レタスは一年を通して需要が高く、各地で独自の栽培方法が確立されている重要な野菜です。安定した収穫量と収益を確保するには、畑の状態に合わせた適切な肥料計画を立て、栽培環境に合った時期に種まきを行うことが重要です。さらに、市場価値の高い高品質なレタスを生産するには、最新の栽培技術や効率的な栽培方法に関する情報を集め、実践することがプロの農家にとって非常に重要です。近年では、従来の露地栽培に加えて、生育環境を高度に管理できる植物工場での栽培も増えており、一年を通して供給できる体制づくりに貢献しています。この記事では、レタス栽培の主な栽培方法や地域ごとの栽培時期、主要な品種について詳しく解説します。種まきから収穫、出荷までの詳しい管理方法を説明し、収穫物の品質向上や栽培作業の省力化につながる先進的な栽培技術についても紹介することで、読者のレタス栽培における実践的な知識と技術の習得をサポートします。
レタスの種類と調理方法
レタスは、その形や用途によって大きく4つの種類に分けられます。最も一般的に流通しているのは、葉が丸く結球する「結球型」レタス、いわゆる玉レタスです。これには、完全に球になるものから、サラダ菜のようにゆるく半結球するものまであります。次に、結球せずに葉が広がって育つ「リーフレタス」があり、「サニーレタス」はその代表的な品種です。また、葉が縦に立ち上がって育つ「ロメインレタス」も人気があり、シャキシャキとした食感が特徴です。最後に、茎を食用とする「ステムレタス」という種類もあります。これらの様々なレタスは、サラダに欠かせない野菜として広く親しまれていますが、炒め物や鍋物、スープなど、加熱調理にも適しています。加熱することで甘みが増し、量が減るため、生で食べるよりもたくさん食べられます。調理の際は、シャキシャキとした食感を残すために短時間で加熱するのがポイントです。ロメインレタスのように、結球したままカットできる特長を持つ品種もあり、用途に合わせて品種を選ぶことが大切です。
栽培方法別!レタスの主な栽培時期と品種
レタスは一年を通して栽培することができ、種まき時期と収穫時期の組み合わせによって「春まき(春夏どり)栽培」「初夏まき(夏秋どり)栽培」「夏まき(秋冬どり)栽培」「秋まき(冬春どり)栽培」の4つの栽培方法に分けられます。高品質なレタスを安定して生産するためには、自分の地域の気候条件や土壌環境に最も適した栽培方法を選び、その栽培方法に合った品種を選ぶことが非常に重要です。栽培方法を選ぶ際には、品種ごとの成熟期間、抽苔性(花芽が伸びてしまう性質)、耐暑性、耐寒性などの特性を総合的に考慮する必要があります。例えば、低温期には低温でも成長しやすく、寒さに強い品種、高温期には抽苔が遅く、病気に強い品種を選ぶことが成功の秘訣です。以下に、これらの主な栽培方法ごとの一般的な栽培時期と、それぞれの栽培方法に適した代表的な品種を詳しくまとめました。この情報をもとに、ご自身の栽培計画に最適な栽培方法と品種を選び、安定したレタス生産を目指してください。なお、記載されている栽培方法以外にも、寒冷地ではハウス栽培において初冬まきや冬まきで春に収穫する方法が実践されている地域もあります。(出典:タキイ種苗株式会社「野菜の作型と品種生態 栽培の幅を広げるために 12 キク科野菜 レタス・シュンギク・ゴボウ(タキイ最前線 2013年冬春号)」よりminorasu編集部作成)
春まき(春夏どり)栽培
「春まき(春夏どり)栽培」は、暖かい地域から寒い地域まで、日本の広い範囲で行われている一般的な栽培方法の一つです。この栽培方法における栽培スケジュールは地域によって多少異なります。暖かい地域では、一般的に3月に種をまき、4月に苗を植え付けます。その後、5月から6月にかけて収穫時期を迎えます。この時期に適した主な品種としては、「ステディ」「スターレイ」「デローサ」などが挙げられます。種まき時期はまだ気温が低いため、苗を育てる段階での保温管理が非常に重要となり、ハウスなどの施設を利用して適切な温度を保つことが丈夫な苗を育てるために不可欠です。一方、寒い地域では、4月に種をまき、5月に植え付けます。収穫は7月頃となり、主な品種には「オアシス」「ラプトル」「クリスタル」などがあります。寒い地域の春まき栽培においても、暖かい地域と同様に種まき時期の低温対策として、苗を育てる際の適切な保温が、発芽率の向上と初期の生育を安定させるために必須となります。低温下での育苗は徒長苗や生育不良の原因となるため、温度管理には十分注意する必要があります。
初夏播き(夏秋どり)栽培
初夏播き(夏秋どり)栽培は、おおむね5~6月に種まきを行い、6~7月に苗を植え付け、8~9月に収穫する栽培方法です。この方法の特筆すべき点は、レタスが最も生育障害を起こしやすい高温期と時期が重なることです。中でも結球レタスで問題となるのが抽苔です。抽苔はレタスの品質を著しく低下させ、商品価値を損ねるため、この作型が可能な地域は、夏でも比較的涼しい高地や寒冷地に限られます。具体的には、標高の高い場所や、冷涼な気候が維持される場所での栽培が推奨されます。このような環境でも、抽苔しにくい品種を選ぶことが非常に重要です。「シーカー」や「マイヤー」、「シルル」などは、この初夏播き(夏秋どり)栽培に適した品種として広く使われています。これらの品種は、高温に対する耐性が高く、抽苔しにくい性質を持つため、夏場でも安定した品質のレタスを収穫することが期待できます。ただし、予測を超える高温が続く場合には、遮光ネットの使用や適切な水やりなど、追加の対策が必要になることもあります。
夏播き(秋冬どり)栽培
夏播き(秋冬どり)栽培は、寒冷地から温暖地、暖地まで、日本全国の広い範囲で行われている主要な栽培方法の一つです。この方法では、種まき、植え付け、収穫の時期が、地域の気候によって異なり、寒い地域ほど時期が早く、暖かい地域ほど遅くなる傾向があります。具体的には、種まきは寒冷地で7月、温暖地で8月、暖地では8月から9月にかけて行われます。種まき後、3週間から1ヵ月ほど育苗し、苗がある程度の大きさになったら畑に植え替えます。収穫は、寒冷地で9月から10月、温暖地で10月、暖地では11月から年末にかけて行われます。この栽培方法は、秋から冬にかけての需要期に新鮮なレタスを供給するために不可欠であり、多くの農家で取り入れられています。夏播き(秋冬どり)栽培でよく栽培される代表的な品種としては、「サウザー」や「サーマルスター」、「ラプトル」などが挙げられます。これらの品種は、夏の暑い時期の育苗や、秋から冬にかけての低温期での成長に適した性質を備えているため、安定した収穫が見込めます。地域の気候変動や土壌の状態を考慮して、最適な品種を選ぶことが、高品質なレタスを生産するための重要なポイントです。
秋播き(冬春どり)栽培

秋播き(冬春どり)栽培は、主に温暖な地域や暖かい地域で行われる栽培方法で、冬の寒さから苗や作物を守るために、トンネルやハウスなどの保温設備を積極的に利用することが特徴です。この方法では、9月から12月にかけて種をまき、10月から翌年の2月にかけて苗を植え付けます。収穫は翌年の1月から4月にかけて行われ、比較的寒い時期に市場にレタスを出荷することができます。この時期の栽培は、冬場の需要に応えるだけでなく、他の栽培方法と比べて病害虫のリスクが低いというメリットもあります。ただし、低温環境下での栽培となるため、適切な温度管理が収穫量と品質を大きく左右します。主な品種としては、「D・Jジョイグリーン」や「レオグランド」、「チアフル」などが、この秋播き(冬春どり)栽培に適した品種として広く使われています。これらの品種は、低温下でも成長しやすく、寒さに強いため、冬の日照時間が短い環境でも比較的良く育ちます。保温設備の適切な使用に加えて、品種の特性を最大限に活かす栽培管理が重要です。特に、トンネルやハウス内の換気や、夜間の冷え込み対策など、細やかな温度調整が安定した生産につながります。
まとめ
レタスは栽培地域ごとに様々な栽培方法があり、種まきの時期を調整することで長期間にわたり収穫・出荷できるため、安定した販売が見込めます。レタスの栽培方法や管理の手順は、今回ご紹介した内容を参考にしつつ、畑の条件に合わせて調整しながら、最適な方法を見つけることをおすすめします。
レタスの栽培に適した時期(作型)は、主に何種類でしょうか?
レタスの栽培は、種をまく時期と収穫する時期の組み合わせで、大きく分けて4つのタイプがあります。「春まき(春夏どり)栽培」、「初夏まき(夏秋どり)栽培」、「夏まき(秋冬どり)栽培」、「秋まき(冬春どり)栽培」です。それぞれの地域の気候条件に合った作型と品種を選ぶことが、成功の鍵となります。
レタスの種類と、それぞれの特徴について教えてください。
レタスは、その形状や用途によって、大きく5つの種類に分類できます。結球レタス(玉レタス)、半結球レタス(サラダ菜など)、リーフレタス(サニーレタスなど)、立ちレタス(ロメインレタス)、そして茎レタス(ステムレタス)です。結球レタスはサラダに最適で、ロメインレタスはそのシャキシャキとした食感からサラダや炒め物に使われます。リーフレタスは用途が広く、様々な料理に利用されます。近年では、植物工場での栽培も盛んに行われています。
レタスの育苗において、特に注意すべき温度管理のポイントは何ですか?
レタスの種は、15~20℃が発芽に最適な温度です。25℃を超えると発芽率が著しく低下するため注意が必要です。気温が25℃以下の時期はハウス内で、25℃を超える時期は風通しの良い日陰で発芽させましょう。発芽後は、ハウスなどで適切な温度を保ち、十分な換気を行い、高温多湿を避けることが大切です。定植を行う前には、苗を畑の環境に慣らすための馴化作業を忘れずに行いましょう。













