果や、体に脂肪が蓄積されるのを防ぐ効果が期待されています。特に、内臓脂肪の蓄積を抑制する効果に注目が集まっています。

アミグダリン:咳への効果と注意点

びわの種にはアミグダリンという成分が含まれており、この成分が咳を和らげる効果を持つとされています。しかし、アミグダリンにはわずかながら毒性も存在します。過剰に摂取すると体に良くない影響を及ぼす可能性があるため、摂取量には十分な注意が必要です。

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びわの味わい方:フレッシュな生食がベスト!

びわを最も美味しく味わうには、生のまま食べるのが一番です。旬の時期に収穫されたびわは、格別な甘さと水分をたっぷりと含んでおり、その風味を存分に堪能できます。

スムーズな皮の剥き方

びわの皮は比較的薄いですが、少しの工夫で簡単に剥けます。まず、びわのお尻の部分に軽く十字の切り込みを入れます。その切り込みから丁寧に皮を剥いていきましょう。先に半分に割って種を取り除くと、よりスムーズに皮を剥くことができます。剥いたびわは時間経過とともに変色しやすいので、レモン水や薄い塩水に浸すと、色が変わるのを防ぐことができます。

びわの保存方法:常温保存と冷凍保存

びわは、収穫後に追熟が進むタイプの果物ではありません。そのため、手に入れたらなるべく早く味わうのが一番です。しかし、どうしても食べきれない場合もありますよね。そんな時は、適切な方法で保存することで、美味しさを長持ちさせることができます。

常温保存

びわはデリケートな果物なので、傷がつかないように丁寧に扱うことが大切です。直射日光や高温多湿を避け、風通しの良い涼しい場所で保管すれば、2~3日程度は美味しく保存できます。

冷凍保存

冷蔵庫での保存は、びわの水分を奪ってしまい、風味を損ねてしまう可能性があるため、あまりおすすめできません。もし長期保存を希望される場合は、冷凍保存が適しています。冷凍することで、およそ1~2ヶ月程度は保存可能です。冷凍する際は、皮を剥いて種を取り除き、冷凍保存用の袋に入れて密封してから冷凍庫へ。解凍する際は、冷蔵庫で時間をかけてゆっくりと自然解凍するのがおすすめです。ただし、冷凍するとびわ本来の甘みが若干損なわれる場合があることを、あらかじめご理解ください。

冷凍保存方法

  1. びわを丁寧に水洗いし、しっかりと水気を拭き取ります。
  2. びわの皮をむき、種を綺麗に取り除きます。
  3. びわを冷凍保存袋に入れ、できる限り空気を抜いてしっかりと密封します。
  4. 冷凍庫で急速冷凍を行いましょう。

解凍方法

解凍する際は、冷蔵庫で時間をかけてゆっくりと自然解凍するのがおすすめです。

まとめ

みずみずしい果肉と優しい甘さが特徴のびわは、初夏の訪れを感じさせてくれる特別な存在です。産地や品種によって旬の時期は異なり、選び方や味わい方も様々です。それぞれの特徴を知ることで、びわの美味しさを存分に堪能できるでしょう。今年の初夏は、ぜひ色々な種類のびわを味わい、お好みの味を見つけてみてください。

質問1:収穫後のびわは熟しますか?

回答:いいえ、びわは収穫後に熟すことはありません。店頭に並んでいる状態が最も美味しい状態ですので、購入後はなるべく早くお召し上がりください。

質問2:びわの皮にも栄養はありますか?

回答:はい、びわの皮には食物繊維やポリフェノールといった栄養成分が豊富に含まれています。抵抗がない方は、皮ごと食べるのも良いでしょう。

びわ